[美羽 side]
予想外の援軍。
一人は英雄の魂を引き継ぐディルさん、もう一人は龍王最強と言われるティアさん。
この二人の登場には本当に驚かされたけど、心強い援軍には間違いない。
もしかしたら、この危機的な状況を引っくり返すことが出来るかもしれない。
そう思えるほどに。
ティアさんがお兄ちゃんの元に向かった後、この場にいるのはボクとディルさん。
そして―――――
「………メイドさん?」
ディルさんの言葉を信じちゃってるベル。
メイドさん………間違ってはないかもしれないけど………。
あのメイド服が気に入ったのか、ディルさんって家にいる時は基本あの格好だし。
ま、まぁ、メイドさんってことで良いのかな?
ディルさんがそう言ったしね。
ディルさんが訊いてくる。
「マスター、あの娘の能力は?」
「基本的には魔獣の召喚。あと触れた相手の複製能力。他にも魔法の攻撃かな。今のところ」
「なるほど。となると私が前に出て隙を作りましょう。私の得物ならあの娘の魔法・魔術の類いは無効にできる」
そう言うとディルさんは手に握る二本の槍の内、黄色い槍―――――ゲイボウを亜空間に仕舞う。
そして、腰の鞘に納めている柄が金色の剣を引き抜いた。
左手に槍、右手に剣という構え。
ディルさんは腰を落とすと鋭い眼光をベルに向ける。
「――――いくぞ、娘」
それだけ言い放つと地面を蹴って駆け出した!
身を屈めながら、疾風の如く魔獣に迫る!
ベルが新たに生み出した魔獣の一体が巨大な腕をディルさん目掛けて振り下ろす。
ディルさんはそれを紙一重でかわすと、その腕の上に乗り、魔獣の頭目掛けて突貫した!
「獣よ、貴様の頭を割ってやろう」
ディルさんの手に握られた金色の柄の剣が魔獣の頭に振り下ろされ―――――その言葉通り、真っ二つに割った!
一撃であの魔獣の一体を仕留めてしまった!
なんて破壊力!
「我が剣の一つ、モラルタ。この剣は一振りで岩山を両断する。さぁ、獣共。消えたい奴から前に出よ」
その言葉に応じるかのようにベルの獣達が次々に襲いかかる。
だけど、ディルさんは宙を華麗に舞いながらモラルタで頭蓋を砕いていく。
鋭い殺気、無駄のない動き。
剣を振るう姿は初めて出会った頃のディルさんだ。
………道理で英雄派のメンバーもおいそれと追い出せなかった理由が分かったよ。
だって、戦ってる時のディルさん別人だもん。
曹操に勝てるかは分からないけど、他のメンバー――――ヘラクレスやジャンヌでは相手にならなかっただろうね。
『グオオオオオオオオオオッ!!』
新たに生み出された魔獣!
今までのよりも一回り大きい、首が九つもあるドラゴン!
ドラゴンは四枚ある翼を羽ばたかせると、ディルさんに極大の火炎を吐き出した!
「ディルさん! サポートするよ!」
「承知」
ボクは風の防御魔法陣をディルさんの前面に展開すると、ディルさんの足元に風の渦を作り出す!
「そのままいって!」
防御魔法陣は魔獣の炎からディルを守って、風の渦はディルさんを天高く飛ばす。
ディルさんの体がドラゴンの頭を越えた。
ドラゴンの目とディルさんの目があった瞬間、ディルさんは不敵な笑みを見せる。
「貴様は耐えられるか?」
空中で腰を捻り、回転の勢いを利用した斬戟。
モラルタの刃が頭の一つに届くと――――ドラゴンの頭は容易に砕かれた。
血が噴き出し、ディルさんの顔に返り血が飛ぶ。
頭の一つを失ったことで、ドラゴンの動きが荒々しくなる。
血走った大きな目でディルさんを睨み付けるけど、そっちばかりに気がいっているとね。
「下ががら空きだよ」
ボクは手元に大きな魔法陣を幾重にも展開。
七色の光が終息していき―――――極大の閃光を放った。
光に呑み込まれたドラゴンは跡形もなく消えていく。
「………お姉さん達、強いね」
召喚したばかりの魔獣が倒されて、そう呟くベル。
その表情は特に焦っているわけでもなく、余裕を見せているわけでもなく………全くと言っていいほど表情に変化がなかった。
無尽蔵とも思える召喚能力。
あれだけの数を生産しておいて、疲労の様子がない。
…………この子はいったいどれだけの力を秘めているのだろう?
