ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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先日、特別編にも番外編を投稿しましたー。
オーフィスとお出掛けしてます~。


番外編 勧誘します!

グリゴリの研究施設は冥界だけでなく、日本の各所に展開されている。

もちろん日本神話勢力からは施設を設置する許可は得ており、代わりにグリゴリの技術を提供することになっているそうだ。

 

関東に新設されたという研究施設に俺は訪れていた。

 

専用の転移魔法陣で転移したその場所は人里離れた山の中で周囲には結界が張られてある。

そのお陰で一般人がここに辿り着くことはないらしい。

 

で、俺がグリゴリの研究施設を訪れた理由なんだが、簡単に言えば付き添いだ。

 

俺がいる部屋の隣にはガラス越しに白い空間が設置されている。

隅に機材が置かれている以外は何もない広い空間だ。

 

俺の目の前でアザゼル先生がマイクを通して語りかける。

 

「準備はいいか?」

 

その声は白い空間の中央に立つ人物へかたりかけたものだ。

 

その人物―――――リーシャが頷く。

 

『ええ、お願いします』

 

彼女の肩には二人の妖精、サリィとフィーナ。

そして、リーシャの両手にはそれぞれ魔装銃が握られていた。

 

いつも使っている物よりやや短めの魔装銃。

これはリーシャの新たな戦闘スタイルに合わせて先生が作り上げたものだ。

 

先生が機材を操作すると白い空間のあちこちにバレーボール大の光球が浮かび上がった。

その数は数百はあるだろう。

赤、青、緑、黄とカラフルな輝きが空間を照らしている。

 

それを確認すると、サリィとフィーナも動き出す。

 

魔法陣を展開し、そこから魔装銃と盾を六つずつ召喚する。

先日、冥府で使っていた空飛ぶ銃と空飛ぶ盾なんだが、これにもアザゼル先生が少し手を加えている。

 

今日、グリゴリの研究施設を訪れた理由はリーシャの装備、そのテストのためだ。

 

アザゼル先生が言う。

 

「始めるぞ」

 

そう言うと、空間に浮かび上がっていた光球が強く光を発する。

 

次の瞬間―――――光球から無数の光線がリーシャ目掛けて放たれた!

 

リーシャは宙返りで光線をかわしながら、握った二丁の魔装銃を構える!

 

『さぁ―――――いきますよ!』

 

引き金が引かれ、銃口からレーザーが放たれる!

二丁同時に放たれたレーザーは見事に光球を撃ち抜いた!

それも複数同時にだ!

 

撃ち抜かれた光球はブンッという音と共に消え去る。

 

残っている光球は上下左右と縦横無尽に高速で動きながら次々に光線を放っていく。

 

あまりの多さに避ける場所すら無くなりそうだ。

 

水色の盾が動き、リーシャへ迫っていた光線を防いでいく。

同時に空飛ぶ魔装銃は正確に動き続ける光球を撃ち抜いていった。

 

それを見て俺は呟く。

 

「反応が以前見たときよりも機敏だな…………」

 

アザゼル先生が言う。

 

「あのライフルビットとシールドビットはそれぞれあのチビ共が動かしている…………が、正確に動かすにはリーシャの持つ空間認識能力が必須。今回、俺はあいつらのリンクを高めてやったのさ」

 

「それであの動きを?」

 

「そうだ。リーシャの空間認識能力の高さは異常だよ。ま、それがあの超遠距離射撃を可能にしてるんだろうがな。とりあえず、あれらは異世界アスト・アーデの技術と俺が持つ人工神器の知識によってより高い制御が出来るようなったんだ。…………二つの世界の技術が混ざる。面白いと思わないか?」

 

うわー、先生ったら目がキラキラしてら。

こういう技術系の話になると、本当にワクワクが止まらないよね、この人。

 

 

―――――『赤瞳の狙撃手』

 

 

それがリーシャの二つ名だ。

 

遠距離射撃を得意としていて、百発百中の命中率を誇っている。

その秘密があの『眼』、そしてリーシャが持つ高い空間認識能力。

 

リーシャの後方支援には何度も助けられたっけ。

 

だけど、今のリーシャは少し違う。

本来なら後方からの攻撃を担当しているリーシャだが、今は完全に前衛から中衛の戦い方。

乱戦下での戦闘を想定した戦闘スタイルだ。

 

少し前なら狙撃銃一本で狙い打ちしていたが、現在は二丁スタイル。

更にはサリィとフィーナの助けもあって、ライフルビットとシールドビットという遠隔操作できる新装備を携えている。

 

狙い打ちから速打ち…………いや、乱れ撃ちかな?

