異世界の少女と絶望のデッキ   作:仕舞獅子舞

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最近1話が長いです。
そして今回もデュエルします。そろそろ日常回を入れてもいいかなと思う今日この頃。
では、本編をお楽しみください。


強襲する魔玩具と殲滅する機械竜

ーーPLUTOがやられた。

ーーあいつ、油断しすぎなんだよ。なにが十代に勝っただよ。コレクターズパックで一人だけSR枠だとか言って浮かれてるから、あぁなるんだよ。

ーー各々思うことはあるだろうが、今は静かにしてくれ。

 

アンチホープの精霊の一言で、その場は一気に静まりかえった。

 

ーー我が皆に自分の身を守るように言ってから、まだ12時間も経っていないというのにPLUTOがやっれたことに、諸君も思うところがあるだろうが、今は抑えて欲しい。

ーーあっアンチホープさん怒ってるネェ。

 

PLUTOがやられたのはアンチホープにとっても想定外だった。それよりも、清澄冷菓のプレイングが想定外だった。

露骨に自爆特攻をさせようというのなら、PLUTOも清澄冷菓の身体を乗っ取ってでも止めようとしただろう。だが……

 

ーー榊遊矢、やつはこの世界の主人公だったな。

ーーそうだよ、アンチホープさん。十代と同じ、デスティニードローの使い手だ。

ーーカードを書き換えたりもしたみたいね。

 

アンチホープは考える。清澄冷菓は榊遊矢が主人公であることも考慮に入れた上であのプレイングを行ったのか、と。それならばこれから先も、精霊達に気づかれずに封印を解いていくことも可能なのではないかと。

 

ーーこのままでは清澄冷菓の全ての封印が解かれ、清澄冷菓とそのパートナーは本来の役割を担っていくだろう。

 

それではまずいのだ。アンチホープ達の目的の目的の達成が、不可能となることだけは、何があっても避けねばならない。

 

ーーやむをえん。パートナーの青年に接触するしかないな。

ーーは? お前さん、頭おかしくなったか?

 

精霊の一人がアンチホープにくってかかるも、当の本人は平然とした態度を崩さない。

 

ーー何か問題でも?

ーー問題でも、じゃねぇよ! お前さん、絶対にパートナーにばれないようにしなきゃいけない的なこと言ってたじゃねぇかよぉ!

ーーあぁ、だが状況は変わった。

 

アンチホープはため息を一つ。

 

ーー避けたかったが、やるしかない。パートナーを、こちらへ引き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ待ってよぉ!」

 

私は振り返らずに歩き続ける。今日のデュエルでいくつかのことがわかった。一つは、プラネットカードには何かしらの秘密が隠されているということ。そしてもう一つは、アニメが原作改変されずに進んでいるということ。

 

「ねぇ待ってよ! さっき使ったカードってプラネットカードだよね!」

 

原作改変されていないなら、私がこのままこの世界にいても問題はなさそうだ。

 

「The suppression PLUTOって、冥王星を意味するカードだよね!」

 

さて、帰ったらあの暗黒会をもう少し改造しよう。今回は初手がよかったからあんなに回っただけであって、いつもそうなるとは限らない。

やはりPLUTOとCcapac Apuを共存させるのは少し難しいか。けれどCcapac Apuも強力なカードだからできれば入れたいし、PLUTOは道連れとの相性がいい。

 

「ねえお姉さん! 止まってよ!」

 

いっそのこと新しいモンスターを入れてみるか? でも暗黒界と相性の良さそうなモンスターはほとんど試したはずだ。

 

「無視しないでよぉ!」

 

マスクチェンジセカンドをピンでさすのは悪くないと思う。ダークロウ自体が強力だし、デッキによってはこいつだけで積むことが多い。ミラーマッチだと、ダークロウほど心強いモンスターはいない。

 

「でもなぁ……マスクはなぁ……」

「え? マスク?」

『マスク2は制限だから、引けるかわからないからな』

 

白井さんの言う通り、マスクチェンジセカンドは制限カード。さらにそれをサーチするシャドーミストも制限カード。

 

「やっぱり切り札というより隠し武器みたいな感じだから……」

「マスクが隠し武器?」

 

いっそのこともっと途轍もないカードを入れてみるか。例えば……

 

「エーリ暗黒界」

「!?」

『語呂だけはいいな』

 

流石に回らないか……。手札からハンターやソルジャーを捨ててアンモナイトでサルベージ。

 

「うーん、ダメね。衝撃が足りない」

「ねぇ、何の話してるの?」

 

やはりもっと衝撃を足すには……

 

「インヴェーーだめね。帝、サイバー、サイファー、エンジェー、シナジーが足りない……」

「ちょっと、話くらい聞いてよ、お姉さん」

 

私は足を止めて、振り返る。

 

「結構我慢強いのね」

「うん! 褒めて褒めて!」

「褒めはしないわ。えーっと、遊勝塾のところの人」

「あっ、自己紹介してなかったね、お姉さん!」

 

自己紹介しなくてもわかる。水色の髪に、棒付きキャンディーを舐めたその姿が特徴的な男の子、紫雲院素良。

 

「僕は紫雲院素良!」

『知ってた』

「私は清澄冷菓。じゃあ、さようなら」

 

再び歩み出す私。彼も後ろからついてくる。

 

「ちょっと待ってよ。あのカード、The suppression PLUTOを僕に見せてよ!」

「お断りするわ。他を当たって」

「他がないからお姉さんに言ってるの! ししょーは気づいてなかったけど、それは世界に1枚しかないカードなんだよ!」

 

……えっ?

