良くも悪くもハリー・ポッター 作:吟遊詩人(トルバドゥール)
おはよう。
今僕はベビーベッドに寝ていて、魔法を掛けて貰っているところだ。何の魔法かっていうと、ほらアレだよ、愛の守りの魔法だか何だか。
つまり、僕の両親は絶対絶命の危機って訳だ。可哀想に。
愛の魔法だかがあるからと言ったって、必ずしも安全という訳ではない。例えば棚が僕の上に落ちて来るかもしれないし、もしかしたらヴォルデモートは、浮遊呪文で重い石を持ち上げ、僕の上に思いっきり落とすかもしれない。そうなったら、愛の魔法の保護も無い。
何が言いたいかっていうと、僕は準備をしなきゃいけない訳だ。ヴォルデモートが来る前に。
かと言ってお母さんの前で能力を使う訳にもいかないので、お母さんの意識を一瞬無くそう。
お母さんが余所見をしている内に掌に魔力を込め、親指でコインを弾く要領でお母さんに向けて魔法を放つ。その魔法は、『服従の呪文』。お母さんは杖も持っていない状態だったし、パニックを起こしていたので簡単に掛かった。
お母さんの杖を呼び寄せ呪文でこっそり確保し、全力で寝返りをうって背中に隠す。それから素手で、原作ハーマイオニーが七巻で使っていた魔法のうち、衝撃や魔法から身を守る呪文を使う。窓を無音で吹っ飛ばし、逃げ道は確保した。
お母さんの服従の呪文を解除し、この数分の記憶を消してお母さんから混乱を無くす。
お母さんは僕を見て、声をあげた。
「ハリーの、魔力が流れ出ている……!」
お母さんは魔眼持ちか?いや、超直感呪文で気配を読み取っているのだろう。精神の持ちようでは、杖が無くても使える簡単な呪文だから。
っと、お母さんに不審感を抱かせてしまったな。魔力の気配は消しておこう。
この行動は正解だったようで、お母さんはホッとため息をついた。
一応愛の魔法は掛かっているが、まずヴォルデモートを倒して貰わなければ。
そう考えていると、ヴォルデモートがドアを突き破って部屋に入って来た。
此処からは原作通り——という訳でも無い。
お母さんが僕を命をかけて守り、完全なる愛の魔法となった所で行動開始だ。
必要なものを無から創り出す能力で、成人の身体が必要だと念じたら、本当にそうなった。中々役に立つ。
お母さんの杖でヴォルデモートの杖を奪い、相手の隙を突いてまずは服従の呪文を掛ける。それから、能力で創り出したヴォルデモート・ストラップに、ヴォルデモートの身体から抜き出した魂の欠片を寄生させ、新たな分霊箱を作る。
開心術を掛けて様々な情報を抜き取った後で、忘却術で、僕が行動を始めてからの記憶を偽物とすり替える。主に原作通りの記憶だ。
これで良いだろう。
ヴォルデモートは、僕に向かって死の呪文を放って来た。
ヴォルデモートが塵以下の存在となった所で、僕は神に貰った身体能力を使って二つに分身する。一つは、ダーズリー家に行く——原作通りに動く方。二つ目は、ロン・ハーマイオニー保護と面白い世界に作り変えるための下準備を受け持つ方だ。
もちろん本体は二つ目。分身を一歳児の身体に戻し、全くもって原作通りにしてから窓から飛び出した。
目眩し呪文と空まで飛べる身体能力を行使し、まずはロンドンまで飛ぶ。目的地は魔法省だ。ファッジやらスクリムジョールやらアンブリッジやらボーンズやら、高官や原作で重要なポストに付いている人々を悪性服従の呪文に掛ける。なんと、どんなに頑張っても呪文の気配に気付かれないという優れものだ。
必要なものを無から創り出す能力、発動。……名前長いな。略して
もちろんそんな事はどうでも良い。
ソウル発動。シリウス・ブラックの父になる事が必要だ。
一瞬でオリオン・ブラックに変身する。これでいいだろう。
姿眩ましでグリモールドプレイスへ。今の僕はオリオン・ブラックだから保護呪文には引っ掛からない。
「クリーチャー」
声に出して呼んでみると、クリーチャーはバチンという音と共に現れた。
「だ、旦那様……!生きて、居られるのですね……!」
そっか、原作ではオリオンは死んでいるのか。クリーチャーの忠誠心を利用するしか無いな。
魔法で、声が響いて幻想的になるようにする。
「クリーチャー……」
「はい!」
「私が、わかるか……」
「もちろんでございます、旦那様!」
「私は、やらなくてはならない事があってこの世に戻って来た……猶予は、少ししか無い……手伝え……」
「もちろんでございます!」
「契約内容を変えねばならん……この、家の所有者の契約をだ……」
「どのように?」
「トリック・トルバドゥールだ……彼に、この屋敷を任せるのだ……ブラック家は、これで安泰だ……」
「トリック・トルバドゥール様に、クリーチャーはお仕えするのですか?」
「そうだ……彼は素晴らしい……彼を信じるのだ……彼にはクリーチャーが心からの忠誠を誓う最もな理由がある……契約、を、シリウスから……彼に……力が……!」
「旦那様、契約を口に!」
「我、オリオン・ブラック、は……!ブラック家直系の年長者に渡るとされていた、この屋敷としもべ妖精の所有権を
「旦那、様……!」
我ながら迫真の演技だと思う。
一旦、幻影オリオンの姿を目眩まし術で消し、ハリー・ポッター成人の姿に変わる。それから、一メートルの距離を演出のため姿眩ましで移動し、目眩まし術を解除した。
「クリーチャー。初めまして、トリック・トルバドゥールだ。よろしく」
・ヴォルデモート・ストラップ
ハリーが新たに作った八つ目の分霊箱。一応伏線、のはず。
ヴォルデモート・ストラップは、ヴォルデモートが見たら怒るようなふざけた見た目をしています。
・トリック・トルバドゥール
策略を練る吟遊詩人。名前は適当。暗号名ということで。