三村かな子に双子の兄がいたら。   作:ラムネ色

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アニメ15話です。


よかったらどうぞ。


歌姫はカッコよく、可愛くて美しい。

「一体どうなってんのこれ!?」

 

 

未央ちゃんの叫びが木霊する。

 

 

本当にどういうことなんだ、これ……?

 

 

仕事しに来たらシンデレラプロジェクトの部屋、荷物とか全部回収してるし入れない。

 

 

急展開過ぎてみんなついていけないし、不安そうな表情だ。

 

 

早くプロデューサーさん来てくれ……

 

 

「あ、Pくん!」

 

 

俺の思いが通じたのか、エレベーターからプロデューサーさんが降りてくる。

 

 

左手にはファイムを持ち、顔には汗をかいている。

 

 

息切れしているからきっと急いで来たんだな。

 

 

「遅くなってすみません!!」

 

 

プロデューサーさんがそう言いながらみんなに近づいてくると、みんなどういうことか聞こうとした。

 

 

それを見たプロデューサーさんは部屋に入ってからお話をしますと言った。

 

 

プロデューサーさんは部屋の鍵を開ける。

 

 

部屋の中は光が少し差し、埃が舞ってダンボールや資料が散乱していた。

 

 

とても埃っぽく、明らかに当分使われてなかったことが分かる。

 

 

空気悪いなぁ……光も少ししか差してないからどこか暗いイメージがある。

 

 

あ、杏ちゃんが少し咳をした。

 

 

みんなは大丈夫かな?

 

 

「ここがワタシたちの部屋、デスカ?」

 

 

アーニャちゃんがキョロキョロしながらプロデューサーさんに聞く。

 

 

その顔は不安そうだ。

 

 

「解体ってどういうこと!?」

 

 

「私たちのお仕事どうなるの……?」

 

 

莉嘉ちゃんとみりあちゃんがプロデューサーさんに聞く。

 

 

プロデューサーさんはみんなを見た後、少しずつ話し始めた。

 

 

「現在進行中の仕事に関しては、続けてお願いします」

 

 

「ってことは、この先はわからないって事……?」

 

 

「ユニットはどうなるの……?」

 

 

アスタリスクの2人が聞く。

 

 

プロデューサーさんはそのことについては……と言って、言葉が詰まってしまった。

 

 

「本当に、プロジェクト解散なの!?」

 

 

未央ちゃんの言葉でみんな顔が固くなる。

 

 

卯月ちゃんは肩を震わせ、智絵里ちゃんは泣きそうな顔で下を向いてしまった。

 

 

「解散はさせません!!……絶対に!!」

 

 

プロデューサーさんが今まで聞いたことがないくらい大きな声でそう言った。

 

 

「対抗する案を提案してなんとかします!私を信じて、待っていてください」

 

 

後半の部分、プロデューサーさんの声は少し震えていた気がする。

 

 

プロデューサーさんにとっても急なことで、今はそうとしか言えないのかもしれない。

 

 

「待つことしかできないの? 私たちにもできることはあるんじゃないの?」

 

 

「そうだよ。夏フェスだって成功したしさ、少しぐらい私たちにもできることあるんじゃない?」

 

 

凛ちゃんと未央ちゃんがプロデューサーさんに聞く。

 

 

プロデューサーさんは無言でなにかを考えていた。

 

 

コンコンコン。

 

 

そんな時、ドアが叩かれた音が響いた。

 

 

みんなそっちに視線を向ける。

 

 

開かれたドアから出てきたのはちひろさんだった。

 

 

ちひろさんはこっちを見ると事情を察したのか、少しだけ気まずそうな表情を見せた。

 

 

しかし、すぐに切り替えてプロデューサーさんに会議があることを伝えた。

 

 

「はい。分かりました……必ず、なんとかします。 みなさん普段通り落ち着いて、行動して下さい」

 

 

プロデューサーさんはみんなにそう言うと部屋を出て行く。

 

 

残された俺たちは互いに顔を見合わせることしかできなかった……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「この空気キッツイなぁ……」

 

 

美城常務が全てのプロジェクトを解体すると宣言してから数日が経った。

 

 

今の美城プロダクションは全体的に落ち着きがない。

 

 

日々スーツを着ている人が出入りし、業者の人が荷物を持って移動してるなんて最近ではよく見る光景だ。

 

 

……時々アイドルや他のプロデューサーさんとすれ違うけど、やっぱりみんな元気がない。

 

 

あの元気一杯の日野さんでさえ、少し元気がなく、この空気に耐えれなくて外に走りに行った姿を見た。

 

 

シンデレラプロジェクトのみんなより人気があるであろう日野さんや高森さん、ブルーナポレオンの人達でさえ、これからの仕事に不安がある状態だ。

 

 

……本当にこれから美城プロダクションはどうなるんだ??

