良くも悪くもハリー・ポッター 作:吟遊詩人(トルバドゥール)
突然だが、僕はハリー・ポッター。元15歳の、英雄と呼ばれていた魔法使いだが、今は違う。何故って、
意味わからないだろうが、僕だってさっぱりわからん。
神秘部で闘っていて、ヴォルデモートが現れた瞬間目の前が真っ暗になって、身体が思うように動かず床に倒れて——現在に至る。
とりあえず僕は死んだのだろう。
だって、手も無く足も無く、ただ光るふわふわした何かになっているのだから。きっと此処は天国なのだろう。
『その通りじゃよ』
貴方が神様だとか?
『まあ、そうなるかの』
普通死んだら神様とお話し出来るんですかね?
『普通は出来ないがの、君の場合は特別じゃ。何せ、ヴォルデモートが出て来たことに恐れをなして、シリウス・ブラックの魂を引っ張って来る予定だったブック・エンジェルが君の魂を持って来てしもうたからの』
シリウス死んでませんよ?それに、何ですブック・エンジェルって。
『本の中の登場人物の死を此処まで持って来る奴じゃ。君は『ハリー・ポッター』というシリーズの主人公なのじゃ』
主人公は途中で死んじゃうんですか。
『だから間違えだと言っとるじゃろう。物語ではシリウス・ブラックはベラトリックス・レストレンジの死の呪文に撃たれ、死ぬのじゃ』
え、つまり僕は……。
『本来なら死ぬ筈は無かったのじゃ』
一瞬頭が真っ白になる。が、ダーズリー家の頃に鍛えられたメンタルの強さで直ぐに持ち直す。
酷くないですか、それ。
『そうじゃの。だから、君を『転生』させる事にしたのじゃ。転生先はご自由に。転生特典も付けてあげよう』
転生先は……じゃ、ハリー・ポッター?の世界で。転生特典……お薦めは?
『必要なものを無から創り出す能力とかはどうじゃ?ハリー・ポッターに掛けて、転生特典は七つまでなら可能じゃぞ』
それって多いんですかね?まあいいや。じゃあそれと、ある程度の身体能力と、膨大な魔力と、良い記憶力と……。
『杖が無くても魔法を使える能力』
あ、いいね、それと、幸運をちょっとと、原作知識。
『原作知識は、必要なものを無から創り出す能力で後で創り出せるが良いのかね?』
あー、やっぱ無しで。後で最後の転生特典を決めるってのは駄目ですか?
『いいよ』
じゃあそういうことで。
『転生開始じゃな。転生して目覚めるまでに特典は付けとくから、心の準備はよろしく。あと、別に原作通りに動いても動かなくても、何しても自由だからね。バイバーイ』
あ、うん、バイバイ。
また目の前が真っ暗になり、僕は意識を手放した。
というわけで目覚めた。
と言ってももうそれは一年前だ。明日はハロウィーン。僕の両親が殺される日だ。
親の目を盗んで必要なものを無から創り出す能力で原作を出し、結末まで読んでみたところ、僕は馬鹿だったってことがわかった。英雄だ何だと祭り上げられて、思い上がっていたようだ。癇癪を起こすべきでないところでも起こし、足を引っ張っている。こんなんじゃ駄目だ。
別に僕はシリウスを助けたりフレッドやリーマスやトンクスやムーディを助けようとなんぞ思っていない。僕は、主人公でない僕はそこまでお人好しではない筈だ。
しかし、とりあえず最初は原作通りに動いて、ホグワーツ入学後は面白そうな方向に話を持って行けば良いだろう。まあ僕はジニーが好きだとか思って無いし、チョウもどうだって良いので気にしない方向で。
今世の第一目標は、新たなこの世界で思う存分楽しむこと。死ぬ直前に最後の転生特典を『もう一度別世界に転生すること』って願えばまたやり直せるだろうし。今世は休息に充てよう。
で、第二目標は、ロンとハーマイオニーを全力を尽くして守ること。前世でも今世でも、二人は僕の大切な親友だ。僕が話を新しく作り替えてしまうなら、その余波で二人が死んでしまわないように気を付けなくてはいけない。その方法はまた今度考えよう。
身体が一歳の身体だからか、すぐ眠くなる。
おやすみ…………