ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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最近はペース遅めで申し訳ないです。

とりあえず、院試の合格発表まで待ってね(。・ω・。)!


13話 聖槍の帰還 

トウジさんがいる第五天まで行くにはそれぞれの階層の門を通る必要がある………が、第三天から侵入した奴らは第二天と第四天に通じる門を占拠しており、そこから更に第五天に通じる門まで奪おうとしているらしい。

つまり、第二天から第五天まで攻め込まれているということだ。

 

第二天は天使達の前線基地たる第一天に近いため、天使の軍勢にて持ちこたえている。

だが、第三天から第五天まではクリフォト側が優勢だろうとグリゼルダさんは見ている。

 

天使の本拠地がある第六天はミカエルさんをはじめとしたセラフの人達が待機しているため、侵入はされていないとのこと。

また、第五天にセラフの何名かが援軍として向かっていると報告があった。

おそらく第五天も持ちこたえられるはずだ。

 

ただ、邪龍の数がアウロス防衛戦の時よりも遥かに多い。

こっちは援軍が見込めない以上、天界に残った戦力で当たらなければならない。

 

「あいつらの戦力ってどうなってんのよ………。数、多くない?」

 

アリスが邪龍を凪ぎ払いながら呻く。

 

俺達は第二天を駆け抜け、第三天へ通じる門を目指していた。

 

第二天は暗闇が支配する世界。

主に星を観測する場所であり、罪を犯した天使が幽閉される場所だそうだ。

どこまでも暗い世界が続くが、プラネタリウムのごとく、空には星々が輝いているので、完全な闇というわけではない。

 

そんな第二天の空を邪龍の群れが飛び交う。

 

「あいつらは聖杯を持ってるし、おまけに複製した俺の力も持ってる。それを使ってるんじゃねぇの!」

 

向かってくる邪龍を殴り飛ばしながら、アリスの疑問に答えてみる。

 

数千単位で邪龍が第三天から侵入してくるのを見ていると、俺の考えも外れではないだろう。

譲渡の力と聖杯を組み合わせたのなら、これだけの数を揃えるのも容易だろうしな。

 

「イグニスさんの炎で焼いちゃってよ。一瞬でしょ?」

 

「そうしたいところだが、この乱戦模様じゃな………。あと、天界でイグニスを使うのは禁止だ。『システム』に何が起こるか分かったもんじゃない」

 

イグニスの力を使えば、この戦況ぐらい一気に押し返せる。

ただ、この邪龍も天使も入り交じっている状況でイグニスを使うのは味方も焼くことになるからダメだ。

それに、常軌を逸したイグニスの熱量が天界に………『システム』に何らかの影響を出すかもしれない。

 

だから、天界でのイグニスの使用は控えるよう、ここに来る前にアザゼル先生から言われている。

 

美羽が魔法をぶっ放しながら苦笑する。

 

「大き過ぎる力って結構考え物だよね………」

 

「全くもってその通りだ」

 

『これでもかなり力を落としてるんだけどねー』

 

「「うん、チートだよ! チート過ぎるよ、この人!」」

 

兄妹の叫びが第二天に響く!

 

分かってたよ、この女神がチートだってことぐらい!

前々から知ってたよ!

でもね、改めて口に出して言われると叫びたくもなるわ!

 

もうあんたが出張ってくれよ!

そしたら、ソッコーだろ!?

 

『もちろんよ。でも、色々焼けちゃうけど大丈夫? 多分、この天界は原形止めないと思うけど』

 

ゴメン!

言った俺が間違ってた!

お願いだからやめて!

 

と、とにかく!

天界ではイグニスの力は厳禁!

 

俺達が邪龍を吹き飛ばしながら進んでいくと、その途中で『御使い(ブレイブ・セイント)』達が飛び出していった!

 

立ちはだかる邪龍の群れの前で陣形を組み―――――

 

「いくぞ! フォーメーション! フルハウスッ!」

 

「「「はっ!」」」

 

それに応じた札の番号が宙に浮かんで輝きだす!

 

刹那、莫大な光が『御使い』達を包み込んでいく!