 

 

「どういうことなんですか?ちゃんとした理由を教えて下さい!」

 

 

廊下から川島さんの声と番組のお偉いさんの声が聞こえる。

 

 

今はキャンディーアイランドとして初めて出た番組で話し合いをしているんだけど、今までの番組とは全然違うことになっていた。

 

 

俺はホワイトボードを見る。

 

 

書かれていたのは番組編成変更について。

 

 

出演アイドルは見直され、キャンディーアイランドは他ユニット、新人起用に変更と書かれ、KBYDでさえ隔週交代?と書かれている。

 

 

しかも、次回の収録は未定状態だ。

 

 

……常務の影響がここまで来ているな。

 

 

「う、うぅぅぅ……」

 

 

そんなことを思っていると、智絵里ちゃんの呻き声が聞こえる。

 

 

そっちに顔を向けると、口元に手を当てながら涙目になっている智絵里ちゃんがいた。

 

 

……そりゃあ初めて出た思い出が強い番組で、こんな形で出演がなくなるなんて悲しいに決まってるよな。

 

 

杏ちゃんだって智絵里ちゃんの背中をさすりながら悲しそうな顔をしているし、かな子だって不安そうに下を向いている。

 

 

……ふざけんなよ。なんで頑張ってきた三人がこんな形で番組に出れなくなるんだよ。

 

 

KBYDや川島さん、十時さんだってこの番組を頑張っていたんだ。盛り上げていたんだ。

 

 

偉い立場の美城常務が言ったことだからって、はいそうですかってすぐに納得できるわけない。

 

 

アイドルやプロデューサーさん達はみんな感情を持った人間なんだ。

 

 

ロボットが仕事をしているわけじゃない。

 

 

現場で働くアイドルやプロデューサーさん達の気持ちをもっと考えてくれよ……!

 

 

俺はホワイトボードを見ながら、お腹の底から湧いてくる苛立ちを感じていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザァーザァーと雨が降る音が資料室に響く。

 

 

外はもう暗く、部屋に残っているのはプロデューサーさんと俺だけだ。

 

 

今、プロデューサーさんは必死に企画書を作成している。

 

 

……なにか温かい飲み物を差し入れしよう。

 

 

俺はコーヒーの準備をしてプロデューサーさんに差し出す。

 

 

ちょうどプロデューサーさんが目頭を押さえたので、良いタイミングで渡すことができた。

 

 

「陸さん、ありがとうございます」

 

 

「いえ、これぐらい大丈夫ですよ」

 

 

プロデューサーさんはコーヒーを飲んで一息つく。

 

 

あ、そういえば。

 

 

「プロデューサーさん知ってます?」

 

 

「?? なにをですか?」

 

 

「気分が落ち込んだり、元気を取り戻したい時は温かいものを飲むのがいいそうですよ。

温かいものを飲むことで、身体も心も温かくなるみたいです。逆に冷たいものを飲むと更に気分が落ち込んだりするそうですよ」

 

 

「そうなんですか……そう言われると少し元気になったように感じます」

 

 

実際に効くかは人それぞれだと思う。

 

 

でも、思い込むことで大なり小なり効果を感じることはできると思うんだ。

 

 

「あ、その写真って夏フェスのやつですよね?」

 

 

プロデューサーさんはコーヒーを飲むと机に置き、ダンボールの方に歩き始める。

 

 

ダンボールには李衣菜ちゃんのヘッドホンや、莉嘉ちゃんのカブトムシのぬいぐるみなどが入っていた。

 

 

そんなダンボールの中からプロデューサーさんは写真立てを取り出す。

 

 

……まだあれから1ヶ月しか経ってないのか。

 

 

「みなさん、とてもいい笑顔です」

 

 

そう言うと、プロデューサーさんは笑う。

 

 

確かにその写真凄くいいよなぁ。

 

 