 

ガラスの向こうでは連続で放たれたレーザーが幾つもの光球を捉え、消滅させている。

 

乱戦スタイルでも一発も外さないのは流石と言うべきか。

 

やがて、室内を埋め尽くしていた光球は全て撃ち抜かれ、完全に消滅した。

僅か二分足らずのことだった。

 

終了のブザーが鳴るとリーシャの瞳が赤色から元の青色へと戻る。

 

リーシャは銃を仕舞うと白い空間から出てきた。

 

俺はタオルを手渡す。

 

「お疲れ。はい、これ」

 

「ありがとうございます」

 

リーシャはお礼を言って、タオルで額を拭う。

 

うーむ、さっきからそうだったんだけど…………動き回っていたお陰でおっぱいが弾む弾む!

もうね、思わず目がそっちにいっちゃうんだよね!

向こうの世界でもリーシャのおっぱいには何度、目を奪われたことか!

 

サリィが俺を指差した。

 

「あー! イッセーがリーシャのおっぱい見てるー! ガン見してるー!」

 

「んんっ!? バレたか!」

 

「バレるも何もずっと見てるじゃん! エッチ! スケベ!」

 

からかうように言ってくるサリィ!

 

言い返せん!

だって、エッチでスケベだもの!

おっぱいドラゴンだもの!

 

リーシャが微笑む。

 

「うふふ。イッセーは相変わらず女性の胸が好きなんですね」

 

大好きです!

 

昔からリーシャってば、スケベなことに寛容だよね。

何かこう…………弟を見る姉の眼なんだよね。

 

アザゼル先生が言うリーシャ達に訊く。

 

「具合はどうよ? 見ている感じじゃ、悪くなかったが」

 

「もうバッチリです。速射性も連射性も前より上がっていましたから」

 

「はい。リーシャさんとのリンクも大分上がっていました。こちらでも操作しやすかったです」

 

リーシャに続き、フィーナがそう返す。

 

アザゼル先生がスクリーンに映像を映す。

そこには先程のリーシャの姿が映し出されていた。

 

「ライフルビットとシールドビットは俺が作った人工神器といくつか似たような点があったからな。調整はしやすかった」

 

「それはシトリーの、由良の人工神器ですかね?」

 

俺の問いに先生は頷く。

 

シトリーの『戦車』由良の人工神器『精霊と栄光の盾(トゥインクル・イージス)』は精霊と契約することでその能力を付与できるという特性を持っている。

 

ライフルビットはサリィの、シールドビットはフィーナの力を付与しているため、確かに似ているな。

先程の動きでも出力が上がっているように感じられたし。

 

リーシャが先生に言う。

 

「この感じで行けば、ビットの数を増やせそうですね」

 

「増やすのか? 今のままでも十分な気がするが…………」

 

「まだまだ余裕がありますからね。現在の保有している分の調整が完了した後、それぞれ十四基まで増やす予定でしたし」

 

「「十四!?」」

 

俺と先生の声が重なった!

 

それぞれ十四基って…………合わせたら二十八基じゃないか!

聞けば、シールドビットも防御だけでなく攻撃の手段としても使えるらしいし…………。

ライフルビット十四基にシールドビット十四基、手持ちに二丁の魔装銃。

 

え、えげつない数だな…………。

俺とドライグが力を合わせてもそこまでの数の遠隔操作武装は制御できないぞ?

 

ドライグが言ってくる。

 

『まぁ、フェザービットは一つに複数の能力を保有しているから、その分扱いが難しいのだが…………確かにその数は異常とも言える。話を聞いていれば、空間の認識事態はリーシャがやっていると言うではないか。恐るべき認識能力だ』

 

二天龍も驚きの空間認識能力を持つリーシャって…………。

おっさんもチートだけど、リーシャも大概なんだよなぁ。

 

「ここまできたら地獄の管理人―――――『乱れ突く者(サバーニャ)』とでも言うのかね」

 

先生が苦笑しながら、そう漏らした。

 

 

 

 

「うおー、スゲー!」

 

「こら、サリィ。走っちゃダメでしょ?」

 

目をキラキラさせながら廊下を走るサリィとそれを注意するフィーナ。

二人は今、幼女モードで研究施設の見学をしている。

 

「ここが神器を管理、計測する部屋となります」

 

グリゴリの研究員の一人がそう説明をくれる。

 

部屋の中では白衣を着た複数の男女と神器を発現している一人の男性がいた。

どうやらあの男性のデータを取っているようだ。

 

「「おおー」」

 

見たことのない機材の数々にサリィだけでなく、大人しいフィーナまで目を奪われているようだ。

 

なんというか、何から何まで子供の反応だよな。

見た目通りで。

 

まぁ、でも…………。

 

「凄いですね。これほどの機材…………! あぁ、私もあんなのが欲しい…………!」

 

なんか、リーシャも目を輝かせてるぅぅぅぅぅ!

