異世界の少女と絶望のデッキ   作:仕舞獅子舞

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前回までのあらすじ!

柚子と冷菓で百合百合な展開に……(嘘)


音女達と絶望の『だいなそー』

柊柚子。

アニメ遊戯王アークファイブのヒロインにして、デュリストだ。いつも画面越しにみていたキャラとこうして対面すると、なんだか不思議な気分になる。

 

「……私の顔に何かついてる?」

 

私を見て固まってしまった柊ゆずの前で、手をヒラヒラと振りながら訪ねてみる。

 

「いえ! ちょっとボーッとしてただけで、別に何かがついてるとかそういうわけじゃ!」

『焦ってるよ。可愛いなぁ、柚子ちゃんは。ペロペロしたい』

 

白井さんの言葉に眉を潜めそうになるも、なんとか堪えて笑顔を保つことができた。

 

「そう。あなたここの生徒ね。始めまして、今日限りでこの学校に転校することになりました、清澄冷菓と言います」

『うわぁ、クッソ堅苦しい挨拶だな、おい。中学生とは思えねぇよな、お前』

 

アニメのキャラに会えて嬉しいのか、今日の白井さんはなんだかおかしい。初対面の人の前で変な顔をするわけにもいかにので、イヤホンの音量を少しだけ下ろす。

ワイヤレスイヤホン本体に音量調節機能があって、本当に助かった。

 

「こちらこそはじめまして。私は二年生の柊柚子です」

「あれ、ということは同い年ね」

「ええ!? 同い年なの!?」

 

アニメならではのオーバーリアクション。彼女には私が高校生か何かに思えたのだろうか。

 

「えぇ、私も中学二年生よ」

「てっきり年上かなって……」

「ふふ、よく間違われるわ」

 

白井さんとはじめてあった時も、高校生と間違えられた。

 

「ところで、ここの屋上にソリッドビジョンの機械がありって聞いたのだけど、どうやったら屋上までいけるのかわからないのよ」

「それなら渡すが案内するわ。今日は早く来ちゃって、ちょっと暇してたのよ」

 

彼女に連れられ、私たちは屋上へと向かう。その道中で、イヤホンの音量を少しだけあげる。

 

『なぁ清澄。頼むから音を切るのだけはやめてくれ。悲しくなる』

「自業自得」

『そう言うなって、この体になってから抜けてないから、溜まってるんだよ』

「サイテー」

 

今日の白井さんは頼りにならない。

デュエル中の白井さんは、頭のキレも良く、プレイングミスもない人だが、日常生活だとだらしない人だ。それでも年上らしく、頼り甲斐のある人間のはずだ。

 

「ついたわ! ここが屋上デュエルスペース。私たちがいつでも使える場所よ!」

 

だだっ広い屋上の中心にあったのは白いドーム上の部屋のようなもの。きっとこの中にはソリッドビジョンの機械が設置されているのだろう。

中に入ってみると、中心にプラネタリウムの投影機のようなものがぶら下がっている、なんとも殺風景な部屋だった。

 

「へぇ、ここの皆はこんな場所でデュエルしてるんだ」

「あなた、アクションデュエルをしたことないの?」

 

柚子が不思議そうに私の顔を覗き込む。

 

「えぇ。私が昔いた場所は、アクションデュエルは一般的じゃなかったのよ」

 

デュエルディスクすらなく、平らな板とデッキさえあれば、どこでもデュエルができる場所だったとは口が裂けても言えない。

 

「じゃあ、まだ誰も来てないし、折角だからデュエルしない?」

「えっ?」

 

突然向こうから飛び出してきた提案を、一瞬理解できなかった。

 

「ほら、アクションデュエルをやったことがなかったら、授業でも置いていかれちゃうわよ?」

 

この世界、学校の授業でもデュエルするんだ。それは私からすれば楽なことこの上ないが。

 

「そうね、折角だからデュエル、した方がいいね。柊さん。私と一戦、お願いします」

 

対して柚子は笑顔で答える。

 

