やはり俺の青春にウルトラマンがいるのはまちがっている   作:ichika

159 / 160
若人達は英雄だった 後編

noside

 

『『『行くぞ!!』』』

 

時空城最上層において、雌雄を決する戦いが繰り広げられていた。

 

ギンガとビクトリーの合体した戦士、ギンガビクトリーと、アストレイの力を纏う重装騎士、エクシードXは眼前に立つ4体の悪魔に向かっていく。

 

戦力差はちょうど倍、ファイブキング・コルネイユ、アストレイキラー、グローカービショップ、そしてエタルガーという、強力な力を持つ存在が相手だった。

 

先程まではその戦力差に押されており、敗北の際まで追い詰められつつあった。

その力の差に、今もそこまで大きな変わりは無いだろう。

 

だがしかし、それがどうしたというのだろうか。

彼等に届いた言葉、そして想いは彼等の内で燃える炎と共鳴し、さらに力強く燃え上がらせていた。

 

ここで立ち止まる訳にはいかない、彼等と共に戦うために今、自分達は立っているのだと。

 

その受け取った想いを胸に、彼等は進んでいくのだ。

 

『小癪な・・・!やれぇぇ!!』

 

あれだけ痛めつけてやったのに、まだ向かってくる気かと、エタルガーは忌々し気に吐き捨てながらも、呼び出した三体の魔獣を差し向ける。

 

今度こそ滅ぼす、その意志を受け、魔獣達はギンガビクトリーとXに向かっていく。

 

『彩加!!』

 

『うん!』

 

Xの呼びかけに応じ、彩加が真っ先に飛び出し、先頭にいたグローカービショップの動きを封じ込める。

 

『『うォォォッ!!』』

 

Xのパワーで押し留められたグローカービショップに対し、Xの背後から飛び出したギンガビクトリーの跳び蹴りが炸裂する。

 

Xに意識を向けていたからか、グローカービショップが僅かに怯んだように後退する。

 

それは彼らが付け入る隙であり、彼等の勝利への道筋だった。

 

『沙希!!』

 

『分かってる!!』

 

八幡の呼びかけに応え、沙希はビクトリーランサーにシェパードンのスパークドールズを読み込ませ、シェパードンセイバーを呼び出す。

 

地面を突き破るように現れたそれを、ギンガビクトリーは両の手でしっかりと保持、何度も叩き付ける様に切りつける。

 

あまりの勢いに押されたか、グローカービショップは大きく体勢を崩す。

 

その隙を突き、ダメ押しと言わんばかりに右腕を切り落とした。

 

『僕もいるよ!!』

 

反動で離れたグローカービショップを追い、Xカリバーを下段から上段に向かって振りぬく。

それは狙いたがわずグローカービショップの左腕を切り落とし、その巨体を地に倒した。

 

間違いなく重い一撃、クリーンヒットが叩き込まれた事で、追撃に移ろうとしたために、Xの周囲への警戒が一瞬緩む。

 

一対一ならばそのような事はする意味もない。

だが、今は乱戦状態の様なものだ、常に全方位に気を配っていなければならない状況である。

 

その一瞬の隙を突き、Xの死角よりアストレイキラーが迫り、その魔爪で切り裂かんとした。

 

『『ッ・・・!!』』

 

それに気付いたものの、身体の動きは追い付かないのだろう、Xは防御態勢を取ろうとするが、既に間に合わない距離にまでそれは迫っていた。

 

『ギンガスパークランス!!』

 

だが、彼等は一人ではない、友と共に戦っているのだ。

 

ギンガビクトリーの左腕に、蒼く光る槍が呼び出され、それはスラッガー系の武器の様に回転しながら飛び、Xに迫っていたアストレイキラーの爪を弾き、その体勢を崩した。

 

『『彩加!!』』

 

『ありがとっ!!』

 

親友の声に礼を返しながらも、彩加はXカリバーをしっかりと握り直し、アストレイキラーの胴を斬りつけ、大きく吹っ飛ばした。

 

それと同時に、左手を頭部に翳し、虹色の短剣エクスラッガーを展開して保持、身体を回転させるほどの捻りを加え、ギンガビクトリーの背後目掛けて投擲する。

 

それは、彼等の背後に迫っていたファイブキング・コルネイユの頭部に直撃し、大きく怯ませた。

 

『『サンキュー彩加!!』』

 

『貸し借りなしだよ!!』

 