 

「そっ、そうなの?」

「うん、プラネットカードは世界に1枚ずつしかない、カードデザイナー・フェニックス氏が作ったカードだよ」

 

……嘘でしょ。この世界でもその設定は引き継がれているの?

漫画版遊戯王GXにおいて、プラネットカードは世界に1枚しかない超レアカードで、十代のジ・アースを除く全てのカードが、所在不明だったのだ。

 

「えっと……The suppression PLUTO以外にも、同じようなカードがあるってこと?」

「僕も名前しか知らないんだけど、最初はTheっていう冠詞がついてて、真ん中の言葉が小文字、それで最後の言葉は大文字っていうのが、プラネットカードの名前の特徴なんだって。それで、全部のカードがメインデッキに入れられる効果モンスター」

『おーい、誰かさんのこと忘れてるぞー』

 

……ジ・アースさん。忘れられてますよ。やっぱり名前をThe hero EARTHにした方がよかったんじゃないでしょうか。

 

「プラネットカードはある日突然消えちゃって、それ以来どこにあるのかわからなくなってたんだよ。そのうちの1枚を、どうしてお姉さんが持ってるの?」

「カードは拾ったわ」

「世界に1枚しかないカードを落とすかなあ?」

 

30000円のカードを落としてる人ならいたけど。

あっ、でもあのカードって場所によって価値が面白いほど変わるんだっけ。オークションだともっとするとかしないとか。

 

「私のカードが世界に1枚しかなかろうと、拾ったものは拾ったものなんだけど」

 

OCGだと大量に刷られましたけどね。あのパックはサイファーとアーカイブが欲しくて買ったんだっけ。

 

「拾い物のカードなら、僕に見せてくれても……」

「拾い物でも私のエースだから、断るわ」

「えーっ、ケチー」

「残念、私はケチなのよ。……ところで、どこまで着いてくる気なの?」

 

家の前まで来ていたが、私はその前をスルーしてその先にあるスーパーマーケットへと向かう。そろそろ弁当が半額になる時間だ。

 

「どこまでって、お姉さんがThe suppression PLUTOを見せてくれるまで、どこまででも着いて行くよ」

「……トイレまで着いてきたら、殺すけど、いい?」

「僕だってそこまで非常識じゃないよ。流石にトイレとかお風呂にまではついていかないよ」

 

スーパーに入って、そのままお惣菜コーナーを目指す。素良も後ろからついて来るが、首を傾げて疑問を口にする。

 

「なんでこんなところに?」

「私は一人暮らしだから、毎日の食事も自分でどうにかしないと」

「へぇー、お姉さん、一人暮らしなんだー」

「今はちょっと違うけどね」

 

白井さんがケータイに入ってから、食事の時間が寂しくなくなった。やはり誰かと食べる夕食は楽しい。まぁ、白井さんはケータイの中だから何も食べられないんだけど……。

 

「ねぇねぇ! 早くプラネットカードを見せてよぉ!」

「しつこいなぁ……」

『へい清澄! こういう時はデュエルで解決だぁ!』

「……うーん、でもデッキがなぁ」

 

今あるデッキは、暗黒界、カードが1枚足りないアンチホープ、そしてネタデッキが1つ。いつもならネタデッキで戦うが、今回のデッキでは流石に勝てない。

 

ダイヤモンドガイデッキ。終わりの始まりやファイナルインゼクションなどの超強力カードをノーコストで使用するデッキだ。

 

DーHEROダイヤモンドガイ、レベル4

攻1400、守1600

1、1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくり、それが通常魔法カードだった場合、そのカードを墓地へ送る。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。この効果で通常魔法カードを墓地へ送った場合、次の自分ターンのメインフェイズに墓地のその通常魔法カードの発動時の効果を発動できる。

 

終わりの始まりは3枚ドローするカード。ファイナルインゼクションは、相手のフィールドのカードを全て破壊し、バトルフェイズ中のモンスター効果の使用を封じるカード。どちらも要求されるコストが尋常ではない通常魔法。それらをダイヤモンドガイの効果によって、コストを踏み倒して使用するデッキ。

普通のデッキ相手なら、ダイヤモンドガイデッキでもいい試合ができるのだが、相手はあのファーニマルだ。

 

