ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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やっちまった………!
ついにやっちまった………!


16話 悪神と勝負です! 

弾ける稲妻、巻き起こる旋風。

俺を中心に力の嵐が吹き荒れていた。

 

イグニスによって提案され、実現した俺の現段階における最強形態―――――EXA形態。

 

天翼(E)天武(X)天撃(A)の三形態の力を併せ持つと共にリアスの滅びの魔力とアリスの白雷を宿している。

こいつの力は俺の複製体二十体を殲滅できるほどの出力を誇る。

 

今のアセムの力は聖書の神が残した『システム』に容易に介入できるほどの力を持つ。

そうなると、こいつに対抗できるのはこれしかないだろう。

 

アセムが俺の姿を見て、笑んだ。

 

「なるほど。前回の戦いで君は新たなステージに進んだんだったね。君ならなんとか出来ると思ってたけど―――――」

 

アセムは手元に魔法陣を展開する。

魔法陣が輝くと、空中に映像が映し出された。

 

俺は目を見開いた。

 

 

そこに写し出されたのは―――――

 

 

『んんっ………! ちょ、イッセー! 吸いすぎ………あぁん!』

 

『い、イッセー………。あっ、お尻までそんなに揉んでは………ふぁぁぁっ』

 

官能的な声を漏らすリアスとアリス。

そして、二人のおっぱいに夢中になってる俺の姿だった。

 

俺の口は二人のおっぱいに、手は二人のお尻を揉みしだいていて―――――。

 

「おぃぃぃぃぃ! なに、録画してくれてんの!?」

 

「アハハハ♪ だって、面白すぎでしょ、これ。これ撮るとき大変だったんだよ? 笑い声抑えるの必死でさ」

 

あっ、音声に微妙にアセムの声が混じってる!

 

このやろ、本当に録画しながら笑ってやがったな!?

俺達が必死であの場を切り抜けようとしてたってのに!

 

「その動画どうする気だ!? まさかと思うが、あちこちにばら蒔くなんて陰湿な嫌がらせをするわけじゃないだろうな!?」

 

「いやいや、そんな嫌がらせはしないって。君のところのアザゼルくんに送りつけるだけだって」

 

「アウトォォォォォ!」

 

 

~そのころのアザゼルくん~

 

 

「総と………監督!」

 

「おいおい、総督はシェムハザだぜ? そろそろなれろよ。で、どうした?」

 

「アザゼルさま宛に荷物が届いています」

 

「俺宛? なんだ、こりゃ………ビデオテープ? いったい誰から………」

 

「中をご覧になられますか?」

 

「そうだな。とりあえず見てみるのが手っ取り早いかもしれん」

 

アザゼルはビデオテープをデッキに入れて、再生ボタンを押した―――――。

 

 

~そのころのアザゼルくん、終~

 

 

「世の中で一番見せてはいけない人に送ったなぁぁぁぁぁっ!」

 

俺の絶叫がエデンの園に響き渡った!

 

だって、そうじゃん!

アザゼル先生に送りつけるとか、確信犯も良いところだよ!

 

「うん! アザゼルくんの暴露癖に期待だね☆」

 

「ええ、全く! アザゼルくんプロデュースのおっぱいドラゴンでどう活躍するか見物だわ! 新商品だって出せちゃう!」

 

「「ねー」」

 

意気投合するアセムとイグニス!

 

こいつらバカだ!

鬼畜だ!

 

つーか、なんでイグニスがそっち側にいるんだよ!?

 

新商品とか開発されそうで怖いわ!

あの人ならやりかねん!

 

「ちなみにおっぱいドラゴンのグッズは全部持ってるよ☆」

 

アセムがどこからか缶バッチやら帽子といったおっぱいドラゴングッズを出してきた!

 

「買ったの!?」

 

「もちろん! 手に入れるの苦労したよー」

 

「なんで集めてんの!?」

 

「趣味! というより、おっぱいドラゴン面白すぎでしょ、あれ。フツーにファンしてるよ、僕達」

 

くっ………こいつもおっぱいドラゴンファンだったのか!

自由すぎる!

 

イグニスといい、アセムといい、うちの師匠といい、アスト・アーデの神さまって自由すぎじゃない!?

