ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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4話 進路相談します!?

数日後の朝。

朝食の席にて、母さんが俺に話しかけてきた。

 

「イッセー、明日は三者面談だけど、覚えてるの?」

 

「あー、そういや、明日だっけか」

 

明日は進路についてと三者面談が行われる。

 

母さんは呆れたような声で言った。

 

「もう、忘れてたわね? しっかりしてちょうだい」

 

うん、完全に忘れてました。

というか、俺の進路とかほとんど決まってるようなものでしょ。

まぁ、それは悪魔としての進路なんだけど。

 

母さんが美羽とアーシアに笑顔で言う。

 

「美羽とアーシアちゃんも私が対応するからね」

 

「うん。中学の時もそうだったね」

 

「はい、よろしくお願いします、お母さん」

 

頷く美羽と微笑むアーシア。

 

ゼノヴィアが茶碗を置く。

 

「進路相談か。来るとしたら、うちはシスター・グリゼルダだが…………忙しそうだし、期待はしないでおこう」

 

イリナも進路相談には思うところがあるようで、首を捻っていた。

 

「うちは…………パパもママもあっちにいるし、やっぱり、ゼノヴィア同様にシスター・グリゼルダが対応してくれるのかしら?」

 

レイナが続く。

 

「私はシェムハザさまに頼んでいるわ。と言っても担任の先生には私達の正体バレてるから、かなり気が楽なんだけど」

 

そうだよね…………。

三者面談は当人である俺達生徒、保護者、そして担任の三名で行われる。

うちの担任である坂田先生は俺達のことを知っている…………というか、俺のお得意様になっちまった。

 

正直、今回の面談で話すことってそこまで深くならないような気がする…………。

 

ちなみにアリスも三者面談はある。

そして、アリスの保護者としていくのは―――――。

 

「アリスは私が行きます。姉みたいなものですし」

 

「おっと、俺も行くぜ」

 

と、朗らかに言うのはリーシャとモーリスのおっさんだった。

そう、アリスの保護者として行くのはこの二人。

 

アリスが叫ぶ。

 

「なんで二人なのよ!? リーシャだけで良くない!?」

 

「あん? 何か聞かれちゃ不味いことでもあるのかよ?」

 

「そうじゃないわよ! 私、真面目だし!」

 

「だったら問題ないだろ。…………俺はなぁ、亡き国王陛下からおまえ達のことを託されちまった。それに、俺はおまえがこーんな小さい時から見ているから、もう娘みたいなものさ。だからこそ、親父としておまえの話を聞きに行くぜ!」

 

おおっ、おっさんが何か感動的な雰囲気を醸し出してる。

リーシャもハンカチを目元にあて、感涙しているようなしぐさを見せた。

 

しかし…………。

 

「嘘でしょ! あんた達、暇なだけでしょ!?」

 

「「あら、バレた」」

 

「あんた達ぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

うん、やっぱりこのメンバーは朝から賑やかだわ。

いつも以上に朝食が捗らないな。

 

ロセが言う。

 

「私はまだクラス担任を任されていませんが、資料集めなどでご協力させてもらっています。何はともあれ、進路は大事です。親御さんと相談しながら、自分の力に合った道を選択することが何よりも重要です」

 

うん、ロセが言うと重みがあるな。

ヴァルキリー時代、才能がありながら、芽が出ずにいた魔法の才女。

オーディンのじいさんのお付きになっても、能力全ては発揮できなかった。

リアスの眷属になって、ようやく才知が活かされ、開花した。

 

ロセもここまで来るのに色々なものを見てきたんだろうな。

 

母さんがリアスと朱乃に言う。

 

「リアスさんと朱乃さんはもう卒業を待つだけだものね。進路が決まっている分、春までゆっくりできそうよね」

 

「そうだと良いのですが、準備もありますので中々ゆっくり出来ませんわ」

 

「うふふ、華の女子大生ですので」

 

「そうね。大学生だものね。高校とはまた違うでしょうし、準備は大切だわ」

 

母さんの言葉にリアスも朱乃も微笑む。

 

大学…………キャンパスライフというやつだ。

俺も高校卒業後は大学に行くつもりなので、来年の今頃になれば、リアス達と同じ感じなのかな?

