ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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3話 観光と襲撃です!

『間もなく京都に到着致します』

 

アナウンスが流れた。

 

 

ついに到着か!

 

新幹線が駅のホームに停車し、俺達は荷物を持って外に出た。

 

 

「おー、やっと着いたな」

 

松田が辺りを見渡す。

 

周囲には駒王学園の生徒以外にも学生がいた。

 

桐生が言ってた通り、この時期は修学旅行で来る学生が多いんだな。

 

 

「さっ、改札出るわよー」

 

桐生先導のもと、改札口まで移動して潜っていく。

 

 

「わぁ、すごく広いね!」

 

美羽が弾んだ声で言う。

 

 

京都駅の天井は広いアトリウム。

エスカレーターも多い。

 

東京に負けてない気がするよ。

 

 

「見ろ、アーシア! 伊○丹だ!」

 

「はい! ゼノヴィアさん! 伊○丹です!」

 

興奮気味のゼノヴィアとアーシア。

 

目につくもの全てに反応してる。

マジで楽しそうだな。

 

「天界にもこんな素敵な駅が欲しいわ!」

 

「総督にも神器ばっかりいじってないでこういうのを作って欲しいわ」

 

レイナ、それはただの愚痴じゃないのか・・・・・?

 

ってか、先生が本気だしたら作れそうだ。

 

「集合場所はホテル一階ホールだったわね。ほーら、あんた達ー、さっさと集まらないと時間無くなるわよー」

 

班長の桐生が声をかけてくる。

全員をまとめると桐生がしおりを出して位置を確認。

 

「えーと、ホテルはここで・・・・・。現在地が西改札口だから・・・・・・こっちね」

 

「早く行こうぜ。外に出ればすぐだろ」

 

「松田、知らない土地舐めてるとケガするわよ? その軽率な行動で戦死者が出たらどうするのよ」

 

「ここは戦場かっ!?」

 

 

 

なんて会話をしながら俺達は京都駅を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

京都駅から数分歩いたところに大きな高級ホテルがある。

俺達が泊まるのはそのホテルなんだけど・・・・・・。

 

 

 

 

その名も『京都サーゼクスホテル』

 

 

 

 

 

京都でも魔王の名前は影響力があるらしい。

 

ちなみに少し離れたところには『京都セラフォルーホテル』がある。

 

ここは悪魔の領地じゃないんだし、もう少し控えた方が良いと思うんだよね。

 

まぁ、許可は得てると思うけどさ。

 

 

このホテル、裏ではグレモリー家が運営しているんだ。

だから、俺達は格安で部屋が用意できたとのこと。

 

中に入ると、きらびやかで豪華絢爛な造りのロビーが俺達を迎えていた。

流石はグレモリー家が運営するだけある。

 

松田、元浜、桐生はその迫力に圧倒されていた。

 

 

俺達は・・・・・・まぁ、慣れてるからね。

 

部長の家やアリスの城で。

どちらもこのホテルよりも大きくて迫力が半端じゃない。

 

 

ロビーから少し進んだところにホールがある。

 

広いホールにはすでにかなりの数の駒王学園の生徒が集まっていた。

先生達もいる。

 

時間が来ると各クラス、班ごとに点呼が始まり、いない人の確認などが始まる。

 

全員ホールの床に座り、先生達の注意事項に耳を傾けていた。

 

ちなみに今喋ってるのはうちの担任だ。

修学旅行に来てるのに白衣を着ているかは謎だが・・・・・・。

 

「つーことで、いいか、テメーら。修学旅行の夜と言えばピロー・スローイング・フェスタが定番中の定番だが、顔面はセーフ。三回当てられた奴はその時点で退場。一回に投げられるピローは一つまで。ルールはこれで統一しろー。『中学の時はこうだった』とか、『やっぱり、こうしようぜー』とか言い出すやつも退場だー」

 

 

うん、普通に枕投げだよね。

確かに定番だけど、何故にそこだけ英語?

つーか、ここで話さなくても良くね?

