Fate/EXTRA 外伝 ~Distract Order~   作:半裸ーメン

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サブタイは投稿するときに決めてます。
最初に大まかには考えてますが。

物語が進まねぇ……。
今回も稚拙な文章ですが、御容赦下さいませ(泣)

毎回のごとく何度も読み直して修正を加えているので、前後の流れがおかしかったりする所もありますが、そこは触れないであげてください。

早くプロローグ終わらせたいなあ~(願望)


#07 Signs -災厄の足音-

 気付いた時には、自分の部屋で仰向けに倒れていた。

 

 

 

 頭がズキズキと痛みを発していて、自分が固い床に寝ていると分からなかった。

 熱にうなされているような、そんな感覚だと思う。

 どうして自分が部屋で倒れているのか、それは知っている。

 

 

 実をいうなら、自分の意識はずっとあったのだ。

 所長に声を掛けられた時から、強制的に部屋まで連れていかれたところまで、全て記憶に残っている。

 

 ならば、何故全体朝礼中に居眠りなどしていたのか。

 自分は、その経緯を思い起こしていた。

 

 

 

 

 まだ夜も明けない時間にシャワーを浴び、切れてしまった靴紐を取り替えた後、自分はすぐに寝ようと思っていた。ベッドに潜り込み目を閉じていたのだが、これが思うように寝付けなかった。

 

 原因は、十中八九“悪い予感”のせいだろう。

 

 靴紐が切れた時に感じたもの。それが頭の片隅から離れなかった。

 

 基本的に岸波白野は、“何かの前触れ”であったり、“不幸の予兆”とかそういう虫の知らせ(・・・・・)のようなものを信じている人間ではない。

 しかし、そういったものに“予感”が付属してくるならば話は別だ。そして、自分の悪い予感というものは嬉しくないことによく当たる(・・・・・)

 危険を敏感に感じ取るという側面も持っているので何とも言えないが、今回感じたものはただただ嫌な感じがした。そういうときは、決まって窮地に立たされてきた。

 

 良くないことばかり考えてしまい、あっという間に目が冴えてきてしまった。そうして自分がやっと眠りにつけたのが、なんと午前四時頃。時計のアラームが鳴るまで、残り三時間を切ったところだった。

 

 当然アラーム程度では目覚めるはずもなく、気を利かせて様子を見に来てくれたマシュがいなければ、朝礼には間に合っていなかっただろう。

 

 やはり睡眠時間が足りなかったのか、眠気が覚めず体が鉛のように重く感じた。頭にも霧がかかっているかのような感覚で、部屋着のまま管制室へ向かおうとする始末。

 マシュに着替えさせられて___当然マシュは部屋から一時退避して貰った___、手を引かれながら通路を走る。その途中、寝惚けていた自分は

 

 ___朝御飯は何、アーチャー?

 

などの寝言が口から漏れていたらしい。

 

 時間ギリギリで管制室へ辿り着き、手近な空席に並んで座るとすぐに所長が話し始めた。

 ここでも睡魔の誘惑が止むことはなく、遂にその誘惑に負けてしまった。といっても、意識だけはハッキリとしていて肉体だけが眠ってしまったかのような形だったが。

 

 マシュの、起きてください先輩、という声も、所長の冷たい通達も、全て聞こえていたのに体が一切動いてくれなかった。

 言い訳のように聞こえるが、あの時の自分は指一本動かすことさえ困難だった。その状態で会話はおろか、声をあげることも出来る訳はなかったのだ。

 

 何故そんな状態になっていたのかは分からない。でも、その感覚ならば少しばかり似た経験がある。

 

 生徒会長(レオ)太陽の騎士(ガウェイン)が目の前で月の女王(BB)に破れた後、その権能と相対したあの時。

 自分は身動き一つ取れずに、戦うことすら出来ず虚数空間に落とされた。状況にも環境にも共通など一切ない筈なのに、何となく似ていると思う。

 

 

 考えがまとまらず、思考にも統一性がない。端的に言ってしまえば、支離滅裂だ。

 そんな頭の中で、作戦に参加できないという最悪の事態になってしまったことだけが、ぐるぐると回っている。

 

 すると、突然部屋の電気が落ちたと思ったら、

 

 

 

 

 

 ドンッという大きな音で体が揺らされた。

 

 

 

 

 

