ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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いよいよレーティングゲームの闇が…………!


8話 魔王ベルゼブブとの邂逅

アジュカさんとの邂逅の日。

 

今日は休日で、時間までにはまだまだ時間があるため、俺達は各自で過ごしていた。

この後、互いに準備を済ませてから兵藤家地下にある転移魔法陣の部屋からアジュカさんの指定した場所に転移する予定になっている。

 

喉が渇いた俺はお茶でも飲もうかと、リビングに入った時だった。

ソファで釣り竿を磨いている父さんから話しかけられた。

 

「おう、イッセー。これから釣りにいかないか? 父と息子で親子水入らずってやつだ」

 

ニッコリと笑顔でそう誘ってくれる父さん。

 

父と息子の親子水入らず、か。

そういや、久しく父さんと釣りに行ってないな。

 

最後に行ったのは…………美羽がこちらに来てからすぐのこと。

美羽に色々なことを経験させてあげようと、俺と父さん、母さんの三人でプランを立てたんだが、その内の一つに釣りがあったんだ。

だから、最後に行ったのは中三の夏のことになる。

 

しかし、流石にそこまでの時間は俺にはない。

今からアジュカさんと大事な話がある。

『D×D』メンバーであり、眷属を率いる身となった俺が抜けるわけにはいかない。

 

俺は後頭部をかきながら、申し訳ない気持ちで言った。

 

「悪い、これから魔王さまとお話があるんだ。結構大事な話でさ、俺が行かないわけにはいかないんだ」

 

「………そうか。そうだな。今や社会人の俺よりも忙しい身だしな。たまには息抜きにいいんじゃないかと思ったんだが…………すまん」

 

少しだけ寂しそうな表情を浮かべる父さん。

 

俺は慌てて首を振った。

 

「いやいや、父さんが謝ることないって。こっちこそ、誘ってくれたのにごめん」

 

「いいさ。また今度行けばいいしな! あ、いっそのこと、家族全員で行くか! 二人だけってのもあれだしな」

 

「うん。また時間がある日は言うよ。その時に一緒に行こう」

 

「わかった。魔王さまによろしくな」

 

魔王さまによろしくって…………。

父さんもかなり逞しくなったというか…………。

 

父さんに断りを入れたところで、母さんが近寄ってきた。

 

「お父さんも最近はあんたとの会話が減ってたから、寂しいのよ。まぁ、高校生にもなって親子でってのはあまりないと思うんだけど。でもね、たまには父と息子、男同士で話したいこともあるのよ。私が美羽達と話すみたいにね」

 

「………そう、だよな」

 

「でも、あんたにはあんたの事情がある。今日のところは私がお父さんに付き合うから、そっちは用事を済ませてきなさい」

 

コップを手に取った俺に母さんは続ける。

 

「忙しいのも分かるけど、時間がある時で良いから、お父さんの相手をしてあげてね? あれでも結構寂しがりだから」

 

 

 

 

時間が来た。

 

地下室に集まったのは俺達赤龍帝眷属、グレモリー眷属、シトリー眷属、グリゼルダさんにアザゼル先生だ。

 

デュリオは天界の警備、幾瀬さんは別の任務でここにはいない。

ヴァーリチームも来ておらず、黒歌とルフェイはそちらに収集されており、この二人も今は外出中だ。

 

食いしん坊英雄ことディルムッドはお留守番、我が家のマスコットであるオーフィスはさっき、リビングでミカンを食べていたが、後で卵を見に行くそうだ。

 

新しく赤龍帝眷属に加わったメンバー、俺の『戦車』になってくれたモーリスのおっさんが訊いてくる。

 

「今更だが、俺達も行って良いのかよ? 悪魔としてはペーペーだぜ?」

 

「俺の眷属になるってことは『D×D』メンバーに組み込まれるってことだしな。おっさん達も『D×D』メンバーである以上は話を聞いておいた方が良い」

 

「とりあえず冥界の事情だの、この世界の現状だのは頭に入れてるが………。いきなり魔王に挨拶とか緊張するじゃねぇか」

 

「ウソつけ! 鼻ほじってる姿のどこが緊張してるんだよ!? 調べてこい! 緊張って文字の意味調べてこい! つーか、めんどくさいだけだろ!?」

 

