そんなある日、まどかの頼みで平行世界に逃亡し、その世界をわがものにしようとするはぐれインキュベーター”ハチべえ”を倒すため、自らも平行世界に向かうほむらの姿があった。
今、新たなる魔法少女の物語の幕が上がる。
まどか「ほむらちゃん、がんばって!」
ほむら「まどかの頼みなら、頑張るわ。」
キュゥべえ「じゃあ、平行世界のみなさんも、ボクと契約して、魔法少女になって よ。」
ほむら「あなたも懲りないわね。」
さやか「あんた、まさか、今年の流行語大賞ねらってるんじゃないんでしょうね。」
まどか「さやかちゃん、それは…。でも、それはそれで、とってもうれしいなあ。」
(いつまでたっても、本編にならないので、スタートします。)
こうして、物語の幕がこんどこそ、上がる。
魔法少女ほむら☆マギカ~有翼天使は異邦人
それは次元を超えた物語。
有翼天使は、愛のため、全てを超えて戦う。
第1話「異邦人たちの邂逅~夢の中で会ったような…」
(※本作はPIXIVにも同作品名で投稿した作品を一部修正のうえ、再投稿したものです。)
暁美ほむらは、今日も、魔獣達と戦っていた。
「今日も、数は多いわね。一気にカタをつけるわよ、キュゥべえ!」
彼女は肩にのせたキュゥべえに声をかけると、背中の翼を広げると、宙高く飛び上がった。手にした弓から無数の紫色の光の矢を放つと、十数体の魔獣達へと放った。魔獣達に光の矢が命中すると、煙を発すると、次々と消滅していった。
「相変わらずの手際だね。」
キュゥべえは、相変わらず無感情にに称賛した。もちろん、グリーフシードの回収も怠らない。
そんな時、どこからともなく、やさしい幼い感じさえする声がほむらには聞こえた。
「ほむらちゃん、この世界の魔獣は杏子ちゃんやマミさんに任せて、平行世界に行ってしまったインキュベーターと魔獣の退治をお願いできないかなあ。」
「まどか?ほかならぬあなたの頼みなら、構わないけど、どうして、私が行かなければならないの。」
「それはね、ほむらちゃん、魔法少女のいない世界に、インキュベーターのハチべえが逃亡して、魔獣を使って、 その世界の征服をたくらんでいるからなの。」
「わかったわ。行くわよ、キュゥべえ。」
ほむらが再び、翼を広げ羽ばたくと、空高く飛び上がっていった。一瞬の光の瞬きを残すと、その姿は見えなくなった。
「ほむらちゃん、ごめんね。こんなお願いをして。でもね、ほむらちゃん、私にはつかめない幸せをつかめるかも しれないんだよ。」
全てを知る女神は、だれにも見えないところで、つぶやいた。その肩に蒼い女騎士がやさしく手をおいて、話しかけた。
「ずいぶんとお優しい女神様だことね。ほんと、まどかは人間の時と変わらないよね。」
ある晴れた五月の日曜日の午後のこと、キツネかフェレットに似た白い生き物が、東京都渋谷のはずれにあるとある住宅街に現れた。公園で遊んでいる一人の幼い女の子を見つけると、声をかけた。
「楽しそうだね。」
女の子はきょとんとしていたが、しっぽをふるかわいい外見に引き寄せられていった。
「あなたはだれ?」
白い生き物はかわいい表情をしながら、にこにことしながら、やさしげな声で答えた。
「ボクはハチベエ、未来からきた夢の使者さ。どんな願いもかなえてあげる。だから、ボクと契約して魔法少女になってよ!」
「ほんと?今朝テレビでやっていた、かわいいおしゃれなのね。じゃあ、わたし何にしようかな?」
と答えた女の子は、両手の人差し指をつけたり離したりしながら、どう答えようか考えていた。
その時、近くの会社に勤めているサラリーマン二人組がそのそばを通りがかった。
「矢間口、お前のおかげでみんな今日は休日出勤だったのだからな、反省しろよ。お前ももう何年目だよ。」
「すいません。反省しています。風間さん。」
矢間口というまだ若い男はそう答えると、女の子に話しかけている生き物に目がいった。
「どういう、仕掛けだい、こんなぬいぐるみがしゃべるとは。」
白い生き物は、突然、目を赤く光らせると表情に警戒心をあらわにした。しかし、女の子は、うれしそうにしゃべった。
