ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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4話 小猫の異変

「あー・・・・・疲れた・・・・・」

 

 

ボフッ

 

 

勉強会を終え、悪魔の仕事も終えた俺は自室のベッドにダイブした。

 

マジで疲れた・・・・・・。

いや、体力的には問題ないんだけど、精神的にね・・・・・。

 

このあとも遅くまで勉強会だ。

 

学園の中間テストも上級悪魔の昇格試験も目前に迫ってるから、限界まで挑戦することになったんだ。

 

今、美羽達女性陣が深夜の勉強会前に英気を養う夜食を作ってくれている。

 

皆、毎日遅くまで勉強に付き合ってくれていてな。

リアスや朱乃、レイヴェルは昇格試験、美羽やアーシア達は中間テストの勉強を教えてくれるんだ。

 

本当に助かっている。

 

・・・・・まぁ、日中教室を抜け出して保健室で寝ていたりもするんだが、それは許してほしい!

 

とにかく、皆が俺のためにここまでしてくれているんだ!

弱音は吐いていられない!

少し休んだら頑張ろう!

 

俺は携帯のアラームをセットして瞼を閉じる。

 

こういう時は少しでも眠ると後で目がさえるもんだ。

ただ、アラームに気づかず、そのまま熟睡してしまう可能性もある。

それだけは避けたい。

 

ドライグ、時間になったら起こしてくれ。

 

『了解だ。アラームが鳴ったら声をかけよう』

 

頼んだぜ。

 

と、軽く睡眠をとろうとした時だった。

 

 

ガチャ

 

 

部屋の扉が開く音が聞こえた。

 

あれ?

もう夜食できたのか?

 

思ってたより早いな。

 

そんなことを思いながら視線をやると、そこには白装束の小猫ちゃん。

猫耳と尻尾をだして、猫又モードになっていた。

 

小猫ちゃんは体調が悪いみたいだから今日は学校も悪魔の仕事も休んでたんだ。

 

気の流れが微妙に乱れていたから一応の処置はしてみたんだけど・・・・・・。

 

小猫ちゃんの顔が赤いところを見るとあまり効果が無かったか・・・・・・?

 

それに、少し表情に艶があるような・・・・・・。

 

小猫ちゃんは俺に近づいてくると、恍惚とした表情のまま白装束の裾をたくし上げた。

 

 

・・・・・・・・は、穿いてない!?

 

 

の、ノーパンだと!?

 

流石にこれには驚きを隠せず、俺は口をあんぐりと開けていた!

 

だって、部屋に入ってきたと思ったら何も言わずにノーパンだよ!?

普通に驚くわ!

 

小猫ちゃんの大事なところをガッツリ見てしまう俺だが、ブンブンと首を横に振った!

 

「こ、小猫ちゃん!?」

 

小猫ちゃんは白装束をはだけさせると、ベッドで横になってる俺の上にまたがり、抱きついてきた!

 

荒い息づかいが聞こえ、ほんのり汗ばんだ小柄で柔らかい体が密着する!

 

「・・・・・先輩・・・・・切ないです」

 

耳元で官能的な台詞を言う小猫ちゃん。

 

しかも、俺の手を取って自分の胸に当てた!

小さいけど確かな柔らかさが俺の手に!

 

「・・・・・にゃぁぁ・・・・・先輩・・・・・」

 

おいおい、何があった!?

 

普段、小猫ちゃんは甘えては来るけど、流石にこれは様子がおかしい!

 

ざらっとした猫特有の舌触りが俺の首を伝う!

小猫ちゃんに俺の首筋をなめられた!

 

ちょ、小猫ちゃん!?

いつの間にこんなエロい舌使い覚えたの!?

 

小猫ちゃんは切なそうな瞳を浮かべたまま、小さく声を漏らした。

 

「・・・・先輩の・・・・・あ・・・・・」

 

「あ?」

 

聞く俺に小猫ちゃんはハッキリと告げてきた。

 

「赤ちゃんが欲しいです」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

な、な、なななぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃっ!?

 

赤ちゃんんんんんんんん!?

 

いや、俺達まだ学生・・・・・じゃなくて!

 

本当にどうしたんだ、小猫ちゃん!

 

小猫ちゃんは完全に白装束を脱いでしまい、全裸となってしまった!

 

そんな状態で俺の上にまたがってるものだから、もうあちこち直に当たってるよ!

 

 

そこへ―――――

 

 

「イッセー、お夜食ができたみたいよ・・・・・・あら」

 

イグニスが部屋に入ってきた!

 

ちょうど良かった!

なんとか、小猫ちゃんを止めてもらおう!

