ついに来ます。
「輝龍シャイニング・ドラゴン、Lv1で召喚」
相手のフィールドに現れたのは細身のドラゴンが書かれたカード。
胸の赤いクリスタルが特徴的で、おそらくこれが、彼のデッキのキースピリットなのだろう。
コスト6ともなれば、大型で召喚するのに一苦労するのが
バトルスピリッツというカードゲームだ。
そして一苦労かけたモノというのは、総じて強い効果を持つ。
果たしてその予感は的中だったようで、
対面の相手はレリーフ加工されたそれに維持コアを乗せながら恐ろしいことを言った。
「召喚時効果で手札のブレイブカードをノーコストで召喚する。手札の輝きの聖剣シャイング・ソードをシャイニング・ドラゴンに直接合体(ダイレクトブレイブ)」
なにそれ強い、踏み倒しとかずるい。
思わずキャラを崩しかけるが、知ってるカードに似たようなマジックがあったのを思い出し、
何とかそれは言葉にならなかった。
そう、これぐらいは普通。
北斗七星龍ジーク・アポロドラゴンだって踏み倒し効果だったから問題はない。
そう思った矢先に更にとんでもないことを言い出した。
「輝きの聖剣シャイング・ソードの召喚時効果。相手の場のBP3000以下のスピリットを全て破壊し、破壊した枚数分ドローする」
相手の場を荒らしながらドローする効果。
その"陽菜にとっては"破格に思える効果を告げられ、まず陽菜はこれは不味いと思った。
序盤のBP3000以下一掃は辛いものがある。
せっかくコスト軽減用に並べた小型がいなくなれば、次のターンからの立て直しがきついからだ。
しかし、BP3000以下かなら序盤なら刺さりそうだが後半刺さりにくそう?等と、
冷静な部分の思考はカードの考察を始めていた。
しかしここで、さらに追い打ちがかかる。
「ここで赤の【強化】、"破壊効果の上限+1000"が乗る。ライト・ブレイドラ2体、ブロンズ・ヴルム1体、更にシャイニング・ソードのブレイブ時効果を併せて合計4つ。つまりBP7000以下の相手スピリットを全て破壊する」
後半でもちゃんと機能するようにデザインされていたようだ。
むしろ、だからこそのBP3000以下なのだろうとも考える。
ともあれ、私の知らない間になんかすごいカードが出てきている。
効果処理でカードをトラッシュ、コアをリザーブに移動させながら陽菜は時代の流れを感じた。
カードは水物とはよく言ったものだ。
さて、と一息ついて盤面を見る。
相手は4体のスピリット、うち一つはダブルシンボル。
対してこちらは更地。
まぁ手札はある。コアも、とりあえずは大丈夫そうだ。
先のことを考えても仕方がない、今はこの場を凌ごう。
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多分、勝った。
相手の場が更地になっていくのを見ながら、帯刀は今後の流れを予想した。
先ず、サイレントロックがどこかのタイミングで飛んでくる。
防御カードが見えている以上は使わせたいし、この場なら切るしかない。
しかしサイレントロックはアタックステップを終了させるが場の数までは減らさない。
このターンで削りきれなくても、数で押し切れる。
防御札も掴んだことだし、さて、行こうか。
確実に削るためにまずはシャイニング・ドラゴンでアタックし、これを相手はライフで受けた。
このアタックが通ることは解っていたので、次のアタックに移行する。
ブロンズ・ヴルムをレストして攻撃宣言。これで相手のライフは2、射程圏内になる。
サイレントロックを打つなら、多分このタイミングだ。
さぁ、こい……!
「フラッシュタイミング。マジック、サジッタフレイムを使用」
――、は?
「合計BP5000まで相手のスピリットを破壊します。対象はライト・ブレイドラ2体とブロンズ・ヴルム」
………。
サイレントロックだと思っていていたら、おっかないものが飛んできたでござる。
なんて馬鹿やっている場合か。
よもやサジッタフレイムが飛んで来るとは思わなかった。
1枚がデッキボトムに沈んだことで、選択肢から外れていた。
今度はこちらが更地にさせられる番になってしまう。
シャイニング・ドラゴンは残ったが、疲労状態で次のターンの防御には使えない。
フィールドを整え、出来ることもないのでターンエンドを宣言しながら、思う。
一気に状況が不利になった。
こういうことがあるから、カードゲームは面白いのだろう。
そして、公開されて手札に加わった2枚が、嫌でもプレッシャーを与える。
それは気になって調べた。さらに深く調べて、納得もした。
かつて、登場したばかりという状況の中でそれでも尚環境に食い込み結果を残し、
環境をガラリと変えたとまで言わしめた、ある組み合わせ。
それが見えている状況。
相手の手札の状況次第では、完全な形で現れるであろうそれ。
――これがやばいと言わずなんと言おうか。
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乗り切った。
まず最初に感じたのは、窮地を脱したことの安堵感だった。
しかし次に思ったのは危機感だった。
デッキの底に眠った"最後の"サジッタフレイム、更地のフィールド、ギリギリのコア。
相手の手札は先のシャイニングソードの効果で増え、おそらくは防御札も握られた。
何より、あの効果を見せつけられては、おいそれと小型を並べるのは躊躇われる。
しかし小型を並べないことには防御にも不安が残るのは事実。
さて、どうしようかと手札を見る。
・戦竜エルギニアス
・サイレントロック
・牙皇ケルベロード
・ノーザンベアード
・太陽龍ジーク・アポロドラゴン
正直きつい、そう思いながらのドローはブレイドラ。
きついが、やることは一つしかない。
コアの数は9。
この手札なら、ベストな状態でフィールドに立たせることができる。
「ブレイドラ、Lv1。続けて戦竜エルギニアスをLv1。そして――」
初めてアニメでそのカードを見た時は、身が震えるような感じがした。
主人公の後ろから彼を守るように現れたそれは、
フィールドに降り立った後に翼を広げ、咆哮。
その姿は正しく炎を操る太陽の化身に見えた。様々な状況で、彼と共にあったカード。
それが今、私と共にある。
さぁ
太陽よ、炎を纏いて龍と成れ――!
「太陽龍ジーク・アポロドラゴンをLv1で召喚」
次回、恐怖のあれの一端をお見せできればと思います。