ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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2話 明かされる過去!!

俺の家で部活をした日の夜。

 

「こんばんわー。グレモリーの使いの者です」

 

悪魔の依頼が入ったから、俺は依頼者のところに転移してきたんだけど………見渡すと誰もいない。

 

転移場所を間違えたかな?

 

そんなことを考えながら、俺は部屋を再度見渡す。

広い部屋で高そうなソファや机がある。

窓からは町が一望できる。

夜景がすごく綺麗だ。

どうやら、ここは高級マンションらしい。

 

すると、部屋のドアが開かれた。

入ってきたのは黒髪に少し金髪が混じった悪そうな風貌の男性。

かなりのイケメンだ。ワル系のイケメンか。

 

「うん? 君は………」

 

「ああ、グレモリーの使いで来ました。悪魔を召喚された方ですよね?」

 

「そうか、君が。いやー、すまんすまん。君が来る直前に便所に行きたくなってな」

 

あー、なるほどね。

この人がトイレに行っている間に俺がここに転移してきたと。

 

「まぁ、適当に座ってくれ、悪魔君」

 

男性はそう言うと部屋を出ていってしまった。

 

とりあえず、座っとくか。

 

俺はソファに腰を掛ける。

 

おお、すげぇな、このソファ。

座り心地が半端じゃない。

家に欲しいくらいだ。

まぁ、こんなデカいソファを置く場所ないけどね。

 

すると、男性がグラスとワインを持って帰ってきた。

 

「まぁ、やってくれ」

 

「あ、すいません。俺、まだ未成年なもんで。お酒はちょっと」

 

「なんだ、そうなのか。そいつはミスったな。酒の相手をしてほしかったんだが」

 

「依頼ってそれなんですか?」

 

「ダメなのか?」

 

「いえ、そちらの願いを叶えて、それに見合う対価をいただけたらそれで結構なんで」

 

「じゃあ、相手をしてもらおうか。生憎、酒しかないんでな。氷水で良いかい?」

 

「ええ」

 

俺がそう言うと、男性はグラスに氷を入れていった。

 

 

 

 

「フッハハハハ。君は中々、女の尻に敷かれてるようだな」

 

「はぁ、そうですかね?」

 

俺がここに来てから30分ほどが経った。

 

本当に酒の相手しかしてない。

話の内容は俺の学生生活だとか普段の家での生活だとか、友人の話だとか。

日常生活の何気ない話しかしてない。

それでこれだけ大笑いするとは………。

 

「いやー、やはり若いやつと話してるのは楽しいな」

 

「そうですか? あなたも十分若いと思いますけど」

 

「お、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。ただ、俺はこう見えても結構年寄りだぜ? っと、もうこんな時間か。そろそろお開きとするか」

 

男性は時計を見ながらそう言う。

 

「もう良いんですか?」

 

「ああ。楽しませてもらったしな。それで、対価は何が良いんだい? 悪魔だから………命とか?」

 

いきなり、物騒なこと言うなー。

命を対価にするってことは昔はあったらしいけど、最近はそういうことは無いらしい。

 

「いえいえ。酒の相手くらいで命なんか取りませんよ」

 

「ほう。意外に控えめなんだな」

 

「うちの主は明朗会計がモットーなんで」

 

「そうか。じゃあ、あれでどうだ?」

 

男性が指差したのは壁にかけられた大きな絵。

かなり高そうだ。

 

「複製じゃないぞ。これは中世に描かれた絵でな。偶々、手に入ったんだが。俺は絵には興味なくてな」

 

「本当に良いんですか? こんな高そうなもの」

 

「他に適当なものが無くてな。ダメなら魂くらいしか」

 

「い、いえ。これで十分です!」

 

それから、何だかんだで契約は成立し、俺は代価として大きな絵をもらうことになった。

男性は俺のことを気に入ったらしく、今後も呼んでくれるそうだ。

少々、怪しいところもあるけど、それは今度で良いか。

 

契約も取り終わったので、帰ろうしたときだった。

部長から連絡が入った。

 

―――――どうやら、はぐれ悪魔が現れたようだ。

 

