ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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久しぶりの投稿です!(先日、R18は投稿したけど! レーティングゲーム後の朱乃へのお仕置きシーンです!)

いやー遅くなって申し訳ないです。
活動報告にも書いたように院試の関係で書けずにいました。

院試の合格発表まだですけど、今回は息抜きに書いてみました!


12話 D×D、天界でも出撃です!

第一天にある作戦司令室。

 

そこに俺達『D×D』のメンバーと第一天に待機していた『御使い(ブレイブ・セイント)』の面々が集合していた。

 

部屋の中央にある台には立体映像が映し出され、それにより各階層の様子が確認できた。

 

各階層では邪龍が大暴れしており、第二天、第三天、第四天の三つの階層では天使の兵団と激しい攻防戦が繰り広げられている。

 

「敵は第三天―――――信徒の魂が行き着く場所である『天国』から侵入したようです!」

 

『御使い』の一人がそう報告をくれた。

 

映像に巨大な浮島が映し出される。

その様子にこの場のメンバー全員が絶句した。

 

「おいおい………アグレアスごと入ってきやがったのかよ」

 

冥界から奪われた空中都市アグレアス。

奴ら、その島ごと侵入してきたってのか!

 

しかも、アグレアスからは邪龍の大群が沸いてきやがる。

 

更には―――――

 

「ラードゥン、紫炎のヴァルブルガ、クロウ・クルワッハまでいるようね」

 

天使を打ち倒していく、ラードゥンとヴァルブルガの姿!

あいつら、好き勝手に暴れてやがる!

 

あの時、グレンデルと一緒に燃やしとけば良かった!

 

………クロウ・クルワッハだけは天使の攻撃をいなすだけで自分から仕掛けようとはしていなかった。

向かってくる敵だけを倒すといった感じだ

 

アリスが映像を見ながら眉を潜める。

 

「………本当に邪龍が襲撃してきたようね。でも、一体どこから侵入してきたのかしら? 天界ってそんな容易に侵入できる場所でもないでしょう? セキュリティも厳しいようだし」

 

確かに。

俺達が天界入りしたときもいくつかの手続きがあったようだし、専用の天使の輪がなければ入ることを許されなかっただろう。

それほど天界のセキュリティというのは厳しい。

 

冥界ほど、侵入ルートは多くないとも聞いている。

 

その疑問に答える者がいた。

台の一角に新たに立体映像が映し出される。

 

『おそらく、冥府から入ってきたんだろう』

 

地上にいるアザゼル先生からだった。

 

リアスが訊く。

 

「アザゼル、そっちはどうなの?」

 

『ダメだ、天界への入口がこっちからも閉じていてな。増援は送れそうにない。………ちっ、面倒だぜ。天界側からも、地上からも門が開けないとなるとな………。原因は不明か?』

 

先生の問いにグリゼルダさんは頷く。

 

「はい。現在、セラフの方々が原因を究明されておりますが、それ以上に第七天への影響を抑えようと尽力されていまして………。『システム』に問題が生じれば、あらゆる場所に影響が出てしまいますから。現在は門だけでなく、天界の全エレベーターも機能が停止中です」

 

この事態にミカエルさん達、天界の上役は『システム』がある第七天への守護結界を強化しているそうだ。

 

もし、上に攻め込まれたら、本当にアウトだ。

神器はもちろんのこと、天界や宗教の根底すら崩壊しかねない。

そうなる前に食い止めたいとこだが………。

 

先生が話を続ける。

 

『天界に入り込むには手段は限られる。おまえ達のように正規に門をくぐるか、死後に教会の使徒として迎え入れられるか。もしくは他から上がってくるか。――――辺獄と煉獄。奴らはそこから侵入したんだろうな』

 

「辺獄と煉獄?」

 

『そこは信徒が死後にたどり着く、天国とも地獄とも違う場所だ。その二つは特殊な事情を抱いたまま亡くなった者のために用意されてな。行き着いた者はそこで身を清めた後、天国に誘われる。そう、どちらも天界に入れる扉があるのさ』

 

――――!