かな子も部屋に飾っているし、俺もベッドの近くに置いている。

 

 

みんなにとっても大切な写真のはずだ。

 

 

「これを見るとまだまだ頑張ろうと思えますね」

 

 

そう言うと、プロデューサーさんは写真立てをロッカーの上に置いた。

 

 

「陸さんすいません。私はまだここで仕事をしようと思います。 陸さんはもうそろそろ時間なので上がってもらって大丈夫です」

 

 

プロデューサーさんに言われて俺は時計を見る。

 

 

あぁ……確かにもうそんな時間だなぁ。

 

 

でも、少しぐらいはできることするか。

 

 

「分かりました。 プロデューサーさんのコップと床を掃除したら帰らせてもらいますね」

 

 

「いえ、それぐらいは私が……」

 

 

「大丈夫ですよ。 これぐらいパッパッと終わらせます。 プロデューサーさんは俺のこと気にせずに企画書進めてください」

 

 

「ですが……」

 

 

「俺にできるのはこれぐらいですから、やらせてください」

 

 

俺はプロデューサーさんみたいにお偉いさんに直談判や、仕事の調整は難しい。

 

 

でも、こういう小さくても大切なこと、必要なことは俺にもできるはずなんだ。

 

 

「小さな仕事とかドンドン俺に回してくださいプロデューサーさん!」

 

 

俺は笑いながら力こぶを作る。

 

 

それを見るとプロデューサーさんはキョトンとした後、クスクス笑い始めた。

 

 

「陸さんありがとうございます。お願いしますね」

 

 

「はい。プロデューサーさん、お願いされました!」

 

 

俺とプロデューサーさんは握手を交わす。

 

 

プロデューサーさんは企画書作成に戻り、俺は床の掃除を始めた。

 

 

外の雨音が少しだけ、小さくなったように俺は感じた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばさー楓さんのこと会社でちょー噂になってるよねー」

 

 

「ああ……結構大きな仕事蹴ったんだっけ?」

 

 

「この状況で断っちゃうなんてどういうことにゃ!」

 

 

「結構ロックな人なんだね」

 

 

資料室でみんな各々掃除や台本を読んでいると、楓さんの話が挙がった。

 

 

今、美城プロダクションは高垣楓さんが美城常務の仕事を蹴ったという話題で盛り上がっている。

 

 

「綺麗だしかっこいいよねー!」

 

 

「やっぱり憧れのアイドルって感じだよぉ〜」

 

 

「素敵ですよね!」

 

 

みんな各々楓さんについての印象を語る。

 

 

すると、かな子がそう言えばと言って、少し前片桐早苗さんと川島瑞樹さんと話していた楓さんの様子を教えてくれた。

 

 

話聞いてると凄くダジャレ多くて居酒屋好きってことが伝わってくる。

 

 

アイドルっていうよりもおじさんっぽくない?

 

 

あ、でも安部さんと話していた時もダジャレ言ってたの聞いたことあった気がする。

 

 

じゃあ片桐早苗さんと川島瑞樹さんと話してる時も平常運転だったってことかな?

 

 

……なんか神秘的で近づきにくいって感じが少しあったけど、この話きいたら割と身近な存在に感じるな。

 

 

「えーイメージとちがーう!」

 

 

「ダジャレ&居酒屋好き……」

 

 

「〇〇……不思議、ですね」

 

 

「でもそんなアイドルがいてもいいんじゃない?」

 

 

俺がみんなにそう言うと、たくさんの顔がこっちを向いた。

 

 

「陸くんはダジャレ&居酒屋好きのアイドルってありだと思う?」

 

 

「ありだと思うよ。 男の人の人気は集めやすいと思う」

 

 

「えーでもあんなに綺麗でかっこいい楓さんだよー?? ギャップ凄いんじゃない?」

 

 

「莉嘉ちゃん。そのギャップがいいと思うんだ」

 

 

「ギャップ萌えっていうやつかしら」

 

 

「そうです美波さん。 分かりやすく言うならみくちゃんですね」

 

 

「なんでここでみくにくるにゃ!?」

 

 

みくちゃんはギョっと目を見開いて俺から少し離れる。

 

 

あの、少しその対応は傷つくんですが……。

 

 

「みくちゃんって普段は真面目な学級委員長って感じじゃないですか」

 

 

そう言うと、みんなああ〜と言って納得する。

 

