ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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4話 レベルアップと部長の想いです!!

修業二日目。

今日からの皆の修業は、俺が指摘したことを踏まえつつ行っている。

それから、修行の効率化のため、俺と美羽、ティアの三人で担当を分けることにした。

俺は木場と小猫ちゃんといった前衛組の担当。

そして、朱乃さんやアーシアへの魔法の指導は美羽にやってもらっている。

ティアには部長の修業をマンツーマンで見てもらっている。(部長の後には俺の修業も見てもらっている)

 

で、俺が指導した方はこんな感じかな。

 

 

 

 

[木場の場合]

 

木場は目隠しをして俺の攻撃を避ける修業をしている。

 

気配や空気の流れを読み、攻撃を避ける。

これが出来るようになれば、目で追って動くよりも速く行動することができる。

更には死角からの攻撃にも対応できるようになる。

 

それに、木場の弱点は防御力の低さだ。

大きい攻撃を受けてしまえば即アウトになる可能性が大きい。

この修業をマスターすることで、攻撃だけじゃなく回避能力も高めることが出来るから木場にはかなり有効だ。

 

「中々難しいよ、この修業は………」

 

「それはそうだろ。ほれ、次いくぞ」

 

そう言って俺は新聞紙を丸めて作った棒を振り下ろすと、新聞紙は木場の頭に命中。

今ので百回目くらいだ。

 

俺は新聞紙の棒で肩を叩きながら言う。

 

「また命中だ。真剣ならアウトだぞ、木場」

 

「ははは………。コツがまだ掴めてなくてね」

 

コツ………ね。

まぁ、初めてで上手くやれってのも無理な話か。

俺も最初から出来ていたのかと問われると答えは否だ。

 

俺は腕を組んで少し考えた後、口を開いた。

 

「木場は敵の気配を感じることは出来るんだろ?」

 

「うん。それくらいはね」

 

「だったら、その感覚をもっと鋭くしたらいい。心を落ち着かせて、頭の中をクリアにするんだ。明鏡止水ってやつだ。そして、自分を中心に球を作る感じで、その球体の範囲に入ってきたものに対応する………って、イメージだな」

 

「自分を中心に球体を………」

 

木場はそう呟いて、一度深呼吸をする。

すると、

 

「………っ!」

 

変わった。

木場の雰囲気がほんの少しだけど、先程とは異なる。

こいつは―――――。

 

それから、数秒。

 

「イッセー君、いけるよ」

 

「………いくぞ」

 

俺は再び木場目掛けて棒を振り下ろす。

そして―――――棒は木場に当たることなく空を切った。

命中する瞬間、木場は体を後ろに反らし、避けて見せたのだ。

 

ヒントを教えたとはいえ、こんな短時間で避けれるようになるとは思わなかった。

実戦経験、それに加えて木場自身の才能か。

いやはや、こうも早くクリアしてしまうとは………。

 

「やるな」

 

「やっと、だけどね」

 

「じゃあ、この調子でドンドンいくからな?」

 

「うん。よろしく頼むよ、イッセー君」

 

コツを掴んだ木場は徐々に単発の攻撃なら避けれるようになっていき、目を隠した状態で連続攻撃を避ける程にまでなっていた。

 

 

 

 

[小猫の場合]

 

 

小猫ちゃんの修業は魔力を拳や足に纏わせる修業をしている。

 

小猫ちゃんの駒は戦車。

ただでさえ、高い攻撃力を有している小猫ちゃんの破壊力をさらに伸ばす。

これが今回の目標だ。

 

小猫ちゃんは今、山で見つけた大岩に拳を放っている。

 

「小猫ちゃん、もっと一点に魔力を集中させるんだ」

 

「集中………えいっ」

 

小猫ちゃんがそう呟いて殴りつけると、殴り付けた部位が炸裂し、岩に大きなクレーターが咲く。

それは昨日よりも深く、巨大なものになっている。

 

木場に続き、小猫ちゃんもちょっとしたアドバイスだけでここまで伸びるか。

こりゃあ、修行後は相当化けるぞ。

 

「そうそう。そんな感じ。それを維持しながら次いってみよう」

 

「分かりました、やってみます」

 

小猫ちゃんは岩に向かって次々に拳を放っていく。

まだ魔力のコントロールが不十分だから、威力が一定じゃないけど、昨日よりは大分良くなっている。

しかも、拳を撃ち込む度に威力も安定するようになっていてだな………。

早くも自分のモノにしていっているようだ。

 

ある程度、過ぎたところで小猫ちゃんにストップをかける。

 

「どう? 大体の感じは分かったかな?」

 

「そうですね。まだ、何となくですが」

 

「なら、実戦形式でやってみよう。いくら高い攻撃力でも、それを当てれるようにならないと意味がないからね」

 

「はい。お願いします、イッセー先輩」

 

その後、小猫ちゃんと実戦形式でやってみた。

 

動くものに当てる集中力と魔力をコントロールする集中力がいるので、最初は手間取っていた小猫ちゃんだけど、修業後半では魔力が安定するようになっていた。

 

 

 

 

 

「あぁ………極楽」

 

修業終了後。

夕食を食べ終えた俺は一人で風呂に入っていた。

木場は俺より先にあがったので、今は貸し切り状態に近い。

広い風呂を一人で貸し切りってのも悪くない。

やっぱり、足を伸ばしてゆったり出来る風呂って良いよね!