1キル好きの玩具、ファーニマル。防御札が少ないダイヤモンドガイデッキでは、抵抗する間も無くワンキルされる。例えダイヤモンドガイでファイナルインゼクションがめくれても、次のターンが来なければ意味がない。

 

『デッキって、ワンキル相手なら、ワンキルで対処すればいいだろ』

「へ?」

『太もものデッキケースに入れっぱなしだろ? 俺の龍大神デッキ』

 

……忘れてた。そういえばそんなデッキもあった。

最近では本当にお守り扱いだったこのデッキも、一応私たちが組んだ炎王を殺している、実力のあるデッキだ。

 

「……でも、龍大神の回し方、知らない……」

『じゃぁ俺が代わりにデュエルしてやるよ』

「お願い」

 

半額になった弁当を持ってレジに並びながら、私は紫雲院素良に話しかける。

 

「わかったわ。そこまで言うなら私のThe suppression PLUTOを見せてあげる」

「ホントッ!?」

「ただし、私にデュエルで勝てたらね」

 

お弁当を持ってスーパーから出る。

 

「もし素良が私にデュエルで負けたら、これ以上私につきまとわないこと」

「はーい」

「あと、私が勝ったら素良はプラネットカードについて知っていることを全て話すこと」

「はーい」

「勝っても負けても、文句は絶対に言わないこと。あと、もし敗者が勝者の望むことをしなかった場合、勝者は敗者のデッキを没収できるっていう条件でーー」

「デッキを没収ッ!?」

「うん、お互いに言うこときけば、一切問題ないよ。まぁ私の場合はカードを見せて、素良の場合は私につきまとわない。これをちゃんと実行すればいいのよ」

 

このくらいの条件をつけないと、彼なら平気でついてきそうだからそう言ったが、流石にデッキ没収は酷すぎたか。私の中の何かが、チクリチクリと痛みをあげた。

 

「じゃぁ、デュエルをする前に」

「まだ何かあるの!?」

「うん、エクストラデッキの枚数を教えて?」

 

一瞬ほうけた顔をする素良だったが、すぐに笑顔を浮かべて、15枚だよ、と教えてくれた。

 

「ありがとう。ついでに私のデッキも15枚よ」

『おっ、エクストラ枚数を聞き出してくれてありがとよ』

 

ちょっとズルイが、勝つためには仕方ない。ファーニマルデッキで、エクシーズやシンクロなどの混ぜ物がされていない場合、エクストラの枚数で相手のデッキの中身を軽く推測できたりする。15枚のデッキということは、チェーンやソウが採用されている可能性を示唆しているのだ。流石にキマイラ、タイガー、ウルフ、ベアー、サイベルタイガーを全て3積みするようなことはしてこないだろう。

 

私は弁当が入ったレジ袋を地面に置き、腕にデュエルディスクをつける。それに合わせて素良もディスクを構えた。

あたりに人はいないし、この通りはわりと広い。デュエルをするには、丁度いい。

 

『さて、そろそろ変わるか』

「白井さん……できるだけ私のフリしてね」

 

あぁ、という彼の言葉とともに、私の意識は私の身体から引き抜かれた。

 

 

 

 

 

 

 

「「デュエル!」」

 

清澄(白井)LP4000

紫雲院素良LP4000

 

互いに4000のライフからスタートするのがこの世界の常識だが、俺にはどうもしっくりこない。OCG環境で、瞬間最大火力を求めてデッキを組んできた俺、白井にとって、この世界のライフは少なすぎる。

オベリスクの攻撃一回でライフが飛ぶなんて、歯ごたえがなさすぎる。OCGでオベリスクを3体並べた俺がバカみたいだ。

 

「先行はもらったわ。私のターン」

 

……うん、清澄の声で清澄の真似をするのって、なんか違和感があるな。俺が俺じゃないようなーーまぁ実際俺じゃないんだが、俺がなんなのかわからなくなるような、不思議な感覚だ。

 

手札を見る。このデッキは俗に言うコンボデッキだ。コンボを始動させるには、少なくとも4枚のカードが必要だ。たった4枚だ。普通のデュエリストなら毎ターン初手に揃えられるだろう。

うん、そういう意味で俺は普通じゃないらしい。

 

「泣けて来るわー」

『コンボが始まらないからって、泣かないで……』

 

耳元のイヤホンから聞こえてくる清澄の声。自分の声も清澄の声なので、なんだかとても気味が悪い。せめてイヤホンから聞こえる声が俺の声だったら……いや、逆に混乱するな。

 

「とりあえず、手札からクリバンデットを召喚」

 

クリバンデット、レベル3

攻1000、守 700

1、このカードが召喚に成功したターンのエンドフェイズにこのカードをリリースして発動できる。自分のデッキの上からカードを5枚めくる。その中から魔法・罠カード1枚を選んで手札に加える事ができる。残りのカードは全て墓地へ送る。

 

