ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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番外編 焼き鳥復活計画!! 前編

アリスが家に住むことになった翌日のことだった。

 

 

時刻は朝の五時前。

そろそろ修行に行く時間だ。

 

異世界から帰ってきたばかりだけど、これだけは怠るわけにはいかない。

 

というわけで、ベッドから起きようと上半身を起こす。

 

 

「スースー」

 

 

俺の隣では美羽がピンク色の可愛らしいパジャマを着て、穏やかな寝息をたてていた。

 

うん、この寝顔には相変わらず癒される。

あまりにも可愛いいので、頭を撫でてやる。

 

すると、

 

 

「お兄・・・・ちゃん。・・・・・大好き」

 

 

ゴファッ!

 

 

なんと言う寝言!

クソッ、可愛すぎる!

 

異世界から帰還して、その翌日からこれか!

最高の朝じゃねぇか!

 

 

「イッセー・・・・・」

 

「・・・・・イッセー君」

 

反対側ではネグリジェを着たお姉さま方二人。

 

透けてる!

おっぱいが透けています!

ピンク色の先端がバッチリ見えてますよ!

 

 

「イッセーさぁん・・・・・卵焼き作りましたよ。あーん」

 

アーシアは夢の中で俺にあーんをしてくれているのか!

うんうん、美少女からのあーんは最高だよね!

またしてもらいたいものだぜ!

 

「子作り・・・・・・今日こそ・・・・・・」

 

豪快に腹を出してるゼノヴィア。

おまえは何の夢を見てるんだ!?

 

「ふふふ、お饅頭美味しい・・・・」

 

イリナは饅頭食ってる夢見てるのか。

よだれ垂れてるよ・・・・・ゼノヴィアの腹の上に。

 

ここは拭いてやるべきなのだろうか?

 

「・・・・イッセー先輩。私、大きくなりました・・・・・」

 

小猫ちゃんは俺の上で猫みたいに丸まって寝てる。

 

大きくなった小猫ちゃんか・・・・・・。

今のラブリーな小猫ちゃんも良いけど、大きくなった小猫ちゃんも見てみたいかも!

黒歌並のスタイルになったりして!

それはそれで最高だな!

 

「う~ん、総督~。仕事してください~」

 

レイナ・・・・・。

夢の中でもアザゼル先生に迷惑かけられてるのか・・・・。

 

あれ・・・なんだか泣けてきた・・・・・。

 

今度、どこかに連れて行ってあげよう。

今のレイナにはストレスの発散が必要だ!

 

 

にしても、こうして皆と寝るのも久しぶりだ。

オーディリアの城では各自に部屋を与えられてたし、部屋のベッドもこのベッドと比べると小さかったからな。

 

こうしてると帰って来たんだなって改めて思えてくる。

 

 

っていうか、皆はいつの間にベッドに潜り込んだんだ?

昨日、寝た時には美羽と部長、アーシアしかいなかったぞ?

 

まぁ、今となってはこの方が落ち着くから良いんだけどさ。

 

 

さて、そろそろ着替えるとするか。

ティアには今日も修行に付き合ってもらえるように頼んどいたしな。

 

皆を起こさないようするには・・・・・・

まず、小猫ちゃんを腹の上から下ろさないとな。

 

小猫ちゃんを下ろそうとすると・・・・

 

 

小猫ちゃんが俺のシャツをギュッと握ってきた!

 

「・・・・イッセー先輩、ずっと一緒です・・・・にゃあぁ」

 

 

こ、これは・・・・・!

 

なんてこったよ!

こんなことされたら下ろすに下ろせないよ!

 

 

どうしよう!

 

どうすればいい!

 

俺は・・・・・どうすればいんだぁぁぁぁぁああああ!!!!!

 

 

 

ガチャ

 

 

 

ここで部屋のドアが開く音が聞こえた。

 

ドアの方を見てみると、僅かに開かれた隙間からアリスがこちらを伺っているのが見えた。

 

 

何してんだ・・・・?

 

 

「アリス? どうした?」

 

 

ガタッ

 

 

声をかけると、アリスは慌てたように隠れた。

 

なんだ・・・・?

 

俺は訝しげに思い、再び声をかけてみる。

 

「アリス?」

 

すると、ゆっくりとドアが開き、アリスがそーっと入ってきた。

枕を胸に抱え、恥ずかしそうにしている。

 

なぜか、俺と目を合わせてくれない。

 

「な、なんだ、起きてたのね・・・・・・」

 

「まぁな。俺が起きるのは大体この時間だ。修行もあるしな」

 

「そうなんだ・・・・・。・・・・せっかく早起きしてきたのに・・・・・」

 

「えっ?」

 

「なんでもないわよっ。・・・・・・・・って、なにこの状況」

 

ようやく、こっちを向いたと思えば言葉を詰まらせるアリス。

 

朝から色々忙しい奴だな・・・・。

 

なにがあったんだよ?

