「…………どうしてこうなった」
リョウトは自身のKMFグラスゴー・カスタムの中で何度目になるか分からない溜め息を吐いた。
自身の目の前に広がるのはコーネリア専用にカスタムされたサザーランドと親衛隊用のサザーランドが二機。
搭乗しているのは当然、コーネリア自身。そして親衛隊機にはコーネリアの騎士の『ギルバート・G・P・ギルフォード』そしてコーネリア腹心の『アンドレアス・ダールトン』の二人だ。
なんの因果かコーネリアと親衛隊二人を相手にレイスは模擬戦を強いられた。
皇族の意見とオデュッセウスが妹の張り切る姿を見てにべもなく了承し、リョウト達の意思とは関係なく模擬戦と相成った。
しかし此処で予期せぬ出来事が起きる事となる。それと言うのもたった一人の人物が原因だった。
模擬戦が始まる少し前まで時間は遡る。
「待ーて待て待て待て!こんな面白そうなこと、私抜きでやるな!」
「おや、エニアグラム卿」
「せ、先輩!?」
「ノネットさん!?」
オデュッセウスとコーネリアの間で話し合われ、模擬戦が決定したと同時にある人物がテラスへと入ってきた。その人物を見てオデュッセウスは驚き、コーネリアとリョウトは驚愕した。その人物とはナイトオブラウンズの9『ノネット・エニアグラム』だった。
「貴様、エニアグラム卿になんて口の聞き方だ」
「あ、その……」
「いやいや、良いのですよコーネリア殿下。リョウトは昔からの付き合いで固苦しい呼び方は止めろと言っているのですよ」
リョウトのノネット対する対応にギンとリョウトに睨みを効かせるコーネリア。だがノネットがコーネリアを嗜めた。
それと言うのもリョウトがビスマルクの養子になってからナイトオブラウンズと会う機会が出来ていた。
ナイトオブツー『ミケーレ・マンフレディ』
ナイトオブフォー『ドロテア・エルンスト』
ナイトオブナイン『ノネット・エニアグラム』
ナイトオブテン『ルキアーノ・ブラッドリー』
ナイトオブトゥエルブ『モニカ・クルシェフスキー』
キッカケはそれぞれ別々だがリョウトはナイトオブワンの養子になった事でナイトオブラウンズとは殆ど面識があった。
その中でもノネットとは長い付き合いでリョウトがビスマルクに引き取られてからKMFの操縦や訓練はノネットが見ている機会が多かったのだ。ノネットからしてみれば暇潰し程度の感覚だったがメキメキと上達していくリョウトを気に入ったノネットは訓練以外でもリョウトの事を構う様になっていく。
他のラウンズ達の事は後日別に語られるが、リョウトからしてみればノネットは年の離れた姉のような感覚の人だった。
「してエニアグラム卿、何をしに此方へ?」
「申し訳ありませんオデュッセウス殿下。私はリョウトの成長を確かめたく此処に参上つかまつりましたがコーネリア殿下も学生時代の後輩。成長がとても気になります」
オデュッセウスの問い掛けにノネットは礼をしながら答えた。
「そこでどうでしょう?二試合に分けて、コーネリア殿下の部隊VS私。レイスVS私で模擬戦を行うと言うのは?」
「せ、先輩!?」
「マジですか……」
ノネット提案にコーネリアは驚き、リョウトは「あちゃー」と額に手を当てた。ノネットは度々、無茶な話を振ってくる事が多くその事を即座に察したリョウトは天を仰いだ。
そして、あれよと言う間に模擬戦となってしまったのだ。
『隊長殿、なんかすごい展開に成りましたな』
「ノネットさんが絡んで事がマトモに進む事の方が珍しいよ……」
ケインがリョウトに通信を入れてくるがリョウトは溜め息混じりに返答した。因みにレイスの他のメンバーは半ば強制的に召集されていた。
『と言うかたいちょー。良いの三対一なんて模擬戦で?』
「ラウンズ相手だと三対一でもキツいっての……」
続いてクレスからも通信が入るがこの中でラウンズ、そしてノネットの実力が一番理解しているリョウトは三対一の状況でもノネットに勝つのは無理だと半ば諦めていた。
『それでは此れより模擬戦を開始します』
「お、始まるな。って今のはユーフェミア様?」
模擬戦の開始を告げるアナウンスが流れるが何故かユーフェミアの声が聞こえた事にリョウトは首を傾げた。
『まずはコーネリア親衛隊VSエニアグラム卿の模擬戦です。試合開始!』
ユーフェミアの合図と共に模擬戦は開始された。
第一試合はコーネリア&コーネリア親衛隊VSノネットの試合だった。