彩加と軽口を交わしつつ、ギンガビクトリーは手元に戻ってきたギンガスパークランスを左手で保持、振り向きざまにふたつの刃でファイブキングを斬りつけた。

 

その威力に、ファイブキングの胴からは血飛沫が飛び散り、悲鳴のような咆哮をあげた。

 

一撃一撃がほとんど必殺の攻撃に近いのだろう、今の彼等の技にはこれ以上無いほどの情念が籠められていた。

 

『『先に倒させてもらう!!』』

 

彩加が他の二体を抑えていてくれると分かっているからか、ギンガビクトリーは自分が受け持つファイブキング・コルネイユを打ち倒すために動く。

 

ギンガスパークランスとシェパードンセイバーを用いた変則二刀流戦術を駆使し攻め立てていく。

 

その威力に、ファイブキングはガードする余裕もなくし、ダメージに呻く以外無かった。

 

『『うォォォッ!!』』

 

怯んだその一瞬を突き、ギンガスパークランスの突きで左腕のガンQアイを潰した。

相手の攻撃を吸収して打ち返すと解っていたからこその対処だった。

 

嘗ての苦い記憶も糧とし、未来に進んでいく。

それが、彼等の選んだ道への歩みだった。

 

『『これで決める!!シェパードンセイバーフラッシュ!!』』

 

ギンガスパークランスを一度地に突き刺し、シェパードンセイバーをしっかりと両手で握りしめ、必殺の斬撃を見舞った。

 

それをほぼゼロ距離で受けた事もあり、ファイブキング・コルネイユはその威力に耐える事が出来ずに爆散、闇へと還っていった。

 

『負けてはいられないぞ、彩加!!』

 

『勿論!!』

 

自分達も遅れを取るわけにはいかないと、彩加とXも動く。

 

Xカリバーを用い、起き上がってきたグローカービショップに向かって走り、必殺の剣を突き立てんと迫った。

 

それに気付き、体勢を立て直したグローカービショップは牽制と言わんばかりに、ブースターで加速を付けながらも突進、同時に頭部からいくつもの光弾を放つ。

 

しかし、Xはそれを意に介する事無くXカリバーを器用に振るって悉く払い落とす。

 

一度戦い、仲間と共に勝てたのだ、今の自分ならば必ず勝てる。

その想いと共に、彼は突き進む。

 

『『はァァァッ!!』』

 

大きく振りかぶり、叩き付けるにグローカービショップを斬りつけ、大きく怯ませ後退させた。

 

これで決める、その意志を籠めて、彼は力を借りるべく選定に入った。

 

『セレクト!ウルトラマンガイア!!』

 

『ウルトラマンガイア、ロードします!』

 

刀身がオレンジに染まり、ガイアの力が解放される。

 

その力を、目の前に居る敵に叩き込むためにも。

 

『『シャイニングカリバーッ!!』』

 

光り輝く剣がグローカービショップに叩き込まれ、その巨体を超パワーで両断、反撃の暇さえ与えずに葬り去っただ。

 

『『ナイス彩加!』』

 

その光景に、八幡と沙希は歓喜の声をあげ、両手の獲物を一旦手放しながらも、向かってくるアストレイキラーに対し、真っ向から勝負を挑んでいた。

 

アストレイキラーは彼等と同じく、アストレイの力を持ち、それを使うことが出来る存在同士。

 

それに加え、八幡とは一度交戦したことがあった。

その時は痛み分けに近い形で八幡が何とか勝利をもぎ取った状態であったが、彼の心は晴れやかなモノでは決してなかったと言えるだろう。

 

故に八幡にとってもアストレイキラーとの一戦は苦い思い出であり、出来る事ならリベンジしてやりたいと、心のどこかで思っていた。

 

その望みをかなえる事の出来る絶好のチャンスであり、それが一代決戦の場で成し得るのならば、この上なく燃えるというモノだった。

 

今こそ過去を超えていく、その心意気と共に、ギンガビクトリーは単身アストレイキラーとの一騎打ちに持ち込む。

 

『『おぉぉっ!!』』

 

アストレイキラーと組み合い、力と力で押し合う状態に持ち込む。

 

闇の力で強化されたアストレイキラーのパワーは、二人のウルトラマンが融合したギンガビクトリーとほぼ互角、いや純粋な力という面だけならば上であり、早々に勝負を動かす事は難しいとさえ思える程だ。

 

『『負けるかぁっ!!』』

 

だが、其れがどうしたと言わんばかりに、八幡と沙希はその心のシンクロを更に深め、己が中にある力を爆発させる。

 