 

つまり、クリフォトの連中は辺獄か煉獄のどちらから天界に侵入したってことか!

 

『教会で辺獄、煉獄は「ハデス」とも言う。聖書の神は冥府を参考にしてそれらを定義したとされているからだ。………あくまで推測だが、冥府の神ハーデスは辺獄か煉獄に侵入できる方法を知っていた、あるいは生み出した可能性がある』

 

その時、一名の天使が報告を持って現れた。

 

「報告です! 煉獄から第三天へ通じる扉が破壊されているとのことです!」

 

先生の予想が的中していたのか!

 

………なるほど、あの骸骨神さまがクリフォトに協力した、と。

 

あの神さまは悪魔や堕天使を嫌っていた。

冥界の魔獣騒動――――あれを引き起こしたシャルバに協力していたくらいだ。

クリフォトの中心が前ルシファーの息子だろうと、こちらへの嫌がらせのために力を貸すこともあり得るな。

 

グリゼルダさんが言う。

 

「聖杯で復活した伝説の邪龍の一体――――アポプスが冥府に降りたという報告は受けていました」

 

「伝説では、アポプスは冥府との関連性が強いドラゴンの一体とされているわ。冥府に降りたとしても不思議ではないのだけれど………」

 

リアスもそう続けながら、俺の方を見てくる。

それに合わせて、先生や他のメンバーも俺へと視線を移した。

 

俺は息を吐く。

 

「あんの骸骨神は俺の………俺とサーゼクスさんの警告を無視したわけだ。先生、ちょっと冥府で暴れてきます。軽くロンギヌス・ライザーぶちかましてきます」

 

「ふっふっふっ………いけない神にはお仕置きが必要だわ」

 

イグニスも俺に抱きつきながら不敵な笑みを浮かべた。

 

先生が慌てて言う。

 

『待て待て待てぃ! 気持ちは分かるが落ち着け、おまえら!』

 

「待たない! 私のおっぱい揉み揉みタイムを邪魔するなんて万死に値するわ!」

 

『そっちか!? その気持ちだけは分からん! つーか、天界で何してた!? 天使供のおっぱい揉んだのか!?』

 

「さっきも一人堕としてきたわ♪」

 

『おぃぃぃぃぃ! 誰か! 誰か、その駄女神を止めろぉぉぉぉぉ! ミカエルから苦情出る前に止めろぉぉぉぉぉ! クリフォトやハーデスよりも危険だ!』

 

先生の叫びが映像越しに響く。

 

グリゼルダさんも非常に困った顔で、

 

「………もうその方の天界入りはお断りしてもよろしいでしょうか? 天使は他の種族に比べて数を増やしにくいので………このままでは種の存続が危ぶまれそうなのですが………」

 

ですよね!

そうなるよね!

女の子堕ちちゃったら、天界ピンチですよね!

いや、ほんっとすいません!

うちの駄女神がすいません!

 

………ちなみに、イグニスに捕まってた天使の女の子は堕ちる前に救出したので堕天はしてない。

間一髪だったけど。

 

先生が大きく咳払いする。

 

『状況的にハーデスが関わっているのはほぼ間違いないだろう。だがな、今の状況では奴を言及するのは難しい』

 

「それハーデスが関わったという証拠が揃っていないからですか?」

 

俺が問うと先生は頷く。

 

『ユーグリットから聞き出した最新の情報でな、復活させた邪龍の中でリゼヴィムの支配を受け付けなくなってきたものが出てきているそうだ。それが邪龍筆頭格の三体、クロウ・クルワッハ、アジ・ダハーカ、アポプス。どいつも化物クラスだ。奴らは………リゼヴィムと取り引きをし始めていると言っていた』

 

「取り引き?」

 

『ああ。――――「条件を呑めば、解放してやってもいい」ってな。内容は知れなかったが、おそらく「どの勢力でもいいから神クラスの存在と契約しろ」というものだろう。他の二体は分からんが、アポプスはハーデスと契約を結んだそうだ。そこから、アポプス経由でハーデスから天界への侵入経路を得た。俺はそう見ている』

 

「………クリフォト的には『アポプスは解放した』とか『逃げ出した』とか理由をつけて、勝手に神と契約したと言い訳をするつもり………ですね?」

 

『んでもって、ハーデスは「逃げ出した邪龍と契約しただけで、クリフォトには協力していない」とでも言うつもりだろうよ。つまり、決定的な証拠でも無い限り、ハーデスを追求することはできん』

 

くそったれめ………!