 

 

 

「ただいま到着しました」

 

「思ったより早かったわね………ごめんなさいね、急に呼び出してしまって」

 

俺は一度、部室に戻って絵を置いた後、部長達と合流した。

場所は町の外れにある廃工場の前。

 

「気にしないでください。それではぐれ悪魔はあの工場の中ですか」

 

悪魔の気配と血の臭いがする。

 

「大公からは、今夜中に討伐するよう命令が下っています」

 

「それだけ危険な存在という事ね。イッセーがいるから大丈夫だとは思うけど、これも修業だと思って全員でかかるわよ。アーシアは後方で待機、私と朱乃は外で待ち構えるから、イッセーと小猫、祐斗の三人で外まで引きずり出してちょうだい」

 

「了解です、部長」

 

「分かりました」

 

「………」

 

木場の返事がない。

と言うより完全に聞こえてないな、あれは。

 

「祐斗?」

 

「あ、はい。分かりました」

 

部長に名前を呼ばれてようやく返事をした。

昼間にあの写真を見たときから木場の様子がおかしい。

 

「木場、調子が悪いなら外で待機しておくか?」

 

「大丈夫だよ、イッセー君。僕も中に入るよ」

 

「そうか。だったら集中しろよ。相手がたとえ格下だったとしても、一瞬の油断が命取りになるんだからな」

 

「………分かっているよ」

 

木場は一言だけ返して黙り込む。

 

本当に大丈夫なのか?

不安はあるけど、ここで話し合う時間もない。

 

「じゃあ、行くぞ。木場、小猫ちゃん」

 

「はい」

 

「ああ」

 

俺達三人は工場内へ突入する。

 

うっ、血の臭いがかなりキツいな。

はぐれ悪魔のやつ、何人殺しやがった?

 

すると、奥にはぐれ悪魔を見つけた。

可憐な顔立ちをしている。

普通なら美少女だと思えるほどだ。

 

だけど………。

 

「ギシャァァァァア!!」

 

やっぱり化物になってやがるな。

しかも正気をなくしてやがる。

危険だと言われるわけだ。

 

「………先手必勝」

 

小猫ちゃんが先制で攻撃を仕掛けるが避けられる。

 

思ったより速いな。

それに小猫ちゃんの追撃も余裕で避けていやがる。

 

こういう相手は騎士の木場が一番適任なんだけど………。

 

「………」

 

剣を握ったままボーッとしている。

やっぱり戦闘に身が入ってない。

油断とかそんなレベルじゃないぞ、アレは。

 

「木場ァ!ボサッとするなぁ!」

 

俺の怒鳴り声にハッとなる木場。

 

木場ははぐれ悪魔に攻撃を仕掛けるも攻撃が軽いせいか軽々と受けられてしまう。

 

小猫ちゃんが木場のサポートに入るけど、木場の動きが悪いせいで全く連携が取れていない。

 

はぁ、仕方がないな。

 

はぐれ悪魔を退治するとき、俺は皆のサポートに回ってる。

その方が皆の修業になるからだ。

だけど、こうなった以上、俺が前に出るしか無いようだ。

 

「小猫ちゃん、木場、離れてくれ!」

 

俺の声に二人は道を開ける。

 

錬環勁気功を発動させた俺ははぐれ悪魔の腹に強烈な一撃を加える。

俺の拳がはぐれ悪魔の腹を貫き、辺りに血が飛び散った。

 

「これで終わりだぜ」

 

俺はゼロ距離から気弾を放ち、はぐれ悪魔を完全に消滅させた。

 

外に連れ出す予定だったけど、仕方がない。

今の状態とはぐれ悪魔の実力を考えると、誰がが深傷を負ってもおかしくなかったからな。

 

あー!

俺の制服が血まみれになっちまった!

 

はぁ、また朱乃さんに直してもらうか………。

 

肩を落とす俺に小猫ちゃんがドンマイと言ってくれた。

 

 

 

 

「すいません、朱乃さん。助かりました」

 

「いえいえ、これくらいお安いご用ですわ」

 

工場から出た後、俺は朱乃さんに制服に着いた血を落としてもらっていた。

なんか、毎回お願いしているような気がする。

今度、お礼でもしないと………そんなことを考えていた時。

 

 

バチンッ!

