異世界の少女と絶望のデッキ   作:仕舞獅子舞

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今回はいつもより少し長めです。
ご注意ください。
なお皆様のご指摘により何度も書き直しておりますので、その点はご了承ください。

では、本編の始まりです!


4種の召喚と絶望の神

デュエルがしたい。楽しいデュエルがしたい。

メタデッキを使っても、最終的にはお互いに楽しかったと言える、そんなデュエルがしたい。

 

私がもといた世界にいたカードゲーマーは、そんなことを言っていた。あの人は今も何処かで、楽しいデュエルをしているのだろうか。

 

今は会えない彼のことをふと思い出したのは、ちょっとした現実逃避だ。

 

「俺たちのトップになってください!」

「「「おねしゃっす!!」」」

 

これで8回目だ。

私が帰りたいと言ったら、回り込まれてエレベーターを占拠され、PSYフレームを使って何人もとデュエルして、無理やりどかそうと思ったら人数が多くて私には無理だと悟った。

天城さんや野々宮さんは仕事があると言って、不良をどかして下に降りたが、私はそれにくっついて降りることができなかった。どうやら不良たちは天城さんたちのことなど眼中になく、私がエレベーターの方へ行こうとすると全力で阻止してくる。

 

「何度も言うけど、私はただの中学生で、そういうチームとかは興味がなくてーー」

「興味がなくてもいいんです! チームの管理は俺たちがやりますから! 姉御はチームのトップとしてそこにいるだけでいいんです」

 

それって私がいる意味ってあるの?

 

「姉御がこのチームのトップになれば、LDSの連中も手を出せなくなるはずなんすよ。なんてったって、俺たちが束になっても勝てなかったヴェルズを、完全なまでに封殺したんすから!」

 

封殺っていっても、あれは彼が不用意なことをしたり、バックを警戒しなかったり、PSYフレームサーキットを除去しに行かなかっただけで、前いた世界なら逆に私がやられてただろうし、相手がもっとうまいヴェルズ使いならかなり辛かったはずだ。

 

けれど、そんなことをこの不良たちが知るはずもない。

 

「俺たちにトップになってください! お願いします!」

「「「おねしゃっす!」」」

 

流石にしつこい。

もうこのさい、全員同時にエクゾディアで倒してしまおうか。

活路エクゾだと、LP4000のこの世界では動きにくいから図書館エクゾでーー

 

そこで、ふと私の頭に前の世界のカードゲーマーの顔が浮かび上がった。wixossのイベントで出会ったやたらとテンションが高い人で、遊戯王ではキャラデッキを使う面白い人だった。

あの人はある時、こう言っていた。

「太ももペロペロしたい」

違う。確かにそう言っていたけど、それじゃない。その言葉は今の状況を打破する起爆剤にはならない!

「ゆらぎスタイルの女の子って萌えるよな、白井氏! やっぱ白井氏はわかってくれてるよ! やっぱ太ももにデッキケースって最高の組み合わせだよな!」

ダメだ、あの人はいつも変なことしか言ってなかった。

 

………………………思い出した。

 

あの人は変態だったけど、一度だけ普通のことを話していた時があった。

「冷菓ちゃん、カードやってる時にどうしても困ったことがあったら、どうすればいいかわかる? ……答えは単純だよ。なるようになれって思いながらデッキトップを引くのさ。そういう時に引くカードはだいたいクソカードだけど、しばらく経てばあの時あのカード引いてよかったな、そう思えるのさ。冷菓ちゃんとはじめてwixossやった時、最後に引いたカードがクソカードじゃなかったら、冷菓ちゃんと仲良くできなかったと思ってる。ようは、そういうことさ」

 

あの人の言う通り、ここはなるようになれと思いながら、流れに身を任せてみよう。たとえクソカードでも、きっといい結果に繋がるはず。

 

「分かりました。私がこのチームのトップになります!」

 

そうして私は、この町で最も巨大な不良集団のトップにたった。

早速私はデュエルディスク番号という、電話番号の亜種のようなものを赤髪に教え、チームには一切関与しないと断言してからエレベーターに乗り込んだ。

 

『それにしても、とんでもないことに巻き込まれたな』

「うーん、不良のトップなんかになっちゃったら簡単に榊遊矢に接触できないよ」

 

不良という言葉は相手に悪印象を与えやすい。これでアニメの主人公に好印象のまま会えなくなった。トップであることを隠せばいいが、それはばれた時に面倒くさい。

 

「どうしよう、不良なんてがらじゃないのに……」

『どっちかといえば優等生って感じだからな。中学生のくせに大人っぽいし』

「自分のことはよくわかってるわ。だから困ってるの。どうしよう……誰か助けて……」

 

wixoss大好きな変態さん。太もも舐めてもいいからk時間を元に戻して。できるなら今世界に来る前まで戻して。

 

エレベーターを降りると、両手に紙袋を持った天城さんが立っていた。私への報酬ということで、ショップにあったパックとデッキケース、さらに割引券を大量に渡され、さらに見せるだけで店の商品が割引になるカードをくれた。