フィールドに現れたのは、スカーフを巻いた眼帯姿のモンスター。クリボーに若干姿が似てるが、口の端しから伸びた牙はクリボーの雰囲気とかけ離れた代物だ。

 

「そのままターンエンド。ターン終了時、クリバンデットの効果を発動するわ」

 

クリバンデットをリリースし、デッキトップを5枚めくる。

 

「1枚目、イルミラージュ。2枚目、獄楽鳥。3枚目、SR三つ目のダイス。4枚目、魔法カード、強制転移。5枚目、BF疾風のゲイル」

「強制転移……お姉さん、珍しいカードを使うんだね。弱いモンスターでも送りつけるのかな?」

「まぁ、そんなとこよ」

 

あれ? と声を上げるのはケータイの中の清澄。

 

『イルミラージュって、何?』

「幻竜族のレベル3チューナーだ。ガイザーでリクルートできるから入れてる」

 

イルミラージュは俺の遊び心で入れたモンスターだ。以前コスプレイヤーのユッピーにこのデッキの調整を手伝ってもらった時、勝負を分けることになったのがこのカードだったので、抜くに抜けなくなってしまったのだ。

 

「私は強制転移を手札に加えて、ターンエンド」

 

うーん、ゲイルが墓地に落ちたのが痛かった。ゲイルはこのデッキの心臓と言ってもいいカードだ。

龍大神をフィールドに出すには、邪竜星ガイザーでリクルートするのが手っ取り早い。そのためにはレベル7のシンクロをする必要がある。

レベル7を作る方法は様々だが、2体のモンスターだけでレベル7を作るなら、BFを使うのが簡単でいいと俺は考えた。

 

「まぁゲイル1枚ならなんとかなるな。手札もいいし」

『でもフィールドはがら空き。ウルフが3回噛みにきたらやばいんじゃない?』

「大丈夫だ。なんとかなる」

 

この手札なら、そう簡単に負けはしないだろう。いくらネタデッキとはいえ、俺が本気で組んだデッキだ。

 

ネタデッキは、絶対にガチデッキに勝てないデッキというわけではない。事実、このデッキは青眼やノイドなどを殺している。

 

「まぁ、相手の手札にもよるんだけどな」

 

ターンが紫雲院素良に移る。

 

「僕のターン! ドロー!」

「あっ言い忘れてた。本気で戦わないと次のターンに死ぬわよ」

「はーい。でもお姉さんのフィールドには何もないし、もしかしたらこのターンで決着がつくかもしれないよ?」

 

紫雲院がさっきドローしたカードを俺に見せる。

 

「僕は手札から、ファーニマルベアーの効果を発動! 手札からこのカードを墓地に送ってデッキからトイポットをセットするね」

「ふーん、トイポットねぇ……」

 

墓地にウィングがなければ、トイポットは怖くない。

 

「そしてセットされたトイポットを早速使うね!」

 

フィールドに現れるのはガシャポンに似た何か。普通のガシャポンと違い、何故か舌があるが、気にしてはいけない。そういうものだと割り切らなくては。

 

「僕は手札のファーニマルウィングを捨てて、トイポットの効果はっつどー!」

「……ですよねー。持ってますよねー、ファーニマルウィング」

 

トイポット、永続魔法

1、1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。確認したカードが「ファーニマル」モンスターだった場合、手札からモンスター1体を特殊召喚できる。違った場合、そのドローしたカードを捨てる。

2、このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「エッジインプ・シザー」1体または「ファーニマル」モンスター1体を手札に加える。

 

トイポットに金色のコインが投入され、レバー代わりの腕が大きく動く。

 

「何が出るかな、何が出るかなっ!」

 

トイポットの口から吐き出されるカプセル。その中に入っていたのは、ファーニマル・オウル。

 

「当たりだね! 僕はトイポットの効果で、手札のファーニマル・オウルを特殊召喚!」

 

ファーニマル・オウル、レベル2

攻1000、守1000

「ファーニマル・オウル」の1、2の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

1、このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。

2、500LPを払って発動できる。自分の手札・フィールドから、「デストーイ」融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

「ファーマル・オウルの特殊召喚時、効果はっつどー! デッキから融合を手札に加えるよ」

「どうぞどうぞ」

『くるかな、シザーウルフ』

「くるだろ。まぁシザーが手札にあるか知らんが」

 

融合デッキの弱点は、融合できずに手札でカードが腐ることだ。シャドールやHEROでそういうことは起こりにくいが、カードが少なかった頃のファーニマルは、手札にシザーが来なくて死ぬことも多々あった。

 

「あれ? 融合を手札に加えたのに、全然驚かないね」

「融合するなんて最近じゃそんなに珍しいものでもないでしょ?」

『よく見かけるよね。主にメタルフォーゼで』

 

ただの融合で、OCG次元の俺が驚くはずもない。というかシャドールフュージョンを知ってる人は誰も驚かないと思う。デッキ融合なんて見せられた後じゃ、普通の融合なんて可愛いものだ。