 

さて、風呂に入る前に美羽とティアからは皆の進捗具合を聞いたのだが………。

朱乃さんやアーシアも簡単な魔法ならマスターし、部長も魔力の凝縮は大体出来るようになったらしい。

 

ティアの修業が厳しいと部長が少し涙目だったけど………我慢してください、部長。

これも部長のためなんで………。

 

二日目で皆、コツを掴んできている。

眷属全員に言えることは高い才能を持っているということだ。

コツを掴むのが早く、次々と修得していっている。

これは指導を担当した側、全員の意見でもある。

 

才能という点では俺は皆の足元にも及ばないだろうな。

 

『確かに、相棒は才能など無に等しかったな。だが、相棒は努力だけで、今の強さまで登りつめた。俺は相棒を誇りに思うぞ』

 

嬉しいこと言ってくれるじゃないか。

ありがとうよ。

それで、ドライグから見た感じはどうよ?

 

『そうだな。確かに相棒達が言うように才能も高く成長も早い。だが、ゲームまでにフェニックスを倒せるほどになるかは微妙だな。流石に十日という短期間ではな』

 

そうか………。

過去のゲームを見たが、ライザーは頭や腕が無くなっても、そこから炎が巻き起こり、一瞬で再生させていたフェニックスの不死の特性は非常に厄介だ。

はたして、部長達がフェニックスの再生能力を越えることが出来るかどうか………。

まだ修業は始まったばかりだし、どうなるか分からないけどね。

 

『最悪、相棒がフェニックスを仕留めれば良い』

 

そいつはそうなんだが………禁手なしでフェニックスを倒すとなると………。

 

ブツブツと呟きながら、風呂から上がろうとした時―――――風呂場の扉が開かれた。

そして、そこにいたのは青い髪が特徴の綺麗なお姉さん。

そう、ティアが風呂場に入ってきたんだ!

 

「やはりここにいたか、イッセー」

 

「テ、ティア!? なんでここに?ここは男風呂だぞ!」

 

「分かっている。たまにはイッセーと一緒に入ろうと思ってな。背中を流してやろう。これも使い魔とのスキンシップというやつだ」

 

ええええええ!?

まさかそんな言葉がティアからでるとは!

良いんですか!?

使い魔とのエッチなスキンシップとかありなんですか!?

流石は龍王、大胆ですね!

つーか、人間版のティアはスタイル抜群の美女だから、目のやり場に困る!

とりあえず脳内保存しとくか!

大きいおっぱいといい、何から何まで最高です!

ありがとうございますぅ!

 

ティアがクスクスと笑う。

 

「フフッ、私の体がそんなに気になるのか?」

 

「ま、まぁ。俺も男だし………」

 

「そうか。イッセーなら別に見ても構わないぞ?なんなら触ってみるか?」

 

触ってみる、だと………ッ!

そんなことしちゃって良いんですか!?

龍王のおっぱい、揉んじゃっても良いんですか!?

 

テンパる俺の手を掴んで、ティアが自分の胸へと持っていくぅぅぅぅぅぅ!

 

 

むにゅん

 

 

凄まじく柔らかい感触が俺の手に伝わる!

大きくてモチモチしたものが俺の手に!

 

「どうだ私の胸は? イッセーは女の体に興味があるのだろう?」

 

ティアってこんなエロい性格してたの!?

それとも大人の女性の余裕なの!?

ええぃ、童貞の俺には刺激が強すぎるぜ!

 

俺の理性を無視して勝手に手が動く。

やはり男の性………神々しい女体とおっぱいを前にして、手が……手がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

「あっ………」

 

ティアから官能的な声が発せられ―――――興奮のあまり、大量の鼻血を噴き出す俺だった。

 

 

 

 

「あぁ………凄まじいおっぱいだった………」

 

まさか、ティアまであんなに大胆だったとは。

流石は龍王と言うべきか!

それにしても良いおっぱいだった!

感触はばっちり覚えてるぜ!

 

と、とりあえず夜風に当たってこの興奮を鎮めよう。

じゃないと、眠れん。

明日も修行があるんだ、寝不足で参加するわけにはいかないしね。

 

風に当たろうとテラスに行った時、そこには先客がいた。

 

「あら、イッセーじゃない。どうしたのこんな時間に?」

 

先客―――――部長が声をかけてきた。

テラスのベンチに座った部長の手元には一冊の本。

ふと見ると部長は珍しく眼鏡をかけていた。

 

「寝る前に夜風にでも当たろうかと思いまして。珍しいですね、部長が眼鏡なんて」

 

すると部長は眼鏡を外して説明してくれた。

 

「何かに集中したい時にこれを掛けると集中できるのよ。………私がかけると変かしら?」

 

「いえ! 知的な美女って感じで俺はありだと思いますよ!」

 

うんうん、いつもの部長と雰囲気が違うけど、これはこれで全然ありだと思う!

