リアスと共にユーグリットを追っていくと暫く進んだ先で奴が待ち構えていた。
ユーグリットはロスヴァイセさんを抱えたまま、指で下を指す。
………降りろってか。
俺とリアスはそれに応じてユーグリットと共に降下していく。
俺達が降り立ったのは町から離れた荒れた土肌の土地だった。
周囲には何もなく、建物も人影もない。
こいつとドンパチやるにはもってこいの場所だ。
ユーグリットと対峙した俺は奴に問う。
「ユーグリット、おまえは何を考えている? 消息を絶っていたおまえが、なぜ今頃になって現れた? それもテロリストとして、だ」
まさかと思うが自分の消息を絶ったのは最初から悪魔政府へ反逆を起こすため………なんてことはないよな。
流石に時間を掛けすぎていると思うし。
ユーグリットは語る。
「諸々ありますよ、兵藤一誠。現政府への不満、姉への問い、膨大な時間をかけて自問し続けました。兵藤一誠、答えてください。―――――悪魔とはなんです?」
「………この世界に存在する一つの種族、じゃないのか?」
「なるほど………あなたはそう考えますか」
「………? 他に何があるってんだ?」
俺が聞き返すとユーグリットは人指し指を立てて答えた。
「リゼヴィムさまは私にこう仰いました。悪魔というのは邪悪で、悪鬼で、畜生で、悪道で、外道で、邪道で、魔道で、鬼畜で、悪辣であるべきだと。我々、悪魔は『悪』で『魔』の存在であるべきだと」
『悪』で『魔』の存在、か。
聖書関連の書物では悪魔は悪役。
邪悪な存在として描かれている。
俺も子供の頃は漫画とかゲームとかで、悪魔は悪いやつだというイメージは持っていたよ。
多分、世の中の大半の人間はそういうイメージなんじゃないかな?
「その思想には賛同できないな。俺は自分の目で今の冥界を見てきた。それはほんの一部かもしれないがな。俺にとっての悪魔は決して『悪』で『魔』の存在じゃあない。もしそうだったら、俺はリアスの眷属になっていないさ」
リアスだからこそ、俺は悪魔に転生してもいいと思えた。
朱乃や木場、小猫ちゃんという悪魔の先輩がいたからこそ、悪魔という存在について今まで持っていたイメージを変えることができた。
それだけじゃない。
ソーナやサイラオーグさんという純血の上級悪魔の中でも一本の芯がある存在と出会えた。
サーゼクスさん達のように冥界の未来を真剣に考える優しい魔王にも出会えた。
ライザーも変わった。
レイヴェルなんてこんな俺を支えてくれると約束してくれた。
俺が見てきたものは冥界――――悪魔のほんの一部。
それでも紛れもない事実。
俺はユーグリットに問う。
「おまえはリゼヴィムの思想に賛同して、従っているということか?」
「思想は人それぞれです。あなたのような思想もあれば、リゼヴィムさまのような思想もある。ですが、あの方の考えは私の問いに必要不可欠だと判断しました」
ユーグリットが深く息を吐く。
「私は悪魔とは人間や多勢力にとって『悪魔』であることが最も大事だと思うのです。それは単純にどの生物よりもどの存在よりも邪悪であるべきだということ。ここまでは私とリゼヴィムさまの意見は同じですね。しかし、ここからが私だけの答えです」
ユーグリットは両手を広げる。
「――――私はリゼヴィムという男を通して全勢力に『悪魔』を見せます。知らしめます。どれだけ凶悪か、どれだけ危険か、『悪魔』という種そのものが全勢力にとって邪悪であると知らしめたいのです。支配や政治などこの際関係ありません。最終的には人間界にも『悪魔』を見せたいところですね」
リアスがユーグリットの発言に顔を歪ませた。
「悪魔そのものを全勢力から、人間界からも遠ざける気なの………!」
遠い目をするユーグリットは胸に手を当てて続ける。
「姉は………私にとって憧れでした。女性でありながら、誰よりも強く、誰よりも勇敢だった。私にとって憧れであり誇りでした。姉を支えることこそが私の生きる道だと信じていたのですよ。その姉が『ルシファー』に尽くすルキフグスの定めに反した。しかも、悪魔とも言えない異形の者に心を許した。これが私にとってどれだけの衝撃、価値観の崩壊をもたらしたか………。リアス・グレモリー、あなたは想像できますか?」
リアスに問いかけたユーグリットは俺に指を指す。
「私は長らく心の均衡を崩し、精神的にも肉体的にも屍と変わらぬ状態でしたが、兵藤一誠――――あなたを知って思い至ったのです」
「俺?」
「ええ、そうです。好き勝手に振るまい、冥界に新しい風を吹き込むあなたを知った。そこで私はあなたから学ばせてもらいました」
天を仰ぐユーグリット。
その表情はどこか晴れやかなもので、
「『ああ、そうか。自分も好きに生きればいいんだ』――――と」
………は?