 その音と衝撃で、バラバラだった思考が一斉に霧散する。

 

 ___今のは……!?

 

 何が起こったのか、全く分からない。部屋全体が揺れた気がしたが、カルデアのどこかで爆発が起きたのか。

 この部屋には物が少ないので、落ちてきた物で怪我をすることはなかった。

 

 

 次に、館内放送で警鐘(アラート)とアナウンスが鳴り始める。

 

「《緊急事態発生。緊急事態発生。

 中央発電所 及び中央管制室にて

 大規模な爆発と火災を検知。》」

 

「《職員各位は 災害時対応マニュアルに従い

 速やかな退館を お願いします。》」

 

 後はこの繰り返し。

 

 やはり、さっきのは爆発だったのか。管制室にはレイシフトに必要な機材がたくさん置いてある上に、自分が巻き込まれた事故の原因であるコフィンが相当数設置されていた。誘爆の危険性は高い。

 

 管制室にいた人々はどうなってしまったのだろう。

 嫌な汗が、止まらない。

 

 “悪い予感”は的中した。

 

 

 間もなく電気が復旧し、明かりが戻る。これで、管制室へ向かうことは可能だろう。

 

 

 カルデアの現状を確認するために動くべきか、身の安全の為にここに留まるべきか。この選択を間違えれば、自分の命だけではなく救える命まで見捨てることになってしまう。

 

 

 

 その逡巡は、一秒にすら満たなかった。

 

 

 何も分からないまま終わることだけは、拒絶する。

 マシュやロマン、所長もまだ生きているかもしれない。

 怖い、と感じる。

 目の前の現実を直視したくない。

 だが、目を逸らしてはいけないのだ。全てを受け止め、這ってでも前へ進むことを諦めなかった。それが自分がここにいる理由であり、意味でもあるのだ。

 

 

 ___まだ諦めることは出来ないと、この体は訴えているのだから……!

 

 

 早速行動に移す……と思った矢先に、躓いた。

 

 自室のドアが開かないのだ。完全にロックされていて、解除用のパスワードを入力しても駄目だ。恐らく、上位者権限でロックされているのだろう。自分の暗証番号(パスコード)では、承認されずにはじかれてしまう。

 

 そういえば、と今頃になって思い出す。所長が、閉じ込めておきなさい、なんて言っていた。ということは、所長がこの部屋に(ロック)を掛けた張本人であるならば、所長以上の権限でなければこのドアの鍵は開かないことになる。だが、カルデアの所長よりも上位者などいるのだろうか?いたとしても、顔も名前も分からないのではどうしようもない。

 所長と連絡を取れればいいが、そんな手段は持っていない。仮に連絡がついたとしても、彼女が自分の頼みを訊いてくれる保障もない。

 

 つまり、完全に手詰まり(デッド・エンド)。これ以上ないくらいの八方塞がり。

 こうしている間にも、事態は刻一刻と進んでいる。こんなところで足踏みなんて、していられない。

 

 考えろ、考えろ。

 今までしたこと、されたこと、言ったこと、言われたこと、その全てで以て眼前の問題を打破しろ。どんな方法でも構わない。正解なんて、星の数ほどある筈だ。

 ドアを破壊する?___無理だ。自分に、そんな力はない。

 冷静さを欠いているのは自覚しているが、瞬時に頭を冷やすなんてことは出来ない。それでも、ここで諦めてしまったら、自分は自分では無くなってしまう気がする。

 何よりも、諦めることが出来てしまったら、生徒会の仲間(みんな)に会わせる顔がない……!!

 

 考えろ

    ___絞り出せ

 

 よく考えろ

    ___捻り出せ

 

 もっと深く、考えろ

    ___思い出せ

 

 

 開かないドア。

 

 外せない(ロック)

 

 岸波白野(じぶん)の全て。

 

 ……。

 

 …………。

 

 

 

 ………………___!

 

 一つだけ、方法を思い付いた。半人前で凡才の魔術師(ウィザード)自分には難しいけれど、自分にしか出来ないやり方。

 

 『ハッキング』による解錠。

 

 一度だけ、やったことはある。

 未熟さ故に、使用した媒体(ツール)は壊れてしまったけれど。

 

 ドアの側に設置してある端末から霊子ダイブすることは、自分には出来ない。だが、直接ハッキングを仕掛けることは出来る筈だ。

 

 一か八か、試してみるしかない……!