 

フルハウスの手札となった『御使い』は邪龍の群れに飛び込み、一気に屠り去っていった!

 

「天界の『御使い』達は陣形を組むことで強大な力を発揮するとは聞いていたけれど、これはかなりのものね」

 

今の光景にリアスが感嘆の声を漏らす。

 

確かにあの特性は驚異的だ。

ポーカーなどのトランプゲームの持ち札に倣って役が出来るとあれほどまでに力を引き上げるからな。

 

レーティングゲームなんかで使われると厄介そうだ。

 

まぁ、天使とレーティングゲームするなんて、かなり先のことだろうけど。

 

グリゼルダさんが立ち止まり、俺達に言う。

 

「私がここに残って戦線の指揮をします!」

 

その言葉に頷くと俺達は第三天へと通じる門を目指す。

 

そして、突き進んだ先に門が見えてきた。

 

しかし―――――。

 

門を前にして暗闇の中から邪悪な気配を感じ、俺達は立ち止まった。

 

『これはこれはお久しいですね』

 

現れたのはドラゴンの形をした樹。

アウロス学園ではグレンデルと共に現れた邪龍の一体。

 

「ラードゥンか………」

 

『ええ。前回ぶりですね、現赤龍帝』

 

ラードゥンの周りには邪龍の大郡がいて、門を完全に塞いでいやがる。

 

俺は嘲笑うかのように笑みを浮かべ、奴に言う。

 

「そういや………前回は逃げたんだったな、おまえ。伝説の邪龍が聞いて呆れる」

 

『逃げた………まぁ、そうでしょうね。ですが、あなたの切り札を見れば、誰でも同じ判断をすると思いますが?』

 

「そりゃそうか。………で? 今回はやろうってか?」

 

『ええ。天界であれば、あれは使えないでしょう? あれほどの質量の力は『システム』に影響を及ぼすでしょうしね』

 

向こうもこちらがイグニスという切り札を使えないと踏んで出てきたか。

リゼヴィムかアセムの入れ知恵なんだろうな。

いや、両方もあり得るか。

 

どちらにしても、今はラードゥンと邪龍の大軍を退けないといけない。

 

奴のオーラから察するに前回よりも強化されているのは明らかだ。

簡単には通してくれないだろう。

 

奴の得意なのは防御と封殺。

奴の結界がどれだけ強くなっているか………。

 

ここにいるメンバーなら、ラードゥンと門を塞ぐ邪龍達を片付けることは可能だ。

 

だが、今は一刻を争う事態。

ここで時間をかけている暇などない。

 

ここは―――――。

 

すると、リアスが前に出た。

 

「ここは私達で抑えるわ。イッセーは眷属とイリナ、それからアーシアとゼノヴィアを連れていきなさい」

 

リアスの考えが分かっていたように木場や朱乃達もそれに付き従う。

 

「この先の階層にはアセム達もいるのでしょう? いえ、他にもクロウ・クルワッハや紫炎のヴァルブルガまでいるわ。それを考えるとイリナだけでこの先を進むのは難しい」

 

「アーシアを付けるのはもしもの時のことを考えてのことか?」

 

「そう。ゼノヴィアも行かせるのはアーシアの護衛の意味もあるし、何よりイリナとコンビを組んでいたもの」

 

なるほど、リアスはこの先の展開を読んでいるわけだ。

 

ここを抜けたとしてもアセム達強敵が待ち受けている。

この中であいつらの相手を出来るのは俺達ぐらいだ。

 

俺達がそこに残り、イリナ、アーシア、ゼノヴィアを先に行かせてトウジさんを救わせる。

アーシアがファーブニルを呼べば、トウジさんを助けられる確率はぐんと上がるだろうしな。

 

だが、この数。

 

天界の軍勢がいるとはいえ、リアス達だけで押しきれるか………。

 

そんな俺の心配が分かったのか、リアスは笑む。

 

「心配いらないわ。あれくらいの敵で怯んでいるようでは、『D×D』のメンバーは名乗れない。それに」

 

リアスは全身から滅びの魔力をたぎらせる。

 

それは今までのリアスよりも一回りも二回りも大きく見えて――――。

 

「覚悟しなさい、邪龍ラードゥン。イッセーに抱かれた私は―――――強いわ!」

 

………。

 

………。

 

………ん?