 

ん………ちょっと待て。

 

こいつ、今――――。

 

「僕………()?」

 

俺がそう問うとアセムは「あー」と思い出したように答えた。

 

「うちのベルちゃんも毎週見てるよ? 録画もしてるし。他の三人は特に見ているわけじゃないかなー。ラズルは格闘技見てるし、ヴァルスはアニメ、ヴィーカはドラマ見てるかな。あ、でも、基本的にはベルにテレビ譲ってるね」

 

「………そっか」

 

今、俺は心底安堵した。

 

良かった…………ラズルとかヴァルスとかじゃなくて良かった。

 

ベルは見た目………というか、中身も子供みたいなもんだから、まだ………ね?

 

って、基本的にテレビはベルですかそうですか。

どこまでもアットホームな奴らめ。

 

「ちなみにベルとヴァルスは一緒にアニメ見てることも多々」

 

「聞いてないぞ!?」

 

『おまえらそろそろ戦えよ!』

 

ドライグのツッコミが炸裂した。

 

 

 

 

気を取り直して対峙する俺とアセム。

 

俺は現段階における最強形態。

アセムは今まで通りの少年の姿。

 

………不気味で濃密なオーラを放ってやがる。

 

あれだけ強力な下僕を生み出し、更には聖書の神の力にまで介入できる。

さっきは領域(ゾーン)に入っていた俺が知覚出来ないほどの動きを見せた。

 

まるで底が見えない。

 

ハッキリ言って、アセムの力は未知数。

 

だからこそ、

 

「端から全力………フルパワーでいかせてもらうぞ!」

 

天翼の翼からフェザービットが勢いよく飛び出していく。

 

それと同時に俺もアセムめがけて飛び出していった!

 

能力も力量も不明。

そんなやつに真っ向勝負なんてするべきじゃない。

 

だから、俺は気の残像を生み出しながらアセムの撹乱に出た。

いくつもの残像と共にアセムへと迫る!

 

それでもアセムは笑みを浮かべたまま。

 

「その余裕面に一発叩き込む!」

 

俺はアセムとの間合いを摘めると、そのまま拳を放つ!

周囲の大気を巻き込んで打ち出される嵐のような一撃!

更には滅びの魔力をも纏っているから強力だ!

 

「アハッ♪ 怖い怖い♪」

 

アセムは笑みを浮かべたまま後方に下がる。

 

俺はそれを追いかけていく。

 

「全然怖いって顔じゃねぇだろ! 余裕こきやがって!」

 

「いんや~怖いよ? 君の魂の炎がね♪ 触れれば火傷しそうなほど熱く燃えてるじゃん」

 

「それ、攻撃自体は怖くねぇってことだろ!」

 

「うん☆」

 

ブイサイン送ってきやがる!

マジで余裕か、この野郎!

 

だけど、こいつ、俺のスピードに余裕で着いてきているのは確かだ。

 

間合いを詰めて拳を繰り出そうとも、のらりくらりかわされてしまう。

 

なら―――――

 

「手数を増やす!」

 

射出したフェザービットをアセムを囲むように配置。

全砲門から一斉に砲撃を放つ!

 

縦横無尽に動き回る八つのビット。

あらゆる角度から繰り出される砲撃と斬撃がアセムを攻め立てる。

 

………が、アセムは僅かな動きだけでそれら全てを回避していく!

身のこなし良すぎるだろ!

 

しかも、こいつの動き………

 

「おまえ、その体捌きは!」

 

「あ、気づいた? 君の動きだよ~♪ 凄いでしょ?」  

 

「人の動きパクりやがったな!?」

 

「何言ってんのさ。武術の伝承は模倣から始まるものでしょ」

 

「そりゃそうか!」

 

アセムのその意見には同意せざるをえない!

 

だけど、こいつのは模倣どころじゃない。

明らかに俺の動きを更に洗練させてやがる!

 

手を出しているのは俺だけで、アセムは体捌きだけでありとあらゆる攻撃を捌いてやがる。

 

悔しいが、近接戦でもこいつは強い………!

 

ドライグ、あれをやる!

ビットの制御は任せるぞ!

 

『ほう、あれか。そういえば、リアス・グレモリーから指導を受けていたな』

 

ああ!

リアスのあの技はえげつないからな!

