ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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18話 王者の告白

庁舎の最上階を目指し、飛翔する俺だったが、先程から量産型邪龍が邪魔してくる。

俺を行かせまいと倒しても倒しても次から次へと沸いてくるんだ。

 

一体一体は弱いが………数が多いな。

いったい何体作っているのか…………。

 

『一匹出てきたら三十匹は出てくると考えた方が良いな』

 

ドライグさんよ、それゴキブリの考えじゃないだろうか?

まぁ、あながち間違ってないと思うけどね。

 

本当にキリがないから。

 

庁舎ビルの真ん中を過ぎたところで、邪龍の数は一層多くなる。

 

「あんまり時間をかけるのも問題か…………。この数が下に行けば、リアス達でも苦戦するかもしれないし」

 

そう呟くと、鎧を通常のものから天撃(エクリプス)に変更。

全砲門を展開。   

照準を上から降ってくる量産型邪龍に合わせた。

 

砲門が鳴動し、エネルギーの充填を終える!

 

「ドラゴン・フルブラスタァァァァァァァッ!」

 

『Highmat FuLL Blast!!!!』

 

六つの砲門から放たれる極大の赤いオーラ。

強力な殲滅力を持った天撃による一撃はそれだけで、邪龍の群れを呑み込み、消滅させた。

 

しかし、更なる量産型の邪龍の群れが遥か上空から向かってくるのが見える。

 

…………本当に何体いるんだよ…………。

 

少々げんなりした俺はガラスを割って庁舎の中へと侵入。

中にも邪龍の姿が見えるが、外に比べると遥かに少ない。

せいぜい十数体といったところだ。

 

少しばかり迂回ルートになるかもしれないけど、邪魔されない分、こちらの方が早く着くだろう。

 

俺は周囲を警戒しながらも、一気に中を進んでいく。

 

その時だった。

建物内にマイク音声が鳴り響く。

 

『ごきげんよう、冥界の皆さん。ディハウザー・べリアルです。私が消息不明となっているようですが、この通り、平穏無事です』

 

―――――っ!

 

ここで王者が出てくるか………。

この建物、上にいるってことか?

 

怪訝に感じた俺だったが、ふいにとある部屋の前で飛行を止める。

部屋の中にはいくつかのモニターが設置されており、その全てに皇帝べリアルの姿が映し出されていた。

 

こいつは…………中継されているのか。

しかも、先程「冥界の皆さん」と言っていた。

つまりこの放送は冥界全土に流されているということ。

 

王者が話す内容は――――――。

 

『今から皆さんにお伝えしなければならないことがあります。それは―――――レーティングゲームの闇だ』

 

アジュカさんの言った通りだ。

レーティングゲームの裏側、不正の数々をここで暴露するつもりなんだ。

 

俺は立ち止まっているわけにもいかず、最上階を目指して再び飛び出していく。

移動中にも王者の声は建物内に響いていく。

 

『私の世代は豊作とされるほど、実力のある若手悪魔が現れて、レーティングゲームの前線に立って試合を盛り上げてきた。現二位であるロイガン・ベルフェゴールとも、現三位のビィディゼ・アバドンとも互いに切磋琢磨して力を、ゲームを高めあってきた』

 

王者を含めたトップランカー達は長くレーティングゲームの場で活躍し続けた。

互いを強敵だと認め、より高みを目座していた。

 

それは冥界に住む者であれば、誰もが知っていることだろう。

 

『だが、とある筋から不穏な情報が耳に届いてきた。ロイガンもビィディゼも他のトッププレイヤー達も幼少の頃、才能に恵まれない悪魔であったと。最初はただのゴシップだと笑っていた。幼少時は平凡でも、成長してから才能を開花させる者も少なくない。才能を開花させた者を妬んだ輩が面白半分で書いたものだろうとね』

 

王者の声のトーンが低くなる。

 

『…………しかし、ある日のことだ。従姉妹であったクレーリアが私に面白い情報を仕入れたと言ってきたのだ。―――――『王』の駒を知っていますか、と』

 

クレーリア・べリアル…………リアスの前任者。

三大勢力が敵対関係の時代、教会側だった八重垣さんと恋をしたことで冥界の上役に粛清されてしまった女性――――。

 

ここで彼女の名前が出てきた…………?

