吉野椎歌はいらない情報だが、17歳だ。
高校2年が恥ずかしい思いしながら、ゲームでの魔法の呪文を唱えた。
すると、笑い声がした。
「…誰だ」
赤面しながら、尋ねる。
もし、盗賊とかだったらとうしよう。
そんな不安を抱いて…
「ふっふっふー…俺はな勇者だ!」
そういい、勇者は登場…
しなかった。
「どこだよ、勇者」
「ここだ、ここ」
そういい声がした方を向いた。
自分の足下を。
「ここか?」
「そうここだ。助けてくれ」
どこに砂漠に埋まって、見知らぬ人に助けを求める勇者がいるのだろうか。
そう思いつつ、椎歌は掘り出した。
「感謝するぞ、恩人」
そう言った青髪に白眼の少年。
「俺は勇者こと、アルポテスだ。アルって呼んでくれや」
そう言いアルポテスは片手をあげた。
…まるで、知人に会うと「よぉ」みたいに挨拶する風に。
「それでお嬢さんはいくつかな?」
質問してきたアルポテス。
それに眉をピクピクさせる椎歌。
少しキレかかっている。
「だ、れ、が、お、じょ、う、な、ん、だ?」
一文字一文字確認するように話す椎歌。
「えっ?君しかいないじゃないか?」
そういい、両手をあげる。
…まるで、困ると「やれやれ」と呆れる風に。
「俺は男だぁぁぁぁぁぁ!!!!」
砂漠に椎歌の怒声が響いた。
「成る程…吉野椎歌さんだね?」
「君だ」
「じゃあ、椎歌」
「いきなり呼び捨て!?」
「俺のことは勇者と呼びたまえ」
「分かった、自称勇者」
「人の話聞いてた!?」
「砂漠に埋まっている勇者はいねぇよ」
そう会話しつつ本題に入った。
「君は変わったら格好してるね?」
「あぁ…俺はこの世界の人間じゃないからな」
「何!?それじゃあ、魔王か!」
そう言い自称勇者は、剣を振り回した。
「えっ!?ちょっ、何する!」
「魔王は抹殺するべし!」
「魔王じゃねぇって言ってるだろうがぁぁぁ!!」
椎歌は自称勇者に拳骨をした。
「いったあぁぁぁぁぁ!!!!」
砂漠に自称勇者の叫びが、響いた。
…こいつと話してたら話が全然進まねぇな。