 

ハーデスの野郎、とことんやってくれるな………!

 

仮にも世界を支える神の一角だろう!?

そいつがテロリストに協力して平気な面している………!

しかも、何かと言い訳して認めようとしない!

 

いつか冥府に殴り込んでやる!

 

『そういうわけだ。リゼヴィムはともかく、ハーデスは世界にとっても必要な神。下手に消滅させるわけにもいかん。それに今はそんなことをしている場合でもない。俺達はこっちから、天界の門をどうにか開けようと思う。そちら側からも開門できるように試みてくれ』

 

先生の言葉に『御使い』達が頷き、この部屋から去る。

 

「奴らの目的はなんだ………?」

 

「『システム』でしょうか?」

 

ゼノヴィアとアーシアが疑問を浮かべる。

 

『いくら奴らでもそう簡単には入り込めんよ。あそこは基本的にセラフ以外が足を踏み入れることが出来ない。異物が入り込むと、別の場所に強制転移させられるのさ』

 

「経験があるみたいですね」

 

『昔、神に黙って踏み入ろうとしたら、人間界の僻地に飛ばされてな。ちょっと神器のシステムを見ようとしただけなのに、あの神ときたらケチでなぁ………』

 

先生は過去に入ろうとして、強制転移を食らったと。

『システム』の守りはかなり強力なものらしいな。

 

………ただ、ここで俺は一つの可能性が頭に浮かんだ。

 

「………アセムなら入れると思いますか?」

 

『異世界の神か………。神滅具を容易に複製する者、ありとあらゆる武器を創る者、格闘戦でイッセーを圧倒できる者、相手の心の内を読む者。どれもこれもが強力で厄介な能力の持ち主だ。そいつらを生み出したアセムの力は正直、未知数。異世界の術式などを用いて『システム』の領域に入り込む………なんてこともあり得るかもしれん。だが、今はミカエル達が最上層の守りを固めている。たとえ異世界の神だとしても、入り込めるとは思えんが………』

 

先生の返しは非常に曖昧なものだった。

 

だけど、先生の考えていることは分かる。

 

―――――アセムの実力は『聖書の神』すらも上回っているかもしれない。

 

それだけ、あいつの力は底が見えない。

 

相手の力が未知数である以上、絶対に大丈夫とは言えない。

それに今はクリフォトの邪龍共が暴れまわっている。

こんな状況じゃなおさらだ。

 

先生は俺に問う。

 

『おまえから見て、アセムの行動はどう思う? 奴は何の目的があって動いていると思う?』

 

アセムの目的………。

正直、今の俺には見当もつかない。

 

一体、奴は何がしたいのか。

どういう意図であんな強力な下僕を生み出したのか。

 

「アットホームな敵だもんね………」

 

美羽がそう呟いた!

 

だよね!

アットホーム過ぎるよね、あいつら!

アウロス学園じゃ、とんでもないシリアスブレイクしてくれたもんな!

 

マジでアセムの意図が分からねぇ!

あいつ、バカなの!?

 

「………実は何も考えてない、とか?」

 

『そ、それはそれでやりにくいな………』

 

先生も目元をひくつかせてるよ!