 

「ねぇ、イッセー。なんで、リアスさん達もここで寝てるの? っていうか、この家に住んでる女の子のほとんどがいるみたいなんだけど・・・・」

 

「ん? まぁ、親とロスヴァイセさん以外はいるか・・・・。でも、いつもこんな感じだぜ?」

 

今年の夏からだけどね。

最初はこうでもなかったんだけど、日に日に増えていったんだよね。

 

そのおかげで、改築後に大きくなったベッドを更に大きくすることになった。

 

あ、そういえば、ティアも来るよな。

ティアは基本的には自分の住処にいるんだけど、たまに兵藤家に泊まるときもある。

今日もこの家にいるはずだ。

 

 

「あんたって・・・・・やつは・・・・!」

 

 

 

ワナワナと肩を震わせるアリス。

 

その身に白い雷を纏わせて、髪も金髪から純白へと変化する。

 

 

・・・・・え?

 

 

「ア、アリス・・・? なんで―――――」

 

 

「この浮気者ーーーーーーっ!!!!」

 

 

 

スパーーーーーーーンッ

 

 

 

アリスが持っていた枕が俺の顔に炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛ってぇ・・・・」

 

 

朝の修行を終え、朝食を食べた後も顔に枕の跡が残っていた。

 

あー、ヒリヒリする・・・・・。

 

「ゴ、ゴメン・・・・つい・・・・」

 

申し訳なさそうにするアリス。

朝の一件以来、ずっとこんな感じだ。

 

俺は苦笑しながらアリスの頭をポンポンと撫でる。

 

「もう気にしてないよ。だから、そんなにしょぼくれるなよ」

 

「うん・・・・」

 

 

 

ピンポーン

 

 

 

 

「ひゃっ!」

 

その音に驚いたアリスが俺に抱き着いてくる。

アリス・・・・自動ドアだけじゃなくて、インターホンもダメなのか・・・・。

 

普通の物音なら平気なのにな。

やはり、機械の存在そのものがダメなのだろうか?

 

まぁ、こうしてアリスの可愛い反応を見れるから、良いんだけどね。

 

 

それにしても、客か。

 

・・・・この気の感じは・・・・・あの娘か。

 

何のようだ?

 

「はいはーい」

 

俺は訝しげに思いながらも、玄関の扉を開ける。

 

そこにいたのは――――――

 

 

「あっ、イッセー様・・・・」

 

「よう、レイヴェル。久しぶりだな」

 

 

上級悪魔フェニックス家の娘、レイヴェル・フェニックスが立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達はリビングに集まっていた。

 

 

「リアス様。突然の来訪、申し訳ございません」

 

「良いのよ。歓迎するわ、レイヴェル」

 

 

レイヴェルが部長に挨拶をし、部長も笑顔を返していた。

 

冥界では何度か顔を合わせることがあったけど、まさか人間界の、しかも、俺の家に来ることになるなんて思ってもなかったよ。

 

部長の様子だと事前の連絡も無かったみたいだし、本当に不意打ちの訪問のようだ。

 

 

ちなみに、今日のレイヴェルは白いワンピースを着ていた。

 

うーん、結構胸あるよね。

 

多分、俺とアリスよりも年下だよね?

まぁ、見た感じの判断でしかないけど・・・・・。

 

「・・・・イッセー先輩、どこを見てるんですか?」

 

おっと、流石に小猫ちゃんは鋭い!

 

俺は誤魔化すため、苦笑しながらレイヴェルに話を振った。

 

「それで、どうしたんだ? レイヴェルが家を訪ねるなんて珍しいな」

 

「はい・・・・。実は兄のことでご相談がありまして・・・・・」

 

その言葉を聞いて、俺と部長は顔を見合わせる。

 

これは少々込み入りそうだな・・・・・。

 

「ライザーについて?」

 

部長が尋ねると、向かいの席に座るレイヴェルは頷く。

 

「はい。兄があの一件以来、塞ぎ混んでしまったのはお耳に届いていると思うのですが・・・・・」

 

あー、そういえばそんなことを聞いた記憶があるな。

 

あれは・・・・・・魔王主催のパーティーの時だっけ?

