ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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11話 英雄派の思惑

俺がホテルに転移してきた時に感じたのは違和感と複数の気配だった。

 

元々俺は試験を終えた後、レイヴェルに連れられてホテルのレストランに直接転移する予定だった。

そこに皆もいるしな。

 

しかし、転移してみれば皆の姿はレストランにはなく、別の所に皆の気配が感じられた。

それに別の気配も。

 

嫌な予感がした俺は皆の元に急行。

 

 

 

そして、今に至る。

 

 

 

ゼノヴィアと先生、黒歌そしてヴァーリまでもが倒れ伏し血を流している。

 

イリナは間一髪のところだったが・・・・・・。

 

「皆!」

 

「ちょ・・・どうなってるのよ、これ!? 美羽ちゃん、アザゼルさんの治療を!」

 

「小猫さん! 黒歌さんの容態は!」

 

美羽とアリス、レイヴェルも駆けつけ、倒れている皆の元へ駆け寄る。

負傷者の治療はアーシアと美羽達に任せるとして・・・・・。

 

俺の目の前には輝くオーラを放つ槍を持ったあの男。

京都で死闘を繰り広げた英雄派のリーダー、曹操。

 

それから、美羽とも激しい魔法合戦を繰り広げたゲオルク。

 

そして・・・・・・上半身が堕天使で下半身がドラゴンみたいなやつ。

 

なんだよ・・・・・・このオーラは・・・・・・ッ!

寒気がするほどのプレッシャー・・・・・ッ!

 

絶対に触れてはいけないようなこの感じは――――

 

『・・・・・こいつは・・・・・! ドラゴンだけに向けられたこの圧倒的な悪意は・・・・・・!』

 

ドライグも目の前の不気味な存在に声を震わせていた。

 

天龍を怯えさせる程の存在ってことかよ!

 

 

「やぁ、赤龍帝。随分遅かったじゃないか。――――と、そういえば、君は上級悪魔への昇格推薦をもらっていたんだったな。おめでとう」

 

パチパチと拍手しながら祝いの言葉をくれる曹操。

 

「そいつはどうも。・・・・・で? おまえら、ここに何しに来やがった? 態々、俺達を祝福しに来たわけじゃないだろう? まぁ、この状況を見れば答えは分かるけどな」

 

 

 

 

バキンッ

 

 

 

 

ロビーに置かれていた花瓶が弾けるように割れた。

 

「曹操・・・・・・・。俺がいない間に随分とやってくれたなようだな・・・・・・! 俺の仲間を、先生を・・・・・・!」

 

俺の放った殺気にホテルの床や壁にヒビが入る。

 

体から滲み出る赤いオーラが空気を震わせ、次第にホテルそのものを揺らし始める。

 

俺は籠手を出現させ、鎧を纏う。

 

これを見て曹操が嬉々とした笑みを浮かべた。

 

「どうやら神器は使えるようになったみたいだな。だが、今の君にここで暴れてもらってはサマエルの制御に支障が生じそうだ。――――ゲオルク」

 

「了解だ」

 

曹操の言葉に頷き、ゲオルクが魔法陣を展開する。

 

なんだ?

 

何をするつもりだ?

 

俺が怪訝に思っていると美羽に治療されてる先生が血を吐き出しながら叫んだ。

 

「イッセー! 気をつけろ! あれは最強の龍殺し、サマエルだ! あれにオーフィスは捉えられ、ヴァーリですらやられたんだ! しかも攻撃が通じねぇ!」

 

「っ!」

 

マジかよ!

 

あのヴァーリがあそこまでの負傷を負うなんて・・・・・!

 

しかも、オーフィスも!?

 

それじゃあ、あの不気味な堕天使ドラゴンから伸びてる触手が捉えてるのって・・・・・・・まさか!

 

つーか、攻撃が通じない!?

なにそのチート!?

 

そうこうしてる内にサマエルとやらの右腕が俺へと向けられる!

 

 

ブゥゥゥゥン!

 

 

空気を震わせる音と共に触手が伸びてきやがる!

 

ヴァーリですらあれだ!

俺もあれを食らえば即アウトかよ!