それだけじゃなく彼は、姉ちゃんのデュエルディスクは姉ちゃんのデュエルについて行けてねぇ、と言ってディスクの調整もしてくれた。これで強力なモンスターを連続で召喚してもディスクがショートしなくなるらしい。

つまり、アンチホープを召喚できるということだ。

 

私が不良のトップに立つことになった元凶となった天城さんはかなり反省しているらしく、私のディスクを調整している時だって、何度もごめんな、とつぶやいていた。

 

ディスクの調整が終わり、ようやくショップを出れた時にはすでに日はくれ、あたりの人たちはすっかりいなくなっていた。

 

『そうだ、清澄。今日の飯はどうするんだ? かなり遅くなっちまったが』

「時間ないから、今日はお弁当にするわ。本当は作りたいんだけど、気力もなくて……」

 

この超展開には体がついていけなかったようだ。頭では大丈夫と思い込んでいるが、体が思うように動かない。その結果気力が削がれ、やる気がなくなってしまった。

 

『そう落ち込むなよ。きっと明日はいいことがあるさ』

「…………楽観的ね」

『お前、相当萎えてんだな。……そうだ、ディスク調整中にあのカードケース付けたんだろ? 付けごこちはどうだ?』

 

白井さんに進められて買った黒いケースは今、私の太ももに付けられている。中に入っているデッキはアンチホープと龍大神ワンキル。デッキケースの重さはたいして気にならず、歩く時にも違和感はない。

中のデッキが揺れて音が出るということもなく、本当に使いやすいケースだ。ただ、私の太ももに跡がつかないかが心配だが。

 

家へ帰る途中にスーパーに寄って、半額シールが貼られたお弁当を買う。カードショップだけでなく、スーパーでもDPが使えるのは便利でいい。これからはできるだけキャッシュを温存してDPを使った方が良さそうだ。

 

『そういえば一つ気になったんだが、お前がPSYフレームロードを召喚する時に、どうして加速と電流とかって言葉が出てきたんだ』

「電流は、PSYフレームドライバーのテキストに電気を操るって書いてあったから、召喚口上に電流って言葉を入れるとかっこいいなぁって思って」

『加速は? さぁ加速してって言ってたが、どうしてーー』

「さぁ暗いから早く帰ろう! お弁当も早く食べた方がいいわ!」

『なるほど、中2心から出た言葉だったのか』

 

無理やり話題を変えようとしたけど、白井さんには通用しない。

 

「……だって、かっこいいと思ったから。シンクロ召喚する時にああいうこと言えばかっこ良く見えるでしょ?」

『うん、清澄。お前の気持ちはよくわかるぞ。そうか、お前も中学生だったんだな』

「お願いだからそういう反応はやめて! からかわれるよりよっぽど恥ずかしいから!」

 

だってかっこいいんだもん!

さぁ加速して! とか、もっと加速して! とか言った方が絶対かっこいいもん!

 

『まぁからかうのもこの辺にしてやるか。もうすぐ家ーー誰だありゃ』

 

白井さんの声に反応して、近くの建物の影に身を隠す。

 

「白井さん、誰かいたの?」

『俺らの家の前に黒いワゴンが止まってて、スーツ姿で威圧感バリバリの男がフラフラしてる』

「それ、かなりやばいやつよね」

 

あのアパートの住人でこの世界に飛ばされてきたのは私たちだけだった。昨日のうちにいろいろ調べたが、表札に書かれていた名前に見覚えがあるものは一つ、白井さんの部屋のものだけだった。

アパートに住んでる他の誰かが何かをした可能性もあるが、さっき不良のトップになった私が狙われている可能性の方が高い。不良集団の中のLDS派のトップを倒した私だ。LDSが住所を調べ上げててもおかしくない。

 

『どうする、清澄。いつもみたいにアパートの裏に回って排水管をよじ登るか?』

「私、そこまでアクティブなことやった覚えないんだけど」

『俺は街で喧嘩売った不良が家の前に至りするから、そういう時は排水管を伝って部屋まで行ってたぞ』

 

何してるんだ、この人は。はじめてあった時からちょっと変な人だな、とは思っていたけれど、この人、本当に変人だ。

 

『それで、どうするんだ?』

「普通に正面から家に帰れば見逃してくれるかもーー」

『あぁ、そういうギャンブル的なことする? いいぜ、そういうの大好きだ』

 

私は近くの窓ガラスで、笑顔の練習を何度かしてから、いつも通りを意識しながらアパートへと向かう。

 

私を見つけたスーツのおじさんは、もう一人の方へと声をかけてから、私の歩みを遮るように手を伸ばす。

 

「清澄冷菓だな」

 

すでに私の名前がばれてる!

落ち着いて。あくまで笑顔で、怪しまれないように。

 

「御機嫌よう、わたくしのアパートの清澄さんに何かご用件でも?」

『お前は何処かのお嬢様か! 緊張しまくって口調が意味不明なことになってるじゃねぇか』

 

だって仕方ないでしょ! この人、ターミネーターかなんかかと思うほど外見がいかついんだもん!

