ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

301 / 421
ついに300話達成!
これも本作を読んでくださる皆さんの応援のお陰です!
今後もよろしくお願いします!



12話 突入! アセムの城!

「うぅぅ………っ」

 

「そ、そんなに怒らないでくれよ………」

 

「あんたね………私の胸はあんたの回復ツールじゃないんだからね!?」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

涙目でお怒りのアリスに土下座で謝る俺。

 

ロンギヌス・ライザーでかなりの力を消費してしまった俺はアリスに頼んでおっぱいを吸わせてもらった。

吸わせてもらったのだが…………案の定、怒りのアリスパンチが炸裂。

回復する代わりに大ダメージを負ってしまうことに。

 

ここで「殴らないでって言ったのに…………」なんてことを言うのはなしだ。

全面的に俺が悪い。

 

ま、まぁ、何だかんだで吸わせてくれたし、あの一発で済んだのだから良しとしよう。

 

アリスが胸を抱きながら言う。

 

「一体どれだけ吸うのよ………。胸が萎むかと思ったじゃない」

 

結構長いこと吸ってたもんな。

それだけ消耗が激しかったということなのだが…………。

 

実は途中からアリスが可愛くて夢中になってたのもある。

美羽に結界張ってもらってるし、誰にも見られないから良いかなって。

 

ただ、そんなことを言ってしまうと、アリスパンチがもう一発飛んできそうなので黙っておくよ。

 

「えっと………とりあえず、アリスのお陰で回復できたよ」

 

「あれだけ吸っておいて回復してなかったら、もう一発殴るところよ。………ベッドの上ならいくらでも良いのに………」

 

「………ま、マジ?」

 

目を見開く俺!

ベッドの上ならいくらでも良いだと………!?

 

そ、そんな………あのアリスがそんな………。

 

俺の反応にアリスはぷいっと向こうを向いてしまうが、

 

「だって………今さらじゃない」

 

確かに今更だよ!

今更だけどね、改めて言われるとこっちも色々張り切っちゃうの!

 

アリスさん、耳まで真っ赤だよ!

えぇい、殴られてもやっぱり可愛いものは可愛いか!

アリスさん最高!

 

すると、ヴァーリが呟いた。

 

「ドラゴンを回復させる方法…………やはり、乳にその秘密が?」

 

「いやいやいや、あれはおっぱいドラゴンだけじゃね?」

 

美猴の言う通りだよ!

この方法は俺限定です!

ヴァーリまで乳で回復しようとしないで!

 

つーか、ヴァーリのやつ、意味分からずにそういうこと言ってるだろう!?

そういうことに興味を持つのはおっぱいの素晴らしさに気付いてからにしなさい!

 

あと、アリスは俺のだならな!

絶対にあげないからな!

 

おまえは別でそういう女性を探しなさい!

アザゼル先生も心配してたし!

 

俺が心の中でツッコミを入れまくっていると、美羽が訊いてくる。

 

「お兄ちゃんはもう全快したってことで良いの?」

 

「いや、流石に全快とまではいかないかな。三分の二ってところか」

 

精神的には全快したけどね。

リアスもいれば、体力的に全快までいったんだろうけど、リアスは向こうだし。

 

俺達は灰と化した地面を踏み締め、アセムのいる城へと向かう。

魔獣が完全消滅したためか、俺の複製体が向かってくる様子もない。

 

こいつはアセムの言うテストを合格したってことで良いのかね?

 

崩れた城壁を抜けると、眼前には巨大な黒い城。

グレモリーやフェニックスの代よりも大きいんじゃないだろうか。

ただし、特に飾り気があるわけでもなく、黒一色でいかにも悪役が住んでそうな場所だ。

 

城の至るところに大きな入り口のような場所が見られるが…………。

 

「あそこから兵藤一誠の複製体が出てくるのが見えた」

 

ヴァーリの言うように、あそこから俺の複製体が出現した。

カタパルトデッキみたいな感じなのかね?

その必要性は特にないように思えるけど…………。

 

しかし、あそこから出てきたということは、あそこから攻めるのは避けた方が良いんだろうな。

敵の軍勢のど真ん中に突っ込むようなものだし。

 

周囲を警戒しながらも、そんなことを考えていると―――――。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………。

 

 

高さが十メートルほどある巨大な鉄の門が動き始めた。

地響きを立てながら、俺達を迎え入れるように開く門。

 

これはアセムからのメッセージだろう。

だって――――――。

 

美羽が呟く。

 

「『ようこそ、アセムくんハウスへ!』………?」

 

門が開いた先には立て札があって、イラスト付きでそんな言葉が書いてあるんだもん!

