良くも悪くもハリー・ポッター 作:吟遊詩人(トルバドゥール)
箒についてあれこれやっているうちに、新学期が訪れた。一年生の予習は全くやってなかったけど、まだまだ覚えているから大丈夫だ。学校ではフレッジョに協力して貰って箒の開発を進め、六年生以降に学ぶ魔法も身に付けるべきだろう。悪霊の火は出来るが、その改良版を創らないと分霊箱探しの時に色々と不味い。あ、隙間時間に分霊箱探しに行くか。ロケットは終わったし、先ずはロウェナ・レイブンクローの髪飾りから。上手い事呪文を使って魂だけを壊し、ティアラは一応戴こう。
次にゴーントの指輪、日記、ハッフルパフのカップ、僕、ナギニの順番くらいかな。
迷うこと無く九と四分の三番線のホームへ入り、前世で僕が座っていたコンパートメントを探し当てて、前世と同じように座る。座るタイミングも同じにしているので、ロンと出会える筈だ。
予想通りロンがコンパートメントに入って来た。
「やあ、ロニー坊や。僕はハリー・ポッター、仲良くしてね?」
「おいロニー坊やって……って、え?君があのハリー・ポッターなの!?例のあの人を倒した!?」
「その通り。詳しいこと聞かれても答えらんないから聞かないでね?」
「じゃあ、詳しくないことを……何か覚えてる?」
「全てバッチリ覚えてるよ」
「えっ、じゃあ例のあの人の顔も?」
「そりゃ覚えてなけりゃ仕返し出来ないからね」
「もしかして君、自信家?」
「んな訳ないでしょ。正当な評価しかしないつもりだよ。コンパートメントの外で盗み聞きしてるフォイくん、バレバレだよ」
「何故バレた!というかフォイとは何だフォイとは!」
「君のことだよ」
「僕のことはマルフォイと呼べ!」
「マルフォイ」
「それで良——」
「——と呼べば良いのかい、フォイくん」
「——くない!」
マルフォイをからかって楽しんだ後、前触れ無しに追い出す。「ぐぎゃ!」とかいう悲鳴なんて聞こえない。
「あ、ロニー坊や、僕ちょっと意識を別の場所に飛ばすから話しかけないでね」
「え、ロニー坊やじゃな……って、意識を飛ばす!? 嘘!?」
あっちこっち忙しい奴だなあ。
変わらない、というか幼くなった友人を見て心の中で笑い、意識を遠くへ飛ばした。
正確には、ホグワーツの校長室。気配は感じられないはずだけど、確か潜入用に作っといた魔法薬があったはず。黒い巾着に入れといたっけな。
……(ゴソゴソ)あ、あったあった。これを……飲むんだっけ、頭にぶっかけるんだっけ? それとも水分を抜いて軟膏にして塗るんだっけ? →結論、全て試そう。
小瓶の中身を半分くらい口に流し込んで空ける。……あ、溢れた。ま、意識体だもんね。で、次、頭にぶっかける。これは意識体を素通りして絨毯を濡らしただけ。駄目だ。
手を軽く振るって絨毯を元通りに戻すと、最後、魔法薬から水分を抜いて軟膏にする。
……そういえば意識体だ。他の物質が干渉できる訳無いんだった。
手だけ実体化。軟膏を塗ってみる。お、消えた消えた。こうやって少しずつ実体化して塗っていけばいいんだな。気付かれないほど少しずつ。
そうやって全身に塗り終え、意識体に戻るともう一度校長室に入る。気配などを全て消しているので、ダンブルドアが居てもバレないだろう。
ガーゴイル像をすり抜け、いざ中へ。
右奥の棚に近付き、腕だけ実体化して扉を開ける。中には沢山の瓶——ダンブルドアの記憶だ。
巾着から透明な液体の小瓶を取り出し、クリスタルの栓を抜いて棚の中に振り掛ける。その液体は、空気に触れると霧のようになり、瓶を通り越して記憶に直接触れ、その白い
例えば、一枚の、鉛筆で文章の書かれた紙をコピーするとする。マグルのコピー機に挟み、コインを入れ、スイッチを入れてコピーされた紙が出てくる。そのコピーされた紙は本物とは違う。本物は消しゴムで消せるがコピーは消せない。紙が違うこともある。表面上は同じだけど、本質は全く違う。それは双子の呪文も同じだ。
だが、これは違う。霧が触れると瞬時にそれを本質まで見極め、何もかも同じに作り上げるのだ。何処かがかすれてたらかすれ具合まで、歌ってたら声のトーンまで。全く、違いが見つからないくらいまでそっくり。だって、それも本物だから。本質から、同じ物をもう一つ作り出す、それこそ鏡みたいな不思議な魔法薬だ。もちろん作るのには何ヶ月も掛かったし、調合もうんと難しい。それを簡略化して五分で作れる領域にまで持っていくには五年も掛かった。だが、これは全てロンとハーマイオニーのためになる筈だ。
その、本当の意味でコピーされた記憶達は僕が持つフラスコの中へ吸い込まれる様に入って行く。それに、複雑な魔法式を彫り込んだ、繊細なクリスタルの栓をする。
それを巾着にしまい、魔法薬の小瓶が空になったことに気付く。要らなくなった小瓶をポイっと放ると、床に落ちる直前に空間に裂け目が出来、虚空の中へと消えて行った。ソウルで知ったマグル知識ポ◯モンの破れた世界にでも繋がっているのだろう。冗談だけど。
でも、ポケ◯ンの知識は参考になる。伝説の◯ケモン達の特徴は戦闘で役に立ちそうなのだ。ダイヤが作り出せる能力は要らんけど。でも破れた世界は活用。
あの薬何処だっけ……あ、ブラック邸に忘れてきたかも。じゃあ作ろう。今。此処で。
ダンブルドアがいつも使っている机の上に、腕を振るうという動作で小さな防水炎とフラスコを出現させる。フラスコの中に、数百もの刻んだ葉を入れ、純水も入れて火に掛ける。葉はどんどん溶け、フラスコの中は液体のみとなる。一瞬で色が変わって行く液体を見詰め、色の周期を覚え、無色透明になった瞬間を狙って火を消し、十秒待ってから三十センチ×三十センチのサイズの氷をフラスコを覆う様に作り出し、冷却する。
時計を見て、一分経ったことを確認してから氷を消し、冷えた魔法薬を、部屋の奥の本棚を開けて中に撒いた。
任務完了。戻ろう。
更新遅れて申し訳ないです。m(_ _)m