 

「誤魔化しても無駄だ。お前が我々の仲間とやったデュエルはすでに確認済みだ。あの場所にいる手下があのヴェルズ使いだけかと思ったか?」

 

やっぱこの人、LDSの人なんだ。しかも身元はすでにばれてる。ならばこれ以上隠しても意味はない。

 

「ヴェルズ使い、ね。つまりあなた達は敵討ちかなんかのために、わざわざ住所を調べ上げてここまで?」

「いや、そういうわけではない。我々はお前を社長の元まで運び届けるために来た」

「運び届けるって、私は物かなにか?」

 

黒スーツのおっさんは気まずそうな顔をする。きっと無意識のうちに口からこぼれ出た言葉だったのだろう。

 

「気を悪くしたなら謝ろう。ただ我々にも事情とメンツがあるということを察して欲しい」

「なるほど。それで、私がここであなた方と一緒に行くのを断ったら、無理やり連れて行く気ですか?」

「いや、お前とデュエルをして、いうことを聞いてもらうだけだ」

 

どうしてそうなる!

私は今日だけでも何十試合もしてるから流石に疲れてる。だからこれ以上、普通のデュエルをする気は一切ない。

 

「できれば、今日はこれ以上デュエルしたくないの。できれば明日にでもーー」

「メンツがあると言っただろ。ここで失敗したとなれば、我々の首が飛びかねん。それにお前を連れて来いと言ったのは、LDS社長、赤馬零児様なのだ」

 

彼がそう口にすると、辺りの雰囲気が一変した。

誰かがいるわけでもない。それなのに周囲の気温が氷点下まで達した気がした。私の背筋を悪寒が走る。

 

 

 

 

「貴様もLDSか」

 

 

 

突き飛ばされる私。驚きのあまり動けなくなったおっさん達。

 

不審者、乱入!

 

遊戯王アークファイブにおいて、個性が強いキャラクターは何人もいる。その中でもこの男は一味違う。

黒咲隼。服装の怪しさは言うまでもないが、アニメでは柊柚子に熱烈な求愛行動を行った結果、親友のユートに殴られるという、意味不明なことをした人間だ。

 

「貴様、LDSか」

 

困惑するおっさん二人。私と話していた方のおっさんが戸惑いながら口を開く。

 

「誰だ、貴様……」

「ならば俺が相手だ。かかってこい」

 

会話が成立してない。さすが不審者。

今日の彼は赤いスカーフとサングラスで顔を隠すという完全装備ぶり。さすがにこんなのが乱入してきて驚かない人はいないだろう。

 

会話が成立しないことに驚きを隠しきれないおっさんに変わって、隣にいたスキンヘッドのおっさんが黒咲にむかって怒鳴りつける。

 

「誰だ貴様は! まさか、最近話題になっているLDSの関係者を狙った襲撃事件のーー」

「貴様もLDSか。ならば俺が相手をしてやる。二人纏めてかかってこい!」

 

会話しようよぉ。というか、私をのけ者にしないで。

 

「ちょっと、突然何するの! というかあなた誰?」

「っ! なぜお前がここにいる!?」

 

ちょっ、不審者さん! あなたは女の子相手なら誰にでもそういう反応するんですか!?

 

私の動揺した様子を気に留めず、彼は私の方に詰め寄る。

 

「お前は、あのキャンプ地で俺たちを待っていると言ったじゃないか! なぜお前がここにいるんだ!」

「ちょっと、落ち着いてください。私はあなたなんて知らないし、今日はじめて会いましたよ?」

「さぁ俺と一緒にこい! お前がいればユートも喜ぶ」

 

腕を掴まれる私。当然のように振り払う。

 

「どうしたんだ! お前は俺たちと一緒にアカデミアを倒すと誓ったではないか!」

「誓った覚えはないし、あなたとも初対面よ!?」

『黒咲のやつ、ヒートアップしてんなぁ』

 

他人事のようにそう呟く白井さん。

 

『エクシーズ次元にも清澄にそっくりな奴がいるのか? そう考えるとこいつの熱中っぷりも分からなくはないな』

 

黒咲は口元まで上げていたスカーフをおろし、サングラスを外す。普通にイケメンなのが勿体無い。

 

「何故そんなにも俺を拒む。今のお前からは鉄の意思も鋼の強さも感じられないぞ……」

 

困惑したような顔をする黒咲。困惑したいのは私だ。

 

「……そうだった! 清澄冷菓! 我々とこい! これ以上社長をまたせたらまた就職試験を受ける羽目になる。あんなのはもうごめんだ」

 

突然の不審者乱入で某然としていたおっさんたちが、思い出したかのように叫ぶ。そんな彼らを睨みつける黒咲。

 

「ちょうどいい。俺たち二人でこいつらを蹴散らすぞ! タッグデュエルだ!」

「ちょっと、何を勝手に話を進めてるの!?」

『おい、清澄。冷静に考えてみろ。タッグデュエルを経験できるいい機会だぞ。ちょっとくらいならやってもいいんじゃないか?』

「でも……」

『終わったら隙を見て逃げればなんとかなるだろ』

 

白井さんのいうことももっともだ。私はこの世界のタッグデュエルのルールについて、そこまで詳しいわけではない。それならばこの機会に体験しておくのも悪くない。

 