 

 

 

 ドア用端末へ右手を突き出し、意識を集中させる。前回のような媒体(ツール)はないが、贅沢を言っていられる程状況は良くない。

 あの時の感覚を、記憶から引っ張り出す。目を瞑り、端末内に存在する電子世界を想定(トレース)していく。

 

 

 ___魔術回路、始動(サーキット・オン)

 

 

 魔力が魔術回路へと流れ込む。途端に、全身の神経が痛みを伝えてきた。

 直感で理解する。

 カルデアに来てから習得した現代の魔術師(メイガス)の魔術と、月で使っていた未来の魔術師(ウィザード)の魔術は根本から異なるものだ。

 燃料となる魔力は同じでも、使う目的が変われば方法も変わる。違う術式を同じ回路で起動することはかなり難しい。箸で米をつまむことは出来ても、お粥を(すく)うのには向いていないのと同じだ。

 カルデアで使い、鍛えてきた回路とは、別のほとんど使っていない回路に急に魔力を流したのだ。痛みを覚えるのは当たり前だ。

 

 込める魔力の量を少しずつ増やしていくことで、衰えた魔術回路を無理矢理拡げていく。痛みが頭の中で弾けて、挫けそうになる。左手で右手首を掴み気を紛れさせようとするも、効果はあまり感じられない。

 

 

 ___魔術回路、臨界点到達(サーキット・フルカウント)

 

 

 魔術とは、行使するだけで人間の体に負担をかける。それを限界まで回した場合に生じる苦痛は、最早痛みなどという言葉で形容できるものではなかった。

 視界が常に明滅していて、脳が半分吹き飛んだような感覚。

 

 

 当然だ。錆び付いた回路に、収まりきらない魔力を注いでいるのだから。少しでも気を抜けば、全ての回路を巻き込んで暴発する。正気ではいられない。

 

 

 ___っ、あと少し。

 

 

 じわり、と右腕の肘辺りに滴る朱い液体がある。どうやら、回路よりも先に身体が壊れ始めたらしい。右肩から出血していて、その血が垂れてきている。

 のだが、何秒前からか忘れたがとうに右腕の感覚など、失って久しく感じた。

 

 

 ___掴んだ。

 

 

 手首まで伝ってきた血液のせいで、左手でうまく右手を抑えられなくなってきた。何かの弾みで跳ね上がれば、その瞬間に右腕は魔力の濁流によって内側から破裂するだろう。

 

 

 ___っ抉じ開ける!

 

 

 なおも溢れ出て魔術回路(疑似神経)を暴れながら巡る魔力。

 否、溢れているのではなく、止められないのだ。

 魔力を供給する『炉』の蓋が開いたまま閉まらず、魔力を通す『路』ごと飲み込まんとしている。

 

 

 ___あ。

 

 

 何も見えぬ視界の左半分が、赤く塗り潰された。額の辺りの毛細血管が耐えられなかったようだが、視覚は意味のないものになっていたので大して困りはしない。

 強いて言うのなら、顔はまだ触覚が生きているので若干の気持ち悪さがあることか。どうにもこの生温さは、生理的に受け付けられない、というよりも肌で感じる本物の血液の生々しさに慣れていないだけか。

 

 

 ______いい、加減にっ

 

 

 いつの間にか、膝から下の感覚が無くなっていた。まだ脚が身体と繋がっているのか、確認するのが恐い。身体の一部が喪失(ロスト)するのはこれで二度目だが、何度体験してもなれる気がしない。

 この時だけは、視界の不良を有り難く思った。

 

 

 _________砕けろッ!!

 

 

 パカンという軽い音が、終わりの合図だった。

 

 

 

 

 

 ハッキングは成功、と言っていいのか判断に迷うが、一先ずは部屋の(ロック)を解除することが出来た。ドア用のコンソール端末は過負荷によって破壊してしまったが、代償としては少ない方だろう。

 このドアが、閉まることはもうない。(ロック)だけでなく、ドアとしての機能そのものを圧殺したのだ。当然の帰結と言える。

 多分凜やラニ、レオ、ユリウスならば、自分の暗証番号(パスコード)に管理者権限を付与するなり、そもそも(ロック)を外すくらいのことは可能なのだろうけれど。

 