 

『私は「ああ、都市伝説程度にはね」と返したのだ。だが、彼女はこう続けた。「私がいま管轄を任されている日本のエリアの近くに魔王アジュカ・ベルゼブブさまの隠れ家がある」と。アジュカさまが日本のどこかでご趣味の「ゲーム作り」をされているのは一部の者の間では有名な話だった。私は彼女に忠告した。「魔王の邪魔をしてはいけない。何があっても不用意に近づいてはいけないよ?」――――と』

 

だが、クレーリアさんは常々、トップランカー達のゴシップ話に興味を抱いており、独自に彼らの情報を仕入れていたという。

探れば探るだけ突然、情報が途絶えるその噂を彼女は背後に何か大きなものが隠れていると睨んだ。

 

『………彼女は、私のゴシップ話を払拭したかったのだろうね。私が長期間王者に留まり続けているものだから、冥界の記者が面白おかしく書いてくる記事を何よりも不快に感じていたのだよ。幼少の頃から私を見てきた彼女だ、私の力が本物であると証明したかったのだろう。………私にとって、大切な家族の一人だった。………実の妹のように想っていたよ』

 

悲哀に満ちた声の王者。

 

そして、王者はハッキリと告げた。

 

『結論から言えば、クレーリアは消されたのです。――――冥界政府、いや………古い悪魔の方々の意思によってだ。当時、従姉妹のクレーリアの死を知らされた私だったが、真相は伏せられていた。疑惑しかなかった。なぜ、彼女が死なねばならなかったのか、考え、悩み、苦しみ続けた。…………私はとある筋を頼り、この真相に辿り着いたのです』

 

ちょっと待て…………クレーリアさんは八重垣さんと恋に落ちたから消されたんじゃなかったのかよ………?

 

初代バアルから聞かされた話は、トウジさんから聞かされた話は事実だった。

リアスにも伏せられ、あの時ようやく知り得た事実だった。

 

…………それすらも更なる真実を隠すためのものだったというのか…………?

 

教会の人間であるトウジさんはともかく、初代バアルはこのことを知っていたのだろうか…………?

それとも初代バアルにすら隠されていたことなのか…………?

 

いや、おそらく知っていて黙っていたんだろうな。

この件は容易に口にして良い内容じゃない。

 

王者は続ける。

 

『結論から言えば「王」の駒は存在する。そして、いま、あなた方の前に開示されているだろう情報と、ゲームプレイヤーの顔ぶれ、彼らはその「王」の駒を使用して今の力を手に入れたのだ』

 

いま冥界に流されているであろう映像には俺達がアジュカさんに見せられた情報がそのまま開示されているのだろう。

 

アジュカさんが言っていた王者の事情というのはこの事だったのか。

クレーリアさんの真相とゲームの闇を知るため…………。

そのためにリゼヴィムに協力したと。

 

今頃、冥界中が混乱していることだろう。

消息不明とされていた王者がいきなり映し出されたと思えば、とんでもない内容を告白されたのだから。

 

それからと王者の告白は続く。

レーティングゲームの闇が次々と明かされ、その内容は俺達が聞かされたことと、ほぼそのままだった。

 

これは…………クレーリアさんを殺された王者の、古い悪魔達への復讐なんだろうな…………。

大切な家族を殺された王者の――――――。

 

最上階とされる展望台に到着した時には、王者による独占中継は終わりを迎えていた。

展望台に設置されたモニターには王者の姿は映っておらず、既に砂嵐となっていた。

 

俺がその場に足を踏み入れた時、王者は振り向くことなく訊いてきた。

 