 

ゼノヴィアが小猫ちゃんに問う。

 

「小猫のところはどうなんだ?」

 

「…………私のところは」

 

そう言いかけたところで黒歌が会話に乱入する。

 

「私が行くわ♪ お姉ちゃんだもん」

 

「…………来なくて良いと言ったのですが、どうやら来る気まんまんでして」

 

半目で息を吐く小猫ちゃん。

 

黒歌はそんな小猫ちゃんの頭を撫でながら言う。

 

「つれないにゃん。任せておきなさいよ、私が『うちの子をどうぞよろしくお願いします♪』って誘惑してあげるにゃ。内申書も安泰ね」

 

うっ…………それは…………!

俺が担任だったら絶対に誘惑されてしまう!

黒歌の色気に釣られてしまう!

 

小猫ちゃんの内申を上げてしまうだろう!

 

あれ、でも、小猫ちゃんの担任って…………。

 

「…………うちのクラス、担任の先生は女性ですけど」

 

「ありゃりゃ、それは困ったにゃん」

 

言葉と裏腹に黒歌は特に困った顔もせずに玉子焼きを口に放り込む。

 

小猫ちゃんもああは言ってるけど、なんだかんだで嬉しそうだな。

姉妹の関係が以前のように戻ってきているということなのだろう。

 

小猫ちゃんはレイヴェルに話を振る。

 

「レイヴェルは?」

 

「私は一番上の兄が来ますわ。お父さまとお母さまは…………今は忙しいので」

 

言葉を濁すレイヴェル。

 

ライザーの無事はまだ家族には伝えていないようだ。

いや、俺がそうするように言ったせいだな。

ティアの話から、ライザーの件はそう簡単に話して良いものじゃない。

 

心苦しくはあるが、レイヴェルにはまだ黙ってもらっている。

 

ふぅと息を吐くリアスは在校生たる俺達を見渡して総括するように言った。

 

「色々と考え込むことも多いでしょうけど、進路相談はとても大事なことよ。他のことは自由登校でやることもない私と朱乃が受け持つから、あなた達は学校での生活と将来のことを考えなさい。いいわね?」

 

 

 

 

翌日の放課後。

その日は予定通り進路についての相談、三者面談が行われる。

生徒は順番が回ってくるまで学内で待機。

部活がある者は、時間まで部活動をしても良しということになっている。

 

とうの俺達は旧校舎の部室で各自、時間が来るまで待機中だった。

各部員の親御さんも旧校舎に集合ということになっており、順番が来るまで部室で待つことになっている。

 

他愛のない会話をしていると、部屋に部室の入ってくる者がいた。

 

それは―――――。

 

「これは皆さん、こんにちは。やぁ、イリナちゃん」

 

「パパ!? 来てくれたの!?」

 

素頓狂な声を出すイリナ。

父親の登場に仰天していた。

 

トウジさんはイギリスにいるはずだが…………。

イリナも父親に代わってグリゼルダさんが来るものと考えていたみたいだし。

 

トウジさんは朗らかに笑う。

 

「ハハハ、当然だろう。可愛い娘の将来の相談事だよ? お仕事サボって来日しちゃったよ!」

 

それはダメだろう!?

なにサボってるんですか!

どんだけ娘ラブなの、この人!?

 

「ミカエルさまかお怒りになられるわよ!?」

 

ぷんすか可愛く怒るイリナだが…………。

ミカエルさん的には全然許してくれると思う。

あの人、その辺りは寛大というか…………ゆるいというか…………。

 

娘に怒られたトウジさんは笑って誤魔化す。

 

「冗談さ。実は日本にちょっとした用事があったから、こちらにも寄ることができたんだよ。いやしかし、天使な娘の怒った顔も可愛いものだ、うんうん」

 

相変わらずだな、この人。

らしいと言えばそうだが、なんとも微笑ましい父娘なことで。

 

ふいにトウジさんが俺に近づいて、耳打ちしてきた。

 

(ところでイッセーくん)

 

(はい?)

 

(あれは………使ってくれたかな? どうだった?)

 

なんともいやらしい顔つき。

 

うん、これは十中八九あの部屋のことだよね!

天界が開発した天使と異種族がエッチできるあの部屋!

 

(あ、あ………なんていうか…………)

 

正直に言うと…………使ってます!