 

『それじゃあ、私の出番じゃない? 本物のチートを見せてあげなさい』

 

イグニスが言う。

 

そうだな、最強の龍殺しだかなんだか知らねぇがこっちには最強のお姉さんがついてるんだぜ!

 

「消し炭にしてやらぁ!!!」

 

俺は即座にイグニスを展開!

 

その刀身に灼熱の炎を纏わせて触手目掛けて放つ!!

 

 

 

ズバァァァァァアアアアアッ!!!

 

 

 

放たれた炎の斬撃は触手を消し飛ばし―――――――サマエル本体を炎で覆った!

 

『オォォォォォオオオォォォ・・・・・』

 

サマエルから苦悶の声が発せられるが、イグニスの炎はその体を容赦なく燃やしていく。

 

「なっ・・・・!?」

 

流石の曹操もこれは予想外だったのか目を見開き、驚愕の声を漏らしていた。

 

魔法陣を展開中のゲオルクやリアス達も驚いているようだった。

 

まぁ、アザゼル先生の話だとサマエルも相当なものみたいだったからな。

 

イグニスが言う。

 

『イッセー。オーフィスちゃんを助けてあげないと、何かされてるみたいよ?』

 

オーフィスが呑み込まれているであろう黒い塊の方に視線を再び移すと、ゴクンゴクンと不気味な快音を立てて、何やら吸い取っているように見えた。

 

何をしているのかは分からないけど、早く助けてやらないと。

俺がイグニスを展開できる時間は限られてるしな。

 

俺は黒い塊の方に近づく。

 

うっ・・・・龍殺しだけあって嫌な汗が体中に・・・・。

 

早いとこ終わらせるか・・・・。

 

俺はイグニスを振り上げ――――――――――そのまま勢いよく触手目掛けて振り下ろす!

 

 

バチンッ!

 

 

弾ける音と共に触手は千切れ、黒い塊は消えていく。

それと同時に中からオーフィスの姿。

 

見た感じ、特に変わった様子もないけど・・・・ケガもしてなさそうだし・・・・・。

 

「バカな・・・・サマエルを斬っただと? ゲオルク、どれだけ取れた?」

 

ゲオルクは半ば呆然としながら曹操の問に答える。

 

「・・・・あ、ああ。四分の三強ほどだろうな。大半と言える。これ以上はサマエルを現世に繋ぎとめられないな」

 

そう呟くゲオルクの後方でサマエルを出現させている魔法陣が輝きを失いつつあった。

 

ゲオルクの報告を聞き、曹操はほっとした表情をする。

 

「上出来だ。十分だよ」

 

曹操が指を鳴らすと、サマエルは魔法陣の中に沈んでいく。

 

『オォォォォォオオオォォォ・・・・・』

 

苦悶に満ちたうめき声を発しながら、未だに炎に包まれた状態のサマエルは魔法陣の中へと消えていった。

 

あれ、あの後どうなるんだろうな?

 

『大丈夫よ。宣言通り消し炭になるから。まぁ、かなり制限された状態での力だから・・・・あのままおいて置けば完全焼失するのに一月くらいかしら? 肉体はおろか魂まで燃え尽きるわ』

 

・・・流石はイグニスさん。

 

あんたこそ本物のチートだよ・・・・・。

これで本来の力の一部って言うから恐ろしい・・・・。

 

そろそろ俺の方もイグニスを展開するのが限界なので仕舞う。

イグニスの熱によって急上昇していたホテル内の気温が下がっていく。

 

まぁ、それはおいといて問題はオーフィスだな。

 

もう一度、体を見てみるがやっぱり変化は見られない。

そうなると・・・・・何をされてたんだ?

 

オーフィスは曹操に視線を向ける。

 

「我の力、奪われた。これが曹操の目的?」

 

―――――――っ!

 

な、なんだと・・・・!?