……普通の融合でもエクストリオは勘弁してくれ。D・HEROでV・HEROを出すデッキ相手にエクストリオを出した友人の顔が頭に浮かぶ。

 

「ふーん、まぁ珍しくはないよね。さっきデュエルした時はししょー、すごく驚いてたのに」

「育った環境の違いよ。さぁ、デュエルを続けて」

「うん、僕は墓地のファーニマルウィングの効果を使うよー!」

 

素良の言葉とともに、墓地のウィングが除外される。

 

「ウィングの効果対象は、墓地のファーニマル・ベア! 墓地のベアを除外してデッキから1枚ドロー!」

 

ウィングの効果はこれで終わりではない。

 

「さらに、フィールドのトイポットを破壊してデッキから1枚ドロー! さらにさらに! トイポットが破壊されたことで効果が発動するよ! 僕はデッキからエッジインプシザーを手札に加えるね」

 

紫雲院素良の手札は8枚。おっかしいなぁ。強欲な壺を使ったわけでもないのに手札が増えてるよ?

 

『やっぱりエグいね、ファーニマルウィング』

「まったくだ。しかもこれでシザーと融合が手札にある状態ができちまった。最悪だよ」

 

ファーニマルの主力、デストーイモンスターは、2体を除いて、基本的にはエッジインプモンスターとファーニマルモンスターが必要となる。今フィールドにはオウルがいる状態なので、手札のシザーと融合すればタイガーかウルフが出てくる。

 

「僕は手札からファーニマルシープを特殊召喚!」

 

ファーニマル・シープ、レベル2

攻 400、守 800

「ファーニマル・シープ」の2の効果は1ターンに1度しか使用できない。

1、自分フィールドに「ファーニマル・シープ」以外の「ファーニマル」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

2、このカード以外の自分フィールドの「ファーニマル」モンスター1体を持ち主の手札に戻して発動でる。自分の手札・墓地から「エッジインプ」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

「ファーニマルシープはフィールドにファーニマルモンスターがいる時、手札から特殊召喚できるよ」

「テキスト読めば分かる……わ」

 

あぶねぇ。思わず素に戻っちまった。

 

「うん、じゃあもう一つの効果も説明不要だよね。フィールドのオウルを手札に戻して、手札からエッジインプシザーを特殊召喚!」

『オウルを再利用するつもりかな?』

「だろうな」

 

オウルの融合をサーチするカードは、召喚時効果だ。それとは別に500ライフを払うことで融合を使わずに融合できるが、相手のデッキがなにかよくわからない状況下で、例え500といえどもライフを支払うのは危険だ。

OCGなら500くらいたいしたことないが、4000しかライフがないこの環境下では命取りになりかねない。

 

「それじゃあ、手札から融合を発動!」

 

何が出るかな、何が出るかな? まぁこの状況下なら、あいつだろ。

 

「手札のファーニマル・キャットとフィールドのエッジインプシザーで融合召喚! 現れ出ちゃえ! 全てを噛み切る孤高の魔獣! デストーイ・シザー・ウルフ!」

 

デストーイ・シザー・ウルフ、レベル6

攻2000、守1500

「エッジインプ・シザー」+「ファーニマル」モンスター1体以上

1、このカードは、このカードの融合素材としたモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

 

「ほえぇ、なんかすごそーなモンスターがでてきたなー」

『白井さん、棒読みすぎ……』

「ふふーん、すごいでしょ。でもまだまだこれから! 融合素材になったファーニマル・キャットの効果はっつどー!」

 

キャットの効果? と呟いたのは清澄だ。

 

「おまっ、ファーニマルデッキ作ったんじゃねぇのかよ」

『……あっ、思い出した。融合の回収だったっけ』

 

紫雲院素良はさっき使った融合を、墓地から手札に戻した。

これで素良の手札は6枚。うち1枚はファーニマルオウルで、もう一枚は融合だ。まだ明かされていない手札は4枚。こっから何が飛び出してくるか、有る程度は予想がつくが、想定外が起こらないはずがない。

俺は自分に手札に視線を落とす。大丈夫だ。俺は、そう簡単には負けはしない。

 

「さらに僕は手札から融合を発動!」

『っ! 手札にまだエッジインプが!? あっ、サーベルタイガー……』

「僕はフィールドのファーニマルシープとエッジインプチェーンで融合召喚! 現れ出ちゃえ! 全てを封じる鎖のケダモノ! デストーイ・チェーン・シープ!」

 

デストーイ・チェーン・シープ、レベル5

攻2000、守2000

「デストーイ・チェーン・シープ」の2の効果は1ターンに1度しか使用できない。

1、このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

2、このカードが戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力は800アップする。

 

「清澄、お前の予想は外れたな」

『うーん、サーベルタイガーでもいい気がするけど』

「いや、ここではサーベルタイガーを出さないのが正解だ」

 