 

 

乾いた音が響いた。

部長が木場の頬をひっぱたいたんだ。

 

「目は覚めたかしら? イッセーがいてくれたから大事にはならなかったけど、一歩間違えれば誰かは危険だったのよ」

 

「すいませんでした部長。部長の言う通り、イッセー君がいなければ、僕は何もできませんでした。今日は調子が悪いので、これで失礼します」

 

「ちょっと、祐斗!」

 

どうでもよさそうな顔をしてそのまま去ろうとする木場。

 

やっぱりいつもの木場じゃないな。

普段の木場なら部長にこんな物言いはしない。

これは何を言っても聞きやしないな。

 

俺は木場を止めようとする部長の肩を掴む。

 

「イッセー?」

 

「部長。今の木場に何を言っても無駄ですよ。なぁ、木場」

 

俺がそう言うと木場は下を向いて黙りこむ。

 

「復讐か?」

 

「っ! ………驚いたよ。まさか、そんなことまで分かるなんてね」

 

「まぁな」

 

「イッセー君の言う通りだよ。僕は復讐のために生きている。――聖剣エクスカリバー。それを破壊するために、僕は生きている」

 

聖剣エクスカリバー。

こちらの世界についての知識が少ない俺でも知っている。

有名な聖剣だ。

 

「はぁ。そんなおまえにアドバイスだ。復讐にとらわれていると本当に大切な物が見えなくなるぞ。もっと周りを見てみるんだな」

 

「それはどういう意味だい?」

 

「そのままの意味だよ。いずれ分かるさ」

 

そう、いずれ木場も分かる。

自分にとって本当に大切なものは何なのか。

出来るだけ早く気付いてくれよ?

木場は俺と話した後、何も言わず俺達の元を去っていった。

 

 

 

 

「聖剣計画?」

 

俺がそう聞き返すと部長は頷いた。

 

「ええ、祐斗はその計画の生き残りなのよ」

 

家に帰ってから俺とアーシアは部長から木場と聖剣の関係について尋ねた。

 

そこで聞かせれたのは聖剣計画という、人工的に聖剣を扱える者を育成する計画についてだった。

 

アーシアもこの計画については初めて知ったようだ。

 

まぁ、聖女として崇められてきたアーシアにそんな極秘計画が伝わるわけがないか。

 

「聖剣は悪魔にとって最大の武器。斬られれば消滅させられることもあるわ。ただ、聖剣を扱える者はそう多くはない。数十年に一人でるかどうかだと聞くわ。そこで行われたのが聖剣計画よ」

 

なるほどな、教会からすればかなり重要な計画だ。

成功すれば、悪魔に対する攻撃手段が増えるんだからな。

 

「祐斗は聖剣、エクスカリバーに適応するために養成を受けたものの一人なの」

 

「じゃあ、木場は聖剣を?」

 

俺の質問に部長は首を横に振った、

 

「いいえ。祐斗は聖剣に適応出来なかったわ。それどころか、養成を受けた者、全員が適応出来なかったそうよ。計画は失敗に終ったの」

 

あれほど剣に精通し、多くの魔剣を扱える木場でも無理だったのか。

部長はそして、と続ける。

 

「適応出来なかったと知った教会関係者は、祐斗たち被験者を不良品と決めつけて、処分に至った」

 

―――処分

 

胸くそ悪い言葉だ。

 

「そ、そんな………」

 

アーシアにとってはその情報はかなりショックなもののようだ。

目元を潤ませて手で口を押さえている。

 

部長も不快な思いなのか、目を細める。

 

「何とか生き残った祐斗も私が見つけたときは瀕死の重症だった。だけど、そんな状態でもあの子は強烈に復讐を誓っていたわ。聖剣に狂わされた才能だからこそ、悪魔としての生で有意義に使ってもらいたかったのよ。祐斗の持つ才能は聖剣にこだわるのはもったいないもの」