「何をしているんだ! 早くデッキをだせ! こいつらを俺たち二人で叩き潰すぞ」

「ちょっと、どこ触ってるの!」

「相変わらず太もものデッキケースにデッキを入れているんだろ!」

「やめっ、太ももに触らないで! セクハラで訴えるわよ!」

「くそっ取り出しにくいな。こんな古いケース、久しぶりにみたぞ」

「やめっ、触らないで! 変態! 痴漢! 強姦魔!」

 

人の太ももを執拗に触った挙句、私のデッキをデュエルディスクに押し込む不審者。こんなに罵っても怯まない彼は、どっからどうみても不審者だ。

 

「おい、あれ止めた方がいいのか?」

「あぁ、どっからどうみても女の子のスカートをめくって、足を触ってる変態にしか見えないぞ」

「おっ、パンツ見えた」

 

いい年して中学生に興奮するおっさんたち。

恥ずかしさのあまり、私の顔が真っ赤になっている。

 

ようやく黒咲の魔の手から解放され、私はため息を一つつく。

 

「なんで私がこんな目に……」

「ふふっ、一緒にデュエルするのは久しぶりだな。ユートのやつもあいたがっていたぞ」

「いや、久しぶりも何も初対面よ? それに、ユートとかまだ会ってないしーー」

「ところで、その水色の下着はどうかと思うぞ。お前なら黒か白が似合うだろ」

「……サイテー」

『黒咲め。男が触ったことない清澄の太ももに触りやがって! 俺にも触らせろ!』

「……サイテー。私に近寄ってくる男って、どうして変なのばかりなんだろ」

 

今日だけでもかなり疲れが溜まってたのに、こんなことに巻き込まれるなんて。今日は熟睡できそう。

 

隣の黒咲がデュエルディスクを構え、それに呼応するかのように、おっさんとスキンヘッドがディスクを構える。

 

「さぁやるぞ! こいつらを蹴散らしてやる!」

 

「「「「デュエル」」」」

 

スキンヘッド・おっさん、LP4000

 

黒咲・清澄、LP4000

 

デッキから初期手札となる五枚をドローする。最初はスキンヘッド、次に黒咲、そしておっさん。最後に私という順番でターンを回すようだ。

 

『清澄、そういえばお前のデッキって、何デッキなんだ? さっき不審者に無理やりデッキ入れられたけど』

 

そう言われて、手札を確認する。

 

……………………

 

「絶望的すぎるわ」

 

アンチホープデッキだ。私が今持っているデッキの中で一番微妙なアンチホープデッキ。黒咲がエクストラデッキを入れてくれていたのが救いだが、それでもひどい物はひどい。

 

「いくぞ、私のターンだ!」

 

スキンヘッドは手札を確認すると、口の端をすこしだけあげた。

 

「私は手札からマンジュ・ゴッドを召喚する!」

 

マンジュ・ゴッド、レベル4

攻1400/、守1000

1、このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。

 

儀式デッキね。私の仲間が作ってたデッキだと、ネクロス、サクリファイス、リチュア、オッドアイズグラビティ、儀式軸のレッドアイズが記憶にある。

 

「マンジュゴッドの召喚時効果を発動! 私が手札に加えるのは、デビルズ・ミラー!」

 

……なんだっけ、それ。

 

「白井さん……」

『効果のない儀式モンスターだ。攻撃力2100のレベル6』

「それって」

『簡単に言うと、微妙ってやつだ』

 

さすがの黒咲さんもこれには驚いたご様子。

 

「儀式召喚、だと……」

 

ってそっちかい! カードの微妙さじゃなくて、儀式をすること自体への驚きの方が上なんだ。

この世界の人の感覚、狂ってるかも。

 

もしもデビルズミラーが主軸のデッキなら、儀式召喚したデビルズミラーを装備カードや悪魔族サポート、闇属性サポートで強化して殴りに行くかんじになるのだろう。

だが、そんな面倒なことをするくらいなら、いっそのことデビルズミラーをデッキから抜いて攻撃力が高いモンスターを入れた方が楽な気がする。

 

「さらに、私は手札から悪魔鏡の儀式を発動!」

 

専用儀式魔法! 儀式の下準備が入っている可能性が高いか。

 

「手札のレベルスティーラーとサイバードラゴンを生贄に、デビルズミラーを儀式召喚する!」

 

そんな面倒なことするなら、サイバードラゴンを特殊召喚した方がいいよ! 攻撃力は一緒なんだから!

 

『あのスキンヘッドのデッキ、紙束だな』

「初心者でもあんなデッキ使わないよ。まぁ、ネタデッキとして使うかもしれないけどーー」

 

それならサイバードラゴンを抜いて、もっとデビルズミラーを召喚するメリットを強調させるはず。

 

「私はカードを一枚伏せてターンエンド!」

 

スキンヘッドとおっさんのフィールドには、マンジュ・ゴッドが一体、デビルズミラーが一体、伏せカード一枚でスキンヘッドの手札は0枚。

 

伏せカードが気になるが、相手のフィールドはそこまで警戒しなくても良さそうだ。

 

「行くぞ! 俺の、ターン! ドロー!」

 