「…………さて、赤龍帝くん。私はどうしたら良いと思う? この情報、真実を得て、大衆に伝えるためだけに私は罪を犯しすぎた。アグレアスも、ライザー・フェニックス氏とのゲームについても…………」

 

「………ディハウザーさん、あんたは―――――」

 

王者と話をしようと、口を開いた時だった。

 

「―――――そんなことはどうでもいい」

 

不快な声が耳に届く。

 

そちらに視線を送れば、銀髪の男性――――今日、俺が最も殴りたいと思っている奴が映像機材の陰から現れた。

 

「俺が――――否、このルシファーの息子たる私が許そうではないか、べリアル卿」

 

「………リゼヴィム様」

 

リゼヴィムが王者の肩を叩き、俺に視線を向けた。

 

「天界以来だ、赤龍帝」

 

「そうだな、ルシファーの息子さん。今まで散々やってくれたが、今回はいきなり過ぎて流石に俺の想定を遥かに越えてきたよ。………なんで、このタイミングでうちの親とオーフィスを狙った?」

 

俺の問いにリゼヴィムは肩を竦めた。

 

「急ぎでオーフィスの協力が欲しくなっただけだ。オーフィスというよりはリリスの力を高めるためにだが………。貴殿の両親を狙わせたのもそのため………だったが、邪魔が入ったようだ。仕方なく、邪魔をしてきたあの英雄の娘を人質にさせて、ニーズヘッグをアジ・ダハーカの魔法で例の地下空間に送ったのはいいが………こちらも邪魔が入ってしまった。貴殿らの親、もしくは友人が人質ならば、かの龍神も隙ができるだろう、とな」

 

「………やっぱり外道だよ、おまえ」

 

「私は悪魔だ。『悪』で『魔』の存在だ。それが普通だとは思わないかね?」

 

「思わないな。おまえの勝手なお子さま思想なんぞ、共感できるわけがない。―――――ケリを着けさせてもらうぞ」

 

赤いオーラをたぎらせて俺は一歩を踏み出した。

 

リゼヴィムは不敵な笑みを見せる。

 

「いいだろう。―――――と、その前にもう一人、大事な来客がある」

 

―――――っ!

 

展望台のガラス壁の向こうから覚えのある強烈なオーラが接近してくる。

一筋の閃光が遠方の空より来訪。

ガラス壁をぶち壊して大胆に参上したのは純白の鎧を着込んだヴァーリだった!

 

ヴァーリは到着するなり、リゼヴィムに対峙して言う。

 

「………追い詰めたぞ、リゼヴィム」

 

ヴァーリのドスの利いた声音にリゼヴィムも口の端を吊り上げた。

 

「私の可愛い孫だ。これにて今宵の主要メンバーは揃い踏みとなった」

 

この場にいるのは俺とヴァーリ、リゼヴィムと王者の四名。

ちょうど二対二だな。

 

俺はヴァーリに訊いた。

 

「アーサー達は?」

 

「今頃、そちらのメンバー達と外で暴れているだろう」

 

「ってことは、リアス達と合流したか」

 

「そちらも眷属はどうしたんだ、兵藤一誠?」

 

「今はアセムの下僕達と派手に暴れてるだろうよ」

 

ヴァーリがぶち破ってきたガラス壁の向こうではベルが作り出したと思われる超巨大魔獣の群れと嵐のような攻撃魔法が衝突していた。

その近くでは白い雷が煌めき、空を駆ける魔装銃が陣形を組、砲撃とも思える一撃を放つ。

少し離れたところでは、高層建築が豆腐のようにスパスパ斬られて、倒壊している。

 

耳を済ませばモーリスのおっさんとヴァルスの笑い声が聞こえてくる…………。

あのチートおじさん、マジで怖いんですけど!?