 どうしてそんな方法を取ったのか。

 答えは単純、『自分にそんな器用なことは出来ない』からだ。

 ハッキング用の媒体(ツール)があるのならまだしも、本来ハッキング可能な環境ですらないのに、自分のような半人前に搦め手など使える訳もなく、純粋に力技で押し切るしかなかったのだ。

 

 魔術回路を限界(リミット)まで回して、ひたすらに魔力をぶつけ続けるという、いかにも脳筋といった戦法で。“魔力の手”で、錠前を握り潰すイメージだ。

 

 

 方法はともかく、無事に部屋から脱出することが叶い、軽く安堵の溜め息をついた。

 

 身体の損傷も、改めて診てみれば皮膚のすぐ下の血管が切れていただけで、軽傷と言える。額の出血も、もう止まっていた。

 右腕と足の感覚も戻ってきている。まだ少し浮わ(・・)ついている(・・・・・)気もするが、走る分には問題はなさそうだ。流石に、全力疾走などしようとはおもわないが。

 

 この程度ならば、放置しても問題はないだろう。

 左手で顔についた血を拭いながら、運動前の準備運動のように足首を回しどのくらい動けるのかを確認する。

 

 

 ___痛っ

 

 どちらかと言えば、全身の魔術回路を無理して拡げすぎたことによる痛みの方が深刻だ。

 ただでさえ身体に大きな負担のかかる魔術行使を、全開の魔力で、しかも塞がりかけて細くなった回路で強行したのだ。意識を向けただけで身体が熱を持つほど魔術回路が傷んでしまっていただけでなく、魔術師(メイガス)としての回路もガタ(・・)が来ていた。

 まぁ、全ての回路が焼き切れて使い物にならなくならなかっただけ、マシなのかもしれない。

 

 さらに自力で行うハッキングは初めて同然だった為か、魔力の加減が分からず無駄に垂れ流してしまったのは否めない。

 

 自分の決して多くはない魔力貯蔵量(キャパシティ)の大半を持っていかれた上に、魔力回路(サーキット)は半壊し、使おうとするだけで身体中に痛みが走る。

 諸々を考えて、魔術を行使できるのはあと数回が良いところだろう。

 

 

 それよりも今は、中央管制室へ急ぐのが先だ。

 意識を切り替えて、部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 自室から管制室までの道のりはそう遠くない。むしろ近い。

 

 今目指しているのは『中央管制室』と言われている、カルデアで最も大きな規模を誇る『管制区画』の一つだ。

 『管制区画』とは他の区画の管理・制御という役割を担っている。

 この『管制区画』は特殊な構造をしていて、他区画が一ヶ所に固まって配置されているのに対し、『研究区管制室』や『居住区管制室』などのそれぞれの区画に一つずつ点在している。

 その全ての『管制区画』を統括する『中央管制室』は文字通りカルデアの中心部に位置する、いわば“カルデアの頭脳”とも言える場所なのだ。

 

 同時に、『中央管制室』で爆発が起き火災が発生しているのなら、その“頭脳”を失ったカルデアはほとんどの機能を十全に扱えないことを示していた。

 

 

 

 

 

 カルデア中央にあるというのは、必然的にあらゆる区画からの距離が均一化されることになる。それに加えて、どの区画からも『中央管制室』へ直通の一本道が開通しているので、歩いても五分もかからずに着く。

 

 

 その通路を中央管制室に向かって行く途中で、自分は立ち往生していた。

 自室を出てから一分も経っていないのに、膝が悲鳴をあげてしまい壁に寄り掛かっている。思ったよりも、身体の疲労が蓄積していたようだ。

 

 魔力とは、生命力である。生きる為の力と言い替えても良い。

 それを半分以上使ってしまっているので、今の自分にはたった五分程度歩くだけの力すらないのだ。正確には身体へのダメージもあるのだが、それを差し引いてもこの体たらく。

 

 頭では前へ進もうとしているのに、体が全くついてきてくれない。このままでは、中央管制室へ辿り着くことなど到底不可能だ。そうなれば、少なくない命を失うことになる。

 

 まだ上手く動かせない右手で、足を叩く。

 

 ここで、立ち止まる暇などない。

 

 ここで、終わる訳にはいかない。

 

 ここで諦めることなど、出来る筈がない!