 

だって、誘ってくるんだもの!

美少女に誘われたら、ルパンダイブしちゃいますよ!

据え膳食わねば男の恥ってね!

 

ただね、一つ言いたい。

 

俺がトイレに行きたいときに、トイレの扉にあのドアノブを設置するのはやめてくれませんか!?

 

自室に戻ろうとした時や、悪魔の仕事で疲れている時、それはまだ良い!

俺が頑張れば良いだけの話だから!

 

でも、トイレだけはマジで勘弁してください!

これ、心からの叫び!

 

ちなみにあの部屋だが、イリナ、ゼノヴィア、アーシアとローテーションで使ってくる。

最近じゃ朱乃や黒歌が貸してくれとせがんでいるようだ。

 

あと、これは小耳に挟んだことなんだが…………レイナが専用の部屋を先生に相談したとのことだ。

つまり、レイナ専用のドアノブを求めているわけで…………。

 

俺、もつかな…………?

 

ま、まぁ、そういうわけで、あの部屋は使っている。

でも、それを親に報告するのは座する恥ずかしい!

 

(孫、期待しているからね!)

 

などと背中をポンと叩かれる俺。

 

…………周囲の大人達からの孫欲しいアピールが凄まじい。

アザゼル先生に関しちゃ、種族の命運まで託してくる始末だ!

あの人は楽しんでるだけだけどな!

 

「ちょっと、パパ! イッセーくんと何を話しているの?」

 

「ハハハ、あの部屋の具合を聞いていたんだよ!」

 

「も、もう! 娘と幼馴染みの前でそんなことを話題にしないでちょうだい!」

 

一層ぷんすか怒るイリナだが…………。

 

イリナって、結構エッチなんだよね。

天使なのにそれで良いのかって程に。

ま、まぁ、あの部屋のせいということにしておこう。

 

イリナの賑やかな父娘の会話を見ていたゼノヴィアが楽しそうにしていた。

 

「ふふふ、イリナのところは相変わらずだね」

 

無事、生徒会長に就任したゼノヴィアだが、当然、オカルト研究部に顔を出す機会は少なくなった。

だけど、仕事がなかったり、少ないときは部室を訪れてゆっくりしていくことがある。

 

今日は進路相談のためか、生徒会長の仕事を早めに切り上げて待機室でもあるここで順番を待っていた。

 

「ゼノヴィアはグリゼルダさんが来るんだろ?」

 

「ああ。だが、シスターも忙しい身の上だ。今日は私一人で―――――」

 

ゼノヴィアが言いかけた時、部室の扉が開いた。

入室してきたのはグリゼルダさんだった!

なんてタイミングの良さ!

 

「一人で、何でしょうか? ごきげんよう、ゼノヴィア」

 

「シ、シシシ、シスター・グリゼルダ!? ………来てくれたのか」

 

「当たり前でしょう。あなたの保護者なんて私ぐらいでしょうし。さぁ、三者面談の確認をしましょう」

 

言うなり、グリゼルダさんはゼノヴィアの腕を引いてソファの方へ連れていく。

…………連行されたな、ゼノヴィア。

 

「わ、私は別に確認するようなことなどないぞ? 将来のことは大体決まっている」

 

「その大体が心配なのです。あなたの大体は大雑把過ぎて要領を得ない事柄ばかりですから。いいから、こっちに来なさい」

 

有無を言わさぬ迫力………!

笑顔によるプレッシャーか!

 

これには流石のゼノヴィアも冷や汗を流して、

 

「うぅ…………シスターには敵わないな…………」

 

あっさり折れてしまった。

やはり姉には勝てないようで…………。

 

ここで、ふと気になったことがある。

俺は木場とギャスパーに訊いた。

 

「木場とギャスパーって誰が来るんだ? 木場は沖田さんとか?」

 

「師匠は忙しいからね。僕のところは毎年グレモリー家から、それらしい見た目の使用人の方がいらっしゃるよ。ギャスパーくんも同じだったよね?」

 

「はい」

 

なるほど。

グレモリー家には多くの使用人が雇われているから、木場やギャスパーの身内に見える人もいるかな?