「お、流石は我が弟子。分かってるじゃねぇか。どちらかと言うと俺も釣りに行きたかった」

 

「おいおい! やっぱり、アリスのサボり癖はあんたのせいか!」

 

俺がそんなツッコミを入れていると、アリスが言ってきた。

 

「そう! そうなのよ! だから、私は悪くないもーん」

 

「だまらっしゃい! お仕置きするぞ!?」

 

「お仕置き? お兄さんのお仕置きってどんなの? 私、受けてみたい!」

 

「ニーナちゃん、そんなことに興味持っちゃいけません!」

 

「えー………。まぁ、いっか。………うふふ♪ ベッドの上でのお兄さんってすっごく優しく見えるよね。いつも優しいんだけど♪」

 

ちょ、ニーナちゃん!? 

それダメ! 

 

ここには――――。

 

「………ニーナさま、それは初耳でございます。………イッセーさま、いつ、どこでニーナさまをその毒牙にかけたのですか? そのあたり、詳しくお聞かせ願います」

 

ほら、ワルキュリアが入ってきたよ!

ものすごい眼光でこっちを見てくるぅぅぅぅ!

眷属が主に向ける目じゃないよ!

敵を見る目だよ!

 

「ちょ、おち、落ち着いて! 落ち着いてください! あのワルキュリアさん…………その手のナイフはいったい…………?」

 

「ニーナさまの純潔まで奪われたのです。その節操なき得物を刈り取ろうかと」

 

「去勢する気か!?」

 

「ちなみに、私の時はお姉ちゃんも一緒だったよ♪」

 

「ニーナちゃんんんんんん! 広げないで! ほら! ワルキュリアさんが鎖分銅振り回してるから!」

 

「イッセーさま、ご覚悟を。その貧相なモノにお別れを」

 

ひいいいいいいい!

去勢されるぅぅぅぅぅぅ!

ワルキュリアが俺の愚息を刈り取りに来ているぅぅぅぅぅ!

 

すると、ゼノヴィアとイリナがワルキュリアの前に立った!

おおっ、助けてくれるのか!

 

「待て! 今、刈り取られたら私が困る! それに一つ言っておくが、イッセーのモノは貧相ではない! 聖剣だったぞ!」

 

「いいえ! どちらかと言うと、あれは魔剣よ、ゼノヴィア!」

 

「おまえら、そういうこと言うの止めてくんない!?」

 

このおバカ!

こいつら、後でお仕置き決定!

 

「くの一プレイというものをしてみたいのだが」

 

「勝手に心読んでリクエストしないでくれますかね!?」

 

そーですか、ゼノヴィアはくの一プレイをお望みですか!

なんつー場所でリクエストしてんだ、このやろう!

 

…………一応、考えとくよ!

 

「ゼノヴィア………あなたって子は…………!」

 

「あ………待ってくれ、シスター! これには…………」

 

「待ちません! 後でお説教です!」

 

あ、ゼノヴィアがグリゼルダさんに連行された。

顔の形が変わるくらいに頬を引っ張られてる…………。

美少女の顔が無惨なことに…………。

 

あの人が俺の義姉になるのか…………。

ゼノヴィア限定だと思うけど、容赦ないよね。

 

「うふふ、イッセーと一緒だと賑やかで楽しいですね」

 

微笑みながら俺達を見守るリーシャ。

 

うん………眷属増えたら賑やかさも倍増したよ。

ツッコミの量もね。

 

先生が半目で深くため息を吐いた。

 

「あのよ………今から魔王に会いに行く空気じゃないんだが? おまえの眷属はあれか、総出でシリアスを壊しにかからないと気がすまないのか? シリアスブレイカー症候群にでもかかってるのか? つーか、シリアスブレイカー症候群ってなんだよ」

 

「知りませんよ! 先生がつけたんでしょ!? とりあえず、ごめんなさい! うちの眷属が賑やかすぎてごめんなさい!」

 

シリアスな空気になるはずが、それをぶち壊してしまった俺達。

この空気のまま、俺達はアジュカさんの待つポイントに転移するのだった…………。

 

 

 

 

転移の光に包まれた俺達が次に立っていたのは―――――砂浜の上だった。

 

目の前には広大な海が広がり、穏やかな波の音が周囲にこだましている。

空は暗く、夜であることが分かる。

 

冥界には海はない。

巨大な湖はあるそうだから、これは湖…………?