そんな疑問を持っているとベルが言った。
「………ベルも強い、よ?」
「………ッ!?」
ボクは目を見開いた。
ベルのオーラが徐々に膨らんでいく。
濃密で静かなオーラ。
細く白いベルの指が宙に何かを描いていった。
すると―――――
地面が激しく揺れてベルの足元が大きく隆起する!
巨大な魔法陣が六つも展開されて、そこから何かが姿を現す!
姿を見せたのは百メートルはゆうに越える巨人。
それが六体。
今まで召喚していた魔獣とは一線を画すこのオーラ。
明らかにレベルが上がっている。
六体の巨人の頭上に浮かぶベルはそこから更に絵を描いていく。
描いた絵は魔法陣のように輝きを放ち―――――六体の巨人の胸にも同じ紋様の魔法陣が出現した。
「………ベルはね、神様は作れないの。でもね、こうやって―――――」
ベルが魔法陣を操作すると、魔法陣の輝きがいっそう強くなり、巨人達の胸に描かれた魔法陣の輝きも激しくなる。
目映い光が一帯を照らし――――――
『ゴオオオオオアアアアアアアアアッ!!』
辺り一帯を震撼させる太い声。
目を開けたボクの前にいたのは禍々しいオーラを放ち、腕が十二本もある一体の巨人。
いや、これは巨大な魔神だ。
腕の一本一本に巨大な剣を携えた魔神。
これは………まさか―――――
「………こうしてくっつけるとね、神様みたいに強くなるんだよ?」
ボクの背中を冷たい汗が流れた。
[美羽 side out]
▽
衝突する俺とラズル。
ラズルの拳を避け、隙が生じたところに連撃を叩き込む。
今のところ五分―――――いや、俺が圧されているな。
俺の鎧は所々が壊れ、生身にも決して浅くないダメージが蓄積されている。
ラズルは全身から血を流しているものの………、
「おらおら、もっとこいよぉ! そんなんじゃ、俺を倒すことはできねぇぜ!」
一向に倒れる様子がない。
というよりは、遊んでいるようにさえ見える。
………さっきから能力をあまり使ってこない。
俺が懐に入り込めば斥力の盾で防げば良いし、自分の攻撃を当てたいなら、引力で引き寄せれば良い話だ。
それなのにこいつは能力を使わず、俺とただ殴り合うことを楽しんでいる。
俺はラズルとの距離を取った後、問う。
「どういうつもりだ?」
「あ? 何がだ?」
「何がって………おまえ、能力ほとんど使ってないだろ。最低限の使用範囲で留めている。そのぐらい、何度も殴り合ってたら分かる。………ふざけてんのか?」
俺がそう訊くとラズルは大きな口を開けて豪快に笑う。
「ガハハハハハハ! ぶざけてる? んなわけねぇだろ! 俺はな、こういうのが好きなだけだ。己の拳で殴り、殴られる。相手が魔力や魔法をメインの奴なら普通に能力を使ってるだろうがな。………ま、おまえがどうしても使えって言うなら使ってやるぜ?」
「いや、別にそこまで言ってない」
ただの拳だけでも圧されているのに、ここに能力をフルで使われたんじゃ、一気に圧しきられる。
今、俺に言えることは出来るだけ早くにこの戦いを終わらせて、学校の南西―――――小猫ちゃん達の援護に往かないといけないってことだ。
さっき、小猫ちゃんから通信があった。
――――南西方面にグレンデルとラードゥンが現れた、と。
量産型ならともかく、グレンデルとラードゥンの二体の邪龍をあの二人で相手にするのは正直無理だ。
リアス達も量産型邪龍の応戦で手が離せない。
闇の獣と化したギャスパーに向かってもらうか………いや、それでは他のメンバーのところに闇の獣が行き届かなくなるかもしれない。