 

色々ツッコミ所しかないが、俺の横では・・・・・・

 

「修学旅行ではそのような祭典が行われるのか・・・・・・」

 

「修学旅行は私が知らないことがいっぱいです」

 

ゼノヴィアとアーシアが真剣に聞いちゃってるよ。

 

そんな大層なものじゃないから!

 

結局、坂田先生は『ピロー・スローイング・フェスタ』についての注意事項だけを言って次の先生と交代した。

 

 

そして、ロスヴァイセさんの番になったんだが・・・・・。

 

「百円均一のショップは京都駅地下のショッピングセンターにあります。何か足りないものがあったらそこで済ませるように。お小遣いは計画的に使わないとダメですよ? あれやこれやと無計画に使っていたらすぐに無くなります。だからこそ百円で済ませられる百円均一を活用しなさい。――――百均は日本の宝です」

 

百円均一のお話ですか!?

 

確かに安くて便利だけどさ!

 

 

ロスヴァイセさんって日本に来てから百均にハマってるみたいなんだけど・・・・・・。

 

それで良いのか、元ヴァルキリー!?

 

結局、ロスヴァイセさんは『百均』について熱く語って、話を終えた。

 

 

ちなみにだけど、ロスヴァイセさんは駒王学園に就任してからすぐに生徒からの人気を得た。

美人で真面目なのにどこか抜けているから、男女を問わずクリーンヒット。

更には歳も近いから『ロスヴァイセちゃん』って親しみを込めて呼ばれてる。

 

「―――と、以上に気をつけてください。部屋に荷物を置いたら、午後五時まで自由行動ですが、あまり遠出はしないように」

 

『はーい』

 

と、最終確認を聞いたあと二年生全員の返事でホールでの午後の行動についての説明が終了した。

 

 

 

 

 

 

駒王学園の生徒が泊まるホテルの部屋は広い洋室で男子が二人部屋、女子が三人部屋だ。

駒王学園は比較的女子の割合が大きいからそうなるのも仕方ない。

 

中に通されると大きなベッドが二つと京都駅周辺を窓から一望できる風景を目の当たりにする。

 

ここは松田と元浜の部屋で二人は豪華な部屋にテンションを上げていた。

 

「すっげぇぇぇぇえ!!」

 

「駒王学園に入学して本当に良かったと思えるな」

 

 

まぁ、他の高校よりは絶対に豪華だよね。

駒王学園だからこそってやつだ。

 

 

さてさて、問題は俺だな。

 

俺だけ一人余ったから部屋を一人で使うことになっているんだが・・・・・・。

 

なぜか俺の部屋だけ、階が違う。

男子が泊まる階から上に二つ上がって、隅にある部屋。

 

 

・・・・・・・嫌な予感しかしない。

 

 

扉を開けると――――

 

 

「・・・・・・は?」

 

 

そこは八畳一間の和室だった。

小さなテレビに小さなちゃぶ台。

最低限のものしか置かれていない。

 

 

「あははははははは! マジかよ! ここだけ和室じゃん!」

 

「ベッドではなく敷き布団か。しかも一人だけ・・・・。旅行資金のやりくりがイッセー一人に一気に来たというわけか。ドンマイだ」

 

爆笑する松田と分析しながら励ましてくれる元浜!

とりあえず、松田は殴る!

 

なんで俺だけ!?

 

俺、嫌われてるの!?

 

泣いていいですか!?

 

美羽のところに泊めてもらうか!?

 

 

すると、扉がノックされる。

 

「イッセー君? ここに来てますか?」

 

「あ、ロスヴァイセさん」

 

扉の所にはジャージ姿のロスヴァイセさんが立っていた。

 

俺はロスヴァイセさんに近づいて耳打ちする。

 

(すいません。説明してもらっても良いですか? 俺、泣きそうなんですけど)

 

(そこは我慢してください。ハンカチ貸してあげますから。ここは私達が話し合いが出来るよう特別に用意した部屋なんです)

 

(話し合いって、悪魔的な?)