「『どんな願いもかなえてあげる。だから、ボクと契約して魔法少女になってよ』と言われたの。」
「それは、おかしいなあ。そこのキツネもどき、誰が操っているんだ!」
少々おっちょこちょいだが、正義心の強い矢間口は少し大きな声で言った。風間は横で苦笑していた。
「おいおい、そんなことにムキになるなよ。」
「いいじゃないですか。これはとっても大事なことです!キリ!キツネもどき、正体をみせろ。」
矢間口は風間に一言言うと、白い生き物に向き直った。
「正体も何もないに決まってるじゃないか。ボクは見てのとおりさ。魔法少女になってもらうことでみんなに幸せを運ぶ夢の使者さ。」
白い生き物は相変わらず、表面上は穏やかだが、なぜか裏のありそうな感じで答えた。
矢間口はいぶかしんだ。そして、得心した表情をみせると、にやりとしてしゃべり始めた。風間は後に、この時、なぜ彼を止めなかったのかと後悔することになる。
「そこまで言うのだったら、この僕が魔法少女になってやるよ。どうだい。」
白い生き物は、赤い目を一層光らせて、口元をゆがめながら、面白そうに答えた。
「しょうがないなあ。じゃあ、君の望みはなんだい?言ってごらん。」
「そうだな、仕事に疲れたから、休暇がほしいな。」
「その願い、エントロピーも凌駕していないし、エネルギー獲得もできそうにないけど、かなえてあげるよ。」
白い生き物が、その言葉を発すると、矢間口は白い光に包まれた。風間はつぶやいた。
「これは、脱魂憑依の術では…。」
「おやおや、お連れさんは、ずいぶん詳しいんだね。ひょっとして、ボクのことももう知っていたのかな?」
ピンク色のガラス素材で出来ているように見える卵型のアクセサリーが彼の胸の中から飛び出した。
白い生き物は、言った。
「さあ、今こそ、魔法少女に変身するんだ。」
再び、白い光に包まれた矢間口は、光の中で、いかにも白とピンクを基調としたかわいらしい魔法少女らしい服装に“変身”しつつあった。
「願いはどうなった。」
風間は質問を無視して、白い生き物に詰め寄った。
「変身すれば叶うさ。」
「どういう意味だ。」
「あんな姿にされて、この世界の中で、普通の人間として生きていけるはずがない。それにもともと、魔法少女になる素質なんてないのに無理をしてなるのだから、かかる呪いも大きい。じきに魔女、いや、魔獣になるさ。」
白い生き物はこともなげに言った。
矢間口は、うめき声をあげていた。そして、さっきの女の子も、それ以外の人たちもようやく、異変を感じ、逃げ始めた。
「この世界の人たちも、受け入れられる同類の許容範囲が狭いんだね。わけが分からないや。さあ、魔法少女になり損ねた魔獣の誕生だ!」
白い生き物がそれまでと違って、大げさに芝居がかった言い方で叫んだ。矢間口は、いかにも魔法少女らしい姿になったが、今度はその姿に毒々しい紫色の霧がまとわりつき始めていた。矢間口は、苦痛に耐えながら、うめいていた。
「僕はかっこいいんだ。合コンでももてるんだ。魔法少女になってもかわいいんだ。」
風間は内心、こんな時にあいつも…と思いつつも、白い生き物をまず、矢間口から引き離さなければと思い始めていた。まず、事態の悪化を食い止めなくては。
今度は、矢間口は、その姿のまま巨大化し始めていた。洋服がやぶれたら、すごいことになるのだが、伸縮性の高いもののようだ。さすが、夢の使者を自称するものの手によるだけのことはあった。ただ、矢間口の目が赤く光り始めていた。風間は額が汗ばむのを感じていた。
「さあ、魔獣よ、昨日までを捨て去り、我が命に従い、破壊の限りを尽くせ!人々に絶望を与え、われらに絶望のエネルギーをもたらすのだ!」
まるで、軍隊の司令官のように白い生き物は、巨大化が完了し身長約20メートルになった矢間口、いや、かつて矢間口だった魔獣に命令した。
風間は、事態の急展開にとまどいつつも、最後の賭けに出た。
「矢間口、聞こえるか!しっかりしろ!そいつの言うことなんか聞くな!」
矢間口だった魔獣は、かすかに表情を変えたのを風間は見逃さなかった。白い生き物は、それを横目に笑った。