焦りが俺の中で生まれていた。
かと言って、焦りに呑まれれば、たちまちラズルの拳の餌食になってしまう。
………ドライグが帰ってきてくれたら、突破口を切り開ける可能性もあるんだけど。
ドライグはまだアルビオンの神器から戻ってきていない。
未だ、歴代白龍皇の説得中のようだ。
イグニスを使えればまだマシなんだが………。
ラズルの能力を考えると、使おうとした瞬間に斥力で吹っ飛ばされるだろうな。
長時間の戦闘になれば、天翼の状態でも俺の腕が焼ける。
やっぱ、イグニスの難点は長く使えないことだな。
『そんなこと言っても、これでセーブしてるのよ?』
うん、知ってる。
何とかしてこの場を切り抜けて小猫ちゃん達を助けに行きたいところなんだが………どうしたものか。
「どうしたよ? 手が止まってるぜ?」
ラズルが構えながら訊いてくる。
俺も構えを取る。
「どうやったら、おまえを倒せるか考えていたのさ」
「んで? 作戦は立てれたか?」
「さっぱり。こっちの土俵でこうも圧されたらな」
結構な力を使っている俺に対して向こうはまだまだ余力を残している。
格闘戦でこうも苦戦したのは久し振り………でもないか。
今まで苦戦だらけだったし。
ラズルの手がこっちに向けられると――――ぐんっと俺の体が奴に引き寄せられる!
クソッ、またこれか!
このまま格闘戦を続けても拉致が明かねぇ!
だったら!
「禁手第二階層―――――天撃! からのプロモーション『僧侶』!」
鎧を天撃に変更!
ついでに内の駒も『僧侶』に変えた!
俺の魔力が増大する!
「昇格強化!」
『S-Drive!!』
天撃の力が底上げされる!
キャノン砲が更に増設。
翼、籠手、腰に二門ずつ追加される!
合計十二門の砲門が全てラズルへと向いた!
俺は引き寄せられながらラズルに叫ぶ!
「超連射だ! くらいやがれぇぇぇぇぇぇ!」
『Highmat FuLL Blast!!!』
強化された砲撃が一斉に放たれた!
止まることなく、ひたすら撃ち続ける!
永遠に続くとも思える砲撃の嵐!
昇格強化によって、ドラゴン・フルブラスターの威力は上がり、連射性能も大幅に向上している!
「こいつを受け続けられるかよ!」
「ぐうっ! 流石にやる!」
止まらない砲撃にラズルは引力を解き、完全に防御に徹している。
このままいけば!
「オオオオアアアアアアアアッ!!」
ラズルが吼える!
すると、ラズルを襲っていた砲撃の嵐が途端に届かなくなった。
こいつは………斥力のフィールド!
強力な斥力の壁を前面に展開することで俺の砲撃を防いでやがるのか!
砲撃を受け続けたせいで外見は既にボロボロ。
それでもラズルは嬉々として、
「今のはヤバかったぜ! やっぱり、おまえは油断できねぇな! こっちが勝っていると別の切り札を切って逆転しようとするからな!」
「それを簡単に防いでる奴に言われたくねぇよ!」
「誉めてるんだから、ありがたく受け取っとけや!」
「やかましい! 誉められてる気がしねぇ! つーか、こっちにはそれをありがたく受け取る余裕もねぇ!」
どれだけ切り札を切っても倒れる気がしないんだから嫌になる!
「とりあえず倒れてくんない!? 三百円あげるから!」
「三百円で何を買えってんだ!?」
「知るか! 百均にでも行ってろ!」
「昨日行ったよ! ベルとおやつ買いに!」
「行ったんかぃぃぃぃぃ!」
世界中から危険視されてるのに何で百均におやつ買いに行ってんの!?
呑気すぎるだろうが!
余裕なの!?
それともバカなの!?