 

ま、まぁ、あのおっさんは放置しよう。

 

俺はリゼヴィムと王者に視線を戻す。

 

「仲間に余計な手出しはさせないってやつか。俺もあの野郎には用があるんだがな…………。二対二で数的にはちょうど良い。俺が王者を倒したら、合流させてもらうわ」

 

「あの皇帝を前にしてそんなことを言う若手は君ぐらいだろう。………承知した」

 

ヴァーリと意見を交わし、お互いに合意したところで、俺達二天龍はリゼヴィム達に構える。

 

とりあえずは俺が王者と、ヴァーリはリゼヴィムと。

俺もリゼヴィムの野郎をこのまま放置する気はない。

王者を倒したら、ヴァーリと共闘してリゼヴィムを叩く。

 

「………いつかは挑戦と思ってたけどな。こんな展開でやり合うことになるとは思わなかった」

 

俺はため息交じりにそう呟いた後、全身から赤いオーラを放出させた。

ヴァーリも白く輝くオーラをたぎらせて、俺の横に並ぶ。

 

俺とヴァーリは目で合図する。

 

そして―――――戦闘が始まった!

 

先に仕掛けたのはヴァーリ。

白龍皇の翼を広げて、前方のリゼヴィムに突貫。

莫大なオーラを纏う拳でリゼヴィムに殴りかかる!

 

直撃する寸前、神器で高まっていたヴァーリのオーラを霧散させるリゼヴィム。

 

ヴァーリは舌打ちする。

 

「………ちっ、神器が絡む以上、直接的なものはやはりだめか」

 

―――――神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)

 

リゼヴィムの持つ能力は俺達神器所有者にとって天敵。

どんな攻撃をしても瞬く間に無効化され、力は霧散する。

 

俺が天界でリゼヴィムに傷を負わせたのはゼノヴィア達の協力…………四つの聖剣によるものだ。

今回はそんなアシストはない。

 

さて、今回は奴とどう戦うか…………。

 

神器による力を無効化されてもヴァーリはリゼヴィムに挑んでいく。

高速で動き回り、拳打と蹴り、魔力攻撃を仕掛けていく。

どれもこれもが以前見たときよりも、格段に磨きがかかっている。

 

しかし、リゼヴィムは素でそれらを避けきっていた。

 

超越者に数えられるリゼヴィムは神器無効化を除いてもかなりの実力を有する。

その実力は鎧姿のヴァーリを圧倒できる程のものだ。

 

ヴァーリの拳をいなしたリゼヴィムは、がら空きになったヴァーリの腹に魔力の籠った拳を放つ!

 

拳が純白の鎧に触れた瞬間、神器無効化の効果によって霧散。

生身の腹に強烈な一撃がめり込む!

 

「ガッ………!」

 

かなりの衝撃だったようで、ヴァーリは声を詰まらせる。

口から血を滲ませながら、一度後退して体勢を立て直し、再び鎧を装着する。

 

やはり、真正面からでは無効化されてしまう。

 

今の俺なら『透過』も使えるようになっているから、向こうに参戦すれば勝機は生まれるだろうが…………。

 

その前に俺が相手にしなければいけないのはディハウザー・べリアル、レーティングゲームの王者だ。

 

俺の方も既に戦闘を開始している。

天武(ゼノン)の鎧を纏った俺は距離を詰めて、王者と攻防を繰り返していた。

 

俺は拳を繰り出しながら、王者に問う。

 

「眷属の方々はいないんですね」

 

ここに来るまでに王者の眷属を見ることはなかった。

周囲の気配を探っても隠れている様子もない。

 

つまり、今回の行動に眷属を一人も付き従わせずにこの場にいるということだ。

 

王者は言う。

 

「その通りだ。彼らには外れてもらった。ここまで付き合う必要はないとね」

 

「あくまで罪は一人で被ると?」

 

「今回の件は私情で動いている。そこに彼らを従えるわけにはいかない」

 

そんな会話を挟みながら格闘戦を繰り広げる俺達。

 

はっきり言って、強い。

パワーなら負けていないだろう。

 

だが、細かいテクニックで言えば王者の方が上か。

それも当然だ。

王者は長い時間の中で俺よりも遥かに多くの経験を積んできた。

俺も他の誰にも負けないくらい修業は積んだが、俺と王者の間にある時の差はあまりに大きい。

 

王者は俺の放つ蹴りも拳も最小限の動きでいなし、ダメージを受けないようにしていた。

それに加えて――――――。

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!』

 

加速した倍加が俺のオーラを高める!