「もちろん! それと、私のことは柚子って呼んでね」

「わかったわ、柚子。私のことはレーカって呼んでね」

「さぁ行くわよ、レーカ!」

 

私たちのデュエルディスクが起動し、デッキをセットするためのケースが開く。私は迷わず、昨日調整したサイフレームデッキを入れようとする。

 

『待て清澄! サイフレームは使うな!』

「どうして?」

小声で彼に尋ねる。

『早速シンクロデッキなんか使ったら、シンクロ使いが転校してきたって、大事になるぞ』

 

確かにその通りだ。この世界だと儀式召喚すらも珍しいのだ。ましてやシンクロなどしようものなら、きっと一日中質問責めだろう。

 

「じゃあどうするの? 今日持ってきた特殊な召喚をしないデッキは、アンチホープと、ネタデッキ2個の三種類だけだし……」

『別に負けてもいいから、ネタデッキを使え。むしろ負けろ。アニメキャラに勝っちまったら、この先どうなるかわかったものじゃない』

 

このデュエルで精神を完膚なきまでに叩き潰されて、自殺してしまいましたとかなったら、たまったものじゃない。

 

「レーカ、準備はできた?」

 

私は急いでネタデッキをセットする。

 

「もちろん。いつでもいいわ」

「じゃぁ行くわよ!」

「「デュエル!!」」

 

柊柚子、LP 4000

清澄冷菓、LP4000

 

 

 

 

 

今日はたまたま朝早く来てよかったかもしれない。

私、柊柚子が転校生のはじめての対戦相手になれたのだから。

彼女、レーカはアクションデュエルの初心者らしいけれど、私は手加減するつもりもないわ。

 

「私の先行よ!」

 

デュエル開始とともに、フィールド内を走る。障害物が特にない草原のステージだと、アクションマジックが比較的見つけやすい。

私の初手は絶好調。2ターン目にはきっと、レーカを驚かせることができるはず。

 

「私は幻奏の音女アリアを召喚!」

 

綺麗な声で歌いながら、フィールド上に現れる私のモンスター。

幻奏の音女アリア、私のデッキのキーカードとも言えるカード。

 

 

幻奏の音女アリア、レベル4

攻1600、守1200

1、特殊召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの「幻奏」モンスターは効果の対象にならず、戦闘では破壊されない。

 

「私はこれでターンエンド!」

 

私の手札は四枚。フィールドにはアリアだけ。

一体レーはどうでてくるのだろう。デュエルが始まってから、遊矢のように動き回ることもなく、ただ私のことを目で追っているだけ。

本当にアクションデュエルがはじめてなのだろう。もしかしたら、アクションデュエルのことを知らないのかもしれない。

 

「私のターン、とりあえずドロー!」

 

私が近くにあったアクションマジックをとったとき、かのこは勢い良くデッキからカードを引いた。

彼女は、制服の色や髪型のせいかもしれないけれど、私よりずっと華麗だ。それは一つ一つの仕草からもみて取れる。何処かのお姫様と言っても疑いはしないだろう。

 

「そうね、まずは手札断殺を発動! お互いに手札を二枚墓地へ送り、デッキから二枚ドローする」

 

手札断殺! ここで墓地へ遅れるカードは幻奏の音女セレナと、幻奏の第一楽章だけ。それ以外のカードは、これから見せるコンボに必要なパーツだ。

私は二枚を墓地に送り、デッキから二枚を引く。

レーカも同じ動作をした後、カードをドローする、やっぱり女の私も見とれるほど、彼女のドローモーションは綺麗だ。

 

「私はカードを四枚伏せて、ターンエンド。……うん、やっぱりまだ温存するよね」

 

レーカの手札は一枚。お互いのライフはまだ4000のまま。彼女の温存という言葉が少し気になったけど、今はそんなこと気にしていられない。

このデュエルに全力を尽くす。手を抜いたら失礼だ。

 

「私のターン、ドロー!」

 