イラストが結構上手いところが微妙に腹立つ!

 

あの野郎、絶対に楽しんでる!

俺達は遊びに来た友達じゃねーんだよ!

 

「見ろよ、ヴァーリ。左に進んだら食堂らしいぜ?」

 

「マスター…左…もぐ………に進みましょう。……もぐ……左が怪しいです」

 

「ディルさん、とりあえずバナナ飲み込もう。お行儀悪いよ?」

 

「ふぁい」

 

右手には槍、左手にはバナナ!

ディルムッドのやつ、戦いに来たの!?

遠足に来たの!?

つーか、左に進むって、おまえが何か食いたいだけだよな!

見え見えだから!

 

やべーよ、この面子だとツッコミが追い付かなくなりそうだ!

ドライグ、おまえだけが頼りだ!

 

『アルビオン、そっちに遊びに行ってもいいか?』

 

『いつでも来るといいさ。また昔話に花を咲かせようではないか』

 

ドライグがアルビオンのところに逃げたぁぁぁぁぁ!

ツッコミを放棄するつもりか!?

 

あと、おまえら、本当に仲良くなったな!

ついこの間まで喧嘩してたのによ!

別に良いことなんだけどさ!

 

アリスが言う。

 

「入って早々、左右と正面に分かれ道。ここはグループを三つに分けるべきかしら?」

 

「出来れば固まって動きたいところだけど、その方が良いか」

 

探索する時間なんてない。

あと数時間後には駒王町で教会の戦士達との決闘が始まる。

それ自体にはそこまで心配はしていないが、注意すべきなのはクリフォトの動きだ。

 

ま、最強の助っ人を置いてきているから、大丈夫だと思うけどね。

 

教会との件もそうだけど、あまり時間をかけるとアセム達がどんな手を使ってくるか分からない。

そういう面でも短時間で済ませたい気持ちはある。

 

こうなると問題はどういうグループに分けるかだが………。

 

ヴァーリが言う。

 

「俺と美猴は正面から行かせてもらう」

 

「ま、そっちはそうなるよな」

 

連携を考えると俺とヴァーリはともかく、それ以外はあまりよろしくないだろう。

この場のメンバーなら、即興のチームでも合わせられるとは思うが、相手が相手だ。

可能な限りベストなメンバーかつ、戦力を均等に分けたい。

 

ヴァーリチームは決定として、残るは俺達赤龍帝眷属+ディルムッドをどう分けるか。

 

ディルムッドが美羽の傍に立つ。

 

「私はマスターと共に行く」

 

「だろうと思った。………そんじゃ、俺とアリスのチーム、美羽とディルムッドとレイヴェルのチームにするか。俺はアリスが一番連携取りやすいし、そっちのチームなら、ディルムッド前衛で美羽とレイヴェルが後衛で組めるだろ」

 

俺とアリスは長いこと一緒に戦ってきただけあって、眷属の中でも一番息が合っている。

しかも、俺のアリスは二人とも前衛と後衛を切り換えることもできる。

 

美羽達はというと、ディルムッドは完全な前衛。

美羽は全体的なサポートから強力な魔法攻撃もできる。

レイヴェルは美羽と合わせて後方からの攻撃で前衛をサポート出来るだろう。

美羽とレイヴェルは『僧侶』同士で合わせ技も訓練してるし、何だかんだでディルムッドと美羽の連携も良いんだよね。

 

なんと言うか、ディルムッドの美羽愛が日に日に増しているような気もするんだが…………。

仲が良いのは良いことなので、今は置いておく。

 

「じゃ、俺とアリスは右で美羽達は左、ヴァーリ達は正面の通路だ。何かあったらインカムで連絡してくれ。直ぐに駆けつけるからよ」

 

 

 

 

美羽達と別れて三十分ほど経った頃。

 

「ねぇねぇ、主様」

 

「なんだい、アリスさん?」

 

「私達って、なんでこんなことなったんだっけ?」

 

穏やかな口調で会話する俺とアリス。

声だけ聞けば縁側でのんびりお茶でも飲んでそうな感じだ。

あぁ、そんなのんびりした生活が送れたらなぁ。

 

こんなことを思ってしまう俺は間違っているだろうか。

今の状況は少しでもそんな願いを持ってしまった俺への罰なんだろうか。

 

天国にいるじいちゃん、教えてください。

どうしたら、俺はのんびりした生活がおくれますか?

