やはり俺の青春にウルトラマンがいるのはまちがっている   作:ichika

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戸塚彩加は合掌する 前編

side八幡

 

文化祭まで残り3週間を切ったある日の事だった、俺と沙希はクラスの出し物の手伝いをするべく、クラスの教室の窓際で近況の報告をしている所だった。

 

現在、クラスでは葉山を主人公にした演劇の稽古が行われているため、クラスの目は主役に釘付けになっていた。

 

大和も今回の劇ではかなりいい役を貰っているのだろうか、葉山と絡む機会も増え、女子の見る目も変わっている様な印象も受ける。

 

まぁ、大和は顔立ちは平凡だが体格はかなり良いし、最近じゃあ爽やか系になってるからウケも良いんだろう。

 

ま、その変化の過程と、大和の想いを知らない、表面しか見てない奴の評価なんて、アイツも嬉しくは無いだろうけどさ。

 

それはさて置き、俺達は大道具と衣装作成の手伝いだけで仕事が終わってしまい、ぶっちゃけ今は暇している真っ最中なんだわ。

 

で、現在俺と沙希は買ってきた紅茶を飲みながらも駄弁っているだけだ。

 

何時も飲んでるアストレイの紅茶、宗吾さんやセシリアさんが淹れた紅茶には格段に劣るんだが、まぁ雰囲気を出すのには持って来いだろう。

 

そう言えば聞いた事なかったけど、あの紅茶ってこの地球の茶葉使ってるんだろうか・・・。

いや、まさか、な・・・。

 

「彩加、大丈夫かな・・・。」

 

「どうだろうな・・・。」

 

おっと、今はそんな事を考えている場合じゃなかったか。

 

沙希の言葉に、俺は今この場にいない親友、彩加の事に想いを馳せた。

 

今も、あの雪ノ下とかいう傲慢な女の下で働いてると考えるとゾッとする。

だが、それも俺を護るためと言われると、感謝しかないんだよな、また今度、美味いカレー奢ってやらないと、アストレイだけど。

 

今思い返せば、俺が文実に入ってたら、間違いなく雪ノ下と大喧嘩してるだろうし、周りの迷惑考えずに分実を崩壊させてたかもしれないと考えると、彩加の判断が正しかったと言う事だな。

 

「けど、マジで危なくなったら有志代表として手伝っちまおうぜ、その方が牽制にもなるだろ。」

 

彩加だけでは雪ノ下や平塚センセイの行動を止めるのは難しいだろうし、俺が出て行けば言い負かせるだろうしな。

 

「そうだろうね、でもそれって、彩加の想いを無視してないかい?」

 

「そうなんだよなぁ・・・。」

 

折角彩加が俺を遠ざけようとしてくれたのに、手に負えないからと言って俺が出て行けば、それこそ彩加のプライドを蔑ろにするもんだろう。

 

故に、今何もしないってのが正解なんだろうけど、そう出来る程俺は我慢強くは無いんだよな・・・。

 

「そうだよ、比企谷君はジッとしてなって。」

 

そう思っていた時だった、いつの間にか稽古から抜けて来ていたのか、大和が俺の紅茶を勝手に奪って行く。

 

「おい、何しやがんだ、ていうか、何処から聞いてたんだ。」

 

コイツ、若干ウルトラマンに近くなってないか?

割と遠くに居た筈なのに、話が聞こえるなんてさ、普通考えられんぜ。

 

それはさて置き・・・。

 

「戸塚君から話は聞いたよ、それに、俺も周りの評価よりも信じられる本物を信じたいって思ってるだけさ。」

 

「答えになってねーぞ。」

 

その答えに苦笑しながらも、俺は大和の肩を軽く小突いて部室に行こうと動く。

 

展示品作成も大まかには終わってるし、後は最終チェックだけなんだよな。

 

「あ、そう言えば展示場所の申請してなかったな。」

 

「そう言えばそうだね、申請ってどこに行けばいいんだっけ?」

 

完全に忘れてたな。

4日で完成させようと意気込んだのは良いけど、早く申請に行かないと展示が出来んな。

 

さてどうしたもんか・・・。

 

「あぁ、それなら文実に行かないといけないよ、俺も有志のバンドに参加するし、参加申し込みしに行くから一緒に行くよ。」

 

そう思っていた時だった、ソイツは声を掛けてくる。

 