相手の伏せカードは絶対に何かある。ここはコンボを使わずに、アリアで攻撃するのが一番いいはず。

 

「行くわよ、幻奏の音女アリアで攻撃! シャープネス・ヴォイス!」

すぐさま手札からアクションマジックを発動させる。

「アクションマジック、キャンディーコートを発動! このターン、幻奏の音女アリアは魔法、罠の対象にならない!」

 

キャンディーに包まれたアリアが、レーカに鋭く尖った音波を発する。

聖なるバリアーミラーフォースなどの対象を取らないトラップカードならば、きっとこのタイミングで使ってくるはず。

 

「……くっ、思っていた異常にきつい。……うん、大丈夫」

 

レーカは伏せたカードを使用せずにダメージを受けた。ということは、あのカードはどれも防御カードじゃない。

 

「私はこれでターンエンド!」

「それなら速攻魔法発動! スケープゴート! 私のフィールド上に羊トークンを四体特殊召喚する」

 

羊トークン、レベル1

攻0、守0

 

さっきのアリアでの攻撃のとき、盾にすることもできたはずなのにどうしてこのタイミングで!?

 

私は今、手札五枚でフィールド上には幻奏の音女アリアが一体だけ。

対するレーカは伏せカードが三枚に羊トークンが四体で、手札は一枚。私の方が有利なようにも見える。

 

柊柚子、 LP4000

清澄冷菓、LP2400

 

「いくわ、とりあえずドロー! 手札から一時休戦を発動!」

一時休戦、お互いにデッキから一枚ドローし、相手にターンが終わるまでお互いが受けるダメージはゼロになる。

 

「さらに、伏せていたトラップカード、ギブアンドテイクを発動。羊トークン一体のレベルを5まで上げて、柚子のフィールドに私の墓地のモンスターを守備表示で特殊召喚!」

 

彼女は墓地から一枚のカードを抜き取り、デュエルディスクにセットする。

 

「さぁ来て、私たちのキーカード! 魔界からの使者にして、滅びた覇者の亡霊!」

 

私の目の前の地面が歪み、地を割るようにしてそのモンスターが顕現する。

 

「現れろ、ダイナソーイング!!」

 

ダイナソーイング

攻 0、守 0

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

(2):このカードが攻撃対象に選択された場合に発動する。

このカードの攻撃力・守備力は1000アップする。

(3):このカードが攻撃したダメージ計算後に発動する。

このカードの(2)の効果でアップした数値は0に戻る。

 

私の前に現れたのは、白い恐竜のぬいぐるみだった。後ろ姿だけなら可愛いのかもしれないが、その顔に張り付いているのは邪悪な笑顔。アユみたいな小学生だったら、きっと泣き出しているだろう。

彼女はさっきキーカードと言ったが、召喚されたのはあくまでも私のフィールド。

 

「レーカ、さっきから何を考えているの? トークンをバトルフェイズ後に出したり、ダイナソーイングを私のフィールドに召喚したり。真面目に戦ってる?」

「大真面目なのに。これはまだ準備段階なの。柚子、焦らないで」

 

私にはそうも思えない。アクションマジックを探さないのは、初心者だからかもしれないけれど、この一連の流れは一体……

 

「さぁ、羊トークン四体を攻撃表示に! そしてトークンたちでダイナソーイングにアタック!」

 

ダイナソーイングは群がる羊たちを、首を一回降っただけで薙ぎ払う。

 

「ダイナソーイングは守備表示だから羊トークンは破壊されず、一時休戦の効果で戦闘ダメージは受けない」

 

確かにその通りなんだけど、四体のモンスターで攻撃したら……

 

「ダイナソーイングは自信の効果で攻撃力と守備力が4000になる。ねえレーカ、本当に何を考えているの? 一時休戦の効果が切れて、ダイナソーイングのダイレクアタックが通りでもしたら、一発でライフが0になるのよ?」