 

 

許嫁関係にあった部長とライザー。

 

だけど、部長は親の決めた婚約が嫌で、自由な恋愛をしたくて、その関係を破談させるためにライザーとのレーティングゲームに挑んだ。

 

あの時はグレモリー所有の別荘で皆の修行を見てたっけな。

 

最終的には俺がライザーにアグニをぶちこんで、倒したんだけど・・・・・・。

 

 

レイヴェル曰く、あの一撃に恐怖を覚えたライザーは引き込もってしまったらしい。

それは半年近く経った今でも変わらないようだ。

 

 

俺達の会話を隅の方で見守っているアーシア達。

 

「ライザーか。話には聞いているが・・・・・」

 

「どういう人なの?」

 

ゼノヴィアとイリナがアーシアに尋ねる。

 

ライザーと面識のないメンバーは興味津々といった様子だ。

 

「えーと、フェニックス家の方で・・・・」

 

アーシアが説明していく。

 

そういえば、あの一件はアーシアがグレモリー眷属に入った直後のことだったな。

 

今思えば懐かしいものだ。

 

「許嫁・・・・・。貴族社会に憧れます。上手いこと玉の輿に乗れないかしら」

 

ロスヴァイセさん・・・・・・何を企んでいるんですか?

 

目がキラリッと輝いてますよ?

 

 

ま、こうして、妹自ら訪問してくるってことは本当に困っているんだろうな。

 

「ライザーはあれから治ってないのね・・・・」

 

部長の一言にレイヴェルは頷く。

 

「本来なら、ここへ来るのは筋違いかもしれません。だけど、リアス様のところならあるいは、と意見を伺ったものですから・・・・・・」

 

「私のところ? どういうこと?」

 

部長の疑問にレイヴェルは答える。

 

「兄の精神的なところを直すのなら、リアス様の眷属が持つ・・・・・いわゆる『根性』を習った方が良い。そのように意見をいただいたのです。今日はそれで・・・・・」

 

 

その答えを聞いて、リビングに皆の苦笑が漏れる。

 

 

根性、か。

 

まぁ、間違ってはないな。

グレモリー眷属は全員がガッツを持ってるし、その根性でこれまで戦い抜いてきたからな。

 

自分で言うのはなんだけど、俺なんて根性の塊だと思うんだ。

 

 

場の空気が少し緩和するとレイヴェルの溜まっていたものが吐き出された。

 

「というかですね、兄は情けないです! 一度の負けくらいで半年も塞ぎこむんですよ!? イッセー様だけではなく、他のドラゴンにも怯えてるとか情けなさ過ぎると思いませんか!? 男なら負けを糧にして前に進めば良いものを! もう情けなさ過ぎます!」

 

おおっ。

 

ライザー・・・・・。

おまえ、妹に「情けない」を連呼されてるぞ。

 

つーか、レイヴェルもメチャクチャ不満を溜め込んでたみたいだな。

 

どれだけ酷い状況なんだよ・・・・・・。

 

「・・・・・でも、あれでも一応は私の兄なものですから」

 

と、レイヴェルは最後に締めくくる。

 

 

何だかんだ言っても兄が心配なわけだ。

まぁ、そうじゃなかったら、態々ここまで来ないよな。

 

 

しかし、元婚約者の部長も複雑な心境のようだ。

レイヴェルも本気で兄を何とか立ち直ってほしいという思いで来ているわけだし。

 

 

ま、仕方がないか。

 

俺は立ち上がって、レイヴェルに言う。

 

「俺が何とかするよ。任せろ、レイヴェル」

 

レイヴェルをはじめ、全員の視線が俺に集まった。

 

「ライザーが引き込もった原因は俺にもあることだしな。立ち直らせるのも俺がやってやるさ。それに」

 

「それに?」

 

レイヴェルが聞き返してきたので、俺は頬をかきながら答えた。

 

「レイヴェルの頼みとあってはことわるわけにもいかないだろ。レイヴェルには色々と助けてもらってるしな」

 

特におっぱいドラゴンのイベントでね。

 

レイヴェルが裏方でサポートしてくれて、スゲー助かったもんな。

 

「イッセー・・・・・」

 

「心配ないですよ、部長。要するにライザーに根性を叩き込むんですよね? それなら俺が適任ですよ」

 

俺は笑みを浮かべながら部長に言った。

 

まぁ、俺が引き受けた理由としてはもう一つあるわけだが・・・・・・。

 

 

レイヴェルの方へ視線を戻すと、パァッと明るい表情なっていた。

だけど、直ぐにハッとなったのか、咳払いした。

 

「し、し、仕方ありませんわね。それではイッセー様に頼んで差し上げてよ? せいぜい上級悪魔のために励んでくださいな」

 

あらら・・・・。

ツンツンしちゃって・・・・・。

 

その様子に苦笑していると、レイヴェルは顔を赤くしながら言った。

 

「・・・・い、一応お礼を言ってあげますわ」

 

「おう!」

 

 

こうして、「焼き鳥復活計画(仮)」が始動したわけだが・・・・・。

 

 

さーて、どうしてやろうかな。

 

 

 

 

 

 


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