 

(そういうことです。京都で何かが起こった時は話し合いが出来る場所が必要となります。そこで一人余っていたイッセー君の部屋に割り当てたのです)

 

(いや、それは良いとして、なんで和室? もう少しマシな部屋があったでしょう?)

 

(他の部屋は一般の方が泊まっていますし、この部屋は基本的に誰も来ないとのことなので。私達が集まるにはちょうど良かったのです)

 

(今思ったんですけど、アザゼル先生の部屋とかで良いじゃないですか)

 

(それもそうですね。まぁ、今から部屋を用意するのもあれなんで、ここは耐えてください)

 

ひどいっ!

俺だって修学旅行先のホテルは皆と同じ豪華な部屋が良かったよ!

 

 

 

 

 

 

 

京都駅から一駅進んだところに『稲荷駅』があり、そこから下車することで伏見稲荷への参道に入ることができる。

 

「おーっ、珍しいものがたくさん店頭に並んでいるな」

 

「わー、かわいい狐ばかりですね」

 

「ここで少しくらいお土産買っても大丈夫よね?」

 

と教会トリオは早速京都の空気を堪能していた。

 

こうしてキャッキャッしているところを見るとアーシア達は普通の女子学生と変わらない。

 

その隣では、

 

「この髪飾り、レイナさんに似合うんじゃないかな?」

 

「本当? うーん、でも少し高いかなぁ」

 

と美羽とレイナが簪を前に相談していた。

水色と白色の花の飾りがついた可愛らしい簪だ。

 

確かに、レイナに似合いそうだな。

 

 

お値段は・・・・・・5900円。

 

流石に高い。

他のお土産のことも考えると厳しい値段だ。

 

プレゼントしてあげたいのは山々なんだけど、俺もそこまでお金を持ってきているわけではない。

 

ここはまた今度ということにしておくのが良いだろう。

 

 

「うむ、美少女達in京都!」

 

松田がゴツい一眼レフのカメラでアーシア達と美羽達を交互に撮っていく。

 

「ちょっと、私は撮らないの?」

 

桐生が半目で物申していた。

 

 

一番鳥居を抜けると大きな門が現れ、その両脇には狐の像が立っている。

 

魔除けの像だから本来なら、俺達悪魔は近寄れない。

だけど、部長から受け取っていたフリーパスのお陰で特に問題は無いようだ。

 

 

・・・・・さっきから視線を感じているんだけど、あれは監視か?

 

まぁ、ここの人達からすれば俺達悪魔は完全に余所者だし、フリーパス券があるとはいえ、少しくらい見張りをつけるのは仕方がないと言えばそうだしな。

 

美羽やゼノヴィア、イリナ、レイナも既に気づいているようだ。

 

アイコンタクトを取ってきたので、俺は頷いて返す。

 

今のところ敵意も殺気も感じないから放置しておくか。

 

 

そんなことを考えながら、歩いていくと稲荷山を登る階段が見えてくる。

 

そこから更に歩くと千本鳥居が俺達の前に現れたのだった。

 

 

 

千本鳥居を潜り始めてから数十分。

 

 

 

流石に名所だけあってすごい迫力だ。

進めど進めど赤い鳥居ばかりだしな。

 

俺達は写真を撮りつつ階段を登っているんだが・・・・・・。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ・・・・・・・。俺、もう・・・・・もう限界・・・・・・・・」

 

元浜は既に息があがっていた。

 

松田が嘆息しながら言う、

 

「情けないぞ。アーシアちゃん達だってまだ元気だってのに」

 

松田は運動神経抜群だから、このくらいは余裕のようだ。

 

アーシアは悪魔とはいえ、運動は苦手だ。

それでも、まだ余裕があるのは日頃の修行の成果だな。

 

ちなみに桐生も少し汗を流しているが、とくに弱音をあげることはなく写真を撮りまくってる。

 

元浜。

おまえ、一般の女子より体力ないのな・・・・・・。

 

階段を上がるごとに死にそうな顔をしている元浜を哀れみの目で見つつ、俺達は山を登っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少し経った頃、異変が起きた。

 

俺達に向かって敵意が放たれてきたんだ。

 

 

ゼノヴィアが神妙な顔をしながら言う。

 

(イッセー、気づいたかい?)