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・なんて考えてしまった俺はバカだった。

 

 

 

 

 

 

「なるほど。勉強会の前にまずは汗を流そうというのね。それは良い考えだわ。ちょっと待ってて、今皆を――――」

 

「待てぇぇぇええええええええええっ!!!!」

 

俺の叫びが家中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

「猫又の発情期ってことか」

 

他のメンバーから連絡を受けて駆けつけた先生が事情を聞いて開口一番にそう言った。

 

あの後、駒王学園三年の魔物使い、安倍先輩を呼んで小猫ちゃんを診てもらった。

すると、「小猫ちゃんは子孫を残したいという本能の状態になっている」と診断されたんだ。

 

小猫ちゃんは現在、安倍先輩が調合してくれた薬を飲んで自室で休んでいる。

その薬が効いたのか今は落ち着いている。

 

「発情期、か・・・・・」

 

猫のと同じかは知らないけど、道理で気を調整しても効果が無かったわけだ。

生物がもつ本能的なものらしいからな。

 

「猫又の女は子供を宿せるようになって暫くすると一定周期で発情期に入る。要は猫又の本能が働いて子孫を残すために子作りしたくなるんだよ。その辺は猫と同様だな。猫又の女の特性上、相手は気に入っている異種族の男ってわけだ。つまりはおまえだよ、イッセー」

 

お、俺が選ばれたってことか・・・・・・?

 

自身を指差す俺に先生は頷いた。

 

「小猫はレアな猫又―――猫魈だ。赤龍帝との子供なら万々歳だ。だが・・・・・・・小猫はまだ小さい」

 

「それは小猫ちゃんの体が赤ちゃんを宿すには難しいってことですよね?」

 

「そういうことだ。出産は心身ともに成熟してなければ危険が伴う。それは人間も妖怪も同じこと。小猫の体はまだ未成熟。もし、今のままイッセーの子を宿したら出産の際に母子共に耐えられずに死ぬ可能性が高い」

 

小猫ちゃんが子供を作るにはもう少し時間が必要だってことだな。

いや、作ることは可能だろうけど危険が伴う、か

 

でも、体が未成熟なら本能的に発情期になんて来ないんじゃないのか?

 

安倍先輩も少し早いと言ってたし。

 

「小猫ちゃんの体はどうして、そんな・・・・・・。本能的に来るなら、まだ――――」

 

「その理由なら簡単にわかるじゃない」

 

そう言ったのはイグニスだった。

 

この場にいる全員の視線がイグニスに集まる。

 

「イッセーと美羽ちゃんが関係を進めてから、リアスちゃんや朱乃ちゃん、皆がイッセーに積極的に迫るようになったでしょ? それを見て感情が高まったのよ。『私も負けられない』ってね」

 

俺と美羽の関係がトリガーになった・・・・・・?

 

確かに修学旅行以降、皆の積極性が増していたけど・・・・・。

 

リアスが呟く。

 

「私達の行動が小猫を発情期へと向かわせたのかしら・・・・・」

 

「まぁ、他にもイッセーのお仕置きを受けたことが原因の一つとして挙げられるけど」

 

「おいおいおい!」

 

それ、あんたが学園祭の後に無理矢理させたんだろうが!

ドライグを人質に取ってよ!

あの時もドライグが泣きながら助けを求めに来ただろうが!

 

しかも、なぜか皆がお仕置きにノリノリだったしよ!

 

「でも、小猫ちゃんをたくさんイカせ―――」

 

「はい、ストーップ! それ以上は言うなよ、駄女神! それ以上言ったら本気で怒るよ!?」

 

「えー、じゃあ、小猫ちゃんをいっぱい気持ちよくさせて―――」

 

「言い方変えたらOKだと思うなよ!?」

 

ええい、この駄女神め!

いきなりシリアスをぶち壊してくれるな!

 

つーか、一部の女性陣が頬染めてるんですけど!?

あの時のこと思い出した!?

 

シリアスな空気が壊れたことに呆れたのか、先生はため息をついた。

 

「まぁ、原因は分からんが発情期を無理矢理抑え込むのも問題だ。薬で抑制し続けた結果、本能が正常に働かなくなるなんてこともありうるしな」

 

それは確かに。

 

薬ばかりに頼っていると逆に小猫ちゃんの体を壊してしまう可能性もある。

 

「一番良いのは小猫の状態が完全に落ち着くまでイッセーが耐えることだな」

 

「うっ・・・・・・それは、まぁ、そうですね」

 

「おまえにとっちゃ美味しい展開だろうが、ここは我慢しろ。おまえが抱けば小猫が死ぬ。そう考えれば耐えられるだろう?」

 

誘惑に耐えるかぁ・・・・・。

 

女の子に求められるとかなりアレがアレするんだけど・・・・・。

 

ぐっ・・・・・生殺し状態かよ!