「お前・・・。」

 

「葉山・・・。」

 

あまり関わりたくない男、葉山隼人が俺達に声を掛けてくる。

 

「そ、そんな怖い顔しないでくれよ・・・、というか、助けると思って・・・。」

 

正直関わりたくはないが、葉山の背後にチラッと見えた海老名とかいう女の鼻息が妙に荒いのを見て、此処から逃げたい理由にも合点が行った。

 

どうやら、腐海にこれ以上留まりたくないのだろうな。

 

「なら、余計に断りたくなるが、まぁ良い、行くならさっさと行くぞ。」

 

「あたしも行こうかな、帰るついでにはちょうど良いしね。」

 

俺と沙希はカバンを持ち、大和と葉山は申請用紙を持って教室を出る。

 

俺達の繋がりを理解出来ないクラスの連中は、皆一様に首を傾げていたが、そこは俺達が感知するところでは無い。

 

その面々の顔を見てみれば、どういう訳か文実の委員長である相模の姿がそこにはあった。

 

仲のいい女子となにやら駄弁っているようだが、時間が時間だ、既に委員会は始まっている時間だ。

なのに何故、こんな所にいるのやら・・・。

 

普通の委員ならそれでもいいんだろうが、仮にも委員長がそんな事で良いのか・・・・。

 

だが、委員でもなんでもない俺が口出しをする理由は無い、巻き添えが無い限りは静観と行こうじゃないか。

 

そんな事を考えながらも、俺は文実が行われている教室までの廊下を歩いて行く。

 

「そう言えば、比企谷君と川崎さんは、そういう関係で良いのかな・・・?」

 

そんな時だった、葉山のヤツが何処か探る様に俺達の関係を尋ねてくる。

 

その行為に何の意味があるかは知らんが、敵でも味方でも無い中途半端な奴には、曖昧な感じでちょうど良いだろう。

 

「まぁ、見りゃ分かるだろ、それともなんだ、僻んでるのか?」

 

「比企谷くん、口悪いって・・・。」

 

俺の言葉に、大和は苦笑しながらも宥めるようにツッコミを入れてくる。

 

口が悪いのは百も承知、友達でもなんでもないし、仲良くしようだなんて思ってもいないからな。

 

「いいや、羨ましいよ、そこまで深い関係に成れるんだ、どうやってるのか聞きたいぐらいだ。」

 

俺の言葉に気を悪くした様子を表に出さず、葉山は何処か遠い目をしているように思える表情で話してくる。

 

秘訣なんて簡単な事だし、誰もがやろうと思えば今この瞬間からだって出来る事だ、だから、教える程でもないんだけどな。

 

「簡単な事だよ、相手の事を想って、本当に相手の為になる事をするだけで良い、それ以外は要らないお節介にしかならないよ。」

 

「か、川崎の姐さん・・・!か、カッコいい・・・!」

 

大和、なんで人の彼女を姉御呼ばわりなんだよ、いやまぁ、少しスケバンっぽく見えるけど、本当は人形とか好きなすんごい可愛い女の子なんだぞ!!

 

って、何惚気てんだろうね、今度犬か猫のぬいぐるみでもプレゼントせねば・・・!

 

「まぁ、八幡もあたしも、それが分からなくて色々苦労したけどね。」

 

「沙希の言う通りさ、まぁ、本物が欲しけりゃ頑張れよ。」

 

「勿論だよ!」

 

大和め、大志みたいにキラキラした目を向けやがる。

まぁ、そういう奴だってことは分かっているし、そう言うとこが好きなんだけどな。

 

「本物、か・・・、俺は・・・。」

 

大和の事に意識が向いていたからか、葉山が零した呟きは俺達の耳を素通りし、虚空へと消えていった。

 

だから、俺は僅かに燻り、すぐに消え去った闇の気配にさえ気づかなかった。

 

それからしばらくして、俺達は文実が行われている教室に辿り着き、中へ入ろうと手を掛ける。

 

その時だった。

 

「・・・、なにしに来たの?」

 

あの女、雪ノ下雪乃の苛立ったような声が聞こえてくる。

 

仕方なく来たと言うのに、なんて言い草だ、ムカッとしてくるぜ。

 

「ご、ゴメンね、私が呼んだんだ~・・・、ゆ、有志にどうかなぁって・・・。」

 

ん・・・?今の言葉は、俺達に向けて放たれた言葉じゃないのか・・・?