俺を見て、俺を知って、好きに生きればいいと分かった?
なに、ふざけたことを言ってんだよ、こいつ?
リアスが怒気を含んだ声で言う。
「それがこのザマだというの!?」
「単純な思いでした。悪魔が英雄を持つ。その悪魔を子供達が見て、影響を受ける。ですが、それは悪魔らしくない。だったら、私は子供達に『悪魔』を見せたいとね」
「………歪んでいるわ! 種の存続そのものが危ない状況で、平穏ではなく、混沌をもたらそうとするなんて! あなたも冥界の状況を理解していないわけではないでしょう!?」
リアスの怒号が続くが、ユーグリットは首を傾げる。
「歪む? リアス・グレモリー、歪むとはどこからどこまでを指しているのでしょうか? 私の行い? 魔王達の消滅? 私達の存在は本来の聖書、その関連書物から逸脱した『エキストラ』。つまりは番外の者です。神話が崩れてしまったからこそ、あなたのお兄さま――――サーゼクス・ルシファーやアジュカ・ベルゼブブというイレギュラーな存在が生まれてしまったのでしょう? ………いえ、神話が崩れてしまった以上、私達はもう『聖書の悪魔』ですらないのかもしれませんね」
長々と語ってくれたユーグリット。
こいつ………。
俺はロスヴァイセさんに視線を移しながら訊ねた。
「ロスヴァイセさんを狙ったのは? トライヘキサに触れそうだったからか? にしても、東京に現れたのは大胆過ぎるぜ」
あの時は流石に驚きを隠せなかったよ。
いくらなんでも大胆すぎたからな。
一度ミスをすれば捕まる可能性もあり、次の侵入の難易度は一気に上がる。
よほどの理由がない限り、正気の沙汰とは思えない行動だ。
ユーグリットはロスヴァイセさんに視線を配らせながら言う。
「この人は賢明です。才能もある。私達の元に来た時はその才能を十二分に活かせるでしょう。何せ、彼女が導きだそうとしていたものはトライヘキサの封印を解除する術ではなく、封印を施すものだったのですから」
―――――っ!
ロスヴァイセさんが論文にしようとしていたのはトライヘキサの封印を施すためのものだったのか!