ターンが黒咲さんに移る。

彼のデッキは鳥獣族モンスター、RR(レイド・ラプターズ)を主軸にしたエクシーズデッキ。その展開力には目を見張る物があるが、アモルファージや真帝王領域などのエクストラメタにはかなり弱く、同様にエルシャドールミドラージュや虚無空間などの特殊召喚メタにはかなり弱い。

 

そんなRR使いの黒咲さんは1ターン目でどこまで動くのか。

 

「俺は手札からRRバニシングレイニアスを召喚!」

 

RR-バニシング・レイニアス、レベル4

攻1300、守1600

1、このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。手札からレベル4以下の「RR」モンスター1体を特殊召喚する。

 

早速出てきた。RRバニシングレイニアス。

RRはレベル4モンスターを並べてエクシーズし、RUM(ランクアップマジック)を使って高いランクで強力な効果を持つモンスターを場に出す。そう言った戦術を取るデッキだ。なのでまずはRUMを使う対象になる、ランク4のエクシーズモンスターを出す必要がある。

そのためにはレベル4モンスターを少なくとも2体は並べる必要があるわけだが、このバニシングレイニアスはそれを簡単に行えるカードだ。

 

「俺はバニシングレイニアスの効果により、手札からRRトリビュートレイニアスを特殊召喚!」

 

RRートリビュート・レイニアス

攻1800、守 400

「RR-トリビュート・レイニアス」の1、2の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

1、このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに発動できる。デッキから「RR」カード1枚を墓地へ送る。

2、このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したターンの自分メインフェイズ2に発動できる。デッキから「RUM」速攻魔法カード1枚を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「RR」モンスターしか特殊召喚できない。

 

「トリビュートレイニアスの効果発動! デッキからRRミミクリーレイニアスを墓地に送る!」

 

RR-ミミクリー・レイニアス、レベル4

攻1100、守1900

「RR-ミミクリー・レイニアス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

1、このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。自分フィールドの全ての「RR」モンスターのレベルを1つ上げる。

2、このカードが墓地へ送られたターンの自分メインフェイズに、墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「RR-ミミクリー・レイニアス」以外の「RR」カード1枚を手札に加える。

 

 

始まった。RR使い特有のソリティアだ。満足やジャンクドッペルと呼ばれるデッキと比べると、そのソリティア時間は短い方だが、それでも長い物は長い。

 

「ねぇ白井さん。RRソリティアって、最終的にどうなるの?」

『というと?』

「ジャンクドッペルみたいに最後はクェーサーが出て来るとか、インフェルニティみたいにフィールドに効果力のモンスターを並べて殴るとか」

『手札にRUMがなかったら、RRフォースストリクスを守備表示で並べて終わりだな』

 

頭使って回す割りには最終着地点はかなり地味、と思われがちだが、それはRUMがなかった場合だけだ。

RUMはその名の通り、エクシーズモンスターをランクの高いモンスターにランクアップさせる、簡単に言えば進化させるカード。それらにはいろいろな種類があるが、一枚でも握っていれば攻勢に出られる。

 

「俺は墓地のRRミミクリーレイニアスの効果発動! ミミクリーレイニアスを除外して、デッキからRRネストを手札に加える。そして、手札から永続魔法、RRネストを発動!」

 

RR-ネスト

 

「RR-ネスト」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

1、自分フィールドに「RR」モンスターが2体以上存在する場合にこの効果を発動できる。自分のデッキ・墓地の「RR」モンスター1体を選んで手札に加える。

 

「RRネストの効果を使用する!」

 

スキンヘッドは伏せカードを発動しない。ここまで展開されてもなおカードを発動しないということは、あれは攻撃反応系か、自分のモンスターを対象としたカードである可能性が高い。少なくとも、サイクロンならばこのタイミングで発動するはずだ。

 

相手がソリティアを妨害しないために、調子に乗ってデッキをぶん回し始める黒咲さん。

 

「俺はRRネストの効果で、デッキからRRファジーレイニアスを手札に加える」

 

これで黒咲さんの手札は5枚。全体的にスキンヘッドよりアドバンテージを稼げている。

 

「そして、手札からファジーレイニアスを特殊召喚! このモンスターはフィールドにRRモンスターがいる時に、手札から特殊召喚できる!」

 

RR-ファジー・レイニアス、レベル4

攻 500、守1500

「RR-ファジー・レイニアス」の1、2の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、このカードの効果を発動するターン、自分は「RR」モンスターしか特殊召喚できない。

1、自分フィールドに「RR-ファジー・レイニアス」以外の「RR」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

2、このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「RR-ファジー・レイニアス」1体を手札に加える。

 

「くそ、何体のモンスターを特殊召喚すれば気が済むんだ!」

 

黒咲さんのソリティアにしびれを切らしたおっさんが怒鳴る。あなたの相方のターンが短すぎただけだと思う、とは口が裂けても言えない。

 

「まだ俺のターンは終わらない! 俺はRRファジーレイニアスとトリビュートレイニアスで、オーバーレイ!」

「なに!? エクシーズ召喚だと!?」

 

二体のRRが光の渦の中に飛び込んでいく。

 

「現れろ! ランク4、RRフォースストリクス!」

 