 

その言葉に驚愕する俺達だが、問われた曹操は愉快そうに笑むだけだった。

 

「ああ、そうだ。オーフィス。俺たちは貴方を支配下に置き、その力を利用したかった。だが、あなたを俺たちの思い通りにするのは至難だ。そこにいる赤龍帝殿なら簡単かもしれないが。……そこで俺たちは考え方を変えた」

 

曹操は聖槍の切っ先を天に向ける。

 

「あなたの力をいただき、新しい『ウロボロス』を創りだす」

 

血を吐きながら先生は言う。

治療は続いているが、傷が深いのか傷の治療は思ったより手こずっているようだ。

 

「―――ッ! ・・・・そうか! サマエルを使ってオーフィスの力をそぎ落とし、手に入れた分を使って生み出す。・・・・新たなオーフィスか」

 

先生の言葉に曹操は頷く。

 

「その通りですよ、総督。我々は自分達に都合の良いウロボロスを欲したわけだ。グレートレッドは正直、俺たちにとってそこまで重要な存在でもなくてね。それを餌にご機嫌取りをするのにもうんざりしたのがこの計画の発端です。そして、『無限の存在は我々普通の人間でも倒し得るのか?』という英雄派の超常の存在に挑む理念も倒すことができた」

 

「・・・・・見事だよ、無限の存在をこういう形で消し去るとはな」

 

「いえ、総督。これは消し去るのとはまた違う。やはり、力を集めるための象徴は必要だ。オーフィスはその点で優れていた。あれだけの集団を作り上げるほどに力を呼びこむプロパガンダになったわけだからね。―――だが、考え方の読めない異質な龍神は傀儡にするには不向きだ」

 

「人間らしいな、実に人間らしいいやらしい考え方だ」

 

「お褒めいただき光栄の至りです、堕天使の総督殿。―――人間ですよ、俺は」

 

曹操は先生の言葉に笑みを見せていた。

 

新たなオーフィスを・・・・創る・・・・・?

サマエルで奪ったオーフィスの力で・・・・?

 

二人の会話に疑問符を浮かべる俺だが、そんな俺に曹操は槍の切っ先を向けてきた。

 

「さて、用事も済んだし本当ならここで帰るところなんだが・・・・・・少し手合せ願おうか、赤龍帝」

 

「・・・・・前回の続きをしようってか?」

 

「京都では件の第二階層とやらをお目にかかれなかったからね。是非とも見せてもらいたい」

 

「なるほど。―――――――それがおまえの禁手か」

 

曹操の背後には神々しく輝く輪後光、それに加え曹操を囲むようにボウリングの珠ほどの大きさの七つの球体が宙に浮かんでいる。

 

相変わらず静かなオーラだが、以前よりも遙かに濃密だ。

 

「そうだ。まだ調整中で未完成だけどね」

 

木場が叫ぶ。

 

「イッセー君! あの七つの珠にはそれぞれに能力が付与されている!」

 

「それぞれに・・・・? ってことは能力が七つあるってことかよ? んな無茶苦茶な・・・・」

 

「あんな馬鹿げた剣を持っている君に言われるのはね・・・・」

 

俺の言葉に曹操は苦笑しながらそう返す。

 

いや、そりゃあイグニスも無茶苦茶だけど、曹操の禁手も無茶苦茶だろう?

 

だって七つだぜ?

しかも見た目ではどれがどれなのか判断がつかない。

 

戦闘の時はどうなるか分からないけど・・・・。

 

まぁ、色々試してみるか・・・・。

 

 

バチッ バチチチッ

 

 

俺の周囲にスパークが飛び交う。

 

肩、腕、脚。

全身にブースターが増設されて、鎧の形状が変化していった。

 

「こいつが禁手第二階層―――――天武だ。お望み通りなってやったぜ?」

 

こんな狭い空間で天撃を使うわけにはいかないしな。

負傷者もいるし、出来るだけ巻き込まないようにしないとな。

 

曹操はこの形態を見て興味深そうにまじまじと見てくる。

 

「なるほど・・・・。覇龍とは違った力の波動だ。情報にある歴代のもののどれとも当てはまらない。これまでの実験で多くの神器所有者を見てきたがこんな進化を成し遂げた者は一人としていなかった。当然、俺も」

 

「まぁ、今のところなれるのは俺だけだしな。――――いくぞ」

 

 

その瞬間、俺と曹操は同時に領域へと突入した。

 

 

 

 

 

 

『Accell Booster!』

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!』

 

瞬時に倍加した俺は全身のブースターからオーラを噴出させて曹操へと突っ込む。

 

拳を構えて、殴り付ける体勢に入った。

 

「想像以上に速いな!」

 

「速いだけじゃねぇよ!」

 

腕からオーラを噴出させて、威力を劇的に高めた一撃を曹操へと放つ!