 

俺はビットの制御を全てドライグに渡すと、手元に滅びの魔力をチャージし始める。

 

俺はイグニスが発案した力の理論―――――T(ツイン)O(おっぱい)S(システム)を体現した、その副次的効果でリアスの滅びを扱えるようになった。

 

それでもリアスのように滅びの魔力を扱える訳じゃない。

まぁ、元々俺は魔力の才能は皆無だったし、リアスは何年も滅びの魔力を使ってきたんだ。

それは当然のこと。

 

魔力操作も滅びの力もリアスの方がずっと上。

 

リアスの技を普通に使おうとすれば、時間がかかるわ、威力は低いわで使い物にならないだろう。

 

だがな、俺は赤龍帝だ。

 

「強引に上げりゃ、いけんだろ!」

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!』

 

『Transfer!!』

 

増大した力を手元の滅びの魔力に譲渡!

 

すると、俺が作り出した滅びの球体は巨大に、より濃密な滅びのオーラを放ち始めた!

 

俺は滅びの球体を殴り付ける!

 

「リアス! 君の技を借りるぜ! ――――消滅の魔星(イクスティングイッシュ・スター)ァァッ!」

 

放たれる滅びの塊は強力な吸引力で辺りを巻き込みながらアセムへと迫る!

 

この技は普通の攻撃よりスピードが遅いため、避けられる可能性が大きい。

 

「ドライグ!」

 

『任せろ!』

 

五基のビットがピラミット状のフィールドを形成して、アセムと滅びの球体を内側に閉じ込める!

逃げ道はない!

 

球体の内部で赤と黒の魔力のオーラが渦巻いていくと、アセムを取り込もうと、更に吸引力を上げていく。

 

アセムの体が球体に引き寄せられていく。

 

「へぇ、紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)の必殺技まで使えるとは驚きだねー。このままいけば、僕はこれに取り込まれて消滅するのかな? まぁ、でも―――――」

 

アセムは右手にオーラを纏わせ、横凪ぎに払い――――――

 

 

バァンッ!

 

 

弾ける音と共に滅びの球体が消し飛ばされた!

ビットのバリアーも吹き飛んでやがる!

 

あの挙動だけで、消し去ったというのか!?

 

「チートかよ………」

 

「いやいや、君についている原初の女神さまほどではないよ。それに今の君でも十分に強いと言える。ただ、僕の方が君より強いだけさ」

 

アセムはそう言うと―――――俺の眼前まで距離を詰めてきた。

 

それはあまりに一瞬のことで、

 

「さぁ、次は僕の番かな?」

 

アセムの右手に黒いオーラが集まり、長い剣を作り出した!

黒いオーラで形成された剣が俺の首目掛けて振るわれる!

 

「アハッ♪ かわすねぇ!」

 

「このやろ………!」

 

俺は上体を反らしてギリギリのところで回避。

それと同時にビットを二つ、ソードモードに切り換えて、柄を握った。

赤いオーラの刃が形成される。

 

アセムが振るう一撃を受け止めながら、もう一方で仕掛けていく。

 

重さは対して無い。

だが、速い。

刀身が見えないほどの速さで剣を振るってきやがる!

 

しかも、最悪なことにアセムはまだまだ本気を出していない。

 

「ほらほら防戦ばっかりじゃ、僕には勝てないよ?」

 

「そうだな。それじゃあ―――――」

 

 

バチッ バチチチッ

 

 

鎧の各所から白雷が迸る。

 

それを刀身に乗せて―――――

 

「痺れてろ!」

 

全力で振り下ろす!

 

凄まじい勢いで弾ける白い稲妻!

雷撃が辺り一帯丸ごと覆った!

 

雷が落ちた場所は丸焦げになり、黒い煙が上がる。

 

アセムの姿はない。

 

あいつは―――――

 

「上かっ!」

 

上に気配を感じた俺は空を見上げる。

 

しかし、そこにもアセムの姿はなかった。

 

すると、

 

「残念♪ 後ろだよ~」

 

「っ!?」

 

俺は背後を振り返ると同時に――――――

 

「ガッ………ハッ………!」

 

肩から腹にかけて大きく斬り裂かれた。

 

砕かれた鎧と赤い鮮血が飛び散るのが目に映る。

 

俺は一旦後方に大きく跳んで、その場に膝をつく。

 

「ちぃっ……速すぎんだろ………!」

 

傷口から流れる血が草花を赤く染めていく。

 

呼吸をすると胸に激痛が走る。

こりゃ、骨まで達してるな。

 

