コードギアス ナイトオブワンの義息子   作:残月

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新入りと試験機

 

 

 

 

 

 

エリア11での視察を終えたオデュッセウスと共にリョウトはブリタニア本国に帰ってきていた。

そして帰国後すぐにグランから貰ったメールの『レイスの新入りパイロット』と『新型機のテスト』の為にグランの下へと向かった。

 

 

「初めまして。この度、レイスに配属になった『クレス・ラングレー』です」

「……リョウト・T・ヴァルトシュタインです」

 

 

ニコニコと笑顔を浮かべながら敬礼をするクレスにリョウトは苦笑いを浮かべた。

リョウトの目の前の人物は可愛らしい笑みを浮かべている。髪もセミロングの外跳ねで実に女性らしい。履いているスカートも丈が短く、通りすがる男性の目を奪うだろう。

ならば何故、リョウトは苦笑いを浮かべているのか?

理由は明白だった。

 

 

「えーっと……クレス・ラングレーさん?」

「クレスで結構ですよ隊長さん」

「じゃあ……クレス。聞きたいんだけど……」

 

 

リョウトは言葉を区切るとクレスのプロフィールが載っている資料に目を落とした。

 

 

「クレス・ラングレー(♂)って書いてあるんだけど……」

「はい?私は男ですよ?」

 

 

そうリョウトの目の前に居る人物「クレス・ラングレー」は女性らしい顔立ちで体つきも女性そのもの。着ている軍服は女性物。

しかし資料にはクレスは男と書いてあるのだ。しかも本人から自分は男であると明言までされた。

 

 

「ならなんで女装を?」

「趣味です。ああ、でもホモって訳じゃないですよ。御安心をちゃんと女の子が好きです」

 

 

何を安心しろと言うのかクレスはにこやかに告げる。見た目は女性だが実は女装好きの男性は同性愛者ではないらしい。

 

 

「挨拶は済んだらしいの」

「爺さん」

 

 

そんな中、間を見計らった様にグランが姿を表す。その後ろには白衣の男性と軍服を着た女性が続く。

 

 

「爺さん、言いたいことは色々とあるんだけど」

「クレスは性格と戦い方に難有りじゃがKMFの操縦は一般兵より遥かに強い。[レイス]にはピッタリの人材じゃよ」

 

 

リョウトの問いにグランは笑いながら答えた。

 

 

「あっは~。キミがリョウト君?ヨロシクね~」

「え、え?あの……?」

「ロイドさん!」

 

 

白衣の男性はリョウトの手を握りながらブンブンと上下に振るう。対して軍服の女性は白衣の男性を叱る。

 

 

「御免なさいね。私はセシル・クルーミー。この人はロイド・アスプルンドよ」

「あ、はい。俺はリョウト・T・ヴァルトシュタインです」

 

 

リョウトから白衣の男性改めロイドを引き剥がした女性はセシルと言うらしい。

 

 

「キミの噂は聞いてるよ。あのヴァルトシュタイン卿の義息子で凄腕パイロット。オデュッセウス殿下とギネヴィア皇女殿下発足の特別部隊の部隊長ってね」

「その殆どが成り行きなんですけどね」

 

 

ロイドの試す様な視線にリョウトは苦笑いで答えた。

 

 

「ではそろそろ始めるかの。リョウトよ、新型機はロイドの作った機体じゃ。対戦するのはクレスが乗る[グラスゴー・リッパー]じゃ」

「胸を借りますよ、たーいちょ」

「お、おう……」

 

 

グランの締め括りにより模擬戦となるがクレスの仕草にリョウトはゾクッと背中に悪寒が走る。クレスが女性ならば先ほどの仕草や猫なで声も可愛いと思えるのだがクレスが男と解っている以上、それは寒気しか発生しない。

 

 

「あっは~。禁断の恋に発展……」

「して堪りますかっての。んで新型機ってのは?」

 

 

ニヤニヤと笑っているロイドに若干の苛つきを感じたリョウトだったが、模擬戦をするのだから機体を見ておきたいと思いグッと堪えた。

 

 

「んふふ~。新型機って言ってもまだ未完成でね。構想を練ってる機体を一先ず形にしただけなんだよ。言ってしまえばプロトタイプのプロトタイプだよ」

「新型機って言うより試験機って事か」

 

 

ロイドの発言に溜め息を吐きたくなったが新型機を見て、それは消えた。

 

 

「これが……新型……」

「そ、プロトタイプのプロトタイプ。サザーランドをベースに作ったからまだまだだけどね」

 

 

リョウトの呟きにロイドは不満を漏らしたがリョウトは新型機が高性能な機体だとなんとなく感じていた。

 

 

「この機体の名前は?」

「名は無いんだよ、あくまで試験機だからね。でも将来作る機体には[ランスロット]って着ける予定なんだ」

 

 

リョウトの問いにロイドは[ランスロット]の完成を夢見てるのか満面の笑みである。

 

 

「んじゃこの機体の名は[ランスロット・プロト]って事で」

「ふーむ、便宜上の呼び名は必要かな。セシル君、この試験機のコードネームを[ランスロット・プロト]で登録しておいて」

 

 

リョウトが何気無しに決めた名だったがロイドは気に入ったのか試験機のコードネームを打ち込むようにセシルに指示を出す。

 

 

「はい。リョウト君はコックピットに乗って。一緒にデータも送るから」

「了解です」

 

 

コードネームの打ち込みを承諾したセシルはリョウトにランスロット・プロトに乗るように促した。

ランスロット・プロトVSグラスゴー・リッパーの模擬戦が遂に始まる。





[クレス・ラングレー]

レイスの三人目として来た人物。
見た目は美しい女性だが実際は女装をしている男性。
本人曰く「ホモではなく、女の子が好き」

キャラクターイメージは[るろうに剣心]の『鎌足』



[ランスロット・プロト]

ロイドが自身のKMF技術向上の為に開発した機体。
サザーランドをベースに試験的に作ったパーツ等で構成されており、文字通りの『試験機』となっている。
見た目はランスロットとサザーランドの中間の様な機体となっている

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