………となると、ロスヴァイセさんが書き起こした論文を読んだアザゼル先生も驚いているだろうな。
仮にトライヘキサが復活したら、ロスヴァイセさんが切り札になるかもしれない。
驚く俺とリアスを横目にユーグリットはロスヴァイセさんの銀の髪を撫でながら続ける。
「それに彼女は………ロスヴァイセは似ているのですよ。とても似ている」
その言葉にリアスが訝しげな表情で問う。
「………誰に似ているというの?」
「―――――姉のグレイフィアにです。………この人は私の姉になれるかもしれないのです。それはとても重要なことです」
ユーグリットは薄く笑みを浮かべながらそう言った。
………ロスヴァイセさんがグレイフィアさんに似ている。
まぁ、確かに銀の髪と雰囲気はどことなく似ているような気もするが………。
はじめて会ったときも「姉に伝えろ」と言っていた。
東京で出会った時もロスヴァイセさんに向ける視線は能力に牽かれてというよりはもっと別のものだと感じていた。
………なんとなく、そうかなって思っていたけど、まさか本当にそう来るとは………。
俺は深くため息を吐いた後、鼻で笑った。
「はぁ………。さっきから全勢力に『悪魔』を見せるとか『悪魔』らしくあるべきとか大層なこと言ってくれたけどよ。なんだよ、結局はそこじゃねぇか」
呆れるように言う俺。
ユーグリットが怪訝な表情で問う。
「………? 何が言いたいのです、兵藤一誠」
「軽いんだよ、おまえの言葉は。聞くが、全勢力に『悪魔』を見せてどうするつもりだ? 子供達に『悪魔』を見せてどうするつもりだよ? 仮に悪魔を全勢力から切り離したところで、何の意味がある? 答えてみろよ」
「それは全勢力に悪魔がどれほど邪悪であるべきあるかを理解させ、我々が本来あるべき姿を取り戻すためですよ」
「で? 取り戻したらどうなるってんだ? 悪魔にとって何か良いことでもあるのか? そういうわけでもないだろう? おまえはただリゼヴィムの思想を語ってるだけでおまえの言葉じゃないだろ」
「………」
口を閉ざし沈黙するユーグリット。
そんな奴に俺は指を突きつけて言う。
「おまえは姉であるグレイフィアさんに見てもらいたくてこんなバカな真似に出た。違うか? あーだこーだと思想を語ってくれたが、おまえの頭の中は何もない。ただのシスコンだ。あげくの果てには、似ているからってロスヴァイセさんを拉致しようとする変態シスコンだよ。呆れてるぜ」
たとえどんなに容姿が似ていようとグレイフィアさんはグレイフィアさんで、ロスヴァイセさんはロスヴァイセさんだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
代わりを求めるなんて無意味なこと。
そんな簡単なことをユーグリットは分かっていない。
俺はユーグリットに向けて続ける。
「俺もシスコンだ何だと言われてる。大好きな姉や妹を他の男に取られれば嫉妬もするし落ち込む。――――だがな、本当に想うならその人の幸せを願ってやれよ」
「………そんな簡単な問題ではないのです。姉はルキフグスの役目を………」
「あー、そういうご託はいらん。どうせ、おまえもルキフグスの役目とか言ってるだけで、要するにサーゼクスさんにグレイフィアさんを取られたことがショックなだけだろ、このシスコン」
「………っ!」
ここに来て、ようやく表情が変わったな。
『だが、相棒………。あまりシスコンを連呼するのは………ほとんどブーメランなのではないか?』
良いんだよ。
そこはもう開き直る!
つーか、俺が許せないのは唯一の肉親である姉を泣かせるこいつの性根が気にくわないだけだから。
仮に美羽が他に好きな男が出来たとしよう。
その時、俺は………泣く。
何日も塞ぎ混む。
部屋に引きこもって一年くらい出てこないかもしれない。
それでも、美羽が幸せになれるのなら、その道を応援する!
それが真の兄というものだ!
