アイドルが2人でます。
あのライブが終わってから数日が経った。
かな子もあのライブに影響されたみたいで、レッスンをかなり頑張っているらしい。
それ以外にも色々と忙しいようで、ヘトヘトになりながら帰って来るのが最近の光景だ。
そして、今日もかな子は美城プロダクションへと行っている。
それに反して俺は……。
「ああ〜暇だぁ」
俺はリビングのソファーで横になる。
学校が終わってバイトがない日は基本的に暇だ。
前まではかな子が帰ってきてお喋りをするなり、どこかに買い物へと向かったりしていたのだが、今はそれができない状態。
理由はかな子がアイドル活動で忙しいし、買い物をしようにもお金がないからだ。
前のライブでグッズを買い過ぎたのが原因だ。
でも、後悔はしていない。 あれは俺にとって必要な物だったんだ!
「ただいまー!」
そんなことを思っていると、かな子が帰って来た。
いつもより声に元気があるような気がする。
なにかあったのか?
ドスドスドスドス。
おお……なんか凄い足音聞こえるんですけど。
しかも、凄い早足。 絶対になんかあったな。
バァン!!
「ひぃ!?」
ちょっ!? いきなりドア開けないでくれよ! ビックリするだろ! これは文句の一つでも言ってやらないと!
「ちょっとかな子! ドアを開ける時はもっと優しく開けーーーー」
「兄さん!!!!」
「は、はいぃ!!」
文句を言おうとしたけど、無理でした。
もうね、かな子がなんか凄い。
なんか変なオーラを出しながら凄い嬉しそうに笑ってるんだよ。
しかも、手にはくしゃくしゃになったチラシを握っている。
その姿は変な凄みがあるし、威圧感を感じるよ。
文句言えないのはしょうがないよね!! しょうがないよね!?
内心アタフタしている俺に向かってかな子は歩きだす。
そして、俺に顔を近付けた状態で、目をキラキラさせながらこう言ってきた。
「一緒にケーキバイキングに行こう!!」
……はい?
ーーーーーーーーーーーーー
「わあ〜凄いケーキの量だよぉ〜楽しみだなぁ〜今日はいっぱい食べるぞぉ!!」
「食べ過ぎてお腹壊さないようにね」
かな子がケーキバイキングに一緒に行こうと言った日から数日が過ぎ、休日になった。
俺はかな子と一緒にケーキバイキングに来ている。
主な目的は、ここ最近のストレスをケーキで解消することだ。
「兄さん兄さん! 見た事ないケーキがあるよ! あれなんだろう!」
「こらこら落ち着けって。 そんなに騒いでたら他のお客さんの迷惑だろ」
「うう……そうだけどぉ、久しぶりに兄さんと二人っきりでお出掛けできたし、ケーキも食べれるから嬉しかったんだもん……」
かな子はちょっとしょんぼりしながらそう言ってくる。
確かに最近は二人っきりでお出掛けとかしてなかったな。
前まではちょくちょく二人でケーキバイキングとか行ってたけど、かな子がアイドルになってからは時間がなくて行ってなかったからな。
ってか、アイドルが男と二人っきりでお出掛けしていいのか? 兄弟だけど他者から見たらデートに見えなくもないぞ。
一応、かな子のプロデューサーさんには電話で出掛けてもいいか聞いて許可貰ってるけどさ。
ちなみにプロデューサーさんが言うには、『兄弟なら大丈夫です。 男の幼なじみなどでしたらあまり良くないのですが』だそうだ。
それにしても、まさかプロデューサーさんに電話することがあるとは。名刺貰っておいてよかったよ。
「じゃあ、私ケーキ取ってくるね。 兄さんはどうする?」
「俺は飲み物を持ってきてからケーキに行くよ。 かな子は飲み物なにが欲しい?」
「ケーキに合いそうな飲み物が欲しいなあ」
「うわっそれ俺のセンス試されてるじゃん」
「兄さんなら大丈夫だって信じてるからね」
そう言ってかな子は嬉々としてケーキに向かって突入して行った。
さて、俺も飲み物持ってきたらケーキに向かおうかな。
俺はすぐに二人分の飲み物を準備する。
そして、お皿を持ちながらケーキに向かって行った。
さて、なにから食べようかな。
俺は気になるケーキを食べれるだけ取っていく。
うん、このケーキ美味しそうだ。
俺はお皿に沢山のケーキを乗せた後、席に戻ろうとした。
「ん? かな子は誰と話してるんだ?」
しかし、戻っている途中にかな子が誰かと話しているのを見つけた。
友達だろうか? 相手は女の子二人組だけど……。
……あ、この子達見た事あるぞ!