でも、あの傲慢な女が俺達以外にそう言う言葉を放つとは思えな・・・、くはないか、いや、寧ろ簡単に想像できてしまうまである。

 

でも、一体誰に対して言ってるんだ・・・?

 

外に居ても、その正体が分からないため、俺は思い切って教室の扉を開け放った。

 

「そうだよ雪乃ちゃん~♪私は有志として申請に来ただけだよ、総武高校のOGとしてねっ♪」

 

そこには、沙希ほどでは無いにしろ周りの目を惹く、悪戯っぽい笑みを浮かべた美女の姿があった。

 

それが、この文化祭に波乱を巻き起こそうとしている女の正体だと、俺達は知る由も無かった。

 

sideout

 

noside

 

「ん~?あれれっ!?君達は・・・!?」

 

「「あ、貴女はっ・・・!!」」

 

教室に入った4人の内、八幡と沙希を見付けた女、雪ノ下陽乃は驚いた様に声を上げ、八幡と沙希も彼女に驚きの声を上げた。

 

「し、知っているのか二人とも・・・!?」

 

取り乱す事の少ない八幡と沙希の驚きの声に、大和は何か因縁があるのかと思わず身構える。

 

何か有るなら、せめて自分が仲裁に入らねばと思っている辺り、ある意味で大和の人の良さが出ているのだろうか・・・。

 

教室にいた文実のメンバーも驚愕の表情のまま、事の趨勢を固唾を呑んで見守っていた。

 

彩加は仕事でも入っているのだろうか、教室内に姿を見付ける事は出来なかったが、今居なくて正解だったに違いない。

 

緊張が走る中、八幡と沙希がその口を開く。

 

「「・・・、誰だっけ・・・?」」

 

その気の抜けた様な、「どなたですか?」と言わんばかりの言葉に、気を張り詰めていたすべての者が思わず派手な音を立ててズッコケた。

 

「ちょっとぉぉぉ!!夏休みに会ったでしょぉぉぉ!?」

 

あんまりな言葉に、陽乃は声を張り上げて叫んだ。

何時ぞやの反応をそのままされては堪った物ではないのだ。

 

「ははは、冗談ですよ、御久し振りですね、変なお姉さん。」

 

「ひっど・・・!?」

 

「・・・。」

 

嘘嘘と言わんばかりに笑い飛ばす八幡に、陽乃は弄るなと言わんばかりに声を上げた。

 

立場など関係なしに、ただ気の置けない相手にやる様な挨拶に、雪乃は目の前の光景が信じられずに目を丸くして呆然と立ち尽くしていた。

 

それもその筈だ、自分が敵視する男が、自分が最も恐れる相手を軽くあしらって見せたのだ、驚かない訳が無かった。

 

だが、それは周囲にいためぐりや他の文実メンバーも同じだった。

 

総武高始まって以来の才女であり、生ける伝説とさえ呼ばれている存在だ、それを弄り倒す様な節をみせれば、特に陽乃を知るめぐりから見れば驚天動地に値するモノであったに違いない。

 

「まぁ、それは兎も角、どうかしたんですか?」

 

そんな周囲を置き去りに、沙希は天気を尋ねるような調子で何故此処に居るかを尋ねていた。

 

取り敢えず、自分が嫌う相手である雪乃と仲が良くないと見て、一応は敵とは見做さないつもりでいるのだろう。

 

「んんっ・・・!きょ、今日はね、有志として参加を申し込みに来たんだ!めぐりに誘われてさ~。」

 

「そ、そうなんだ~、偶々街で会って、文化祭が近いからって誘ってみたんだ~。」

 

気を取り直す様に咳払いをして説明する陽乃の言葉に、めぐりは呆然自失から立ち直って補足する。

 

めぐりの言葉からは、ただ純粋に文化祭を良いモノにしたいと言うものしか感じられなかったが、陽乃の言葉には何処か含みがある様に感じられた。

 

それに気付いたか、雪乃は表情を険しくし、鋭い目付きで陽乃を睨んでいた。

 

「あぁ、なら、コイツ等と一緒ですね。」

 

それに気付きながらも、八幡は自分が立ち入る話ではないと辺りを着け、此処に来るまで一緒にいた大和と隼人を前に出す。

 