「えっ逆に聞くけど、気づいてないの!? ……あっそういうことね。ここだとこういう戦法はあまり取られてないんだね。解除ゴーレムとか金の玉とか使ってくる人がいたら、絵面的にまずくなるし。っていうことは、私のやってることって結構邪道なの? ……もう、そんなこと言わないでよ」

 

ブツブツとわけのわからないことを呟くレーカ。

 

「とりあえずカードを一枚セットしてターンエンド! これで準備完了! でも、当然除去しに来るだろうし……」

 

レーカのフィールドには攻撃表示の羊トークンが四体と伏せカードが三枚。LPは2400。手札は一枚

対する私は幻奏の音女アリアとダイナソーイングがフィールド上にいて、LPは4000。手札は六枚。

 

「私のターン、ドロー!」

 

この局面。攻撃力4000のダイナソーイングは温存して、アリアで羊トークンを倒しに行くのがいい。ダイナソーイングは一度攻撃すると攻撃力が0に戻るので、一時休戦が発動されている状況では、攻撃しない方がいい。

そうなると手数が足りない。

 

「私は手札から死者蘇生を発動! 帰ってきて、幻奏の音女セレナ!」

 

幻奏の音女セレナ、レベル4

攻 400、守1900

1、天使族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。

2、このカードが特殊召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「幻奏」モンスター1体を召喚できる。

 

「私は幻想の音女セレナは、天使族モンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリースにできる! 幻奏の音女セレナをリリースして、幻想の音姫プロディジー・モーツァルトをアドバンス召喚!」

 

フィールドに現れる美しく優雅な音姫。私のデッキのエースモンスター。

 

幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト、レベル8

攻2600、守2000

このカードの効果を発動するターン、自分は光属性以外のモンスターを特殊召喚できない。

1、1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

手札から天使族・光属性モンスター1体を特殊召喚する。

 

「プロディジー・モーツァルトの効果発動! 手札から幻奏の音女アリアを特殊召喚!」

 

モーツァルトの手から音が流れ出し、それがだんだん実態を形成して幻奏の音女アリアとなる。

 

「バトル!」

「トラップカード発動、威嚇する咆哮。このターン柚子は攻撃宣言できないよ」

「くっこれでターンエンド」

 

レーカは不意に上を見上げると、ゆっくりと息を吐き出す。

 

「ねぇ柚子。一つだけ覚えておいて」

「突然どうしたの?」

 

彼女はフィールド上のダイナソーイングを指差す。

四度の攻撃により、白い体の周りには紫色のオーラがまとわりついてる。

 

「相手から送られてきたモンスターには気をつけること。多分この試合、私が負けるけど、それだけは覚えておいて。……さあ決めるね。白井さん、いくよ。ドロー!」

 

レーカは勢い良くカードを引く。

 

「バトルフェイズ!」

 

何もせずにメインフェイズを終了した!?

羊トークンの表示形式を変更しないの!?

 

「羊トークンでダイナソーイングを攻撃!」

「そんなことしたら反射ダメージでライフが!」

「流石にそこまで愚かじゃないわ。トラップ、和睦の使者を発動」

 

和睦の使者は相手からの戦闘ダメージをゼロにして、戦闘によって自分のモンスターを破壊されなくするカード。

これによってダメージは受けなくなるが……

 

「ダイナソーイングの攻撃力は5000になる」

「まだまだ! 二体目の羊トークンでダイナソーイングに攻撃!」

 

攻撃力は6000に。

おかしい。自ら相手モンスターの攻撃力をあげる理由はない。

 

「さらに羊トークンでダイナソーイングに攻撃!」

 

考えるのよ、柊柚子。レーカが何をしたいのかを。

 

「さらに羊トークンで攻撃!」

「これでダイナソーイングの攻撃力は8000!」

 

彼女が何をする気かはわからないけれど、攻撃力8000のダイナソーイングで攻撃すれば、ライフを確実に0にできる。

 

「ねえ柚子。どうしてダイナソーイングをリリースしてモーツァルトを召喚しなかったの?」

「えっ? 攻撃力4000のモンスターよ? どうしてリリースするの?」

「あぁ、柚子。くどいけど絶対忘れないで。相手からもらったモンスターは早めに処理てして」

 

彼女は手を前に伸ばす。

 

「まだバトルは終わらせない。永続トラップ発動」

 

フィールドに巨大なカードが現れる。

 

「洗脳解除」

「ッ!」

 

フィールドのモンスターのコントロールを元々の持ち主に戻すカード!