この子達はーーーーーー
「あ、兄さん!!」
「……ん?」
「にょわ? お兄さん?」
ーーシンデレラプロジェクトのメンバー、双葉杏と諸星きらりだ。
「この人は私の双子の兄、三村陸だよ〜」
「へぇ……かな子ちゃんに双子のお兄さんいたんだ」
「にょわー☆ かな子ちゃんにとっても似てるにぃー」
かな子が二人に俺の紹介をする。
おっと、俺も自分で自己紹介しないと。
「三村かな子の兄、三村陸です。 いつもかな子がお世話になってます」
「そんなことないよ〜いつも杏の方がお世話になってるし」
そう言うのは気だるげな双葉杏さん。 ケーキ屋に来ているのに飴を舐めている。
「本当だにぃ。 いつもかな子ちゃんに美味しいお菓子貰ってハピハピしてるのはきらり達だにぃ」
そう言うのはニコニコ笑っている諸星きらりさん。 身長高くて言葉遣いも独特だけど、双葉さんのお世話をしてる姿を見ていると良い人そうだと分かる。
「も、もう兄さん! 恥ずかしいからやめてよ!」
「いや、ここはちゃんとしとかないといけないでしょ」
「そうだけどぉ…」
「かな子ちゃんと陸くん、とっても仲良さそうだにぃ」
いや、それ程でもありますよ。
ってか、なんで諸星さんは初対面で俺の名前を呼んだんだ? 異性の名前を呼ぶって難しいことじゃないの? 俺はかな子以外は難しいんだけど。
……あ、そうか。 俺もかな子も三村だからか。 そういや、昔から先生とかも分かりづらくならないように、俺たちのこと名前で呼んでたっけ。
「そうだねーってかさ、そろそろ二人とも座ったら? 立ったまま話すの疲れるでしょ」
双葉さんが俺達に向かってそう言う。
確かに疲れるし他のお客さんの邪魔になるな。
「あ、そうだ! ねぇねぇ二人とも。私達も一緒にケーキ食べていい?」
お、かな子そのアイデアはとても良いな。
でも、考えて欲しい。 かな子にとっては友達かもしれないが、俺や諸星さん達にとっては初対面の異性だ。
一緒にケーキ食べるとか気まずいんだけど。
そう思っていたのはどうやら俺だけのようで、二人とも相席を了承してくれた。
まさかかな子以外の女の子とケーキを食べることになるとは思わなかったよ……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ヘェ〜陸って…346カフェでバイトしてるんだ」
「うん。 杏ちゃんはカフェ利用しないの?」
「行きたくても動くのがめんどい」
「そこは頑張ろうよ」
「ええ〜陸が杏のところまで持ってきてよ〜飴あげるからさぁ」
「お使いかよ!?」
あれから飲み物を持ってきらりちゃん達の席へと向かった。
今は4人で楽しくケーキを食べている。
まぁ、杏ちゃんはきらりちゃんに食べさせてもらってるんだけど。
ちなみに、名前を呼んでいるのには理由がある。
二人には名前で呼んでもいいよって言われたので、なら苗字でも良いなと思って呼ぼうとすると、きらりちゃんが「にょわー☆ ハピハピするにぃ☆」と言いながら妙な威圧感を出してきたのだ。
俺はそれに逆らえなかっただけだ。
「陸くんが346カフェでバイトしてるなら、杏ちゃんを連れてきらりも行くー!」
「私も智絵理ちゃんと一緒に行こうかな〜カフェのケーキって美味しいし」
「智絵理ちゃんって緒方さんのこと?」
「陸って智絵理ちゃんのこと知ってるんだ」
「まあね。 宣材写真の時の集合写真見せてもらったから、シンデレラプロジェクトの全員分かるよ」
「なんか恥ずかすぃ☆」
それにしてもこの2人は話しやすいな。
きらりちゃんは聞き上手で話し上手だし、杏ちゃんは見た目が子どもなので話しやすい。 それに趣味もちょっと合うので、マニアックな話ができるのも話しやすい理由だろう。
「前の未央ちゃん達のステージ凄かったよね」
そんなことを思っていると、かな子がケーキを食べながらそう言ってくる。
かな子、ケーキ食べるのはいいけどそれで何個目?