組み合っていた左腕を大きく動かし、アストレイキラーの右の魔爪を弾く。

多く弾かれた事によって無防備な胴に、ほぼ密着した状態から繰り出される左のエルボーが突き刺さる。

 

その威力に、アストレイキラーの身体が大きく仰け反る。

だが、ギンガビクトリーの右腕が左腕をガッチリホールドしている為に、一旦退くことが出来ずにつんのめる。

 

それは、紛れもない隙に他ならなかった。

 

僅かに開いた空間を利用し、右のストレートキックが叩き込まれる。

その威力を逃す事無く伝えた蹴りはアストレイキラーの腹に叩き込まれ、右腕を放した事も相まってその身体を大きく吹っ飛ばす。

 

だが、追撃と言わんばかりに、ギンガビクトリーは右腕を天に掲げる様にして突き上げる。

 

その右の掌の上に、強烈な雷が円形となって集っていく。

それはギンガビクトリーの中に在るギンガの力、絆によって強大化した力だった。

 

『『喰らえ!ギンガサンダーボルト!!』』

 

雷の力、ギンガサンダーボルトがアストレイキラー目掛けて撃ち出され、何物にも妨げられる事無く直撃、その威力を余す事無く炸裂させた。

 

『――――ッ!?』

 

声さえ上げない機械人形で在るにも拘らず、悲鳴のような唸りをあげ吹っ飛ばされる。

 

そこから推察するに、その技の威力は元となるギンガのそれを遥かに上回っている様だ。

 

『『これで決めるッ!!』』

 

地に突き刺していたギンガスパークランスとシェパードンセイバーの下まで戻り、それを両手にしっかりと握りしめる。

 

この一手でトドメを刺すつもりだと言うのは、彼等の闘気からハッキリと伝わって来ていた。

 

『『うォォォッ!!』』

 

二刀流の要領でそれらを構え、吹っ飛ばしたアストレイキラーに向かって疾走する。

 

フラフラになりながらも立ち上がったアストレイキラーは、せめて接近を阻止せんと腕を逆L字に組み、マックスの技であるマクシウムカノンを撃ち掛ける。

 

だが、其れがどうしたと言わんばかりに、駆け抜ける勢いそのままに突き出した剣と槍にエネルギーを集中、その奔流を掻き消しながらも、更に足を踏み出したのだ。

 

『『はぁっ!!』』

 

その奔流を掻き消し、間合いに入った瞬間にその腕を払い、無防備な腹を露わにさせた。

 

そしてそのまま止まることなく、剣と槍をその腹に突き立て、エネルギーを一気にスパークさせる。

 

ギンガとビクトリーが合わさり発現される究極、その技の名は・・・。

 

『『ギンガビクトリーアルティメイタム!!』』

 

刹那、ギンガスパークランスとシェパードンセイバーから凄まじい光が溢れ出し、アストレイキラーの中で炸裂する。

 

それはアストレイキラーを呑み込み、闇の残滓すら残さずに消滅させた。

 

『『これで・・・!!』』

 

これでエタルガーに呼び出された闇はすべて消え去った。

残すは闇の魔人ただ一人。

 

『がぁぁぁっ!!』

 

『『ッ!!』』

 

ケリは自分が着けると言わんばかりに、高みの見物を決め込んでいたエタルガーがギンガビクトリーに突っ込んでくる。

 

技を出した後の硬直により、何とか反応したものの、ギンガスパークランスとシェパードンセイバーを弾かれてしまう。

 

だが、すぐに持ち直し、エタルガーと取っ組み合う。

 

『『お前が最後だ、エタルガー!!』』

 

『黙れぇぇぇ!!貴様らの様な未熟者如きに、この俺を倒す事は出来ん!!』

 

組み合いながらも、互いに幾度も牽制や打撃を繰り出していた。

それでもそれらがクリーンヒットやダメージとして相手に通じないのは、二体の総合的な力が拮抗しているからであるとも言えた。

 

だが、今の彼等は一人ではない、心強い仲間と紡いできた絆によって結ばれた、縁と共に在った。

 

『『イーッサーッ!!』』

 

離れた場所にいたXが加勢し、Xカリバーの刺突をエタルガーの脇腹に見舞った。

 

『うおぉっ・・・!?』

 

意識の外からの攻撃にはさすがに対処しきれなかったか、エタルガーは小さく呻きながらも、ギンガビクトリーから距離を取ってしまう。

 