 

 

「ぬぉぉぉぉぉぉ! 走れぇぇぇぇぇ! 全力で走れぇぇぇぇぇ!」

 

「走ってるわよ、バカァァァァァァ!」

 

薄暗い通路に響く俺とアリスの絶叫!

俺達は背後から迫る物から逃れようと全力で走っていた!

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!

 

 

大きな音を出しながら転がってくるのは巨大な球!

さっきから俺達をどこまでも追いかけてくる!

 

「アセムのやつ、こんなベタな仕掛け施しやがってぇぇぇぇぇ!」

 

「イッセー! あんた、何とかしなさいよ!」

 

「何とかできるなら、とっくにそうしてるわ! つーか、おまえがあんな紐引っ張るからだろ!? 見え見えの罠だったじゃん! 明らかに罠だったじゃん!」

 

「『人はなぜ紐を引っ張るのか…………それはそこに紐があるから』という言葉を知らないの?」

 

「知らない! そんな言葉知らない! 『山』なら知ってるけど『紐』は知らない!」

 

あぁ、もう!

なんでこんなことになった!?

なんで敵地に乗り込んで、こんなギャグみたいな罠に追い詰められてるんだよ!?

 

後ろから転がってくる球。

破壊しようとしても、ビクともしなかった。

 

多分、アセムが強力な術か何かで作ったんだろうけど…………。

仮にそうだとしたら、あいつ、どれだけくだらない罠に本気だしてんだ!?

 

その時、通路のスピーカーから声が聞こえてきた。

 

『ブッ……ハハハハハ! ま、まさか、あの紐、本当に引くとは思わなかったよ! さ、流石はシリアスブレイカー! くっ……ひぃひぃ………わ、笑いすぎてお腹いたい!』

 

「うるせぇぇぇぇぇ! アセム、てめぇ、なんつーベタな罠仕掛けてんだよ!?」

 

『だって、ダンジョンとかでこういうのはお約束じゃん? あ、もうすぐ新しい罠くるよ?』

 

その瞬間、俺が踏んだ石がガコンッと沈む。

 

すると――――――。

 

天井に大きな穴が開き、そこから槍やら剣が大量に降ってきやがった!

しかも、全部が聖剣やら魔剣の類い!

 

降ってきた槍が俺の足の真横に突き刺さった!

 

「キャァッ! あんたも罠踏んでるじゃない!」

 

「今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ! 走れ! とにかく走れ! あのでっかいのまだゴロゴロきてるから!」

 

上から降ってくる刃の雨。

背後から迫ってくる巨大な球。

しかも、球はアグニをぶちこんでも壊れないときている!

 

逃げるしかねぇぇぇぇ!

 

「くだらねぇことに力使いやがって! 余裕のつもりか!?」

 

『くだらないと思えることにも全力を尽くす………それがプロフェショナル』

 

「深い! だけど、今は必要ない名言! つーか、おまえはただの遊び人だろ!」

 

『よく分かったね。そう、僕はRPGする時、ミニゲームに結構時間を費やす方なのさ!』

 

「知るか、ボケェェェェェ!」

 

叫びもむなしく、未だゴロゴロ転がってくる球。

 

どこか、どこか逃げ込めるところは………。

逃げ道を探す俺の視界に一つの扉が映った。

 

通路右手側の壁にある扉!

 

「アリス! あそこの扉に飛び込め!」

 

「っ!」

 

俺の言葉に反応したアリスが白雷を纏って、かつてないスピードで扉に飛び付いた。

 

アリスが扉を開け、そこに俺は飛び込んだ―――――。

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ………なんでこんなことに…………」

 

床に膝をついて、肩で息をする俺とアリス。

 

部屋に飛び込んだ俺達は何とかあの巨大な球から逃げることが出来た…………が、疲労が半端じゃない。

主に精神的な疲労が…………。

 

「私…………もうぶら下がってる紐なんて引かない…………」

 

うん、もう絶対に引かないでね。

こんな展開、もう二度とゴメンだから。

あんなベタ過ぎる罠にかかるなんて絶対にゴメンだから。

 

漫画でしか見たことない罠を仕掛けてくる相手も相手だけどさ…………。

 

あいつ、絶対に楽しんでるよ。

どこまでも楽しむつもりだよ…………。

 

呼吸を落ち着けたところで、辺りを見渡す。

 

ここは広い部屋だった。

冥界で行われるパーティーの会場ほどの広さ。

天井には豪華なシャンデリア、床には大理石、壁は白く塗られていて、通路と違い室内はかなり明るい。

 

ここからアセムのいる場所までどう行けば………?