「比企谷君、川崎さん、このベッピンさん、誰?」

 

「雪乃ちゃ・・・、雪ノ下さんのお姉さんだよ。」

 

大和の言葉に答えたのは、意外にも隼人であった。

しかも、一瞬とは言えファーストネームを呼びかけるあたり、何やら浅からぬ関係にある事が窺えた。

 

だが、あまり知られたくないのだろうか、僅かに苦虫を噛み潰す様な表情が浮かんでは、すぐに何時もの笑みに呑まれて消えた。

 

「へぇ・・・、あんた、意外だね・・・。」

 

しかし、それを見逃すほど沙希も八幡も甘くは無い。

鍛えられた感覚と言う物は、こういった場面でも発揮されるものなのだから。

 

尤も、何か有るとは悟りながらも、そこへ突っ込むほど野暮では無いと自覚しているが・・・。

 

「ん~?なんだ、隼人も来てたんだ。」

 

「御久し振りです、陽乃さん・・・。」

 

「葉山君・・・。」

 

隼人を見付けた陽乃は、悪戯っ子の様な笑みを浮かべて彼に迫る。

 

それを見て、漸く隼人たちも来ていた事に気付いた雪乃は、これまた何とも言えない様な表情を作って二人のやり取りを見ていた。

 

「また、何かするつもりですか?」

 

「まぁね♪有志で管弦楽の演奏会でもやろうかなってさ~。」

 

「へぇ、良いんじゃないですか・・・?」

 

自分の問いに答える陽乃の思惑に気付いたからか、隼人は苦笑しながらも肯定を見せる。

 

何かしようとしている事に気付いても何も出来ない、それが分かっているから敢えて何もしないのか、それとも別の何かか・・・。

 

「で、その許可って委員長に出せばいいんでしょ?雪乃ちゃん、出ても良いでしょ?」

 

「・・・、私に決定権は無いわ、委員長は他にいるもの。」

 

許可をくれと言わんばかりに話を進める陽乃に対し、雪乃は頭が痛いと言わんばかりに自分では許可できない旨を口にする。

 

実質的な委員長でも、実際に権限があるのは本物の委員長なのだ。

 

「ほへ?てっきり委員長やってるもんだと思ってたよ~、で、その委員長さんは何処に?」

 

「え、えっと・・・、まだ、来てない・・・。」

 

委員長がまだ来ていないと、めぐりは困った様に表情を顰めていた。

 

彼女も、南の素行には頭を痛めているのだろう、事情を良く知らない八幡達4人も、それを窺い知る事が出来た。

 

「すみませ~ん!クラスの方に顔出してたら遅れちゃいました~!」

 

そんな時だった、委員長である南が遅れてきた事を悪びれる素振りすら見せずに教室に入ってくる。

 

あまりのタイミングの悪さに、隼人は表情を顰め、八幡と沙希は責任感の無さを責める様な表情をしていた。

 

「えっ・・・?」

 

しかし、その態度も悪びれない笑みを浮かべた表情も、教室内にいたメンバーを見るなり凍り付く。

 

「あ、彼女が委員長の相模さんですよ、陽さん。」

 

「ふぅ~ん?委員長様が遅刻ぅ~?それもクラスの方に顔を出して~?」

 

「え・・・?あ、いや、その・・・。」

 

咎められていると感じたか、南は陽乃の鋭い眼光にたじろいだ。

 

まるで値踏みする様な視線に怯える事数秒、陽乃は誰にも分からぬ程小さく笑みを浮かべた直後、大きな笑い声をあげた。

 

「あっはっはっ!いぃやぁ~!流石は委員長だね!誰よりも文化祭を楽しむつもりなんだ、その心意気、気に行っちゃったよ~!」

 

「へ・・・!?」

 

一瞬で咎めう様な口調から讃える様な事を言い出せば戸惑う事も無理はない、南は目を白黒させるばかりだった。

 

「うんうん!私の時も、クラスとか色んな事したから文化祭がもっと盛り上がった訳だし、さっすが委員長!良い事だよ~♪」

 

「そ、そうですか~?い、いやぁ~、照れちゃうなぁ~。」

 

「「(完全に煽てられてる・・・。)」」

 

「(あ、これめんどくさくなる奴だ。)」

 