デストーイサーベルタイガーはデストーイモンスターを融合素材にする代わりに、墓地のデストーイを蘇生する効果がある。それを使えば素材にしたウルフを蘇生できるが、ウルフの「融合素材にしたモンスターの数だけ攻撃できる」という効果が消える。

 

「清澄、もうちょっとよく考えろ。お前のカード知識でも、サーベルタイガーを出さない理由はすぐ分かると思うが」

『……あぁ、なるほど』

 

何はともあれ、これで紫雲院素良の手札は4。だが、墓地にエッジインプチェーンが落ちた。

 

「墓地のエッジインプチェーンの効果はっつどー! このカードは手札から墓地に送られた時、デッキからデストーイカードを手札に加えられるよ」

「デストーイカード……」

「僕が手札に加えるのは、デストーイマーチ」

 

デストーイマーチはデストーイモンスターを対象とした効果を、無効にして破壊できるカウンター罠。

 

遊戯王にはスペルスピードという概念がある。スペルスピードが高い効果には、もっとスペルスピードが高いカードか、同じスピードのカードしかチェーンして発動できない。

その中で最もスペルスピードが高いのが、カウンター罠。カウンター罠にはカウンター罠しかチェーンして発動できない。

 

そして俺の龍大神デッキにはカウンター罠が入っていない。

 

だから俺にとって、デストーイマーチが一番厄介なカードであることは間違いない。

 

「めんどいなぁ。ガイザーさんでウルフぶっ殺すつもりだったのに」

『そんなこと考えてなかったくせに』

「まぁな。ガイザーで破壊すんのは基本的にバックだ」

 

俺がそんなことを清澄と話していると、紫雲院素良は頬を膨らませた。

 

「さっきから何ブツブツ言ってるの? 独り言?」

「まぁ、そんなもん……よ。気にしないで」

「ふぅん。攻撃力2000のモンスターが2体並んでるのに、全然動揺しないんだね」

 

彼はデュエルディスクをいじると、感心したように声をあげた。

 

「SR三つ目のダイス。聞いたこともないカードだけど、このカードが墓地にあるからそんなに冷静なんだね」

「墓地から自身を除外して、攻撃を一回無効にするカードよ。強いでしょ」

「ネクロガードナーと同じ効果かあ。確かに強いね。でもーー」

 

彼の口元に笑みが浮かぶ。

 

「僕のデストーイ・シザー・ウルフは2回攻撃できるんだよ」

「ひょっ!?」

「バトル! デストーイ・シザー・ウルフでダイレクトアタック!」

 

これじゃあ三つ目のダイスを使っても、4000のダイレクトアタックが飛んできて、ライフが0になっちまう!

 

「……なんてね。手札からSRメンコートの効果発動! 手札から自身を特殊召喚して、相手のモンスターを全て守備表示にする!」

 

SRメンコート、レベル4

攻 100、守2000

1、相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚し、相手のフィールドの表側表示モンスターを全て守備表示にする。

 

「手札誘発!? そっか、三つ目の効果がなくても、そのモンスターがいれば攻撃は防げるから、そんなに落ち着いてたんだね」

「大正解。そんなあなたにはシーホースを贈呈します」

「いいよ、いらない。僕はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

さて、紫雲院素良のターンが終了したところで、状況を整理してみよう。

俺の手札は4枚でフィールドに攻撃表示のSRメンコート。伏せカードはなく、ライフは初期値。どうでもいいが、エクストラデッキはまだ15枚だ。

一方の紫雲院素良の手札は3。ライフも4000のままで俺と同じ。だが、フィールドは違う。デストーイ・シザー・ウルフとチェーン・シープが一体ずつと、伏せカードが2枚。

ははは。フィールドアドは向こうの取られたな。でも、俺のデッキの相手じゃない。

 

「ターンはもらうわ。とりあえず、ドロー」

「あっお姉さん、早めに聞いておきたいんだけど」

 

プラネットのこと以外なら、と俺が言うと、彼は苦笑いを浮かべた。

 

「いや、別にプラネットは関係ないよ」

「じゃあ、何?」

「お姉さんって、動物好き?」

 

……は?

えっ何、精神攻撃フェイズ? そういうことなら俺も本気だすぞ?

 

『えーっと、動物は好きだけど、どうしてそんなことを?』

 

よく分からないが、とりあえずうなづく。

 

「じゃあ、ウサギは好き?」

「うさぎって、幽鬼ウサギ? レスキューラビット? バニーラ? デスウサギ? それともBKラビット・パンチャー?」

「カードじゃなくて、動物のウサギだよ。あの耳が長いーー」

「性欲がつよい?」

「そう、そのウサギ」

 

俺は軽くイヤホンを叩く。

 

『えっ、ウサギはそんなに好きじゃないかな。飼うのめんどくさいし、臭いし』

「ウサギは嫌いよ。……ねぇ、この質問に何か意味があるの?」

「いや、ないよ。本当に聞きたいのはこっち」

 

彼は真剣な顔で俺の方を見る。

 

「ねぇ、リスは好き?」

「リスってーー」

「ドングリスでもなければ、バージェストマ・アノマロカリスでもないよ。生き物のリス」

 

なんだ? 生き物のリスが好きか否かって、なにきいてるんだ?