 

コンコンと扉がノックされる。

 

「あの…………ここでいいのかしら?」

 

現れたのは母さんだった。

 

 

 

 

待つこと暫く。

三者面談が俺の番に回ってきた。

 

アーシア、美羽が先に面談を済ませ、美羽と交代する形で俺が入室する。

 

教室に入ると母さんと担任の坂田先生。

 

…………いつものように眼鏡も白衣も全てをだらしなく身に付けた、白髪天然パーマの坂田先生。

死んだ魚のような目も相変わらずだ。

 

「…………三者面談ですよね?」

 

「そーだよ。お見合いに見えますか、コノヤロー」

 

「お見合いにも見えねーよ、コノヤロー! 平常運転ですか!?」

 

「んなもん、一々取り繕ってられっかよ。めんどくせーよ。何がめんどくせーって…………あー、考えるのもめんどくせーよ」

 

「どんだけめんどくさいんですか!?」

 

ダメだ!

まともな三者面談じゃないよ、これ!?

 

母さんも何か言ってよ!

 

俺が目で訴えかけると、母さんは…………。

 

「これくらいフランクな方が話しやすくて良いんじゃない?」

 

「フランク過ぎるだろ!」

 

母さん、悪魔だ神だと交流を持ってから色々と毒されてませんか!?

もしそうだとしても、他の保護者は何も言わなかったのかよ!?

 

PTAから苦情来るぞ!

 

「来ねーよ。この世界はご都合主義でできてんだよ」

 

「なんつーこと言ってるんですか! つーか、あんたも心の声読むのやめてくれません!? 流行ってるんですか!?」

 

「知らね」

 

俺は床に両手をついた。

 

…………なんという教師だ。

普段から授業中にジャンプ読んでるし、テスト監督中も寝てるしで、それは分かっていたが…………!

 

アザゼル先生と仲が良いはずだよ!

 

「早く座れよ兵藤兄。俺は早く終わらせたいのよ、これ。早く帰らねーと、ラピュタ始まっちまうだろーが」

 

「…………はぁ」

 

俺は盛大なため息と共に着席。

 

やる気を全く感じられない担任を前にして俺の進路相談が始まる。

とりあえずは学校での俺の態度や成績について触れていくが…………。

 

「授業中、ツッコミ禁止な。志村だけで足りてるから。で、成績は―――――」

 

「他に言うことあるだろ!?」

 

「あー、そうそう。おまえ、苦情来てるぞ。主に男子から」

 

「へ? 男子から? 女子じゃなくて?」

 

エロトークとかしてるから、てっきり女子からだと思ってた。

でも、覗きに関してはきっぱり止めたし…………。

 

だって、美羽達がいるし!

俺は俺のお嫁さん達を大切にすると決めたのだ!

そういうわけで、覗きはしておりません!

学校にもエログッズは持ってきてません!

エロトークだけで済ませてます!

 

で、問題の男子からの苦情だが…………。

 

先生がプリントに書かれたことを読み上げていく。

 

「『妹とイチャイチャしすぎ』、『アーシアちゃんを返せ』、『レイナさんに膝枕してもらっていた。マジでむかつく』、『リアスお姉さまと腕組んでた。呪ってやる』…………」

 

「苦情ってそっちですか!?」

 

「ああ。まだある。一つ一つ聞いてたらきりがないから、苦情箱を設けたんだが…………」

 

「そんなのあったの!?」

 

「学園の男子ほぼ全員から苦情がきた」

 

「んなっ!?」

 

な、なんてこった…………!

学園の男子ほぼ全員から…………だと!?

普段は何気なく話している奴らが俺への不満を学校にぶつけているというのか…………!?

 

どこまで勢力を伸ばしているんだ、委員会!

 

先生は続ける。

 

「女子からの苦情もあるが…………『兄×妹、禁断の愛の話を聞きたい』、『木場きゅんとの関係が知りたい』だと」

 

「それ苦情なの!? リクエストの間違いじゃないの!?」

 

あと、俺と美羽は義兄妹なので禁断じゃないし!

イチャイチャしても問題ないし!

 

俺が言うのも何だけど…………おかしいよ、この学校の生徒!

俺と木場に何を求めてるの!?