「無駄だよ。もう、魔獣になったんだよ、普通の人間の言葉なんか耳に入るわけないじゃないか。魔獣よ、進撃開始だ!」
魔獣は、渋谷の中心部目指して、進み始めていた。いつの間にやら、歩くだけでアスファルトの地面にヒビが入り、周りの家々を破壊していた。そして、赤い目から怪光線を発して高層ビルも貫いていた。
一方、風間は、俺は忍者じゃないし、どうしたものかと思いつつも、矢間口だった魔獣の足止めできないか考えていた。
警察の装甲車が玉川通りを封鎖していた。自衛隊の戦闘ヘリも駆けつけていた。渋谷中心部への進入はなんとしても阻止するつもりなのだろう。
白い生き物は、さも愉快そうに笑った。
「そんな武器で魔獣に勝てるつもりかい。この星の人間というのは、自分の実力を正確に計ることができない存在 なんだね。」
装甲車から銃弾が放たれた。ミサイルがヘリからも、発射された。魔獣には命中したが、煙に包まれるだけで、全く、効き目がなかった。魔獣から放たれた、赤い怪光線が装甲車やヘリを炎で包んだ。多くの人々は絶望した。風間も自分の無力さを噛み締めていた。
その時、奇跡は起こった。
突然、天空にかすかなひび割れが入ると、そこから、背中に翼のある一人の少女が現れた。少女は弓をかまえると、光の矢を放った。矢が魔獣に命中すると、魔獣はうめき始めた。風間はこれなら、いけるかもしれないと思った。
白い生き物は、魔獣に命令した。
「引き揚げだ。今日だけでも多くの人々の絶望のエネルギーは回収できた。今日のところは、満足して帰るとしよ う。次こそは本物の少女を魔法少女にしないといけないね。」
矢間口だった魔獣はその命令におとなしく従った。白い生き物の発する紫色の怪光線をあびると身長2メートル以下の普通サイズとなった。白い生き物と魔獣は蜃気楼のように蒸発するかのように姿を消した。
あたりは少しずつ落ち着きを取り戻し始めてはいたが、救急車や消防車が行きかい、今度は別の喧騒に包まれ始めていた。
地面に着地した少女が満足げに周りながめている姿を見た風間は、話しかけた。
「俺は風間ユウキ。君はいったい、どこから来た何者なのだい。」
少女は少し、バツが悪そうに答えた。
「私の名前は暁美ほむら、時空を超えて、ハチべえを追って来た者よ。」
一見、どこかの私立学校の制服のような服装の彼女は、少しはにかみながら、そう答えた。今、気づいたが、ハチベエを名乗る白い生き物と同じように見える生き物が彼女の肩に乗っていた。彼の視線に気づいた彼女は、苦笑しながら、こう説明した。
「彼の名はキュゥべえ。私のパートナーよ、安心して。」
今、新たなる魔法少女の物語の幕が上がった。
~第2話に続く~
-第2話 予告-
その頃、かつて矢間口と呼ばれた魔獣は、ハチべえのアジトで、彼からこう告げられていた。
「今日からは、新たな名を名乗るがよい。そして、我が野望のため、一層尽くすがよい。汝の名は…」
「あのう、すいません。今日のところは帰っていいですか?」
そう聞いた魔獣は、ハチべえに電撃を受け、反論する間もなく、失神していた。
「こいつ、一体なんなんだ。でも、貴重な存在だから、捨てずにとっておこう。」
ハチべえはつぶやいた。
ユウキ「こいつ、いったい何なんだ?」
ほむら「あんたが言ってどうする!次回はどうなるの。」
ユウキ「というわけで、次回はもう少し、作品世界のわかるお話になります。俺ももう少し主人公らしいことをします。忍者の里に行ったり、ハチべえの過去にも迫ります。」
ほむら「さっさと、ハチべえの本拠に乗り込んでけりをつけたいわ。」
???-1「ほむらちゃん、だめだよ。それじゃ物語にならないよ。もう少し盛り上げてよ。」
???-2「せっかく、いい男を見つけたのだから、ここで掴まえておかないと、私みたいに苦労するよ。」
ほむら「あなたたち、どうしてここに?」
キュゥべえ「全く、キミたちは本当にわけが分からないや。でも、宇宙のエネルギー不足解消のために魔法少女になりたくなったら、いつでもボクを呼んでね。待ってるよ。」
ユウキ「俺、この先、苦労が多そうだ。トホホ。」