 

俺がむぅ、と唸っているとイグニスがこちらに歩み寄ってきた。

 

「イッセー。いざという時のお守りを渡しておくわ」

 

と、手渡してきたのは―――――

 

 

四角いビニール袋に密封された物体。

 

 

・・・・・・・・おい、これは・・・・・・・・・

 

 

突然渡されたそれに思考が停止する俺。

いや、部屋の空気が凍った。

 

イグニスは楽しそうに微笑みながら、

 

「誘惑に負けた時用にね♪ こういう時にこそ文明の利器を使いましょう♪」

 

イグニスはビニールの端を摘まむと上に引き伸ばす。

 

その数、およそ十セット。

 

それを見て美羽が声を上げた。

 

「あっ! それボクの!」

 

「「「なにぃぃぃぃぃっ!?」」」

 

今度は美羽とイグニス以外の声が揃った!

 

なんで美羽のをイグニスが持ってるの!?

いや、そもそも美羽はなんでそれを持ってるの!?

 

「み、美羽・・・・・?」

 

俺が声をかけると美羽は頬を赤らめながら言った。

 

「え、えと・・・・・その、桐生さんにもらって・・・・・・お兄ちゃんとまた・・・・・・・ね?」

 

ね?・・・・・・と言われましても・・・・・・。

 

つーか・・・・・・・

 

 

 

桐生ぅぅぅぅぅぅぅううううっ!?

 

また、おまえかよ!

 

 

 

 

 

 

~そのころの桐生さん~

 

 

 

「今ごろ、あの兄妹は合体してるのかね~。アーシア達のことも考えるとあと二十は渡しといた方が良かったかも」

 

 

と、真面目に中間テストへ向けて勉強していた。

 

 

 

~そのころの桐生さん、以上~

 

 

 

 

イグニスは手を顎に当ててニヤリと笑う。

 

「その桐生って子やるわね。私と通じるものがあるわ」

 

確かにあんた達、気が合うかもね!

 

二人ともスケベだもんな!

 

「でも、甘い。私ならアリスちゃん達のことも考えて、一人辺り十は用意するわ」

 

一人辺り十って・・・・・・。

あんた、俺を何だと思ってんの!?

 

イグニスは美羽の肩に手を置く。

 

「まぁ、美羽ちゃんは小猫ちゃんのためにも我慢しなさい」

 

「う、うん・・・・・・。小猫ちゃんのためにも我慢するよ・・・・・」

 

あれ!?

我慢するの美羽なの!?

俺じゃないの!?

 

流石に先生もひきつった表情だ。

 

「・・・・・ま、まぁ、何にしても小猫と子作りはするなよ、イッセー」

 

「わ、わかってます・・・・・・」

 

「それならいい。――――そうだ、朱乃」

 

先生が朱乃に話を振った。

 

「バラキエルは承諾した。俺もそれでいいと思う、あとはおまえの意思次第だ」

 

 

「父が・・・・・そうですか。わかりました。ギャスパー君も頑張っているのですもの、私も」

 

朱乃が決意に満ちた表情をしていた。

 

リアスは知ってるようだけど・・・・・・朱乃はお父さんに何か頼んだのか?

 

先生は朱乃の言葉を聞いて頷いた。

 

「わかった。と、それはそれは置いておくとして、他の皆もちょっといいか」

 

先生が改まった声音で俺達を見渡した。

 

「明日、この家に訪問者を呼ぶ予定だ。リアス、それについての了解をとりたい」

 

「突然ね。初めて聞いたわ」

 

「ああ、すまんな」

 

先生は少し申し訳なさそうな声で謝る。

 

つーか、この家の決定権はリアスにあるのな。

 

「おまえ達はその訪問者に確実に不満を漏らす。いや、そいつに対して殺意を抱いてもおかしくないはずだ」

 

そ、そんなに・・・・・・?

殺意って、どんな相手が来るんだよ?

 

先生の発言に皆も顔を見合わせて驚いていた。

 

不満を抱く相手・・・・・・・。

 

リアスが思い至ったのか難しい表情を浮かべる。

 

「まさかと思うけどヴァーリ達が来るんじゃないでしょうね?」

 

あー、なるほど。

 

ヴァーリチームはあれでもテロリストの一員だからここに来ることに不満の声は出るかもな。

 

でも、殺意までいくか?

 

「まぁ、それで半分正解だ」

 

「半分? 他にも誰か来るのね?」

 

「ああ。問題はそいつなんだが・・・・・・。俺の願いとしては決して攻撃を加えないでほしい。話を聞いてやるだけで十分なんだ」

 

「それだけなの?」

 

「それだけだ。だが、上手くいけば情勢が変化する大きな出会いになるかもしれない。俺も明日の朝、もう一度ここに来る。――――だからこそ、頼む」

 

頭を下げる先生。

 

先生がそこまで言うのか・・・・・・。

 

いったい誰が来るってんだよ?

 

色々と疑問を抱いたまま、次の朝、俺達は「その人物」と出会うことになる。

 

 

 


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