 

みくちゃんはなんにゃその反応は!?と声を上げていた。

 

 

でも、本当にあれはびっくりした。

 

 

猫キャラみくちゃんしか知らなかったから、学校バージョンのみくちゃんはギャップの塊だったな。

 

 

メガネをかけてキリッとした雰囲気。

 

 

制服を綺麗に着こなし、言葉遣いに猫語はなし。

 

 

本当にあなたは誰ですか状態だったな。

 

 

「でも、アイドルの時は猫キャラ。 普段の真面目な前川さんからアイドルで猫キャラになったみくちゃん。 このギャップはみなさんが思っている以上に男子にはくるんですよ」

 

 

「にゃ〜にゃ〜もうこの話はなしにゃぁ!!」

 

 

「ちなみにりっくんにもくるものあるの?」

 

 

「……ま、まぁ結構くるものあるよね……」

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜もうこの話おしまいにゃ!終了! 終了にゃぁぁぁ!!」

 

 

みくちゃんが顔を真っ赤にして話題を変えようとする。

 

 

俺もみくちゃんには劣るけど、少し顔が赤くなっているのを実感した。

 

 

ま、まぁギャップ萌えは男には有効だってみんなに知ってもらえたのならいい。

 

 

このギャップ萌えがなにかを変えるかもしれないしな!!

 

 

俺はそんなことを思いながら手で仰いで風を送る。

 

 

ふぅ……なんか少し暴露して恥ずかしいからか暑いなぁ。

 

 

でも、これ性癖を暴露したって感じじゃないし、ギャップ萌えは男子でも女子でも実感できるから別にいいよね?

 

 

俺は自問自答をする。

 

 

すると、何人かの視線を感じたので振り返った。

 

 

俺を見ていたのは6人。

 

 

智絵理ちゃんと蘭子ちゃん、卯月ちゃん、みくちゃんはこっちをチラチラ見ては別の方に顔を向けていた。

 

 

かな子は少しニヤニヤしながらこっちを見ていた。

 

 

あ、これ帰ったら弄られるやつじゃない?

 

 

美波さんは男の子だものねって感じで、慈愛に満ちた優しい目をしてこっちを見ていた。

 

 

あの……美波さん、その目は凄く恥ずかしいです……。

 

 

「なんで楓さんは仕事蹴ったんだろうね?」

 

 

俺が美波さんの視線から逃げると、未央ちゃんが不思議そうに言う。

 

 

みんなから色々な推測があがる。

 

 

すると、みくちゃんが常務にガツンと言いたいと言い始めた。

 

 

かな子と智絵里ちゃんがみくちゃんを宥める。

 

 

みくちゃんは企画書を書いたり、プロデューサーさんのお手伝いをするのはどうかと提案した。

 

 

みりあちゃんがそれに賛成する。

 

 

みくちゃんは仲間ができて嬉しそうだ。

 

 

「え〜でも前も書いたけど結局意味なかったじゃん」

 

 

「このままボーとしている方が意味ないにゃ!」

 

 

「そうだけどさぁ」

 

 

「なら、そういう作業をする為にもスペースを確保しない?」

 

 

美波さんが箒を持ちながらみくちゃんに近づく。

 

 

「みくちゃんはそっちの収納スペースをお願いね」

 

 

美波さんから箒を貰ったみくちゃんは呆然とした。

 

 

でも、企画書が書きたいとみくちゃんが言おうとした瞬間、美波さんが話し始めた。

 

 

「みくちゃん、お掃除だって立派なお手伝いよ」

 

 

美波さんの話をきいて、きらりちゃんがみりあちゃんと莉嘉ちゃんを掃除に誘う。

 

 

そこからはみんな掃除をやることになった。

 

 

みんなプロデューサーさんを驚かそうと頑張っている。

 

 

よし。俺も頑張ろうかな。

 

 

俺はかな子から貰った雑巾で床を拭き始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「「「「おはようございます!」」」」

 

 

「サインをしなサイン……フフッ」

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

「あ、おはようございます。今日はお願いしますね」

 

 

俺はプロデューサーさんとニュージェネレーションズの3人と一緒に仕事にきた。

 

 

今日の仕事の出演者は高垣楓さんとニュージェネレーションズの3人。

 

 

今日はお願いしますという為に楽屋に入って挨拶をしたんだけど……高垣さん、本当にダジャレを言っていたよ。

 