 

次々と明かされる俺への苦情(?)に母さんは…………。

 

「イッセー、学校でもベッタリなのね。まぁ、予想はしてたけど。…………孫は近い」

 

あぁ…………もうイヤ…………。

三者面談早く終わらないかな…………。

帰って美羽に抱きつきたい、モフモフしたい…………。

 

そんなこんなで話は続き、ようやく俺の進路について話し合われる。

 

「兵藤兄の希望進路先はっと…………うちの大学部か」

 

「はい」

 

俺としても大学は出ておきたいと思っている。

せっかく大学部もある駒王学園に入ったし、エスカレーター式で行けるなら行きたいとも思っていた。

駒王学園の大学もレベルが高い大学なので、他に行こうとも思わない。

それに悪魔稼業のことを考えるとここの大学部に進学した方が何かと都合が良い。

 

これについては美羽、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、レイナ、木場、アリスとオカ研部員の二年全員が同じ考えを持っている。

 

それから、桐生と松田、元浜も駒王学園の大学部を目指すようだ。

 

つまり、普段からつるんでいるメンツが大学部でも揃うことになる。

 

「成績的には問題ないし、何とかなるんじゃね? ぶっちゃけ、勉強なんざ本人のやる気次第だろ」

 

まぁ、ごもっとも何だけど…………。

それを保護者の前で言うこの人は本当に教師なんだろうか…………。

 

「それで大学卒業後は…………まぁ、グレモリーのところで働くんだろうけど…………。具体的には決まってるのか?」

 

「ええ、大体ですけど…………。この先、俺はグレモリーの領地を任せられる予定なんで、今からそれに向かって勉強はしておこうかな、と。経営とか流通とか」

 

「経営? なんだ、経済学部に入るのか?」

 

「そのつもりです。今の冥界は人間界に倣っているので、その辺りも色々と共通点が多いんです。専門の人に任せることも出来るんですけど、やっぱり任される以上、自分でも分かるようにしておきたいんです」

 

俺の返事に先生は「なるほど」と頷きながらペンを走らせていく。

隣では母さんがどこか感心するような表情でこちらを見てきていた。

 

「そこまで考えてたのね」

 

「まぁね。大学も今までは何となくって感じだったけど、行かせてもらえるなら、何か目的を持とうかなって。もっと今の時間を大切にしようと思うんだ」

 

悪魔になりたてのころは「目指せハーレム王!」ってノリで上級悪魔を目指してたけど、こうしていざなってみると勉強することが多いんだよね。

いつかサーゼクスさんが言ってたように様々な特権が与えられる分、負わなければならない義務や責任が多くなる。

実際に領地を任せられるのはまだ先だけど、だからこそ、今のうちに勉強しておきたい。

 

今更だけど…………俺って目標達成したよね?

ハーレム王…………。

あんな可愛いお嫁さん達もらえることになったし…………。

 

ま、まぁ、半ば美羽の手で進められてるところもあるけど。

 

先生が言う。

 

「やりたい事が決まっているなら、それで良い。ダラダラ大学行くなんざ、時間の無駄だが、ちゃんとした目的、目標があるなら何とかなるだろう。悪魔のことに関しちゃ良く分からんけど、そういうことなら、俺も面倒を見れるってもんだ。とりあえず、学校側には進学後『グレモリー内定枠』での就職を志望してるってことで出しとくわ」

 

「お願いします」

 

グレモリー内定枠、ね。

そうなるとオカルト研究部の面々はほとんどがそうなるんだろうな。

 

シトリーもそういうのがあるんだろうか…………?

リアスとソーナの家はお金持ちという認識されているし。

 

俺の進路についての話し合いが終わり、そろそろこの三者面談も終わるかと思われた時。

先生はため息を吐きながら言ってきた。

 

「なぁ、兵藤兄」

 

「はい?」

 

「少し聞きたいんだけどよ…………天然パーマって魔力で治らないの?」

 

「は?」

 

天然パーマ?

それが俺の進路相談にいったい何の関係が…………。

 

ふいに俺の視線が先生の頭へと向けられる。

目に映るのはクリンクリンの天然パーマ。

 

「治しても治してもすぐもとに戻るんだよ。もう面倒ったらありゃしねぇ。そこで、相談なんだが…………なんか良いもんない? 速効で天パが治る方法!」

 

「あんたの相談かいぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

俺の三者面談はツッコミで始まり、ツッコミで終わった。




さんねーん…………Z組ぃぃぃぃぃぃぃ!

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