しかし、空の模様が冥界とは異なる。

 

となると、ここは人間界…………?

 

そう考えた俺だったが、その考えはすぐに否定された。

理由は空に浮かぶ月だ。

 

「月が………二つ?」

 

そう、この空に浮かぶ月は二つ。

となると、ここは人間界でもない。

地球から見える月は一つしかないのだから。

 

皆が冥界でも人間界でもないことに気づいて周囲に視線を配らせた。

その時だった。

 

「―――――ここは『異世界』とされる別次元の世界の一部を再現したフィールドだ」

 

ふいに声をかけられた。

 

声のした方向に目を送ると、砂浜の一角に椅子があり、そこに座る一組の男女がいた。

一人は妖艶な雰囲気を持つ男性―――――現魔王ベルゼブブ、アジュカさん。

そして、もう一人は長く綺麗な青髪を持つ美女、ティアだった。

 

ティアがこちらに手を振る。

 

「来たか。久しぶりだな、イッセー」

 

「久しぶり………ってほど時間空いてないけどね。この間の通信以来か」

 

アジュカさんは読んでいた本を閉じて挨拶をくれる。

 

「久しぶりだ、グレモリー眷属の諸君。………いや、今は『D×D』だったな」

 

一歩前に出たアザゼル先生は立ち上がったアジュカさんに手を差し出して握手を求める。

 

「冥界でちょっと会って以来か」

 

アジュカさんは先生の手を取ると小さく笑みを作った。

 

「こうやって他のVIP抜きに会うのは初めてかもしれませんね、アザゼル元総督殿」

 

「って言うよりは、この対面は用意されたと思った方が良いんだろう?」

 

「我々の会合は各勢力でも危険視するでしょうからね。たとえ、間にチーム『D×D』が入ろうとも」

 

苦笑するアジュカさん。

 

そのアジュカさんの目が先生から俺へと移る。

 

「やぁ、兵藤一誠くん。この間の冥府調査の件、ごくろうだったね」

 

「いえ、これも俺の役目ですから…………。あまり良い報告はできませんでしたけど」

 

「いやいや。冥府を蹂躙するほどの相手だ。仕方ないだろう。それよりもよく生きて帰ってきてくれた。君の戦力は既に冥界にとって必要不可欠なものだ。ここで失うのは大きすぎる」

 

朗らかに笑うアジュカさん。

 

優しげな笑みだが、その瞳は俺を、俺の内側を探るようなもので…………。

この人は全ての現象を数式、方程式で操りきる絶技を有すると言われている。

サーゼクスさんと並ぶ『超越者』の一人。

 

異例と言われる俺の力に興味を持っているのかもしれないな。

…………その力の源がおっぱいで申し訳なく思うけど。

 

「新たに眷属を増やしたそうだね」

 

「ええ。彼らです」

 

俺は後ろに立っているモーリスのおっさん達を紹介する。

モーリスのおっさんが前に出た。

 

「なるほど…………。話には聞いていたが随分若いな、こっちの魔王は。だが、それだけの力を持ってるってことか。あまり相手にしたくない類いだ」

 

「改めて名乗ろう。俺はアジュカ。魔王の一人をやらせてもらっている。………ふふ、異世界人か。実に興味深い。先日の教会との一件の資料と録画データ見せてもらった。人間の身でありながら、あれほどの力を有しているのはそういない。この世界とそちらの世界では『人間』の在り方が違うのかもしれないが」

 

興味深そうにおっさんを見るアジュカさんだが………。

 

すいません、あれはおっさんが異常なだけなんです。

確かに向こうの世界では魔法とかが一般にも普及していて、違う点も多いけど…………。

その中でもおっさんは異常過ぎるんで、あまり過剰な期待はしないでください。

 

アジュカさんがおっさんに問う。

 

「異世界人たるあなた達から見てこのフィールドはどうだろうか?」

 

「どうって言われてもな…………。俺達のいた世界にこんな場所あったか?」

 