 

(もちろん。数は・・・・・・ざっと二十くらいか)

 

 

集まりつつある複数の気配。

 

さっきの視線とは違うか?

 

 

まぁ、何にしてもここで襲撃を受けるのはマズい。

 

ここは山の休憩所。

一般の人も大勢いる。

 

こんなところでドンパチやるわけにはいかない。

 

(ゼノヴィア、おまえ達は元浜達を頼む。襲撃してこないのは一般の人がいるからだと思う。ここは俺が引き付ける)

 

(了解した。だが、十分に気を付けてくれ)

 

(おう)

 

さてさて、どうするかな。

 

「俺、先にてっぺんまで行ってみるわ」

 

「あ、ボクも行くよ」

 

俺が元浜達にそう言うと美羽がそれに続く。

美羽の方を見ると頷きを返してきた。

 

ま、相手もそれほど脅威になるレベルじゃなさそうだし良いか。

 

それよりも問題なのは一般人に見られること。

美羽がいれば人払いの結界くらいなら直ぐに張れる。

 

「OK。じゃあ、二人で先に行ってくるよ」

 

「なんだなんだ? 兄妹デートかよ? 羨ましいやつめ」

 

「松田よ、これも兄の特権なのだ」

 

「その特権、俺にくれ!」

 

「ふざけんな!」

 

うちの妹は誰にもあげません!

 

 

そんなやり取りをしつつ、俺と美羽は皆の元を離れて階段を登っていった。

 

 

よし、気配は俺達を追ってきているな。

 

どうせなら頂上まで行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

しばらく歩くと、頂上らしき場所に出た。

あるのは古ぼけたお社だけ。

 

辺りは木々で鬱蒼としていて、まだ日が出ているというのに薄暗い。

 

人の姿は俺と美羽以外はない。

 

ここなら問題ないだろう。

 

 

俺と美羽は頷き合い、気配のする方に視線を送る。

 

「出てこいよ。いるのは分かってるぜ」

 

すると――――

 

 

「・・・・・やはり、京の者ではないな。それに人でもない」

 

 

現れたのは巫女装束を着た可愛らしい女の子だった。

 

「・・・・・女の子?」

 

予想外の人物の登場に目を丸くする美羽。

 

キラキラ光る金髪に、金色の瞳。

背丈からして小学校低学年くらいか?

 

そして、何よりも気になったのは――――獣の耳。

 

小猫ちゃんみたいに頭部に耳がある。

あれは狐かな?

 

それにお尻からはもふもふしてそうな尻尾がある。

 

 

 

・・・・・・触ってみたい。

 

 

「お兄ちゃん・・・・・何考えてるの?」

 

 

おっと、いかんいかん。

 

あの耳と尻尾を見てたら小猫ちゃんのを触った時のことを思い出しちゃったよ。

 

あー、もふもふしたい。

 

獣耳って良いよね!

 

 

なんて思ってると獣耳の少女は俺を激しく睨み、吐き捨てるように叫ぶ。

 

「余所者め! よくも・・・・・・っ! かかれっ!」

 

少女の掛け声と共に林から山伏の格好で黒い翼を生やした頭部が鳥の連中と、神主の格好をして狐のお面を被ったやつらが現れる!

 

あの鳥は天狗か!

 

つーか、いきなりですか!?

話し合いもなし!?

 

 

少女は容赦なく俺に指を突きつける。

 

「母上を返してもらうぞ!」

 

「いや、おまえの母ちゃんなんか知らないんですけど!?」

 

俺の叫びを無視して天狗と狐神主は襲いかかってくる!