陽乃のまくし立てる様な美辞麗句に、南の表情はどんどん明るいモノになって行く。

 

これまで散々辛酸を舐めさせられた相手の姉にここまで褒められているのだ、プライドの高い彼女からすれば、それはもう何よりも心地良いモノだっただろう。

 

だが、それを見ていた若干数名には、これから面倒が起る事が分かり切ってしまうようでならなかった。

 

「ちょ、ちょっと陽さん・・・。」

 

流石に見るに見かねためぐりが陽乃を制止するように声を上げる。

 

これ以上この文実を混乱させる訳にはいかない、その判断の下だった。

 

「で、私さぁ、有志で参加したいんだけど~、どうかなぁ~?」

 

「へ?参加して下さるんですか~!?良いですよ~!ここにサインください!」

 

めぐりの言葉を無視し、文化祭への参加を申し出た陽乃に、南は喜んでと言わんばかりに申請書を手渡した。

 

「ちょっと相模さん・・・!」

 

その参加を歓迎できない雪乃はそんな事をするなと言わんばかりに声を上げる。

 

だが・・・。

 

「良いじゃん良いじゃん!OGが参加してくれるって事は、地域との繋がりもアピールできるし~、それに、お姉さんと何があったかなんて知らないけど、仕事とプライベートは分けるべきだよ~?」

 

「ッ・・・!」

 

問題無いと言う言葉と共に吐き出された嫌味に、雪乃は表情を顰める。

 

確かにその通りでしかなかった、これは雪ノ下家の問題では無い、学校行事なのだ。

そこに家族の問題を挟むなど言語道断、それが分かっているからこそ何も言えなくなったのだ。

 

それに対し、初めて雪乃を言い負かせたとでも思ったか、はたまた気分よく陽乃との話を続けて何を思い至ったか、南は文実メンバーに対して宣言する。

 

「皆!ちょっといいですか~?」

 

その言葉に、事の趨勢を見守っていたメンバー達が注目する。

 

「皆のお陰で、準備はスムーズに行えて、予定も順調にクリアして大分余裕が出来ています、なので、これからは少しペースを落としても大丈夫だと思うので、クラスの方にも参加してくれても良いですよ!!」

 

「何を言ってるんだ・・・!?」

 

その言葉に驚いたのは大和だった。

部外者である彼が言うのも何だろうが、こういう委員会は余裕を持たせすぎている程良いモノだという事は彼も分かっている事だったから。

 

「ちょっと相模さん・・・!」

 

「受け継いでいく所はしっかり受け継いでいかないとダメじゃない~?文実になったのは文化祭を楽しみたいって人も多いわけだし、皆の事も考えなくちゃ委員長としてだめじゃない?」

 

「ッ・・・。」

 

咎めようとした雪乃をこれまた丸め込まれるように話す南の言葉に、雪乃は言葉に詰まった。

 

周りを見ていないと言われた様に感じたのか、それとも別のな事を思ったのかは誰にも分からないが・・・。

 

「分かりました、委員長がそこまで言うなら従いましょう・・・。」

 

遂に折れたか、雪乃もそれに従う様に呟く。

 

それを見ていた委員たちも、それに頷いて了解していた。

それは、周りの雰囲気に呑まれた結果としか言いようのないモノだったが・・・。

 

「こりゃまた・・・、彩加が苦しみそうな展開になりそうだな・・・。」

 

「うん・・・、まさかあのお姉さんがこんなことをしでかすなんてね・・・。」

 

真面だと思っていた相手の行動に面食らいながらも、八幡と沙希はこれから先、文実に起こり得る事に頭を痛め、そして後悔もしていた。

 

特に八幡は、自分がいれば回避できたかもしれない事態だった事に・・・。

 

だが、もう遅い。

彩加が代わりになった事で、その修正が不可能になってしまったのだから・・・。

 

故に、彼等は直面する事になる。

これから巻き起こる、文化祭準備期間における大混乱に・・・。

 

sideout




おかしい・・・。
サブタイに彩加君の名前があるのに彩加君が出てない・・・。

次回予告
陽乃の乱入により正常に機能しなくなった分実の仕事は停滞しつつあった。
しかし、そんな時でも侵略の魔の手は待ってくれなかった。

次回やはり俺の青春にウルトラマンがいるのはまちがっている

戸塚彩加は合掌する 後編

お楽しみに
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