それは紛れもない隙に他ならず、ギンガビクトリーに追撃の隙を与える事となった。

 

『『おおォォォッ!!』』

 

懐に入り込み、息も吐かせぬほどに速く、鋭い拳の乱打を浴びせかける。

 

相手の全てを砕くと言わんばかりの勢いに、エタルガーの脚は一歩、また一歩と後退させられていった。

 

『ぬぉぉぉぉ・・・!?』

 

気迫に、威力に、そして彼等の背後に在る何かに、その全てに圧倒されるのだろう、エタルガーは防御も反撃もままならない様子だった。

 

『ふ、ふざけるなぁぁぁ・・・!』

 

それでも意地からか、エタルガーは何とかギンガビクトリーの拳を受け止め、往なす様に身を翻し、彼等と距離を取ろうとした。

 

しかし、その先では燃え盛る炎の剣を構えたXが待ち構えていた。

 

それはメビウスの力、絆の炎の力だった。

 

『『バーストカリバーァッ!!』』

 

『うォォォォッ・・・!?』

 

燃え盛る剣の一閃がエタルガーを捉え、その体表を焼き、切り裂いた。

 

確かに捉えた、ならばもう一撃とギンガビクトリーが飛び掛かり、ドロップキックを叩き込んだ。

 

『がぁぁぁっ・・・!?』

 

『八幡!沙希ちゃん!これを!!』

 

怯んだその隙に、彩加はXカリバーを友に投げ渡す。

想い、その刃に乗せて叩き込め、そう言わんばかりだった。

 

『『応っ!!』』

 

Xカリバーを受け取り、八双の構えに構え、そのまま大きく振りかぶる。

 

『『ショオォウラッ!!』』

 

想いを乗せた唐竹割の一撃が、エタルガーの脳天に直撃し、盛大な火花とも血飛沫とも取れる飛沫を巻き散らした。

 

『ウォォッ・・・!?』

 

『『もう一撃ッ!!』』

 

あまりの威力にまた後退るエタルガーに、追撃として更に横薙ぎの一閃を叩き込んだ。

 

その威力に、エタルガーは最早呻くだけで声を上げる間すらなかった。

 

『八幡!沙希ちゃん!!』

 

『『決めよう、彩加!!』』

 

駆け寄ってきたXにXカリバーを返し、彼等は再び構えを取る。

 

そして、彼等に託された力を、敬愛する師の力を解放する。

 

『『ウルトラマンティガの力よ!!』』

 

『『セレクト!ウルトラマンティガ!!』』

 

ギンガビクトリーのブレスがティガの証を示し、Xカリバーがプラチナに染まり、凄まじい輝きを放つ。

 

ティガの力を解放し、目の前の敵に叩き込むために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――光よ、彼等に力を―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那、彼等の背後から暖かく、頼もしい声が届き、彼等の肩に誰かがそっと手を置いた感触が伝わってくる。

 

『『『・・・ッ!!』』』

 

意識の中で彼らが振り返ると、共に在った頃の彼の笑みがそこにあり、彼等に進めと背を押していた。

 

それは師からのエール、力の中に在る意志の残滓でも、彼は彼等と共に在ったのだ。

 

それをしっかりと受け止め、彼等は頷きながらも目の前の悪魔へ意志を叩き付ける。

 

『『ゼペリオン光線!!』』

 

『『ゼペリオンカリバーァッ!!』』

 

L字に組まれた腕から、突き出された剣から凄まじい力を放つ光の奔流が迸り、金色の悪魔へと突き刺さった。

 

『ごァッ・・・!?がァァァ・・・!!』

 

オリジナルには幾らか及ばない力だとしてもその威力は絶大、藻掻きながらもエタルガーは吹っ飛ばされ、遂には時空城の最上層から外へと弾き出された。

 

『『『逃がさないッ!!』』』

 

光線を撃ち切り、最後の一手を打つためにも逃がすわけにはいかないと、彼等はそれを追って空へと飛んだ。

 

あまりのダメージに、最早自力で飛ぶ事すら出来ないのか、エタルガーは地に向かって自由落下の最中にあった。

 

しかし、それはまだ倒しきっていないという事に他ならない。

ならば、ここでケリを着けてやると、彼等は突き進む。

 

『『『はァァァッ!!』』』

 

距離を一気に詰め、エタルガーの腹目掛けてまったく同時に拳を叩き込んだ。

 

『ごぁぁぁ・・・!!』

 

それを回避できず、エタルガーは吹っ飛ばされ時空城の外壁に、まるで磔にされた様に叩き付けられた。

 

