良くも悪くもハリー・ポッター 作:吟遊詩人(トルバドゥール)
「こんにちは、マクゴナガル先生」
「こんにちは、ポッター……って、何故私の名前を!?」
驚くのも当然だ。だって僕は、何も知らない筈なんだから。筈、だけどね。
「実は僕、予言者で……」
「嘘ですね」
「はい、嘘です。夢に出て来て色々な事を知ってですね、此処まで来ちゃったんですよ」
一度、絶対嘘だ!とわかる事を述べ、其れを冗談だとしてからもう少し現実味のある事を言うと、ご覧の通り。皆コロッと騙されちゃう。これ、嘘付きのコツ。
マクゴナガルもすんなり信じた。
「そうですか……夢の内容は?」
「日によって変わりますが、昨日見た夢は、お父さんが漏れ鍋を懐かしがっているのをシリウス・ブラックへの手紙で書いていた場面でした。因みにシリウス・ブラックは極悪殺人鬼のようで?」
「ゴホッ、何故それを……まあ良いでしょう。其れも夢で?」
「いえ、僕が飼い慣らした野良犬が『日刊予言者新聞』と『夕刊予言者新聞』を拾って来てくれるので。魔法界の情勢はバッチリです」
マクゴナガルが呆れた様に天井を見上げながら「魔法省……仕事やれ……」と呟いている。確かに魔法省の失態だしね。魔法省への恨み、晴らしたZE!
で、マクゴナガルと一緒に行かなきゃならんのかな?やだな。出来ればノクターン横丁とか行きたいし。
そう思っていたら、マクゴナガルが言った。
「ポッター、買い物には私が付いて行く事が出来無いのです。実は、森番のハグリッドにマグルの家で育った魔法使いを託しているのですが、その……夢を見た貴方ならわかるでしょう、ハグリッドが……」
「おっちょこちょいなのが?」
「そう、そうです。不安なので私が様子見に行く事になっているのですが、一人で大丈夫ですか?」
「はい、でも、買い物リストを戴けると嬉しいです」
「おや、私とした事が忘れていました。はい、入学許可証と必要な物リスト。あと、ホグワーツ特急のチケットです。では、新学期に会いましょう」
それだけ口早に言うと、マクゴナガルはすっ飛んで行ってしまった。ハグリッドが心配なのはわかるが、九と四分の三番線の在り処を言わないというハグリッドと同じ間違いを起こすというのは如何なものだろうか。ま、わかるから良いけど。前世では焦ったなあ、心の中でハグリッドを恨んだ覚えがある。確か、賢者の石を守った時もハグリッドが原因だった気がする。……ハグリッドェ。
過去の出来事は忘れて。
とりあえず買い物するか。時間が掛かるのは嫌だから、『ハリー・ポッター』の映画に出て来たアルバス・セブルス・ポッターの容姿の幻影を創って買い物に行かせ、本体は杖を買うのとぶらぶらするのに使うか。よし決定。
アルバスに買い物に行かせ、自分は呑気にショーウィンドウを覗きながらオリバンダーの店へ向かう。杖は二本買っておこうか。
『ハリー・ポッター』の杖と、トルバドゥール時に使う杖。二つあった方が戦闘時にも便利&有利になる筈だ。もちろんお値段は高いが、此方にはソウルと親の遺した財産がある。何とでもなる筈だ。
あ、そういえば原作通りに事を起こさないと一年生からクィディッチは出来無いのか。まあその間は準備期間として箒を造るか。ファイアボルトの50倍は性能の良い箒を一本。一年あれば、このハイスペックな身体で何とか出来るだろう。試作品は……自分で試すかウッドに乗らせるか。そこらへんはホグワーツに行ってから決めよう。あーあ、クィディッチやりたいスリザリン死ね。おっと本音が出ちゃった。
考え事している間に僕は杖を買ってアルバスと合流した。
アルバスを消し、漏れ鍋の部屋の鍵を貰うと部屋に入る。頭の中は、造ろうと計画している箒の事で一杯だ。ソウルを使って他のメーカー(ニンバスだのファイアボルトだのクリーンスイープだの)箒の設計図を集め、良い点悪い点をメモしながら大体の構造と機能を決めていく。箒の材料は……ディーンの森に取りに行くか?それとも日本の白神山地のブナにするか、地球の肺であるブラジルのセルバの木にするか……。迷う所だ。やり甲斐はあるだろう。とりあえず不眠の魔法掛けて今夜は徹夜しよう。ハイスペックな身体とチートな僕の能力を使えば一生寝なくても生きて行ける。
因みに箒の柄の材木は、ヒノキとヒッコリーの良いとこ取りをした遺伝子組み換えのヒノッコリー(今名前付けた)を作ろうと思う。まあ、これから遺伝子組み換えするんだけどね。ソウルで何処かの森に外部からの敵意(伐り倒したり傷付けたり寄り掛かったりなど、少しでも樹に影響がある行動)が届か無い場所を作り、最高の環境で育てよう。