こいつらの場合、どっちとも取れそうな気がするぞ!
「ベルとおやつ買いにって………アットホームだな、おまえら!」
「可愛いから良いんだよ! うちの妹の可愛さ舐めんなよ!」
「なにを! うちの美羽の方が可愛い!」
「んだと、ゴラァ! うちのベルの方が可愛い!」
激しい攻防戦を繰り広げながら、俺達は言い争う。
確かに能力の凶悪さとか所属とかは置いておいて、ベルは可愛い。
あの眠たそうな目といい、幼さ全開なところも全然ありだ。
だがな――――――
「うちの美羽舐めんなぁぁぁぁぁぁ! 甘えてくるし、膝枕もしてくれるんだぞぉぉぉぉぉ!」
「あぁ!? こっちは肩車したら喜ぶんだぞぉぉぉぉぉ! あの微笑んだときのヤバさがおまえに分かるかぁぁぁぁぁ!?」
「なにそれ、超見たいぃぃぃぃぃ!」
くっ………まさか、ここで妹自慢バトルになるとは!
予想外だぜ!
こいつは………こいつは本当に強敵だ!
色々な意味で!
俺は砲撃を止めると、再び天武の鎧を纏って前に出る!
ラズルも斥力の盾を消して突貫してくる!
物凄いオーラを全身から放出してやがる!
右手のブースターが大きく展開、炎を噴き出す。
「シャイニング・バンカァァァァァアアアッ!!」
炎を従えた俺の右腕と凄まじいパワーを秘めたラズルの拳が衝突する!
二つの強大な力がぶつかる余波で周囲の地面が悲鳴を上げながら変形、巨大なクレーターを作り出していく!
「でぇぇぇえああああああああ!」
「うおおおおらああああああっ!!」
俺達の力は完全に拮抗している。
押しては押され、押されたら押し返す。
その繰り返しが続く。
一瞬でも緩めば一気にこの拮抗は崩れるだろう。
昇格強化した天武の最大出力でも制することか出来ないのか………!
ラズルの底無しとも思えるパワーに舌打ちする。
その時だった。
横合いからラズル目掛けて何かが飛んできた!
流石のラズルも今のは反応に遅れ、吹き飛ばされた!
突然のことに驚く俺だが、目の前で華麗に着地を決める人物を見て、目が飛び出しそうになった。
「よう。中々苦戦しているようだな」
こちらに手を向ける青髪の美女。
「テ、ティアァァァァァァ!? え、なんで、ここに!?」
「あー、その反応、さっきも見たからいいって」
「何その適当な返し!? ちゃんと説明願います!」
俺がそう言うとティアはやれやれとため息をつきながらら答えた。
「おまえの母上殿に差し入れを持っていくように頼まれたディルムッドの付き添いで来たら、偶々結界が張られているのを発見。魔槍ゲイ・ジャルグで結界を一時無効化して中に入って今に至る。分かったか?」
「分かるかぁぁぁぁぁ!!」
俺のツッコミが辺り一帯に響き渡る!
差し入れ持ってきたって何!?
付き添いで来たら、偶々結界張られてるの見つけたってどんなタイミング!?
つーか、ディルムッドのやつ、差し入れ頼まれたのかよ!
よく引き受けたな!
それで良いのか英雄の魂を引き継ぐ者よ!