 

「ま、まぁ………あいつは俺に興味があるようなんで、多分、俺のところに来ますよ」

 

『だろうな。というより、おまえのところしか行っていないだろう、実際』

 

吸血鬼の町でも、この間のアウロス学園でもそうだ。

アセムは俺の元にしか姿を見せていない。

 

………リゼヴィムに協力しているらしいが、ほとんどそういうところが見られないんだよな。

ラズル達も自由に動いてるみたいだし。

 

アリスが顎に手をやる。

 

「アセムのことは置いておきましょう。クリフォトの目的は何だと思う?」

 

『いくら奴らでも上がれる階層は限られるだろう。………第三天か、第四天、バベルの塔関係者が囚われている第二天って線もあるが………。グリゼルダ、第三天にある生命の樹と第四天ことエデンの園にある知恵の樹はどうなっている?』

 

「どちらも樹自体は健在ですが、実は久しく生ってません。主が亡くなられて以来、果実の生育は止まったままです」

 

グリゼルダさんの報告に先生は考え込む。

 

「………先生?」

 

俺が訝しげに問うが、先生は独りぶつぶつと呟く。

 

『生命の樹の逆位置となる「クリフォト」を名乗る奴らだ。狙っていてもおかしくはない。あれらの実があればトライヘキサの封印解呪も早まるだろうしな………』

 

敵の目的を探る俺達。

 

すると、台の立体映像にとある光景が映し出された。

 

―――――例の天叢雲剣を持つ男性が、第五天である研究所周辺に足を踏み入れていた!

 

それを見て、グリゼルダさんが目元を厳しくした。

 

「………いけません。現在、第五天には解毒の最終段階のために紫藤局長が上がっています!」

 

『―――――っ!?』

 

マズい!

相手はトウジさんを狙っている!

 

このままじゃ、確実に――――――。

 

「イッセー! あれ!」

 

アリスがとある映像に指を指す。

 

そこには―――――。

 

「アセム………!」

 

第四天ことエデンの園にアセムとその下僕であるラズルの姿があった!

 

奴らも既にこの天界に入り込んでいる!

 

美羽が言う。

 

「行こう、お兄ちゃん。あの人達を止められるのはボク達だけ。それにイリナさんのお父さんも助けないと!」

 

「ああ、分かってる! 行くぞ、皆! 俺達は対テロリストチーム『D×D』だ! やることは決まってるだろ!」

 

リアスも続く。

 

「その通りよ! イリナ、あなたは第五天まで行きなさい! そこまで私達が道を開くわ!」

 

その心強い一声にイリナは大きく頷いた。

 

「ええ! 私はミカエルさまのA(エース)! 邪龍達を倒して、パパも救うわ!」

 

『俺も天界の門が開き次第、増援を送る! おまえら、気張れよ!』

 

『了解!』

 

先生の声に皆が応じた!

 

俺達がやることはこの天界を守り、トウジさんを救うこと!

それだけだ!

 

皆が戦闘に向かおうとした、その時だった。

 

『ぎゃふん!』

 

映像に映し出されていた先生が横合いから何かに弾き飛ばされた。

 

先生の変わりに映し出されたのは―――――。

 

『マスター、ご無事ですか?』

 

紫色の髪が特徴的な女性―――――ディルムッドだった!

 

頭にサンタ帽を被り、口をモグモグさせている!

 

美羽が戸惑いながら答える。

 

「え、えっと、今は大丈夫だけど………。ディルさん、何食べてるの?」

 

『バナナです』

 

「え?」

 

『バナナです』

 

そういって見せるのは皮が剥かれた食べかけのバナナ!

 

こいつ、何してんの!?

今、すんごい緊急事態なんだよ!?

そこんところ分かってる!?

 

ディルムッドはゴクンと口の中のバナナを飲み込むと一つ頷いた。

 

『私もそちらに向かいますので、後ほどお会いしましょう』

 

「え………? どうやって来るつもりなの………?」

 

『それでは後ほど』

 

「ええっ!? ディルさん!?」

 

あいつ、通信を切りやがったよ!

 

え………ちょ、あいつ、どうやって来るつもりなの!?

 

ディルムッドの言葉に戸惑う中………。

 

「あのスタイルで十五歳………グスン」

 

アリスさんが俺の隣で涙し、アーシアと小猫ちゃんも自身の胸に触れて大きくため息を吐いたのだった。

 

俺は三人の頭をそっと撫でてあげた。

 




次回はいつになるかは分かりませんが、のんびり待っていただけると助かります~。

(。・ω・。)ノシ

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