ユーグリットがワナワナと拳を震わせる。
「………それ以上言うのであれば、この場で殺しますよ、兵藤一誠」
「やってみろよ、ド三流」
「大した自信ですね。ふはははは、ではあなたを殺す前にこうしましょうか!」
指を鳴らすユーグリット。
すると、奴の手元に小型の魔法陣が一瞬浮かんで消えた。
そして―――――
「………おかしいですね。何も起こらない………?」
ユーグリットが怪訝な表情で学校の方に視線を送った。
それから何度か同じ魔法陣を展開してみるが、結果は同じ。
何も変化はなかった。
俺は奴に言い放つ。
「どうしたよ? 調子でも悪いのか?」
意味深な笑みを浮かべる俺。
ユーグリットが冷静な口調で言う。
「………忍び込ませた魔法使いが捕まった際、爆発するように仕掛けをしておいたのですが………。あなた、何かしましたね?」
俺は得意気な顔で言った。
「残念だったな。おまえらのことだから、何かを仕掛けてくるとは思ってたぜ。敵に捕まった手駒はすぐに切り捨てる。おまえらがやりそうなことだ。………その辺りは学習済みってな」
ここに来る前のアリス達とのやり取りはそういうこと。
今頃、美羽あたりが裏切り者の魔法使い達に施された自爆する仕掛けを解除しているはずだ。
「やってくれますね」
「そりゃあな。俺の仲間が命を張ってまで守ろうとした学校だ。壊させてたまるかよ」
さて、そろそろこいつを倒すとしますか。
俺は赤いオーラを全身から放って奴の前に立つ。
纏うのは天翼の鎧。
「リアス、離れていてくれ」
「けれど………」
不安げなリアス。
俺は不敵な笑みを浮かべて告げた。
「心配すんなって。すぐに終わるさ」
そう言うとリアスは小さく頷き、一歩引いてくれた。
ユーグリットもロスヴァイセさんに魔力の縄をかけてから解放する。
二度目の対峙となる本家赤龍帝と複製赤龍帝。
向こうはユーグリット本人の力に俺の力が上乗せされている状態。
前回は負けた。
それでも―――――
「ロスヴァイセさんは返してもらうぜ」
「それはできません。彼女は私が使うことで真の実力を示せるでしょう」
「そんなわけねぇだろ。その人がおまえなんかのために力を使うことはない」
ロスヴァイセさんが決意をした表情で言う。
「私ごとこの男を倒してください!」
「ったく、まだそんなこと言ってるのか? 言ったはずだぜ。俺は何がなんでもおまえを守る。………あ、またそんなこと言ったから後でお仕置きな」
『うふふ、イッセーも鬼畜が様になってきたわね♪』
悲しいことにね………。
まぁ、でも、守りきって見せるさ!
「私とあなたの間にある力の差。それは前回で思い知ったはずです」
そう言うなりユーグリットは天武の鎧を纏う。
奴の周囲にスパークが発生し、吹き荒れるオーラで地面が抉れていく。
確かにユーグリットは強い。
魔王クラスと称されるグレイフィアさんと同等と言うだけある。
そこに俺の力が上乗せされている。
だが、それは
「俺をあの時の俺と思うなよ? 俺は守るために、勝つために常に進化を続ける。なぁ、ドライグ」
『その通りだ。ユーグリット・ルキフグスよ。いかに貴様がその力を振るおうとも、その程度で兵藤一誠に勝てると思うな』
ユーグリットは俺たちの言葉を聞いて笑う。
「ならば、倒してみなさい。………行きますよ!」
「BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!」
奴の鎧から倍加の音声が鳴り響き、奴のオーラを高めていく!
高めた力を拳に乗せて奴はこちらへと向かってくる!
あの一撃をまともに受ければダメージは免れない。
なんだかんだ言っても今のユーグリットの力は強大だ。
だけど―――――
「当たらなければどうってことはねぇ! プロモーション『騎士』! 昇格強化!」
『E-drive!!』
天翼の鎧に騎士の力が付与され、翼が二枚から四枚に増えた!
四枚の翼、羽の間から大量の赤い粒子が放出されていく!
『騎士』の駒による昇格強化は天翼と相性が良く、機動力、回避能力を劇的に上げる。
そのスピードは天武、天撃では出せないもの。
昇格強化を済ませた俺は赤い閃光となって奴の懐へと入り込む!
ユーグリットは俺のスピードに反応しきれていない!
「おまえじゃ、俺には勝てない!」
奴が拳を突き出す前に鳩尾に俺の拳を叩き込む!
ユーグリットの鎧が砕け、生身にダメージが届いた!
俺はそのまま上空へと殴り飛ばす!
ユーグリットは血を吐き出しながら、こちらに手を向け極大のオーラを放ってくるが、今の俺にそんなものは当たらない。
ドライグ、ビットの制御は任せるぜ!
『応っ!』
俺は空を駆けながらフェザービットを全基展開。
その数は十六。
翼が増えたことにより、フェザービットの数も増えたのさ!