おっさんがリーシャ達に話を振る。

 

リーシャは首を傾げながら答えた。

 

「いえ…………。私には心当たりありませんが………」

 

「私も。というより、私って基本、城にいたから、アスト・アーデの全てを知ってる訳じゃないんだよね」

 

「私もです」

 

リーシャに続き、ニーナ、ワルキュリアがそう答える。

 

俺もこんな場所は見た記憶がない。

そもそも、向こうの世界も月は一つだ。

 

すると、アジュカさんは意味深な笑みを浮かべて、

 

「なるほど。そうなると、やはり俺の推測は当たっているか」

 

何か面白いことを見つけたような表情を浮かべるアジュカさん。

 

推測…………?

彼の発言に疑問符を浮かべる『D×D』メンバーだったが、一人、アジュカさんの前に立つ者がいた。

 

レイヴェルだ。

 

「アジュカさま。その…………兄は?」

 

そういえば、ライザーの姿が何処にもないな。

てっきり、この場で会えると思っていたんだが…………。

 

「ライザー・フェニックスは一足先にフェニックス本家に運ばせた。本来ならば、ここで君に会わせるか、君をフェニックス本家に向かわせるべきなのだろうが…………。君は『D×D』メンバーだが、彼はそうでない。今から話す内容は立場的に『D×D』たる君達にしか聞かせられないのだよ」

 

「いえ、ありがとうございます。兄が無事であれば、それで…………」

 

胸を撫で下ろすレイヴェル。

ここでライザーの顔を見ることが出来ないのは残念だが、魔王の言葉を聞いて安心しているようだった。

 

先生が追加情報をくれる。

 

「実はな、うちのエージェント―――――刃狗(スラッシュ・ドッグ)のチームがライザーの護衛をしている。何があるか分からんからな」

 

なるほど。

幾瀬さんの任務というのはライザーの護衛だったのか。

 

しかし、グリゴリでも最上位のエージェントである幾瀬さんのチームが派遣されるって…………。

今回の件、ライザーはそれだけ重要だということか?

 

………もし、レイヴェルがライザーと一緒にゲームに出ていたらどうなっていたんだろうな。

その時、俺は気が気でないと思うが…………。

 

ふと俺はアジュカさんの隣に立つティアに視線を向けた。

 

「そういや、ティアは今回の件の全てを知ってるんだよな? 口止めされてるって言ってたけど、もしかして…………」

 

俺がそう訊ねると、ティアはアジュカさんの方を向く。

アジュカさんは苦笑すると、一つ頷いた。

 

それが許可の合図だったのだろう。

ティアは口を開く。

 

「そうだ。以前にも言ったことがあるが、私はアジュカの手伝いをしている。その一つが―――――レーティングゲームの裏の審判者だ」

 

「なっ!?」

 

予想を越えたティアの発言にこの場のほとんどの者が目を見開いた。

この世界に来て日が浅いモーリスのおっさん達はともかく、アザゼル先生は顎に手を当てて「なるほどな」と頷いているが…………。

 

ティアは続ける。

 

「本来ならば、この事は教えることができないのだが、今回は事情が事情だからな。レーティングゲームの公式戦及び特別試合にて、運営側が想定したものよりも逸脱した事態が起きた場合、それに合った緊急処置がとられるのは知っているな?」

 

「ああ。大体はプレイヤーの強制転移で済ませるって話だけど…………」

 

「その通り。しかし、それが何らかの形で叶わない場合、特例の審判者が試合に介入し、それに対処することになっている。そして、この役を担うのが私ということだ」

 

アジュカさんがティアに続く。

 

「彼女には百五十年ほど前より、その任に着いてもらっている。この事態のケースは極めて稀有でね。過去に二度しか起こっていないのだよ。…………少し思い出したんだが、ティアマット」

 

「なんだ?」

 

「以前、誰にも仕える気がないと言っていたが…………あの話はどうなったのかな? 赤龍帝くんとは使い魔の契約をしているようだが」

 

マジでか…………。

ティアって誰にも仕える気がなかったのね。

使い魔契約を結ぶ際に実力テストがあったけど、今思えば、よくあれだけで使い魔になってくれたと思うよ。

五体しかいない龍王の一角だもんな。

 

アジュカさんの言葉にティアは―――――。

 

「し、しょんなこといったか!? き、記憶にないにゃ…………っ」

 

顔を真っ赤にして、滅茶苦茶噛んでるぅぅぅぅぅ!