 

『リス……どっちかというと、嫌いね。私、爬虫類が好きなの』

 

清澄の答えを、要約して素良に伝える。

 

「リスは嫌いよ」

「……ふーん、そうなんだ。やっぱ別人か。ごめんね、時間取っちゃって」

「……まぁいいわ。続けましょう」

 

さてさて、俺の手札がかなりヤル気に満ちている。いつもなら手札に龍大神を握ってたりするのに、今回はまだ引いてない。

 

「さて、手札からSR電々大公を召喚。こいつはレベル3のチューナーだ……わ」

「チューナー、ってことは……」

「そう、レベル4のSRメンコートにレベル3のSR電々大公をチューニング!」

 

合計レベルは7。

さぁ、来いよ。召喚口上が思いつかないモンスター。

 

「きやがれ! 邪竜星ガイザー!」

 

邪悪なオーラをまとったモンスターがフィールドに現れるが、その目は少し悲しそうだ。すまない、ガイザー。今度までに召喚口上、考えておくよ。

 

「へぇ、シンクロ召喚、使えるんだ。しかも攻撃力2600のモンスターを出すなんて」

「ふふん! すごいでしょ!」

「わぁ! すごーい!」

「えへへ…………馬鹿にすんなぁ! ガイザーの効果発動っ! 対象はガイザーとバックのーーそっちから見て右のカード! ガイザーの効果は、対象のカードを破壊する効果よ」

 

破壊された伏せカードは、デストーイマーチ。うーん、そっちか。

 

「ねえお姉さん、どうして自分のモンスターを破壊しちゃったの? これでまたフィールドがガラ空きだよ?」

「ふふっ、ガイザーの効果はこれで終わりじゃないわ。ガイザーは破壊された時にデッキから幻竜族モンスターを特殊召喚できるの」

 

俺はデッキから1枚のカードを引き抜く。このデッキのエース。そしてデッキの中核。

俺と清澄の、二つの清澄の声が重なる。

 

「『この地に眠る太古の竜よ。今こそ長きに渡る眠りから目覚め、我らを究極へと導け! 現れろ、私たちのキーカード。龍大神!』」

 

龍大神、レベル8

攻2900、守1200

1、相手がモンスターの特殊召喚に成功した場合に発動する。相手はエクストラデッキのカード1枚を選んで墓地へ送る。

 

フィールドに現れる、オオカミを模した頭を持つ竜。龍大神。神聖な雰囲気を持つこのモンスターこそが、破壊を生み出す権化。

 

「守備力1200。効果は……エクストラデッキの破壊!? だから最初にエクストラデッキの枚数を確認したの!?」

『いや、そういうわけじゃないんだけど』

 

清澄の行動はエクストラデッキから相手のデッキ内容を探ろうとしただけに思えるが、あえてツッコミはいれない。

 

「さらに、手札から強制転移を発動!」

「クリバンデットで手札に加えたカード!」

「互いにモンスターを選んで、コントロールを入れ替えるカードよ。私はこの龍大神をあげるわ」

「くっ、厄介なカードを。僕はデストーイ・チェーン・シープをあげるよ」

 

互いのモンスターが入れ替わる。それにしてもシープとはいいものをもらった。これなら普段は出せないあいつが出せるな。

 

「さらにさらに! 墓地のSR電々大公の効果を発動!」

「墓地発動の効果だって!?」

「その通り! SR電々大公を除外して、墓地のレベル3チューナー、SR三つ目のダイスを特殊召喚する!」

「へぇ、電々大公ってモンスターにそんな効果があったんだ。でも、これで龍大神の効果が発動するよ! お姉さんはエクストラデッキのカードを墓地に送ってね」

 

俺はエクストラからカードを1枚抜き取り、墓地へ送る。

 

次の瞬間、紫雲院素良の伏せカードが、爆散。

破壊されたカードは、攻撃の無力化。

 

「っ!? 一体何が!?」

「私が墓地に送ったカードは、旧神ヌトスよ」

 

旧神ヌトス、レベル4

攻2500、守1200

Sモンスター+Xモンスター

自分フィールドの上記カードを墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。自分は「旧神ヌトス」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

1、1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札からレベル4モンスター1体を特殊召喚する。

2、このカードが墓地へ送られた場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

このカードは、ノーデンやアザトート、ハストールと同じクトゥルフと呼ばれるモンスター達のうちの1匹。

ヌトスの効果は、一つ目の効果ではなく、二つ目の効果の方がよく知られているだろう。

 

それが、墓地に送られた時にフィールドのカードを破壊する効果だ。これは自分でエクストラデッキから墓地に送っても発動する効果で、主に帝などで使用されるカード。

 

「ヌトスでバックを破壊させてもらったわ。さらに、レベル5のデストーイ・チェーン・シープにレベル3の三つ目のダイスをチューニング!」

 

さぁこい、OCGが生み出した怪物!