赤いオーラを拳に纏い、撃ち込む!

 

………が、王者が正面から俺の拳に触れた瞬間、拳に宿った増大のオーラが消えた。

 

リゼヴィムの無効化とは違う。

奴に触れられた時、鎧は完全に消えるからだ。

今の状況は俺の増大の特性だけを消した形になる。

 

その様子に俺は呟いた。

 

「これがべリアルの特性、『無価値』ですか」

 

王者は頷く。

 

「べリアルの『無価値』は特性を消し去る。赤龍帝の特性である増大を消させてもらった」

 

ライザーの不死を消したそうだが、それもこの『無価値』によるもの。

なんとも厄介な特性だ。

 

だが―――――。

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!』

 

再び鳴り響く、倍加の音声!

左右の拳に赤いオーラを纏い、王者に迫る!

 

王者の繰り出した蹴りを掻い潜り―――――。

 

『Penetrate!!』

 

宝玉から鳴り響くのは倍加とも譲渡とも異なる音声。

 

王者は俺の拳に触れるも、その勢いを消すことが出来ず、まともに一撃を食らう!

 

腹に一撃を受け、体をよろめかせる王者。

苦し気な表情を浮かべながらも、驚いているようだった。

 

「なぜ………? 私の『無価値』が効かないのか?」

 

その問いに俺は、王者に一撃を入れた右の拳を見つめながら答える。

 

「これが赤龍帝の、生前のドライグが持っていた能力の一つ『透過』。俺の力をダイレクトにあんたに通した」

 

「『無価値』を通り抜けたということか………」

 

そういうことだ。

ドライグの力―――――『増大』『譲渡』そして『透過』。

 

修業で色々と試してみたが、実戦で使うのは今回が初めてだった。

王者の『無価値』をすり抜けられたということは、リゼヴィムの神器無効化もすり抜けられそうだな。

 

俺達の戦いは展望台を抜け出て、庁舎の上空に場所を移した。

それでも戦いに変化が起こる訳でもなく、ただただ単純な攻防を繰り返していくばかり。

 

…………本来ならもっと過激な戦いになったはずだ。

お互いに動きは速いし、一撃は重い。

ぱっと見では激戦に見えるかもしれない。

 

しかし、見る人が見れば、今の俺達の戦いは緩すぎると感じてしまうだろう。

 

ある程度、ぶつかったとこで王者は拳を下ろす。

 

「赤龍帝くん………君はなぜ本気を出してこない? 今の君は全力ではない。君が全力を出せば私とてもたないだろう」

 

確かに俺がEXAやその更に上の力を使えばごり押しで王者を降すことも出来るだろう。

本気ではなかったとはいえ、あのアセムに通じるほどの出力だしな。

 

もちろん温存の意味もある。

EXAから上は消耗が大きく、長時間の戦闘には向いていない。

王者にリゼヴィム、そして………どこかにいるかもしれないアセムとの一戦を考えるとここで使うのは避けたい。

 

しかし、俺がそれを使わない理由は――――――。

 

「ディハウザーさん、あんたの拳には迷いがある。あんたの方こそ本気じゃないでしょう?」

 

さっきから王者はあまり積極的に攻撃を仕掛けてこない。

特性である『無価値』と最小限の攻撃だけで俺と戦っている。

 

俺は王者に問う。

 

「俺も訊きたいことがある。―――――まだ、何か隠していることがあるんじゃないですか?」

 


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