「ディルムッドの姿が見えないけど、どこに?」
「あいつは美羽のところに残って戦ってる。向こうもかなり苦戦しているようでな」
やっぱり、美羽も苦戦を強いられていたのか。
次々、超巨大魔獣を生み出してたもんな。
今でも美羽の気を感じる方向から地響きが聞こえてくるし。
「んだぁ!? 誰だよ、俺の邪魔する奴は!?」
ティアに蹴り飛ばされたラズルが体についた土を払いながら戻ってくる。
派手に吹き飛ばされたようだけど、ダメージはほとんど無いな、あれ。
俺はラズルの様子を見ながら、ティアに耳打ちする。
「なぁ、来て早々悪いけど………ここを任せていいか?」
「なに? どういうことだ?」
「………グレンデルとラードゥンが現れたみたいでな。小猫ちゃん達だけじゃ相手取るのは無理だ」
「グレンデルにアジ・ダハーカ。ラードゥンまで甦らせたのか………。ルシファーの息子め、やってくれる」
伝説の邪龍が次々に復活させられていることに舌打ちするティア。
一体でも面倒な邪龍をこうも簡単に蘇らせられたら、そうなるよな。
ティアは頷く。
「いいだろう。ここは私に任せて行け」
その言葉にラズルが文句をつける。
「なんだよ、勇者殿は行っちまうのか?」
「悪いな。仲間がピンチなんだ。行かせてもらうぜ」
ティアが続く。
「なに、案ずるな。私は龍王最強と称されるティアマットだ。私が相手でも満足できると思うが?」
暫し睨み合うティアとラズル。
しかし―――――
途端にラズルは掌をこちらに向けて振ってきた。
「やめだ。勇者殿が行くなら俺は帰る。こんな中途半端な入り方されたら、盛り下がっちまうだろうがよ。あーあ、折角テンション上がってたのになぁ。………ティアマットだっけか? おまえと戦うとしたら次だ。そん時にやり合おうや」
そう言ってラズルはこちらに背を向けてしまい、足元に転移魔法陣を展開し出した。
いきなりの展開に驚いた俺はラズルに問う。
「いいのかよ? ここで退けばアセムに何か言われるんじゃないのか?」
「俺達は自由に動いているからな。基本的に親父殿が俺達を束縛したり、何かを命じたりすることはない。俺達がここに来たのも自分達の意思だ。退くときも自分の意思に従うまで」
なに………?
アセムのやつ、従えるために下僕を作ったんじゃないのか?
そんな勝手に動くような下僕を作って何の意味があるってんだよ………?
ラズルの言葉に疑問を持つ俺だが、ラズルはそんな俺を無視して言ってくる。
「ま、そう言うこった。また機会があればやり合おうや。そこの姉ちゃんもな」
それだけ言い残してラズルはこの場から消えていった。
あまりにもあっさり退いてくれたのでポカンとする俺とティア。
ティアがぼそりと呟く。
「………変わった奴だ」
「………あ、ああ。なんていうか、敵っぽくない。本当にリゼヴィム側にいるのか疑いたくなるくらい真っ直ぐな奴だった。………つーか、全体的にアットホーム」
「リゼヴィムとアセム………。奴らは一枚岩というわけでもないのかもしれん。まぁ、アセムはイッセーに関心があるようだから、おまえ限定で何かしてくるかもしれんが………」
「やめてくんない、そーいうこと言うの。男に興味持たれるとか………最悪じゃん」
興味持たれるなら女の子一択!
「さて、ラズルも去ったことだし、俺は小猫ちゃん達のところに行くよ。ティアは――――」
ドゴォォォォォォォォオン!!
突然、轟音と巨大な地響きが俺達を襲った!
な、なんだぁ!?
俺とティアは驚きながらも、その轟音が聞こえてきた方を見る。
俺達の視線の先には――――――
「おいおい………なんだありゃ!?」
十二本の腕を持つ巨人が剣を振り回して大暴れしていた!
あの場合には美羽がいる………ってことはあれはベルが召喚したのか!
あの巨人は魔王クラス………下手すりゃ、それよりも上だ。
神クラスは作れないんじゃないのかよ!?
ティアが目を細目ながら言う。
「あれは美羽とディルムッドだけでは抑えきれまい。仕方がない、私が行くとしよう。また戻ることになるがな」
「いいのか?」
「私が行けば何とかなるだろう。それよりもおまえはグレンデルを潰してこい。弱者にも牙を剥けるドラゴンの風上にもおけん奴だ。―――――必ず始末しろ。いいな?」
「了解だ。まぁ、端からそのつもりだけどな」
俺がそう答えるとティアはふっと笑みを見せた。
ここで俺達は別れ、俺は小猫ちゃん達がいる学校の南西へ、ティアは美羽達の元へと向かった。