RR-フォース・ストリクス

攻 100、守2000

1、このカードの攻撃力・守備力は、このカード以外の自分フィールドの鳥獣族モンスターの数×500アップする。

2、1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4モンスター1体を手札に加える。

 

「フォースストリクスのお出ましね」

『RRはこいつが出ないと始まらないよな。最近だとラストストリク軸でこいつが出てこないこともあるけどな』

「召喚口上、なんで言わなかったんだろう」

『これからもう一体召喚する気だからじゃないか?』

「なるほど。フォースストリクスかぁ。野良試合で挑んできたRR使い相手に浮幽さくら使って、フォースストリクス三枚除外してあげたっけ」

 

あれも今になればいい思い出だ。あれ以来、あの人はRR使わなくなったなぁ。

 

私が思い出に浸っているうちに、黒咲さんはフォースストリクスの効果でエクシーズ素材のファジーを墓地に落として、デッキからシンギングをサーチ。そしてファジーの効果でデッキから2体目のファジーをサーチした。

 

「さらに俺は、手札からRRシンギングレイニアスを特殊召喚! このモンスターはフィールドにエクシーズモンスターがいる時、手札から特殊召喚できる!」

 

RR-シンギング・レイニアス、レベル4

攻 100、守 100

「RR-シンギング・レイニアス」の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

1、自分フィールドにXモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

これでレベル4モンスターが2体。再びフィールド上に黒い光の渦が現れる。

 

「俺は、レベル4のシンギングレイニアスと、バニシングレイニアスでオーバーレイ! エクシーズ召喚! 冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!飛来せよ!ランク4!RR-フォース・ストリクス!」

 

2体目のフォースストリクスがフィールド上に姿を現す。この時点でフィールドアドバンテージは黒咲さんが勝っているのは明確だ。

 

「さらに、2体目のフォースストリクスの効果発動!ORU(オーバーレイユニット)を一つ取り除き、デッキからトリビュートレイニアスを手札に加える。俺はカードを3枚伏せて、ターンエンド!」

 

黒咲さんのターンが終わった。

今、私たちのフィールドには守備力2500のRRフォースストリクスが守備表示で2体。伏せカードは3枚で黒咲さんの手札は2枚。ライフは4000のままだ。

手札もフィールドも、アドバンテージがあるのは私たちの方だ。それに、対戦相手の二人はRRの展開力に少しだけビビっているようにも見える。

 

相手のフィールドにはマンジュ・ゴッド、デビルズミラー。伏せカードは一枚でライフは4000。

スキンヘッドのおっさんがどう動くかによって、この状況は一変しかねない。黒咲さんがヴェーラーや幽鬼うさぎを握っていたら心強いけれど、さすがにアニメキャラが自分が使用するテーマと関係ないカードを入れているはずもない。

ここは、黙って見守るだけ、ね。

 

「私のターンだ。ドロー!」

 

ターンが移る。私に話しかけてきたおっさんのターンだ。

 

「私は手札から、融合を発動する!」

 

あっ黒咲さんの前で思いっきり融合しちゃう気だ、この人。

 

「私は手札のマーダーサーカスとドリーム・ピエロを融合! 現れろ、デビル・ボックス!」

 

…………はい?

 

「白井さん、また知らないカード出てきたよ……」

『デビルボックスか。攻撃力2300でレベル7の効果がない融合モンスターだな』

 

また微妙なカードが出てきた。デビルズミラーと同じレベルというわけでもないのでエクシーズすらできないし、自身の効果で守備力が2500のフォースストリクスを突破できるわけでもない。

 

となると、あの伏せカードはミラーフォースのような一発逆転のカードである可能性が高い。黒咲さんはそれを見越して、さっきのターン攻撃しなかったのかもしれない。

 

この世界の人も、ちゃんと考えて戦ってるんだ。今目の前にいる二人が意味不明なだけで、他の人たちは普通に強いはずなんだ。

 

「私はカードを一枚伏せてターンエンド!」

「ならば、トラップカード!」

 

黒咲さんが罠カードを発動させる。

 

「ゴッドバードアタック! 俺のフィールドのRRフォースストリクスをリリースし、相手の伏せカード2枚を破壊する!」

「くそっ、ミラーフォースと煉獄の落とし穴が!」

『あいつらなんてもん伏せてんだ。殺意に満ち溢れすぎだろ』

 

これでお互いのライフは4000のまま私のターンが巡ってきた。

今私のフィールドにはRRフォースストリクスが一体でORUは一つだけ。永続魔法のRRネストは、私のアンチホープデッキにおいては一切使えないカードだ。伏せカードが二枚あるが、これはまだ確認してない。確か、デュエルディスクから確認できたはず。

 

禁じられた聖衣

RRレディネス

 

うん、邪魔なカードは伏せられてないみたい。それに禁じられた聖衣が伏せられていたのは少し嬉しい。

 

相手のフィールドにはデビルズミラー、デビル・ボックス、マンジュゴッドという三体のモンスターがいるだけで、伏せカードはない。それに、このターンに手札誘発を使用できるおっさんの手札は2枚。うまく行けばこのターン中に仕留められるかも。

 

「おい」

「なに、不審者の変態さん」

 

黒咲さんの名前はまだ聞いてないから、うっかり口を滑らせないように気をつける。

 

「舞台は整えたぞ。いつも通り、思う存分暴れろ。お前のデュエルには鉄の意志と鋼の強さがある」

「いつも通りって言われても、私たち初対面ーー」

「お前の圧倒的なデュエルを、まさかこんなところで見られるとは思ってもいなかったな」

 

ダメだこの人。私の言うことが聞こえてない。

 

『清澄。黒咲もそう言ってるんだし、思う存分暴れてやれ。このデッキは以前のアンチホープとはだいぶ違うから、回しにくいだろうが、お前なら大丈夫だろ』

 

そういえば、さっき私と入れ替わった時、アンチホープデッキをちょっといじってたっけ?