「確かにキラキラしてて素敵だったにぃ! きらり達もいつかあんな素敵なステージに立ちたいなぁ」
「まぁ、確かに凄かったね。 でも杏は働きたくないな〜」
「ならなんでアイドルになったのさ」
「印税ゲットしてのんびり暮らす為だよ〜」
ヘェ〜そんな理由でアイドルをやる子もいるんだな。
「あれからみんなレッスンとか頑張ってるよね」
「特にみくちゃんが張り切ってるにぃ」
あの猫キャラの前川さんか。
「杏はもうちょっと気を抜いてもいいと思うけどね〜」
「杏ちゃんみたいに気を抜きすぎなのもダメじゃないかな……?」
俺もそう思うぞかな子。
「でも、杏ちゃんはやればできる子! 一緒にアイドルとして活動できる日が楽しみだにぃ」
「はいはい…」
俺もシンデレラプロジェクトのみんながアイドルとして活動する日が楽しみだ。
……それまでにお金を貯めないとな。
俺達はその後も雑談をしながらケーキを食べる。
すると、杏ちゃんがふっとこんなことを言った。
「あれ? そういえば前かな子ちゃんトレーナーさんに怒られてなかった?」
「ギクゥ!?」
ん? どうしてだ?
「そういえば、お菓子食べ過ぎだーとかアイドルなんだから体型には気をつけろって言われてたにぃ」
「い、いや〜ちゃんと気をつけてるよ? せっかくアイドルになったんだし」
そう言って、かな子は4皿目のケーキを食べ終わる。
……おい。 言ってることとやってることが違うぞ。
「かな子」
「な、なに兄さん」
「そういえば、最近かな子がお菓子作ってるとこを見てなかったな。 お菓子作ってないの?」
「え、でもかな子ちゃんほぼ毎日お菓子の差し入れくれるよぉ?」
かな子が答える前にきらりちゃんが答える。
かな子の顔が少しずつ青ざめてきている。
「ほぼ毎日お菓子の差し入れねぇ……かな子、正直に言いなさい。 どこでお菓子を作ってたのかな?」
「…………346プロダクションの調理場とかです」
「そっかそっか」
うんうん。 家でお菓子を作り過ぎると俺に怒られるから、346プロダクションの調理場とかを使ってたんだな。 偉い偉い。
「ねぇ、かな子」
「は、はいい!!」
なんでそんなに怯えてるのかな? きらりちゃんも怯えてるし、杏ちゃんは少し顔が引きつっているよ。
俺はただ笑ってるだけなのに。
「今日のケーキバイキングはこれで終了。 で、明日からお菓子作り禁止で俺の運動メニューに付き合ってもらおうか
」
「ちょっ! ちょっと兄さん!」
「付 き 合 っ て も ら お う か」
「……は、はいぃぃ」
「よし、そろそろ時間も良いところだし、俺たちは帰ろっか。 きらりちゃん、杏ちゃん、またどこかで会おうね」
「「う、うん……」」
俺達はケーキ屋を出る。
きらりちゃん達には悪い思いさせちゃったな。
いつかなにか奢ろう。
俺は意気消沈しているかな子と一緒に家へと帰って行った。
日本語なのにきらりの口調難しい。
次はアニメ4話の話をかな子視点で描く予定です。