 

俺は攻撃を軽くいるのは捌きながら、美羽に指示を出す。

 

「美羽! 結界を頼む! こいつらは俺が相手する!」

 

「分かった!」

 

俺の指示に美羽はこの周囲にドーム状の結界を展開する。

 

これで人が近づいても気づかれないし、見られる心配もない!

 

「母上を返せ!」

 

「だから、知らないって言ってんだろ!」

 

「ウソをつくな! 私の目は誤魔化しきれんのじゃ!」

 

誤魔化すも何も、マジで知らねぇよ!

 

って問答無用か!

先ずは人の話をしっかり聞きなさいよ!

 

おまえの母ちゃんはどんな躾してんだ!?

 

ったく、京都に着いて早々にこれかよ!

 

 

「不浄なる魔の存在めっ!」

 

「神聖な場所を穢しよって!」

 

二人の天狗が錫杖を振るってくる。

 

その攻撃には完全に殺気が込められている!

 

「おまえらも人の話を聞けーーー!!!」

 

 

パシィッ

 

 

振り下ろされた錫杖を掴み、蹴りを入れて吹き飛ばす!

 

相手のレベルは高くない。

この程度なら俺だけで十分だ。

 

俺は向かってくる奴らの攻撃を素早く避け、軽い攻撃で制していく。

 

 

かなり理不尽なことになってるけどここは加減しよう。

 

部長には京都を壊さないように言われてるしな。

 

それに、ここで騒ぎを起こせば他勢力にも、悪魔業界にも迷惑をかけることになる。

 

出来るだけ騒ぎを最小限に抑えよう。

 

 

 

そんなことを考えながら、相手の攻撃を捌いていると――――

 

 

狐神主共が美羽に日本刀で斬りかかろうとしているのが視界に入った!

 

 

その瞬間、俺の頭の中で何かがキレた。

 

 

「テメーらァァアアア!! 何してんだァァアアア!!!」

 

俺は瞬間的なダッシュで狐神主に追い付き、頭を掴む!

そこからグルグルと体を高速回転!

そして、遥か彼方へと全力で放り投げた!

 

こっちが加減してたら調子に乗りやがって!

 

 

「「アアアアアアアアッ!?!?」」

 

天空で絶叫をあげる狐神主共!

 

そんな奴らに俺は中指を立てて叫んだ!

 

「星になりやがれ! 今度やったらこんなもんじゃ済まねぇからな!」

 

美羽に斬りかかるなんざ、言語道断!

それこそ問答無用だ!

 

次やりやがったら、フルボッコにしてやるよ!

 

「お兄ちゃん、やり過ぎ! やり過ぎだって!」

 

「あ、ゴメンゴメン。あの攻撃がおまえにいくと考えたら・・・・・・・つい」

 

「もうっ。あんまりいじめちゃダメだよ?」

 

 

はい・・・・・・・すいませんでした・・・・・・・。

 

うぅ・・・・・美羽に注意されてしまった・・・・・・。

 

 

『あの程度、美羽程の実力ならどうとでもなっただろう?』

 

いや、そうなんだけどさ。

 

体が勝手に・・・・・・。

 

『シスコンここに極まれりだな』

 

ハハハ・・・・・・。

 

 

俺一人に手も足もでないことに驚いたのか、奴らは後退していく。

 

『いや、今の相棒に引いてるんだろ』

 

うるせぇよ!

 

 

少女は俺達を憎々しげに睨んだ後、手をあげた。

 

「・・・・・撤退じゃ。今の戦力ではこやつに勝てぬ。おのれ、邪悪な存在め。必ずや母上を返してもらうぞ!」

 

「だーかーらー、おまえの母ちゃんなんて知らないって!」

 

少女はキッと睨みを更に鋭くするが、一迅の風と共に連中は消えていった。

 

 

やれやれ、とりあえずは追い返せたな。

 

 

 

それにしても、母上を返せ、か。

 

 

 

どうやら既に何かが起こってるのは間違いなさそうだ。

 

 

 

 

 


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