少し不穏なカードを入れていた気がするが、気のせいだと信じたい。

 

「私のーー私たちのターン! ドロー!」

 

ターンが私、清澄冷菓に移る。

ドローしたカードは絶望神アンチホープ。最初のドローから縁起が悪い。

 

「手札断殺を発動! お互い手札のカードを2枚墓地に送り、デッキから2枚ドローする!」

 

手札からアンチホープと黄泉ガエルを墓地に送る。

アンチホープは手札にあると邪魔になるので、いかに早く墓地に遅れるかが鍵だ。

 

「私はデッキからカードを二枚ドローすっ!?」

 

えっ、なんで!? なんでこんな変なカードが入ってるの!?

 

「どうした、手札事故か?」

 

心配そうにこちらを見る黒咲さん。確かに、有る意味手札事故よ、これ!

 

「し・ら・い!」

『呼び捨てかよ。お前がお守りにするっつったから、もっとネタに走ってみただけだよ』

 

でも、今頃白井さんに怒りをぶちまけても意味はない。今はこの試合に集中する。

 

「手札からカードアドバンスを発動! デッキの上から五枚を確認して、好きな順番に並び替える。さらに通常召喚に加えてアドバンス召喚できるけどーー」

 

その必要はなさそうだ。どうやら、今回はかなりデッキに愛されているらしい。デッキの上から五枚が素晴らしすぎる。

 

「さらに手札から魔法カード、魔の試着部屋を発動! コストとして800ポイント支払って効果発動!」

 

魔の試着部屋

800ライフポイントを払う。自分のデッキの上からカードを4枚めくり、その中のレベル3以下の通常モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。それ以外のカードはデッキに戻してシャッフルする。

 

デッキトップはすでに操作済み。めくれる四枚は全てレベル1通常モンスターだ。

 

「1枚目、バニーラ。2枚目、大木炭18。3枚目、ガードオブフレムベル。4枚目、ワイト!」

「全てレベル1の通常モンスターか。相変わらずだな、お前は」

 

大変満足そうな不審者さん。私に似た人もこんなデッキを使っているってこと? ということはランク1エクシーズビートかな?

 

「これで四体のレベル1モンスターが揃った! 私はこの四体のモンスターを生贄に捧げる」

『召喚口上言わせてくれよ、清澄。あの召喚口上、結構好きなんだよ』

「じゃぁ一緒に!」

 

「『現れよ!!全ての闇と混沌を統べる絶望の化身!!絶望神アンチホープ!!!』」

 

フィールドにいた4体のモンスターが弾けとび、地面を割って黒い巨体が姿を現す。

絶望の集合体であり、希望を否定する存在。

絶望神アンチホープ。

 

絶望神アンチホープ

攻5000、守5000

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドの表側表示のレベル1モンスター4体を墓地へ送った場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。

1、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、他の自分のモンスターは攻撃できない。

2、このカードが戦闘を行うバトルステップ中に1度、自分の墓地のレベル1モンスター1体を除外して発動できる。このカードはそのダメージステップ終了時まで、他のカードの効果を受けず、戦闘では破壊されない。

 

「これだけじゃない!私は不審者が伏せていた禁じられた聖衣を発動! 対象はアンチホープ!」

 

禁じられた聖衣

1、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が600ダウンし、効果の対象にならず、効果では破壊されない。

 

「なっ、自分のモンスターの攻撃力を下げただと!?」

 

驚くおっさん。アンチホープが出て来た時からガタガタ震えているスキンヘッドの方は、何も言えなくなってしまっている。隣の不審者も珍しく驚きを顔に貼り付けている。

 

「まだ私のターンは終わらないわ! 手札から、トライワイトゾーンを発動! 帰ってきて! ガードオブフレムベル、バニーラ、ワイト!」

 

トライワイトゾーンは墓地にいる低レベルの通常モンスターを3体特殊召喚するカード。墓地に3体以上蘇生対象がいないと発動できない、強力だが使いづらいカードだ。

 

「ガードオブフレムベルはチューナー。この意味がわかる?」

「……まさか」

「レベル1のワイトにレベル1のガードオブフレムベルをチューニング! シンクロ召喚! きて! フォーミュラ・シンクロン!」

 

フォーミュラ・シンクロン、チューナー、レベル2

攻 200、守1500

1、このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

2、相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 

「フォーミュラシンクロンの召喚時効果は発動しません!」

「何!? ドローしないのか!? 自らアドバンテージを無駄にしただと!」

「おい、何を考えている!」

 