俺は自分の体の状態を把握しながら、アセムに視線を向ける。

 

奴は剣を八の字に振り回して、肩に当てた。

 

「思ったより出血が少ないね。僕の予想としてはもう少し深く斬れると思ったんだけど………。あっ、そっか。君が使う技には気で体の表面を硬化させるものがあったね。うんうん、あの一瞬でそんなことが出来るなんて、流石だよ」

 

面白そうに、興味深そうにこちらを見てくる。

 

………流石なのはどっちだ。

斬り裂かれる瞬間、硬気功で防いだことを看破しやがった。

 

いや、防げたとはいえないか。

硬気功の上からバッサリいかれたからな。

 

それでも、ギリギリ発動が間に合ったお陰で少しではあるけど、ダメージは減らせた。

 

量子化は………あのタイミングでも出来ないことはなかったけど、あれをしてしまうと一気にスタミナと精神力を持っていかれる。

後のことを考えると今使うべきではない。

あれは本当にここぞというときだ。

 

アセムが訊いてくる。

 

「さて、どうする? このまま続けるかい? この場で君を倒してしまうのは簡単だけど、それは面白くない。君の先を見たいからね」

 

「………ずっと気になってたことがある」

 

「なんだい?」

 

「おまえ、俺に何を期待しているんだ? おまえの目は俺を侮っているわけでも、見下しているわけでもない。何かを待っているという目だ」

 

以前、アセムはずっと俺のことを見ていたと言った。

俺がアスト・アーデに飛ばされてから、今に至るまでずっと。

 

俺を殺したいなら、いつでも出来るはず。

仮に俺を異世界侵略の手駒にしたいなら、どこかで捕まえて洗脳だって出来るはずだろう。

 

アセムは空いている掌をじっと見る。

何度か開いたり閉じたりし始めた。

 

「期待もあり、嫉妬もある。君は僕がなれなかったものになった。折れなかった。先に進んだ。―――――君は僕にとって可能性そのものといったところかな」

 

「それってどういう………」

 

「いや、何でもないよ。今、君に話したところでどうなるわけでもないしね。それに今、君がすべきなのはこの状況をどうするかだろう? 何か解決策は浮かんだかい?」

 

そうだ、こいつの言う通りだ。

 

圧倒的に押されているこの状況。

逃げ出すのも………ありだな。

 

『たが、それは………』

 

ああ、このままだと、こいつは全勢力の神々にしかけるらしいからな。

それはやらせるわけにはいかんだろ。

 

本当なら、一旦引いて体勢を整えるべきなんだろうけど………そうも言ってられないな。

 

俺は鎧を修復すると、ゆっくり立ち上がる。

 

実力差は明らか。

このままやっても勝てる気がしない。

 

ならば、多少………かなり強引な手に出るか。

 

「おや、まだやる気かな?」

 

「悪いな、俺は――――諦めが悪いんだ」

 

俺は意識を己の内側に集中させる。

体内の気を高速で循環と圧縮を繰り返していく。

 

――――やるか。

 

『お、おい、相棒! まさかと思うがあれをやる気なのか!?』

 

まぁな。

ここで逃がすわけにはいかないからな。

 

『だが、調整が済んでいないのだぞ!? しかも、元々不安定なこの形態で使うなど………!』

 

「悪いな、ドライグ! しのごの言ってる暇はねぇんだ! プロモーション『女王』! からの昇格強化!」

 

悪魔の駒が『女王』に切り替わり、EXAの力と同調する!

更に、限界まで高めた気とも交わった!

 

鎧の各部に強く赤い光の筋が走ったと思うと、全身が紅蓮に輝いていく!

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!』

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!』

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!』

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!』

 

全身の宝玉からけたたましい音声が発せられると、その宝玉の容量限界まで力がチャージされていった!

 

『Full Charge!!』

 

『Full Boost!!』

 

 

そして――――――

 

 

『Trans-am Drive!!!!』

 

その音声が響いた瞬間、このエデンの園全体を照らすほどの光が放たれる!

 

翼は二つから四つに、肩や足のブースターは大きく展開し、赤い粒子を大量に撒き散らしていく!

 

「さぁ、続きといこうか! アセム!」

 

 




切り札登場!(というよりやってみたかっただけ!)
昇格強化『女王』!

不安定な力に調整が間に合っていない力の組み合わせ!
さぁ、どうなる!


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