 

「シンクロ召喚! きやがれ! トラウマ生産機、PSYフレームロード・Ω!」

 

PSYフレームロード・Ω、レベル8

攻2800、守2200

1、1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。

2、相手スタンバイフェイズに、除外されている自分または相手のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地に戻す。

3、このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。

 

「今度は攻撃力2800のモンスター!」

「さらにそっちのフィールドにいる龍大神の効果発動! 私はエクストラデッキからサイバードラゴンノヴァを墓地へ送る!」

「サイバードラゴンだって!?」

 

素良が反応したのは、知っているモンスターが出てきたからだろうか。融合次元の人なら、知っていてもおかしくない。

 

「ノヴァが墓地に送られた時、効果発動! エクストラデッキから機械族の融合モンスターを特殊召喚する! こい、サイバーエンドドラゴン!」

 

サイバー・エンド・ドラゴン、レベル10

攻 4000、守 4000

1、このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

「まだまだぁ! エンドが特殊召喚されたことで、再び龍大神の効果発動!」

「まさか、また!」

「そう、そのまさかだ……わ! 2枚目のノヴァを墓地に送り、現れろ、2体目のサイバーエンド!」

「さらにモンスターが特殊召喚されたから……」

「またまたノヴァを墓地に送ってサイバーエンドを特殊召喚! 最後はアルティミトル・ビシバールキンを墓地に送るわ。……バトル!」

 

さぁ、この小さな男の子に教えてあげよう。余計なことに首を突っ込むと、大変な目に遭うってことを。

 

「いけ、サイバーエンド! デストーイシザーウルフに攻撃!」

 

清澄の声が、重なる。

 

「『エターナル・エヴォリューションバースト!!』」

「ぐぅっ! 僕のシザーウルフが!」

 

紫雲院素良LP4000ー2000

 

「『さらに! もう1体のサイバーエンドで龍大神を攻撃!』」

「でも龍大神は守備表示だからダメージはーー」

「『サイバーエンドは貫通攻撃持ち! やれ! エターナル・エヴォリューション・バースト!』」

「ぐぅっ、うわぁぁぁぁああああ!」

 

紫雲院素良LP2000ー-800

 

俺は置いてあったスーパーの袋を持って、地面に膝を着いた紫雲院に背を向ける。

 

「いいデュエルだったわ。約束通り、着いてきちゃダメよ。じゃあね」

「ねぇ……お姉さん」

 

紫雲院素良が微かに声をあげたので、俺は足を止める。

 

「また、デュエルしてくれる?」

「うーん、その時の気分かな。じゃあね!」

 

俺は早足でその場を去った。

紫雲院から早く解放されたかったというのもあるが、俺は久しぶりに人間の身体で飯が食いたかった。

 

「久しぶりの、メシ!」

 

それがたとえ売れ残りの弁当であっても、ずっとケータイの中にいた俺にとって、久しぶりの食事は、他の何よりも優先すべきことだ。

 

俺は清澄の姿で、夜の街を駆け抜けた。




今回はファーニマルと龍大神の対戦です。ワンキルデッキ同志の対戦となると、どうしてもあっけなく終わっちゃうんですよね。ライフが4000だと特に。
サイバーエンドの攻撃力が高すぎて、デストーイカスタムで蘇生しても防ぎきれない始末。一方のファーニマルも場が整っていない龍大神を殺す、殺す、殺す。初見殺しのネタデッキ相手に、そりゃないぜ。というわけで書くのにかなり時間がかかりました。
あと、オリジナルの召喚口上を考えるのに時間がかかりました。最近はなかなかアイディアが出てこなくて、書くのに時間がかかってます。ガイザーの召喚口上とか、思いつかないよ。
最後に、今回出てきたウサギの話は、今後の展開には関係ありません。


余談です。
夏が終わります。虫の季節も終わります。サヨナラ、インゼクター。引き出しに戻りな。
今年は散々暴れました。PSYフレーム、クリストロン、BF、月光、青眼、メタルフォーゼ、etc。たくさん狩りました。皆様、夏は終わりです。そろそろ群雄割拠や御前試合を抜いても大丈夫ですよ。もうインゼクターの季節は終わりです。
というかトゲトゲ神の殺虫剤はマジでやめろ! なんで全力で昆虫殺そうとしてるんですかね! 露骨すぎますよ!

そしてロストレージウィクロスのPVが公開されました。遊戯王プレイヤーのみなさん! wixoss始めましょう! ご要望がありましたらwixoss二次書きますよ!(嘘)
それではまたお会いしましょう。
感想、批判、文句、ご要望、その他もろもろ、お待ちしております!
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