 

「帰ってきて。私たちのダイナソーイング!」

 

紫色の負のオーラを纏ったダイナソーイングが私の方へとその顔を向ける。

顔に張り付いた邪悪な笑み。愛らしくも恐ろしいそのからだにまとわりつく何かが、容赦無く私に向けられる。

 

「ダイナソーイングの攻撃力は8000。柚子のフィールドで育てた甲斐があったわ」

 

その言葉で全てが繋がった。

ギブアンドテイクでダイナソーイングを送りつけたのは最初からこのためで、羊トークンで攻撃してきたのもーー

 

「さぁ私たちの切り札、ダイナソーイングで幻奏の音姫プロディジー・モーツァルトに攻撃! 絶望のドールクラッシュ!」

 

ダイナソーイングが笑みを浮かべたまま、その白い体を丸めてプロディジー・モーツァルトに迫る。

 

「アクションマジック! 回避!」

 

私は土壇場で拾ったアクションマジックを発動。

モーツァルトはすんでのところで攻撃を受け流す。

 

「ね、相手から渡されたモンスターを処理しないと、大変なことになるでしょ?」

「えぇ、次からはすぐのリリースするわ」

「これでダイナソーイングの攻撃力は0。次のターン、柚子は私のモンスターに攻撃して私のライフは0」

 

彼女は満面の笑顔でこう続ける。

 

「楽しいデュエルだったわ、柚子」

 

えぇ本当に……

 

「デュエルは楽しいわね、レーカ。私のターンドロー」

 

もしアクションデュエルじゃなかったら、私は彼女に負けていた。

彼女のデュエルは最後まで美しく、そしてトリッキーだった。

 

「私は幻想の音姫プロディジー・モーツァルトで羊トークンに攻撃!」

 

結局彼女は、一歩も動くことなくデュエルに敗北した。

 

 

 

 

『おい、清澄。お前、手抜きすぎだろ』

 

デュエルが終わり、柚子に礼を述べたあと、私は職員室に向かうといって彼女と別れた。その後すぐに白井さんはそんなことを言った。

 

「そう? ばれない程度に手を抜いたんだけど……」

『アクションマジックの中には、他のアクションマジック対策になるカードもある。それを取りにいかなかいのは、手抜きだろ』

 

やはり彼にはばれていたらしい。柚子は気づいてないようだったが。

 

『それに、最後の前のターンで神の宣告握ってたのに、わざと伏せなかっただろ』

 

私は少しだけ笑う。確かにあそこで神の宣告を発動すれば勝っていた。

 

「なんか、勝ちたくなかったのよ。柊柚子に」

 

彼女のデュエルをみていたら、遊戯王を始めたばかりの私を思い出して、不思議と勝たせてあげたくなったのだ。

相手に悪い印象を与えずに手を抜いて負けるには、神の宣告を伏せないのが最善手だった。

 

「それにしても、まさかダイナソーイングデッキが回るとはね」

『事故率90%越えのデッキだ。元はと言えば、エクストラパックを買いすぎたせいで余ったダイナソーイングを、なんとか有効活用しようと思って作ったデッキだったんだがなぁ』

 

身内でこれが披露された時は一回も成功していなかった。

 

「でもこれで、柊柚子に接触できたし、デュエルが強い人だって思わせることができたわね」

『あぁ。このまま行けば、もしかしたらーー』

 

「遊勝塾のメンバー全員に、怪しまれずに接触できる」




禁止制限について。
禁止制限は順次更新して行く予定です。そしてアニメオリカは使用しないことにしました。
だって、効果調べるの面倒……ゲフンゲフン!

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