 

「それでは私はスタッフさんと打ち合わせに行ってきます。陸さんとニュージェネレーションズの皆さんはここで待機していて下さい」

 

 

そう言うと、プロデューサーさんは楽屋から出て行った。

 

 

さて、今楽屋に残っているのは高垣楓さんと俺、ニュージェネレーションズの3人と少しのスタッフさん。

 

 

……なにしようかな。

 

 

「あれ? 未央何書いてるの?」

 

 

そんなことを思っていると、凛ちゃんが未央ちゃんに質問する。

 

 

どうやら、プロデューサーさんも疲れてるみたいだから少しでも協力したいと言って、企画書を書いてるみたいだ。

 

 

卯月ちゃんと凛ちゃんも書き始める。

 

 

なら、俺も書いてみようかな。

 

 

「ねえしまむーどんなこと書くの?」

 

 

「え?まだ考えてて……」

 

 

俺は3人の後ろで色々と案を考えてみる。

 

 

すると、未央ちゃんが卯月ちゃんに話しかけた。

 

 

未央ちゃんの企画書にはたくさんの案が出ている。

 

 

卯月ちゃんの企画書は真っ白でまだなにも書けていない状態だ。

 

 

「急には出てこないよね」

 

 

そう言う凛ちゃんの企画書を見てみると、ガーデンショー+ミニライブ、全国の花屋さんとのコラボなど書いていた。

 

 

なんだかんだで書けてるじゃん。

 

 

そんなことを思っていると、卯月ちゃんが小さな声であっ……と言ったのが微かに聞こえた。

 

 

?? 卯月ちゃんどうしたんだろ?

 

 

「失礼します。みなさん、準備の方は……なにをしてらっしゃるのですか?」

 

 

「えへへ……企画書書いてるの。シンデレラプロジェクト、なんとか守れないかなって」

 

 

プロデューサーさんが少し目を見開く。

 

 

高垣さんがこっちに身体を向けたのが視界の隅で見えた。

 

 

「なかなか良いアイデア浮かばなくって〜」

 

 

「すいませんプロデューサーさん……」

 

 

「……いえ、ありがとうございます!」

 

 

プロデューサーさんは少し頭を下げる。

 

 

みんな驚いた顔でプロデューサーさんに近づいていった。

 

 

……なんかいいなこういうのって。

 

 

プロデューサーさんだけじゃくて、アイドルも一緒に頑張れる。

 

 

そんな関係性は良いことだと思う。

 

 

「みんなとってもいい子ね」

 

 

そんなことを思っていると、高垣さんがいつの間にか俺の隣にいた。

 

 

この人いつの間に……。

 

 

「はい。僕もそう思います」

 

 

「君はみんなのところに行かなくていいの?」

 

 

「プロデューサーさん、3人の対応で忙しそうなので僕はここで待機ですね」

 

 

「あら、そうなの……男の子1人だけ寂しいわね」

 

 

「そんなことないですよ」

 

 

俺が笑うと高垣さんも少し笑った。

 

 

そこから少し高垣さんとお話をする。

 

 

どうやら俺のことは知っていたみたいだ。

 

 

安部さんから話を聞いたことがあり、俺がカフェでバイトしているのを見たことがあるらしい。

 

 

美城プロダクションが誇る人気アイドルの高垣楓さんに知ってもらえていて、俺はとても嬉しかった。

 

 

「それではみなさん、準備の方をお願いします」

 

 

俺が高垣さんと話していると、プロデューサーさんがそう言った。

 

 

どうやらニュージェネレーションズの3人の出番らしい。

 

 

「それでは僕はここで失礼しますね」

 

 

「うふふいってらしゃい……君と話せて楽しかったわ」

 

 

俺は高垣さんに会釈してその場から離れる。

 

 

ニュージェネレーションズの3人はなにを話していたのか俺に聞いてきた。

 

 

俺は世間話をしてたんだよと言う。

 

 

3人とも羨ましい、いいなぁと言って、プロデューサーさんの後をついて行った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「楓さん、スーパースターなのにやってること私達と一緒なんだね」

 

 

高垣さんのサイン入り団扇が少ないんじゃないかとファンの人達が押し寄せるというハプニングがあったが、高垣さんの機転でなんとか事なきを得た。

 

 

それを見た俺たちは高垣さん凄いなと思った。

 

 

今は高垣さんのお手伝いが終わったところだ。

 

 

「あ、楓さん」

 

 

「さっきはありがとう。ここはライトがくライト思うわ……うふふ」

 

 

高垣さんのダジャレにみんなついていけてない。

 

 

みんな愛想笑いになっていた。

 

 

上手いなぁと思ったのは俺だけなのかな?