逃げようと藻掻くも、余程深く突き刺さったか、それとも逃げるだけの体力がもう尽きたか、エタルガーは抜け出す事さえ出来ていなかった。

 

チェックメイトを掛けた、そうみて間違いなかった。

 

『『チェックメイトだ!!』』

 

『ば、バカな・・・!この俺が・・・!超時空の魔人たる、エタルガーがぁぁ・・・!!』

 

詰めだと宣言するギンガビクトリーに、エタルガーは自身が追い詰められていることが信じられないのだろう、驚愕に呻く以外できなかった。

 

何故勝てない?個の力では完全に上回っていたハズなのだ、それなのに何故勝てないのか?

 

『アンタみたいなのには、絶対に分からないだろうね・・・!!』

 

『絆をバカにしている、あなたにはね!!』

 

沙希と彩加は、絶対の自信をもって宣言する。

お前などには決して理解できないものが、絆が自分達を強くしてくれたのだと。

 

『繋がる心が、俺達の力だ・・・!!』

 

『ぐ・・・!?』

 

宣言する八幡の背後に、エタルガーは彼等の姿を幻視した。

アストレイが、彼等に力を貸した若者たちの姿が、重なる様に見えていたのだ。

 

『『八幡!!』』

 

『あぁ、決めるぜ、沙希!彩加!!』

 

恋人と親友の声に、彼は最後の技を発動させた。

二つのブレスが共鳴し、彼等に与えられた力を呼び覚ます。

 

『彩加!私達も行くぞ!!』

 

『うん!!』

 

それと同時に、XもまたXカリバーを構え、その力を解放する。

刀身に走る七色のラインがその輝きを増し、更に力強く鳴動する。

 

それらはアストレイの、そして、彼等に連なる者達が叫ぶ、未来への咆哮だった。

 

彼等の後ろにいた幻影達が、彼等と重なる様にして溶けて行き、纏う輝きを更に強く眩いものへと昇華させていく。

 

それは友と仲間と師と共に掴んだ栄光の光、絆の光だ。

 

『『『アストレイ!!』』』

 

三人の心は今一つになる。

ギンガビクトリーの腕がL字に組まれ、Xカリバーの刀身に収束した光が巨大な光の刃を形成し打ち出される。

 

『『『オールオーバーエスペシャリー!!』』』

 

全てを呑み込む至高の光線が放たれ、エタルガーに向かって遮られる事無く突き進んでいく。

 

それはウルトラマンの身体よりも遥かに巨大な光の渦となり、エタルガー周囲の時空城の壁もろとも呑み込んでいく。

 

『ぐぉっ・・・!おぉぉぉ・・・!?』

 

回避する事さえ出来ず、エタルガーは光の渦をまともに受けてしまう。

 

時空城に更にめり込んでいく際に、光の渦が時空城までも侵し、城全体に亀裂を走らせていく。

 

『『『これで、トドメだぁぁぁ・・・!!』』』

 

これで最後だと、彼等は己が中に在る全ての光を出し切らんと力を籠め、力を解放していく。

 

それに呼応し、光の渦も更にその勢いを強め、全てを呑み込まんと輝きを増していった。

 

『馬鹿な・・・!!この俺が・・・!!おのれ・・・!!おのれぇぇぇ・・・ッ!!』

 

憎しみ、理解できないと言った感情、ただそれだけを乗せた叫びと共に、エタルガーは光に呑まれて今度こそ完全に爆散、欠片すら光の渦に呑まれて消えていった。

 

光はそのまま時空城さえも呑み込んでいき、その巨大な城さえも元から存在しなかったのだと錯覚させるほど、綺麗サッパリ消し飛ばして見せたのだった。

 

それは、彼等に勝利を告げる、何よりの証だったのだ。

 

『『『勝った・・・、勝ったんだ・・・!』』』

 

敵が、その脅威が消え去ったことに、彼等は歓喜の声を上げ、手を取り合った。

 

地上でもそれが伝わったか、先に時空城から離脱した者達も喜びの声を上げ、自分達の勝利を確信していたのだ。

 

ここに、また一つ、未来を賭けた戦いの幕が下ろされたのであった・・・。

 

sideout

 




次回予告

戦いの終わり、新たなる旅立ち。
彼等の旅に、人生に、青春に終わりも間違いもないのだ。

次回やはり俺の青春にウルトラマンがいるのは間違っている

真・最終回
若人達は走り出した

お楽しみに

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。