今にも殴りかからんとする勢いで、黒咲が怒鳴る。

 

「黙ってて、不審者。これも私が不利にならないための策よ」

「策だと……?」

「さぁみせてあげる! 本当の絶望を! 絶望の先にある虚無を!」

 

デュエルフィールドの中央から半透明な手が現れ、デビルズミラー、デビルボックス、フォースストリクス、フォーミュラ・シンクロンの4体を掴み、虚空へと引きずりこむ。

 

「なんだこれは!」

「俺たちのモンスターがっ! 俺が召喚したデビルズミラーが!」

「各プレイヤーが召喚モンスターが、一体ずつ捕まった?」

 

叫ばずに冷静に状況を分析する黒咲さん。着眼点が少し連れてるけどね。

 

『清澄、お前、マジで召喚すんのか』

「当然よ。折角場が整ってたし、召喚口上も考えたんだから」

『ほう、なら教えてくれよ。俺も一緒に言いたい』

「じゃぁ私にかぶせて。ほら、行くわよ!」

 

私は手札のカードを、いつの間にか出ていた満月にかざす。

 

「『七日で星を作りし神は、八日目で全てを虚無に返す!! 絶望の先にある真の絶望を、この世界に刻み込め!!!』」

 

フィールドの中央に黒い光が現れる。

 

「『現れろ! 私たちの第2の切り札!』」

 

光を割って現れる、禍々しい姿の神。

 

「『創星神sophia!』」

 

創星神sophia

攻3600、守3400

このカードは通常召喚できない。

自分・相手フィールド上に表側表示で存在する、儀式・融合・シンクロ・エクシーズモンスターをそれぞれ1体ずつゲームから除外した場合のみ特殊召喚できる。このカードの特殊召喚は無効化されない。このカードが特殊召喚に成功した時、このカード以外のお互いの手札・フィールド上・墓地のカードを全てゲームから除外する。この効果の発動に対して魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。

 

「……なんだ、このカードは……」

 

黒咲の呻くような声をかき消すように、sophiaが音にならない音を発する。

それだけでsophiaを除く、全てのカードが消滅する。

 

「なんだ、何が起こっている……」

「sophiaの召喚時の効果により、フィールド、手札、墓地のカードは全て除外される。これが絶望の先にある虚無よ」

 

私が囁くようにそう告げると、おっさんは私の方を睨みつける。

 

「だがその効果により、お前のアンチホープも除外されたぞ」

「……へ?」

『禁じられた聖衣でもsophiaの効果から守ることはできないからな』

 

そうだったんだ。テキストはよく読むようにしよう。

 

「さぁ、絶望もこれにて終幕。さようなら、哀れな子羊たち」

 

おっさん・スキンヘッド、LP4000→400

 

次のスキンヘッドのターン、彼は何もせずにターンを終えた。その瞬間、必然的に私たちの勝利は確定した。

 

デュエルが終わった。LDSのおっさんたちは気を失って、道端に倒れている。黒咲も半分ほど意識を手放しているように見える。

 

流石にsophiaはやりすぎたかな。でも、おかげでおっさん達は気絶してくれたし、黒咲も隙だらけ。やるなら今だけよ、清澄冷菓。

 

私はさりげなく黒咲に近づき、その胸元に潜り込む。

 

「ふぅ、疲れた」

「……お前、俺たちと別れた後、何をしたんだ? それに、シンクロ召喚なんてどこで習った?」

 

私の方をしっかりと掴み、私の顔をまじまじと見る黒咲さん。

 

「あのね、一つだけ言わせて」

「……どうしたんだ。お前が俺に言いたいことがあるとはな」

 

「ごめんね」

 

右足に力を込めて、思いっきり股間を蹴り上げる。

私の渾身の一撃が、無警戒だった不審者のまたを捉えた。

 

突然の一撃に、不審者は両膝を地に着き、股間を抱えて苦悶の声を上げる。

すかさず私はその場から立ち去り、自分のアパートの中に駆け込んだ。

 

今日一日で私の生活は一変した。新しいクラスメイトに新しい友達。順調な学校生活が遅れると思いきや、白井さんと体が入れ替わり、たまたま入ったカードショップで不良たちのトップになり、さらには黒咲隼には誰か別の人と見間違えられる始末。

 

私の生活はこれからどうなるの!?

そう夜空に尋ねても、帰ってくる言葉はなかった。




いかがでしたでしょうか。
アニメキャラ二人目はまさかのあの人した!

さて今回のデュエルですが、集中力が切れている中、考えて書いた物なので、気づいていないプレイングミスがあるかもしれないので、もし見つけたらご指摘お願いします。

余談です。
龍大神ワンキルは、今作で白井さんが使用しているデッキです。もちろん私も持っていて、ちょくちょく改良しています。なので、これからのカードルの増加にともなって、白井さんのデッキが少しづつ強化されるかもしれません。ご了承ください。

では、次回にお会いしましょう!

感想、コメント、ご指摘、アイディア、素敵なご提案等、なんでも募集中です。気軽にコメント欄に書き込んでください!

そしてご指摘してくださった皆様に感謝の意を表明します。ありがとうございました。
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