書きたくなったので書きました。
バトルはたぶん3話ぐらいからスタートです。
太陽と輝きの剣の出会い。
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朝の7時。日差しが入って多少明るくなっている部屋に、
けたたましい音楽――バトルスピリッツ・ブレイブの劇中BGM"ブレイブ・メインテーマ"――が鳴り響いた。
それと同時に、部屋の隅のベッドの上がもぞもぞと動く。
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4月上旬。
春という季節にはなったが未だこの時期の朝というのはほんの少し肌寒いと感じる者が多いのではないだろうか。
そしてこの時期の布団の中というのはとても暖かく、布団からぬけ出すのは至難の業だろう。
まぁ、今回の場合に限っては布団中の人物は今流れている音楽を楽しんでいるだけなのだが。
~~~♪、Pi
丁度2ループ目が始まった瞬間、布団から一人の少女が起き上がり、そのままスマホを手に取り音楽を止めた。
そしてそのまま大きく伸びをする。
控えめだが服の上からでもしっかりと主張ができるほどの膨らみを突き出すようにした後、脱力する。
ほうと息を吐いた後、少女――
再び、伸びをする。170と少しの長身がぐぐっ、と伸びる。陽菜は何気に起きた直後の伸びー伸ばしている間の筋肉の緊張と、脱力した後の筋肉の弛緩による快感ーが好きである。
もっとも、同時に自分の長身を実感もしてしまうので嫌いでもあるのだが。
身長170.2cm。
高校一年生最初の健康診断で出たこの長身とも呼べる身長は、陽菜のコンプレックスだ。
女子高校生の平均身長よりも遥かに高い自分の身長。
この身長の所為で色々と面倒なことー端的に言えば、イジメの被害者ーにもなった。
背が高い女というのはそういう意味では損な役回りになってしまうのを中学の3年で実感してしまった陽菜は、
元から大人しい性格を更に大人しくしてしまうことになり……結局面倒なことは拍車がかかった。
そんな陽菜の心の逃避先が"バトルスピリッツ・ブレイヴ"と呼ばれるアニメだった。
主人公である馬神弾の姿、言動、そしてその苦悩。
その全てが龍海陽菜という人間を惚れさせるには十分だった。
気がつけば、ホビーショップで彼がパッケージの構築済みデッキを保存用込みで購入し、ポスターだって飾った。
彼が最後に操ったキースピリット、"光龍輝神サジット・アポロドラゴン"をなんとなく買ったパックから引き当てた時は思わず声を上げてしまったほどだ。
今思えば、陽菜にとっては初めての恋、その思いが叶うことはないのはわかりきっていたが、
この恋は忘れられないものとなった。
「おはようございます」
故に、今日も彼女は部屋に飾ってあるポスターに向かって挨拶をする。
陽菜にとって、馬神弾というキャラクターは太陽のように輝いているのだから。
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挨拶の後は、いつもと変わらない生活がある。
学校指定のブレザー――スカート丈を伸ばした――に着替え、顔を洗い、簡単な朝食をとる。
玄関に行く前に忘れ物がないかをチェックする。
鞄の中に今日必要な教材、筆記用具、弁当、そしてなんとなしに持ち歩いているデッキがあるのを確認して、最後に生徒手帳を入れたパスケースを開く。
3重のスリーブに更にカードローダー用のプラケーススリーブに入った"光龍輝神サジット・アポロドラゴン"。
たまたま買った1つのパックから出たこのカードは、陽菜にとってはつらい現実から自分を助けてくれる宝物のようなものだった。
一目見て、微笑んだ後にパスケースを胸ポケットに閉まって玄関の扉を開ける。
暖かい日差しと、涼しい風が吹き抜ける。空を見上げれば雲一つない青空。
ああ、今日はいいことがありそうだ。陽菜はそう思いながら通学路を歩き出した。
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高校生活が1週間も過ぎれば、ぽつぽつと出てくるのがグループである。
教室に入れば、既に何個かの人の塊がぽつぽつと出来ていた。
陽菜はそれを横目で見つつ、自分の席-中央列の一番後ろ-に座った。
「やっほ、おはよ」
座ったと同時に前の席の女生徒が振り向き声をかけてきた。
彼女――
そもそものきっかけとしては、前後で席が並んでいたから挨拶した(された)程度。
それから休み時間は頻繁に話すようになり、そもそもとして香連は陽菜の身長を全く気にしなかったのが、陽菜の中で朱里翠音という少女の評価を上げていた。
「今日お昼は?」
「ん、学食かな…今日はそんな気分」
こんなとりとめのない会話をできるぐらいには、この二人は仲が良かった。
香連がそっか、と適当な返事をした直後、チャイムが鳴る。
ああ、退屈な一日が始まるんだな…。
そう思うと少しばかりやる気の温度が下がり、一時間目の授業が数学だと知ってさら下げた。
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退屈――授業のレベルは上がっているので、ついていくのが厳しい――な授業が終わった昼休み、陽菜は学食へ向かっていた。
購買でパンを買ったほうが安上がりではあるのだが、比較的金銭に余裕があるときはなるべくならカレーを食べたい。
そんな彼女は、週に3回程度は学食でカレーを食べる。
ちなみに彼女がカレーが好きな理由は、お察しの通りである。
それに、彼女はこうも思っていた。
――なにか出会いがあるんじゃないかな。――
内向的な彼女ができる男女を問わない出会いを求める最大限の行為としても、学食で昼食をとるというのはしたほうがいいというのが彼女の考えだった。
イジメを受けていた彼女にとって、こういう場――人がたくさんと集まる場所――というのは良い思い出はない。
しかしながら、イジめられていた彼女は人間不信に陥ると同時に、自身の寂しさや孤独感といった弱さを識ってくれる人も欲していた。
だからこそ、彼女は比較的外に出るということをし続けている。
それは今回の学食であったり、休日の散歩であったりと様々だが、一貫して考えるのは、"なにか出会いがあればいい"。
そう、龍海陽菜という人間は案外にロマンチストなのである。
そういう地道な努力が実を結んだから、だろうか。
彼女はあまりにもベタな出会いをした。
食券を購入し、そのまま列に並ぼうとした際に何かとぶつかり、パスケースを落とした。
慌てる陽菜を尻目に、その何かは立ち上がってパスケースを拾う。
その何かは、男子生徒で。
その男子生徒は、身長が低くて。
そしてその男子生徒は開かれたパスケース――正確には、そこに入っていたカード――を見て目を細め。
一旦息を吐いてパスケースを閉じ、身長に見合った、でも男らしい声で言った。
「バトスピ、やってるの?」
これが、彼…
太陽と輝きの剣の出会い。