 

 

「だから、私が輝かなきゃね」

 

 

そんなことを思っていると、高垣さんが真面目な顔で言う。

 

 

綺麗なオッドアイの目が、俺たちをしっかりと見ていた。

 

 

俺たちがその瞳に吸い込まれそうだなと思っていると、高垣さんは少し笑う。

 

 

すると、凛ちゃんが高垣さんにある質問をした。

 

 

「楓さん。どうして美城常務の話受けなかったんですか?」

 

 

凛ちゃんは聞きにくいことをスパッと聞いた。

 

 

高垣さん怒ったりしないかな?と俺は思ったが、高垣さんはみんなに話をしてくれた。

 

 

「そうね。確かにいいお話だったけれど、私にとってお仕事に大きい小さいはないし、今回のライブは私にとって大切な場所でのお仕事だったの……私はファンの人と一緒に階段を登りたい。 ファンの人と一緒に笑顔で」

 

 

「「「笑顔でファンの人と……」」」

 

 

「それが私にとって1番大切なことだったの。美城常務には曖昧な理由だなと言われたけど、それが私のやり方。あの人とは目指すところが違ったの」

 

 

高垣さんには高垣さんの考え、常務には常務の考えがしっかりあったんだ。

 

 

高垣さんは笑顔でファンの人と一緒に階段を登りたい。

 

 

自分の信念を、考えを持っている人はカッコよくて強い。

 

 

高垣さんがこんなに人気なのは、こういう部分に気づかないうちに惹かれているのも理由かもしれないな。

 

 

「ここは私がデビューして初めて立ったステージ。不安とかも一杯で心細かったわ。でも、ファンの人達が支えてくれた。今も支えてくれているファンの人の笑顔。それを忘れずに私は進んでいきたい」

 

 

高垣さんはそう言うと、嬉しそうに笑う。

 

 

そして、こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー一緒に輝いていきたいの」

 

 

高垣さんの笑顔がとても印象に残る。

 

 

高垣さんは俺たちを見た後、スタッフさんに呼ばれてステージに向かって行った。

 

 

『こいかぜ』を歌い始める高垣さん。

 

 

キラキラしている姿を見て、俺たちは強い憧れと勇気をもらった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「これどうしたの!?」

 

 

「凄く綺麗ですね!」

 

 

「すご……」

 

 

「……みなさんが、これを……?」

 

 

俺たちはライブの仕事を終わると、資料室に戻ってきた。

 

 

すると、資料室は前では考えられないほど綺麗になっていた。

 

 

みんな三角帽子を被り、各々掃除道具を持っている。

 

 

……みんな凄く頑張ったんだな。

 

 

「少しでもなにかできたらと思いまして」

 

 

「更にさらに……じゃーん! 企画書にゃ!」

 

 

美波さんの後に、みくちゃんがプロデューサーさんに紙束を渡す。

 

 

結構な量だ。

 

 

「こういうのは気持ちが大事にゃ!今やれることはどんどんやるにゃ!」

 

 

そう言うと、みくちゃんはピースサインをしてにししっと笑う。

 

 

「よーし!みんなで一緒なら怖くない、大丈夫! 私達らしいやり方しようよ!」

 

 

未央ちゃんがそう言うと、みんな頷く。

 

 

「それってさ、きっと最強で素敵なことだよ! ねっ!プロデューサー!」

 

 

未央ちゃんの声でみんなプロデューサーさんの方を向いた。

 

 

みんなこの部屋に来た時とは比べられないほど明るい笑顔だ。

 

 

「……はい!!!」

 

 

プロデューサーさんは嬉しそうに返事をする。

 

 

ここから、また始まるんだ。

 

 

みんなと一緒に頑張ろう!!

 

 

俺はみんなに揉みくちゃにされているプロデューサーさんを助けながら、心の中で誓った。

 

 




この話の楓さんは特に凄くカッコよかったですね。


次はアニメ16話かオリジナル話の予定です。


それでは、また。
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