 

え、なに…………恥ずかしがってるの!?

かなり挙動不審になってますけど!?

 

と、ここで、俺の側にイグニス姉さんが実体化する。

そして―――――。

 

「仕えるどころか、初めてもあげたもんね♪」

 

「うぉい!? なに、暴露してくれてんの!?」

 

「は、はわわわわわ! ば、バラすなぁぁぁぁぁぁ!」

 

ティア姉が駄女神の口を塞ぎにかかる!

しかし、イグニスはそれを華麗にかわす!

 

「もう、ティアちゃんったら、照れちゃって♪ かーわーいーいー♪ ティアちゃんってね、こう見えて、すっごくエッチなのよ? あの時はイッセーの―――――」

 

「うわぁぁぁぁぁ! や、ヤメロォォォォォォォ!」

 

半分泣きながらイグニスを追いかけるティア。

 

…………ティアってあんなキャラだったかな?

頼れる凛としたお姉さんが、どんどん可愛くなっているような気がする…………。

キャラが崩壊しているような…………。

可愛いけど。

 

アジュカさんが呟く。

 

「…………彼女も変わったな」

 

「す、すいません。た、多分、うちの雰囲気に毒されたんだと思います…………」

 

「気にすることはない。もしかしたら、あの姿こそが本来の彼女だったりするかもしれない、なんて思っているよ。君と出会ってからは楽しそうだからね」

 

アジュカさんが微笑ましい視線を向ける先では、未だにおいかけっこをしているお姉さん二人。

 

うん…………確かに楽しそうだよ。

ティア姉、半分泣いてるけど。

 

あ、追いかけてたはずのティアがイグニスに捕まった。

 

「うっふっふ~♪ 久しぶりのティアちゃんおっぱい…………いただきます♪」

 

「あっ、バカ…………こんなところで…………あんっ!」

 

「おいいいいいい! どれだけテンション上げてんだ、この駄女神!」

 

「だって、ティアちゃんと触れあうの久々なんだもーん。スキンシップしなきゃ♪」

 

「いや、それただのセクハラぁぁぁぁぁぁ!」

 

砂浜に俺のツッコミが響く。

 

おかしいな…………。

俺達、ここに超真面目な話をしに来たんじゃなかったか?

なんで、お姉さん達のレズプレイ(一方的なハント)を見せられてるわけ?

 

アジュカさんが俺達に言う。

 

「君達と元総督殿をここに連れてきたのは今回の件について伝えるためだ。そろそろ話を始めるとしよう」

 

ティアを放置してそう切り出したアジュカさんは、懐から一つの駒を取り出した。

 

…………ティア、とりあえず話が終わったら助けに行くからね。

それまでは耐えてくれ…………!

 

で、今は目の前にある駒なんだが…………。

 

アジュカさんは『悪魔の駒』を作り出し、レーティングゲームの基礎理論を作り上げた人物。

そのため、目の前の駒は『悪魔の駒』だと思ってしまうのだが…………。

 

「この駒が何か分かるかな? 『悪魔の駒』だということは分かると思うが」

 

駒から伝わる波動は間違いなく『悪魔の駒』のもの。

リアスの眷属となり、自分の駒を持った今の俺にとっては、馴染み深いものだ。

 

しかし、俺が知っているもののどれとも形状が合わない。

『兵士』でも『騎士』でも『僧侶』でも『戦車』でも『女王』でもない。

となると―――――。

 

俺の脳裏に一つの可能性が出てくる。

だけど、それは無いはずだ。

純血の上級悪魔であるリアスやソーナ、レイヴェルからも、それは無いと聞かされている。

本人達もそれが常識という認識だったはず。

 

しかし、アジュカさんはそれを口にした。

 

「これは―――――『王』の駒だよ」

 

それはあまりに衝撃的な情報だった。

 




すいません、今回はレーティングゲームの闇じゃなくて、ティア姉さんの初めてがイッセーだったことが暴露されちゃいました…………(R18では明らかにされてたけど!)

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