 

部長は木場を救いたかったのだろう。

聖剣に、復讐にとらわれず、悪魔としての生をいきることで。

だけど、木場は忘れることが出来なかったんだろうな。

自分や仲間が殺されたんだ。

忘れる方が難しいか。

 

俺も異世界で親友を殺された時はそうだったよ。

だけど、アリスや他の仲間、師匠、ドライグの存在があったから俺は復讐にとらわれずにすんだ。

だから、木場にも気づいてほしい。

あいつには俺達がいることを。

 

部長は大きく息をつく。

 

「とにかく、しばらくは見守ることにするわ。今は聖剣のことで頭がいっぱいのようだし」

 

そうだな、俺も部長の意見に賛成だ。

おっと、そういえば部長にあの写真を見せてなかったな。

 

「部長、木場が聖剣を思い出した切っ掛けがこの写真みたいなんです」

 

俺は写真を部長に手渡した。

部長は写真を見るなり、眉をひそめる。

 

「木場がこの剣を見て聖剣だと言ってました」

 

「………そうね。エクスカリバーほど強力なものでは無いけれど、聖剣には間違いないわ」

 

やっぱり聖剣なのか。

こんなに近くにあったなんて知らなかった。

 

『相棒は異世界に飛ばされるまでは、ただの人間だったからな』

 

まぁ、そうだよな。

ていうか、皆は見ただけで聖剣って分かるのか。

俺にはさっぱり分からん。

 

『それも仕方がないだろう。相棒は聖剣に関する知識が少ないからな』

 

やっぱり聖剣とか神話についての勉強もした方が良いみたいだな。

 

「この男性が聖剣使い。私の前任者が消滅させられたと聞いていたけど、これなら説明がつくわ。でも、確か――」

 

俺がドライグと話している間に部長は何やら考えてはじめたな。

 

何か心当たりがあるのか?

しばらく考え込んだ後、部長は顔をあげた。

 

「今考えても仕方がないわね。もう夜も遅いし、そろそろ寝ましょう」

 

そう言うと、部長は服を脱ぎ出した!

 

「ぶ、部長!? なぜにここで服を脱ぐんですか!?」

 

「なぜって、私は裸じゃないと眠れないのよ」

 

「いやいやいや!そうじゃなくて、なぜ俺の部屋で脱ぐんですか!?」

 

「あなたと一緒に寝るからに決まっているでしょう」

 

さも当然のような口調で答える部長!

マジですか!?

俺と寝るんですか!?

 

「なら、私もイッセーさんと一緒に寝ます!」

 

今度はアーシアも脱ぎ出したよ!

対抗しないで!

嬉しいけど!

 

ガチャっと部屋のドアが開かれた。

 

「あ、お兄ちゃん達、帰ってたんだ」

 

そこにはパジャマ姿の美羽が!

 

「み、美羽!? おまえ寝てたんじゃ………」

 

「寝てたよ。それでさっきトイレに行って、部屋に戻ろうとしたら声が聞こえたから」

 

思ってたより普通の理由だった。

 

いや、そうじゃなくて!

この状況をどう説明すればいいんだよ!

男の部屋に下着姿の女子が二人。

 

完全に誤解されるパターンじゃねえか!

 

「えっと、リアスさんとアーシアさんは何をしてるの?」

 

やっぱり来たよ、この質問!

二人とも上手く答えてくれよ………?

 

「私はイッセーと寝ようとしているの」

 

「私もです!」

 

ダメだ、正直過ぎる!

美羽はそれを聞いて肩を震わせた!

 

「美羽?」

 

「二人ともズルい!ボクも一緒に寝る!」

 

なんと、美羽まで服を脱ぎはじめた!

 

「なんで、美羽まで脱ぐんだよ!」

 

「だって二人とも裸だし」

 

「合わせなくていいから!」

 

この後、俺は裸の三人と寝ることになったのだが………。

ベッドが狭いせいで俺は三人の裸で挟まれることになり、興奮しすぎて寝ることが出来なかった。

 

 


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