ガラスにへばりついてキラキラオーラ出してるぅぅぅぅぅ!

 

欲しいの、あれが!?

仮にもらってもどこで使うんだよ!?

 

「銃のメンテに使います」

 

「うん、なるほど! って、心読んだね!?」

 

俺のツッコミが響く!

 

しかし…………。

 

「私もイッセーの考えてることわかったよ!」

 

「すいません、私も分かっちゃいました」

 

サリィとフィーナもかよ!

 

増えた!

俺の心を読むメンバーが増えてしまった!

 

そんなに分かりやすいですか!?

これって何補正!?

『イッセーの心読める補正』ですか!?

 

「そのままじゃん」

 

「うん、それは自分でも思った!」

 

と、とりあえず、異世界から来たこの三人はグリゴリの研究施設を楽しんでいるようだ。

 

そういや、モーリスのおっさんもこの世界の技術に驚いてたな。

 

 

――――――この世界の便座って温いのかよ!

 

 

それがこっち世界に来て、おっさんが一番興味を引かれたことだった…………。

 

確かに最近の便座は暖かいけど!

冬場も快適だけど!

もうちょっと違うことに驚いてほしかったよ!

 

ちなみにだが、新たにこの世界に来た四名は自動ドアを特に怖がる様子はなかった。

 

今だって…………、

 

「魔法使ってないのにドアが勝手に空く!」

 

「私達の世界には無い技術ですね!」

 

妖精ロリ二人組は自動ドアすら楽しんでいた。

何度も出たり入ったりして、動作確認すらしている。

 

…………あの反応は美羽とアリス限定だったんだな。

改めてあの二人の可愛さを認識したような気がする。

 

でも、リーシャに抱きつかれなかったのは少し残念かな?

 

リーシャが言う。

 

「うふふ、この世界にも面白いものか沢山あるのですね」

 

「美羽とアリスも来た頃は驚いてばかりだったかな。今度、町の案内をするよ。きっと面白いものがもっと見られるはずたから」

 

「そうなのですか? それは楽しみです」

 

微笑むリーシャ。

 

町の案内をする時はあの妖精二人組も一緒だな。

ゲーセンとか連れていったらはしゃぎそうだ。

特にサリィが。

 

リーシャの顔を見て、俺は何となく呟いてしまう。

 

「それにしても、おっさんもリーシャも強くなったよな。まぁ、元々強かったんだけど…………」

 

『剣聖』、『赤瞳の狙撃手』として名高い二人。

人間、魔族を合わせた中ではトップクラスの実力者だった。

 

それが再会したら更に強くなっていた。

その力の伸びように驚くしかなかった。

 

すると、リーシャが俺の頬に触れた。

 

「それは…………ロスウォードの件があったからですよ、イッセー」

 

「ロスウォード?」

 

俺か聞き返すとリーシャは頷いた。

 

「あの時、私達は何もできなかった。あなた一人に任せてしまいました」

 

「でもあの時は…………」

 

「分かっています。あの時はあなたに任せる他なかった。ですが、私にもっと力があれば、あなたを死なせずに済んだかもしれません。私は…………いえ、私達は何度も自分の無力を呪いました。また同じことを繰り返すのか、と」

 

リーシャは俺の背中に手を回すと―――――ギュッと抱き締めてきた。

 

そして、俺の髪を撫でながら言った。

 

「私はイッセーを弟のように思ってます。モーリスだって、あなたを弟子と言っていますが、あなたを息子のように大切に思ってます。もう二度と、家族一人に無茶をさせるわけにはいきません」

 

リーシャは顔を上げると、優しい微笑みを浮かべていた。

 

だから、とリーシャは続ける。

 

「今度は皆で戦います。イッセー一人だけなんてことはさせません。…………もし、あなたが一人で行かなければならない、そんな時が来たら―――――」

 

リーシャは真っ直ぐな瞳で告げた。

 

「私達がイッセーの道を切り開きます。どこまでも狙い撃ってみせます。そのために私は強くなったのですから」

 

…………俺の、俺達の『姉』は優しすぎるようだ。

 