 

「それで、部長はここでレーティングゲームの勉強ですか?」

 

俺はまだ悪魔文字は完璧じゃないけど、部長が読んでいるのは戦術の本だというのは分かった。

次のレーティングゲームに向けて戦術を練っていたのだろう。

 

部長は自嘲しながら呟く。

 

「正直、気休めにしかならないのだけどね。一応ってところかしら」

 

「部長は、ゲームに勝つ自信がないんですか?」

 

「自信………ね。イッセーはこのゲームをどう感じるかしら?」

 

「正直、このゲームをセッティングした部長の親御さんとフェニックス家は部長に無茶なことをさせるなとは思います」

 

「そうね。このゲームは最初から私を負けさせるために組まれたものよ。チェスでいえばハメ手、スウィンドルね」

 

初めからライザーが勝つように仕組まれていた、ということか。

未成熟な部長に既にプロとしてデビューしている、しかも不死のフェニックスを当てるなんて、そうとしか考えられないからな。

 

ドライグが言う。

 

『まぁ、相手の誤算は相棒がこちら側にいたことか』

 

「そうね。でも、私はイッセーだけを戦わせるようなことはしないわ。私達全員で勝ちに行くつもりよ。以前にも言ったけれど、私はあなたを従えるのに相応しい王になってみせる。これが私の当面の目標よ」

 

『ほう。いい覚悟だ。リアス・グレモリーよ、その気持ちを忘れるな。自分を高めようと努力する者はいくらでも強くなれる。相棒のようにな』

 

「ええ、もちろんよ」

 

俺を従えるに相応しい王になる、か。

そう言われてしまっては、俺も部長のために頑張らないとだ。

 

部長の決意を聞いたところで、疑問に思っていたことを聞いてみるか。

 

「話は変わるんですけど………。今回の縁談を拒否しているのは、やっぱりライザーのことを嫌っているからですか?」

 

確かにライザーの性格には問題もあるけど、《旧七十二柱》に名を連ねるグレモリー家の事情を考えると無下に断れないものだと思う。

 

すると、部長は嘆息する。

 

「私は『グレモリー』なのよ」

 

「ええ。そうですけど?」

 

「どこまでいってもこの名前がつきまとうの」

 

「嫌なんですか?」

 

「いいえ。むしろこの名を誇りに思っているわ。だけど、誰しもが私のことをグレモリーのリアスとしか見てくれない。それが嫌なの。私はグレモリー家とかは抜きにして、リアスとして愛してくれる人と一緒になりたい。自分勝手なわがままだってことは理解しているわ。だけど、やっぱりこれだけは譲れないの」

 

部長は遠くを見ながらそう言う。

 

そっか………そうだよな。

いつもは学園のお姉さまとして慕われている部長だって、年頃の女の子なんだ。

悪魔とか、貴族とかそんなものは関係ない。

自分が好きになった人と一緒になりたい。

これは普通の女の子が持つ、当たり前の心だ。

 

「やっぱり、部長も一人の女の子ってことですね」

 

「え?」

 

聞き返す部長に俺は自分の気持ちを伝える。

 

「グレモリー家やフェニックス家の人からすれば部長のはわがままかもしれません。相応の立場の者と婚約、結婚するのは貴族にとっては当然なのかもしれません。………だけど、俺は部長の、その感情こそが普通だと思います」

 

俺は更に言葉を続ける。

 

「俺が眷属になったのは最終的には部長のその人柄です。部長を信頼出来たからこそ悪魔になることを決めたんです。もし、部長が主じゃなかったら俺は悪魔にはならなかったと思いますよ?」

 

「イッセー………」

 

「今回のゲーム。不安になる気持ちも分かります。だけど、もう少し肩の力を抜いてください。部長のことは俺達が守りますから」

 

そう、今回のゲーム、戦うのは部長だけじゃない。

俺も、朱乃さんも、木場も、小猫ちゃんも、アーシアもいる。

皆が部長のために戦うんだ。

部長が眷属は家族と言うのならば、眷属の俺達にとっても主である部長は家族みたいなものだ。

部長のためなら、喜んでこの力を振るおうじゃないか。

 

「部長?」

 

俺の言葉に俯く部長だが………少し顔が赤いような………。

 

「ありがとう、イッセー。少し気持ちが楽になったわ。まさか、年下にこんなこと言われるなんてね………。そろそろ寝るわ。イッセーは?」

 

「俺はもう少しここにいます」

 

「そう。じゃあ、先に休むわ。明日からもよろしく頼むわね、イッセー」

 

「了解です、部長」

 

 

 

 

それからあっという間に日が経ち、修業も終わった。

眷属の皆は俺が与えた修業をこなしていき、完璧とまではいかないけど、修業前よりも大分良くなった。

皆、やれることはやった。

後はライザーとのゲームに挑むだけだ。

 

 




次回、レーティングゲームに突入します!

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