そもそも、あいつはどこにいるんだよ?

 

「どっかに地図とかないか?」

 

「あるわけないでしょ。一応、敵地よ?」

 

「そりゃ、そうなんだけどさ」

 

感覚を広げて気で居場所を探ろうとしても、アセムの居場所だけは掴めない。

美羽やヴァーリ達の現在地なら把握出来るんだけど…………。

この城自体に何かしらの仕掛けをしているのか?

それとも、自身の気を覚られないように完全に消しているのか。 

 

どっちにしろ、あいつを見つけないことには始まらないか。

 

今いる部屋から移動しようとした時、この部屋に一人の気配が現れる。

 

「お久しぶり、勇者くん。それと王女様。いえ、ここは明けましておめでとうと言った方が良いのかしら? 前に会ったの先月だし」

 

アセムと同じくのんびりした声と共に現れたのは、浅黒い肌に白色の長髪をした美女――――――ヴィーカだ。

ヴィーカは部屋の真ん中に立ち、こちらに微笑みを向けていた。

 

俺はヴィーカに言う。

 

「明けましておめでとう………というには少し日にちが過ぎてるような気もするけど、久しぶりだな。一人か?」

 

「ええ、そうよ。さっき、ラズルは………ヴァーリくんだったかしら? あのリゼヴィムおじさまのお孫さん。彼のところに行ったわ」

 

ラズルはヴァーリのところか。

向こうには美猴もいるから二対一で数ではこちらが有利だけど…………あまり意味ないか。

それにラズルもヴァーリもバトルマニアだし、サシで殴りあってる気がする。

 

アリスが一歩前に出る。

 

「それで? あんたは私達の相手をしにきたってことで良いのかしら?」

 

「まぁ、そうなるんだけど…………流石の私でもあなたと勇者くんの二人を相手にするのはキツいわ。ベッドの上なら三人でも良いんだけど。いっそのこと、ベッドの上で一戦交える?」

 

ヴィーカはスカートの裾を持ち上げ、艶かしい太ももをチラ見せしてくる!

俺を誘惑してくるつもりか!

 

そんな手に俺がかかるとでも――――――。

 

「マジでか!」

 

「あんたは一々そこに反応するんじゃないの! って、ガッツリ引っ掛かってるじゃない! このスケベ勇者!」

 

「ゴフッ!」

 

白雷のアリスパンチが俺を撃ち抜く!

超痛いが、いつもの痛みだ!

 

俺は流れる鼻血を手で押さえながら苦し気に言った。

 

「わ、悪いけどベッドの上はなしで…………」

 

「あら残念♪ やっぱり、王女さまに怒られる? あれでしょ? 王女さまってあなたの前ではデレデレになってるんでしょ? そこのギャップが良いとか?」

 

ふっ………分かってるじゃないか。

 

うちのアリスさんはなぁ!

普段だらだらしたり、グーパンチとんでくるけど、甘えてくる時は超可愛いのさ!

 

お休みのキスとおはようのキスを求めてくる時なんて…………マジ乙女!

 

「もうね、可愛くてしゃーないんだ!」

 

「こ、声に出して言わないでよ…………バカ」

 

顔を赤くして俺の服の袖を握ってくるアリス!

こういうところがまた良いよね!

 

と、話が脱線したな…………。

 

ヴィーカが俺とアリスの二人を相手取るのかという話だった。

本人はキツいって言ってるけど、実際はどうだか。

 

ヴィーカ達はまだ何か俺達に見せていない奥の手がありそうなんだよな。

 

ヴィーカが訊いてくる。

 

「どうする? 私は一人でも二人でもいいけど?」

 

ヴィーカから放たれるプレッシャーがパーティー会場のように広いこの部屋を満たしていく。

 

この雰囲気だと、マジで俺達を相手に戦えそうだな。

それだけの手札を持っていると言うことかね?

 

その時、耳にはめたインカムからレイヴェルの声が聞こえてきた。

 

『イッセーさま、大変です! 美羽さんが―――――』

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。