 

 自分の体に鞭を打ち、何とか歩き出す。幸か不幸か、心はまだ折れていないのだ。

 ならば進める。この足はまだ動く。

 

 再び魔術回路(サーキット)を励起させる。身体が内側から焼かれるような気分になるが、構っている時間はない。残り少ない生命力(まりょく)を足へ注ぎ、無理矢理魔術回路(サーキット)を回すことで動きを止めないようにする。こうでもしなければ、すぐにでも倒れてしまいそうだ。

 

 

 ___警鐘(アラート)の内容がさっきと違うことに、ふと気が付いた。

 

 歩くのを止めずに、その声に耳を傾ける。

 

 

『『中央区画』の 被害甚大。

 被害の拡大を防ぐ為 中央区画の隔壁を

 90秒後に 閉鎖されます。』

 

『職員は 第2ゲートより

 速やかに退避してください。』

 

『繰り返します。

 『中央区画』の 被害甚大。……』

 

 

 どうやら、『中央区画』からの被害拡大を抑える為に隔壁を降ろすらしい。いよいよ時間との戦いになってきた。

 『中央区画』なんて呼称されているのだから、『中央管制室』も含まれているのだろう。今自分のいる場所は『中央区画』の中に入っているのかは分からないが、逃げるのなら間に合うかもしれない。

 『中央管制室』まで行って帰ってくるだけでも、隔壁閉鎖までに間に合うのか見当がつかない。戻るなら今だと、冷静に考える自分がいる。こんな体で行ったところで、役に立つのか。どうせ生存者などいないのだから、逃げたってバチは当たらない。

 

 自分の“弱い部分”が、どんどん大きくなって囁いてくる。

 “投げ出してしまえ”と。

 “諦めてしまえ”と。

 

 ………………。

 

 

 その逡巡は、やはり一秒にも満たない。

 

 

 自己満足でもいい。偽善者で結構。自分のような俗物には、潔く諦めること“こそ”似合わない。

 

 かつて、自分のことを“奏者”と呼び慕ってくれた彼女(セイバー)の言葉を思い出す。

 

 “___最も強い願いが残るのではない。

  最後まで残った願いこそが、最も美しいのだ。”

 

 ならば、最後まで足掻いてみよう。

 どんなに生き汚くても、しがみついてでも残ってみせよう。

 

 弱音を全て吐き捨てて、一心に進み続ける。

 たとえ生存者が一人もいなくても、隔壁が閉じてしまったとしても、自分がここで引き返す理由にはならない。先のことは、その時考えればいい。

 

 不思議と気持ちが軽い。いつの間にか、走り出していた。足への負担は感じない。感じないだけで、負担は掛かっているのかもしれない。

 

 それでも、この足は止まらなかった。

 

 

 

 中央管制室の入口が見えてきた頃には、足の感覚がハッキリと分かるくらいまで回復していた。もう魔術回路(サーキット)を回す必要もないだろう。その魔術回路(サーキット)の方も、身体の痛みはほぼなくなったと言えるほどに調子が良くなっている。というより、都合が良すぎ(・・・・・・)()くらいだ。

 

 こんなに早く走れるようになるほどの消耗だっただろうか。壊れかけの魔術回路(サーキット)が治るなど、ありえるのか。

 自分の身体に何となく違和感(・・・)を感じたが、一旦頭の片隅に追いやる。

 ……目の前のことに、集中しなければ。

 

 

 

 

 ___と、ここで思わぬ人物と遭遇した。

 

 

 

「___岸波くん!?何やってるんだ!?」




如何だったでしょうか。

今回のお話は、物語の中だと10分も経ってないです。
岸波白野♂が初めて魔術師らしいこと?をするので、細かく書きたかったんです。
逆に後半は息切れしてます。

今回出てきた『違和感』というのがフラグとなってるんですかね?(何も考えてない)
ザビ男のキャラ崩壊の設定という名の言い訳は考えてます。
安心してください。

次回でプロローグ終わらせます。
あと、もう少し更新頻度を上げたいです。出来れば。


そういえば、Fate/EXTRAのアニメ化とHeaven's Feelの新情報出ましたね。月姫リメイクはよ(定期)。
ついでにプリヤドライのpvも。翡s…サファイアちゃんどうすんだろ?


どうでもいいけど、五章で剣ディルとか来るんですね~。今更スプラトゥーン買おうか課金するか悩んでます。

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