 

曹操は聖槍を盾にして防いだと思うと、それを軸にして体裁きで俺の攻撃を受け流した。

 

振り抜いた勢いだけで、ホテルの柱が崩壊する。

 

俺は振り向くと同時に気弾を複数放った!

 

「いやー怖い怖い。まともに食らえば俺は即アウトだな。――――珠宝」

 

すると、曹操の前に球体の一つが出てきた。

 

 

ギュゥゥゥゥゥンッ

 

 

俺の気弾が球体の前に生まれた黒い渦に吸い込まれていく!

 

なんだ、ありゃ!?

 

全ての気弾が吸収されたと思うと―――――アーシアの近くに新たな渦が発生した!

 

そこから出てくるのは先程俺が放った気弾!

 

ちぃっ!

 

そういうことかよ!

 

「アリス!」

 

「了解よ!」

 

俺の指示に反応してアリスが直ぐ様アーシアの前に立つ。

そして、取り出した銀色に輝く槍で全ての気弾を切り裂いた!

 

それを確認して俺は息を吐く。

 

ふぅ・・・・危ねぇ・・・・・

 

「イッセー! 無闇に攻撃するのは危険よ!」

 

「そうらしいな! 美羽! 結界を張ってくれ! 強力なやつを!」

 

「わかった! 皆、もう少し集まって!」

 

美羽の指示に従い、散会していた皆が美羽の近くに駆け寄る。

それと同時に美羽は空間遮断型の結界を何重にも展開した。

 

これであの結界内には受け流すことも転移することも出来ない。

 

何かあっても美羽とアリスで対処できる。

 

 

・・・・・・七つの内、一つしか見てないけど、こいつは想像以上に厄介そうだ。

 

 

そう思って曹操の方に視線を戻すと・・・・・・

 

「おいおい・・・・・。これまた面倒な能力だな・・・・・分身かよ」

 

俺の視線の先では光輝く人形の存在が複数出現していた。

数は八。

その全員が槍を構えている。

 

「居士宝。見ての通り分身を生み出す能力さ」

 

「木場の新しい禁手みたいだな」

 

「ハハハ。そうかもしれないな。だからこそ、木場祐斗の能力にも興味を持っていたんだが、まだ見れていないんだ。まぁ、それはまたの機会にとっておこう」

 

そう言うと分身体が一斉に襲いかかってきた!

 

槍をクルクル回しながら、左右上下から攻撃してくる!

 

俺は迫る槍をかわしながら、拳を放っていく。

たまに避けられたりもするが、まともに受けたやつは消滅していった。

 

「こいつも木場と同じで技術までは反映出来ていないようだな!」

 

横合いから伸びてきた槍を流しながら、その方向を見据える。

 

この攻撃は曹操本人からの攻撃だ!

 

「言っただろう? まだ調整中なんだ。もう少し改良したいところなんだが、どうしたものかな」

 

その時、曹操の右目が金色に輝いた!

 

それと同時に俺の鎧――――籠手の部分が石化していた!

 

あの右目、回復してると思ったら何か特殊なものに変わってやがる!

 

俺は直ぐに籠手の部分を破壊して、新たに籠手を作り直す。

 

直後、俺の右肩を槍が貫いた!

 

「ガッ・・・・・!」

 

「アザゼル総督達にも説明したけどね。これは君にやられて、俺が新たに得た眼だよ。邪眼というやつさ」

 

「てめぇ・・・・・・!」

 

俺は槍を引き抜く曹操に気弾を放つが、容易に弾かれてしまった。

 

曹操はふと、ホテルの時計に目をやる。

 

「・・・・・そろそろ時間か」

 

曹操はそう呟くとゲオルクの元に戻り、禁手を解いた。

 

時間だと・・・・・?