ただ、数が増えた分、扱いが難しい。
そのため、ドライグの助けなしではビットの操作が上手くいかないんだけどね。
十六基のフェザービットは縦横無尽に空を駆け巡り、あらゆる角度からユーグリットに砲撃を放っていく。
ユーグリットはいくつかの攻撃は避けることができたが、死角からの攻撃までは避けきれず、受けてしまう。
攻撃が命中する度に奴の鎧は砕けていく。
「避けることができないのなら、撃ち落とせばいいだけです!」
ユーグリットが鎧を天撃に変えて全てを撃ち落とそうとするが………無駄だ。
『騎士』の特性はビットにも付与され、俺と同じスピードで動き回る。
俺の動きを捉えられないようでは、十六基のビットを撃ち落とすことなんてできない。
半分のビットは砲撃を放ち、残り半分のビットはオーラの刃を形成してユーグリットを切り刻んでいった。
遠距離からの砲撃と近距離からの斬撃。
更には俺の拳打が奴を徹底的に追い詰めていく。
前回は奴が上回っていた。
だけど、今回はどうか。
手も足も出ない状況にユーグリットは信じられないように首を振る。
「バカな………こんなことが………っ!」
「言ったろ、今の俺をあの時の俺と思うなってな。ま、他の形態でももう負ける気はしないけど。ラズルの方が遥かに強かったぜ」
おそらく、今のユーグリットとラズルがやり合えば一瞬で決着がつくだろう。
一応、俺は今回の戦いでラズルと渡り合えた。
ここでユーグリットの空っぽの力なんぞに遅れを取ってたまるかよ。
俺は気を高めて、錬環勁気功の奥義を発動。
周囲に漂う気を体内に取り込み、体内で循環と圧縮を高速に繰り返していく。
赤いオーラの外側を金色のオーラが包みこみ、力が増大していった。
「さぁ、決着をつけようか!」
俺はソードモードのビットを掴みユーグリットへと迫る!
ユーグリットは反撃しようとするも、間に合わない!
赤い刃がユーグリットを斬り裂く!
空中に鮮血が舞う!
「前に言ってたな、俺を倒したら自分が赤龍帝を名乗ると!」
『なんともふざけたことを言ってくれたものだ!』
俺とドライグの叫びが響く。
「おまえは赤龍帝になれない!」
『赤龍帝の名を持って良いのは貴様ではない!』
ビットを引き抜き、拳を、蹴りを放っていく!
奴が攻撃しようとも俺には当たらない。
掠りもしない。
全てを避けきり、的確に抉りこむように拳を打ち込んでいく
昇格強化した天翼の力に錬環勁気功の奥義を掛け合わせた俺にユーグリットは為す術がない。
ユーグリットの鎧は修復が間に合わず、砕け、ほとんどがなくなっていった。
奴がよろめいたところで、俺はユーグリットの顎に鋭いアッパーを放つ!
「ぐはっ!」
苦悶の声と共に浮かび上がるユーグリット。
俺は飛翔して奴の先に周りこむ!
「俺が!」
『俺達こそが!』
拳が凶悪な程、赤いオーラを放つ。
眩い光が辺り一帯を照らしていった。
そして―――――
「『赤龍帝だぁぁぁぁぁぁぁ!』」
俺とドライグの叫びと共に、赤く輝く拳がユーグリットの顔面を捉え――――
怒りの鉄拳が奴の全てを打ち砕いた。
▽
[三人称 side]
「アハハ♪ 本当に倒しちゃったよ。シスコン対決ってすごいねー。まぁ、ユーグリットくんじゃ勝てないのは当然か」
異世界の神、アセムは映像越しに一誠とユーグリットの戦いを観戦していた。
そして――――
「うん、試しにやってみようかな。ちょっと早い気がするけど、せっかく作ったしね♪」
後ろにある『赤』を見て笑みを浮かべた。
[三人称 side out]
イグニス「次回、ラストバトル! T・O・S発動よ!」
イッセー「T・O・Sってなに!?」