どこまでも狙い撃つ、か…………。

リーシャなら世界の果てまで狙い撃ちそうだ。

 

 

 

 

それから少し後。

俺とリーシャは施設の休憩所で休んでいた。

 

もう用事も済んだから帰っても良いんだけど…………。

 

「ふふふ、サリィとフィーナはよっぽどここが気に入ったようですね」

 

俺達がここにいるのはあの妖精二人組が戻ってくるのを待つためだ。

あの二人、施設のあちこちを見学して回っているようで、あと二時間ぐらいは帰ってこなさそうな雰囲気を出している。

 

流石に二人を置いていくわけにはいかず、俺達は待つことになった。

 

アザゼル先生に送ってもらっても良いんだけど…………。

 

あ、ダメだ。

あの人のことだから、色々と見せてしまいそうだ。

下手すりゃ、今日一日は先生の神器紹介が行われるかもしれない。

 

とりあえず、今、二人を案内してくれている研究員の人に任せるのが一番だな。

 

ふいにリーシャが言ってくる。

 

「先日、私を眷属に迎え入れたいと言っていましたね」

 

「え? あ、うん」

 

モーリスのおっさんに続いて勧誘したのがリーシャ。

 

リーシャも俺が眷属にしたいメンバーの一人だったんだ。

二人を勧誘した理由としては、もちろん実力もあるが、何より一緒に戦ってきた仲間というところが大きい。

 

それで、リーシャにも声をかけたんだが…………。

 

「私としてはイッセーの誘いは嬉しいですし、受けたいと思っています。ですが…………」

 

「魔法学校、だよね?」

 

「ええ」

 

リーシャは頷いた。

 

リーシャは新米の講師としてオーディリアの魔法学校で勤めている。

座学だけでなく、実戦訓練も見たりするそうだ。

 

「私はまだ新米のため、それほど多くの仕事を任せられているわけではありません。…………が、イッセーの眷属になるということは、こちらの世界に住むということ。そうなると、退職する必要があります。学園長――――母には話を通さなければいけません」

 

そりゃ、そうだよな。

仕事だし。

 

しかし、そうなると一つ気になることが出てくる。

 

「リーシャは先生を止めても良いの? 夢だったんだろ?」

 

「その点に関しては問題ありません。ソーナさんが開いたというレーティングゲームの学校、そこで講師にならないかというお誘いがありましたから」

 

マジでか。

いつの間にそんな話が…………。

 

リーシャは出されたお茶を飲みながら言う。

 

「私達の世界では魔法は当たり前のもの。そのため、講師の数は十分足りています。しかし、ソーナさんの話ではこちらの講師の数は不足しているとのことでした。それならば、私はこの世界で魔法を教えることもありかなと。―――――私は魔法の素晴らしさをもっと広めたい、そのために教師になりました。魔法は相手を傷つけるだけじゃなく、誰かを助けるための力になる。それを教えていきたいのですよ。魔法を行使して戦ってきた私が言うのもなんですが」

 

「やっぱり勧誘したのはソーナ?」

 

「そうですよ? ロスヴァイセさんも勧誘を受けているようで。上手く行けば同じ職場になりますね♪」

 

ウインクするリーシャ。

 

まぁ、その辺りはちゃんとリーシャのお母さんに話を通してからだな。

まずはそこからだ。

 

「おっさんも手続きがあるらしいし、一旦、三人で戻らないとな」

 

おっさんは騎士団長の引き継ぎ、リーシャは魔法学校の退職願い。

なんか、俺のために無理をさせてないか心配になるけど…………その辺りは今後、しっかり話し合っていこう。

悪魔に転生すれば、もう二度と戻れない。

 

リアスが俺にしてくれたように、二人にもしっかり考えて決めてもらおう。

 

すると、リーシャが思い出したように言った。

 

「全てが上手く行っていれば、こちらに戻ってくる時はイッセーを含めて四人…………いえ、五人になっているかもしれませんね」

 

「え、よ、四人? 五人?」

 

俺にモーリスのおっさん、リーシャ。

これで三人。

 

あとの二人って…………。

 

その時、俺の脳裏にとある二人が浮かび上がる。

 

 

――――――お兄さん♪

 

 

――――――イッセーさまは相変わらず変態ですね

 

 

あ、あれ…………?

なんだかものすごい波乱が起きそうな気がする…………。

 

リーシャに視線を戻すと、お姉さんは相変わらず優しい微笑みを浮かべていて、

 

「うふふ♪」

 

「あ、あはは…………」

 




リーシャ眷属入り…………仮決定!

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