 

「件の第二階層とやらは十分に堪能した。現象としては興味深いが能力は単純だ」

 

能力は単純、か。

 

言ってくれるぜ。

まぁ、あいつの多彩な能力に比べれば見劣りするだろうよ。

 

「ゲオルク、サマエルが奪ったオーフィスの力はどこに転送される予定だ?」

 

「本部の研究施設にながすよう召喚するさいに術式を組んでおいたよ、曹操」

 

「そうか、なら俺は一足早く帰還する」

 

曹操はそう言って、ロビーをあとにしようとする。

 

ヴァーリが全身から血をなられ流しながら立ち上がる。

 

「・・・・・曹操、なぜ俺を・・・・・俺たちを殺さない? 禁手のお前ならば兵藤一誠が来る前にここにいる全員を全滅できたはずだ・・・・・。女の異能を封じる七宝でアーシア・アルジェントの能力を止めればそれでグレモリーチームはほぼ詰みだった」

 

一旦足を止めた曹操はヴァーリに向かって言う。

 

「作戦を進めると共に殺さず御する縛りも入れてみた・・・・・では納得できないか? 正直話すと聖槍の禁手はまだ調整が大きく必要なんだよ。だから、この状況を利用して長所と短所を調べようってね」

 

「・・・・・舐めきってくれるな」

 

「ヴァーリ、それはお互いさまだろう? 君もそんなことをするのが大好きじゃないか」

 

曹操は俺へと視線を戻す。

 

「赤龍帝の兵藤一誠。近い内にまた合間見えよう」

 

「・・・・・逃げるつもりか?」

 

俺は肩の傷を抑えながら問う。

 

すると――――

 

「予定時間だからね。それに――――あのまま続けていれば、今回は俺が勝っていただろうさ」

 

「っ!」

 

曹操はそれ以上は何も言わず不敵な笑みを浮かべる。

 

俺はそれを否定できなかった。

 

確かに俺の天武は攻撃力が爆発的に上がり、当たれば大抵の敵は倒せる。

 

しかし、どれだけ強大な力も当たらなければどうと言うことはない。

 

前回の京都でもそうだったように、曹操のテクニックは俺の上をいく。

それに加えてあの禁手にあの邪眼。

たんなるパワーアップどころじゃない。

 

天武のままでは(・・・・・・・)俺は負けていた。

 

 

「ゲオルク、死神の一行さまをお呼びしてくれ。ハーデスは絞りかすのオーフィスの方をご所望だからな。それと、前に考案した例の入れ替え転移、あれを試してみてくれ。俺とジークフリートを入れ替えで転移できるか? あとはジークに任せる」

 

死神・・・・・?

 

なんで死神がここで関係してくるんだ?

 

「それなら大丈夫だろう。試してみよう」

 

「流石はあの伝説の悪魔メフィスト・フェレスと契約したゲオルク・ファウスト博士の子孫だ」

 

「先祖が偉大すぎて、この名前にプレッシャーを感じるけども。まあ、了解だ、曹操。・・・・・それとさっき入ってきた情報なんだが・・・・・・」

 

ゲオルクが何やら険しい表情で曹操に紙切れを渡す。それを見た曹操の目が細くなっていく。

 

「・・・・・なるほど、助けた恩はこうやって返すのが旧魔王のやり方か。いや、わかってはいたさ。まあ、十分に協力はしてもらった」

 

何か起きたのか?

何やら想定外のことが起こったような表情をしているが・・・・・?

 

ゲオルクは魔法陣を展開させると、何処かへと消えていく。

 

「ゲオルクはホテルの外に出た。俺とジークフリートの入れ替え転移の準備中だ」

 

曹操は俺達に告げてくる。

 

「もうすぐここにハーデスの命令を受けて、そのオーフィスを回収に死神一行が到着する。そこには俺のところのジークフリートも参加する。そのオーフィスがハーデスに奪われればどうなるか・・・・・・。さぁ、オーフィスを死守しながらここを抜け出せるか挑戦してみてくれ。俺としては二天龍に生き残って欲しいが、それを仲間や死神に強制する気は更々ない。まぁ、精々気をつけてくれ」

 

そう言って俺達に背中を向ける曹操。

 

「曹操・・・・・・ここで俺を倒さなかったこと・・・・・後悔するぞ」

 

俺の言葉に笑みを浮かべながら曹操はこの場を去っていった。

 

 

 


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