 

え、ちょ………リアスさんんんんんん!?

 

それはここで関係あるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

ああっ!?

なんて魔力を放ってやがる!?

リアスの背後に滅びの龍が見える!

 

「………り、リアス?」

 

俺は恐る恐る声をかけてみると、リアスはニッコリと微笑んで、

 

「だから大丈夫よ、イッセー」

 

すいません! 

全然大丈夫じゃないです! 

別の心配をしてしまうんですが!?

 

いや、リアスとロセとのことは既にバレてるけど!

 

「なるほど………イッセーと子作りするとパワーアップできるという特典もついてくるのか! よし、こんな騒ぎは早く終わらせて、子作りするぞ!」

 

ほら、こんなことを言い出すやつが出てくる!

 

「ゼノヴィア! おまえは何、意味分からんことを言ってるんだ!? つーか、子作りまでは行ってない!」

 

避妊具はつけてました!

子供は作ってません!

そこは大人になってから!

 

「もちろん、アーシアとイリナも一緒だ!」

 

「は、はい! イッセーさん、よろしくお願いしますぅ!」

 

「そ、そうね! ミカエルさまがせっかく作ってくれたんだもん! 使わなきゃ!」

 

三人を同時に相手しろってか!

 

嬉しいよ!?

嬉しいけどね、そういう発言は場所を選んでくれ!

 

ふと俺の両手が握られる。

 

見ると右手を朱乃、左手を小猫ちゃんが握っていた。

 

「私もお願いしますわ」

 

「赤ちゃんはダメですけど………練習なら今の体でもできます………」

 

二人も混じってきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

小猫ちゃん!

モジモジしてるところはすごく可愛いけど、ここはツッコミを入れるところ!

 

あっ、そういえばツッコミ要員が働いてねぇ!

 

「木場ァ! ツッコめぇぇぇぇぇ!」

 

「そこで僕に振るのかい!? メインは君だろう!?」

 

「メインとかないし! 最近サボりがちだぞ、おまえ!」

 

「僕、結構ツッコミ入れてるけど!?」

 

「じゃあ、ギャスパー! おまえもツッコミ要員に入れ!」

 

「ぼ、僕ですかぁ!? む、無理ですよぉ!」

 

「無理なんかじゃない! おまえなら出来る!」

 

「そうだよ、ギャスパーくん! 君は苦難を乗り越えてきたじゃないか!」

 

「「これからはツッコミ要員として頑張っていこう!」」

 

「ひぃぃぃぃぃぃ! 祐斗先輩のキャラが崩壊してますぅぅぅぅぅ!」

 

よし、ギャスパーのツッコミをいただきました!

やれば出来るじゃないか!

 

その調子でこれからはおまえがツッコミを入れていくんだ!

 

ツッコミ役を次の世代へ引き継ぐ時が来たんだよ!

 

「そんな世代交代は嫌ですぅぅぅぅぅ!!」

 

「心読まないでくれる!?」

 

 

 

―――――こうして、ツッコミ要員ギャスパーが誕生した。

 

 

 

って、こんなことしてる場合か!?

ラードゥンと邪龍軍団忘れてたよ!

 

俺は慌ててラードゥンの方を見る。

 

 

すると―――――

 

 

「………久しぶりの登場なんだが………。相変わらずのシリアスブレイカーだな、赤龍帝、それにグレモリー眷属」

 

―――――っ!

 

俺達はその男の登場に心底仰天した。

 

漢服を羽織った若い男が一人、聖なる波動を放つ槍を肩でトントンとしながら、ため息をついていた。

 

聖槍―――――神滅具のひとつ『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』。

 

前回のアウロス学園防衛戦でも、あの槍が突如降ってきて、町を覆っていた結界を破壊した。

 

そして、今回はその持ち主たる男までそこに立っている!

 

俺達は口を揃えて―――――

 

 

「「「「いつ来たの!?」」」」

 

「今だよ! って、その反応、間違っていないか!?」

 

曹操のツッコミが第二天の空に響いた―――――。

 

 


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