ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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17話 新生・元教会戦士コンビ!

[木場 side]

 

時は数日遡る。

美羽さんとアリスさんが作り出した修行用の特殊結界の中で修行に打ち込んでいた時のことだ。

 

「遅いっ!」

 

「ぐぅッ………!?」

 

僕とイリナが休憩に入っている間、ゼノヴィアは一人、モーリスさんと対峙していた。

 

………が、とてもじゃないが、まともに戦えているとは言いがたい。

ゼノヴィアがフルパワーで振るった一撃を易々と受け流し、彼女の腹に蹴りを入れるモーリスさん。

ゼノヴィアは何度も地面を転がった後、その場に踞ってしまう。

どちらが優勢かなんて言うまでもなかった。

 

剣技でも圧倒され、おまけにパワーでも押し負けている。

今のゼノヴィアではモーリスさんに一太刀も入れることは出来なかった。

 

………それは僕とイリナにも言えることなんだけど。

僕達二人が休憩に入っているのは既にボロボロにされた後だからだ。

腕も足も動かない程にしごかれ、さっきまでアーシアさんの治療を受けていたんだ。

 

立てなくなったゼノヴィアを見て、モーリスさんが剣を鞘に納める。

 

「っと、ちょいと力が入りすぎちまったか………。アーシア! ゼノヴィアを治してやってくれ!」

 

「は、はい!」

 

モーリスさんに頼まれたアーシアさんが慌ててゼノヴィアに駆け寄り、治癒の光を当てる。

 

「ゼノヴィアさん、大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ………。流石はアーシアだ。あれだけの痛みがすぐに消えてしまったよ」

 

アーシアさんの迅速な治療により、なんとか立てるようになったゼノヴィア。

だけど、その表情は曇っていて………。

 

ふいに彼女の足元に雫がこぼれ落ちた。

 

―――――ゼノヴィアが流した涙だった。

 

「ゼノヴィアさん………?」

 

突然の涙に戸惑うアーシアさん。

 

すると、ゼノヴィアは目元を抑え、悔しげに口許を歪ませた。

 

「ダメだな、私は………。木場もイリナも課題をクリアしているのに、私は一向に進歩していない………。これでは………!」

 

修行が始まってから、この結界の中では二週間が経過した。

彼女の言うように僕とイリナは既にモーリスさんの課題をクリアし、次のステージへと進んでいる。

だけど、ゼノヴィアだけはモーリスさんの課題をクリア出来ず、悩みながら修行に打ち込み続けていた。

 

あのゼノヴィアが涙を流すなんて………よほど悔しいのだろう。

自分の不甲斐なさを許せないのだろう。

 

僕がゼノヴィアと同じ立場なら、彼女のように悩み、苦しんだはずだ。

 

「ゼノヴィア、ちょっとこっち来い」

 

モーリスさんは地面にどっかり腰を下ろすとゼノヴィアを呼んだ。

地面を叩き、そこに座るよう指示する。

 

ゼノヴィアは目元を拭うと、モーリスさんの前に座った。

 

モーリスさんは暫しの間、ゼノヴィアをじっと見た後、深く息を吐いた。

 

「なにも泣くことはないだろ。限界なんてそう簡単に超えられるものじゃない。悩んで、苦しんで、もがききって、ようやく超えられるものだ」

 

「だが………木場もイリナも次のステージに進んでいる。二人は己の限界を超えたのだろう? それは二人がそれだけ自分を追い込んだということ。一人、先に進めていない私は………何と不甲斐ない。私の覚悟は二人よりも遥かに足りないのだろう」

 

ゼノヴィアが拳を強く握りしめた。

拳を震わせ、自身に対する怒りに一杯という表情だ。

 

ゼノヴィアは胸の内にあるものを吐き出し始める。

 

「ダメなんだ、このままでは。イッセーの分まで戦うと誓ったのに、このままではそれは叶わない………! それどころか、足手まといになってしまう! そんなのは嫌なんだ………!」

 

ゼノヴィアは二振りの聖剣に視線を落とす。

 

「デュランダル、エクスカリバー………。主の私がもっとしっかりしていれば、おまえ達に苦労をかけることもないのだがな。すまない………本当にすまない………」

 

デュランダルとエクスカリバー。

ゼノヴィアを支える、彼女の相棒達。

 

もっと自分が強ければ、二振りの相棒と共に遥か高みを目指せるのに。

もっと自分がしっかりしていれば、相棒に負担をかけることもないのに。

 

目の前の『剣聖』が持つのはよく斬れること以外は普通の剣だ。

それなのに、伝説の聖剣を遥かに超えてくるのは『剣聖』が本当の意味で剣と共にあるからだろう。

 

では………自分はいったい何なのだ?

 

この修行の中でゼノヴィアの中にはそんな考えが現れてきたんだと思う。

 

すると、

 

「はぁ………やれやれ。おまえって奴は単純そうに見えて、色々と複雑だな。ま、それも若さってやつなのかねぇ」

 

モーリスさんは盛大に息を吐いた。

 

そして、ゼノヴィアの頭に手を乗せ、その髪を撫でた。

 

「この修行を始める前に言ったこと、覚えてるか? 俺はおまえの覚悟と可能性を信じる。そう言ったはずだ」

 

「ああ………」

 

「だから、おまえも自分の覚悟と可能性を信じろよ。少しでも自分を疑うやつが、限界なんて超えられるわけがない。それに、そいつらが聞きたいのはおまえの謝罪の言葉なんかじゃないぞ?」

 

そう言うと、モーリスさんはデュランダルとエクスカリバーの刀身に触れた。

 

「こいつらは伝説とまで呼ばれた聖剣様だ。おまえの成長が遅いくらいで文句なんざ言わねーよ。こいつらはただ、おまえが殻を破る瞬間を今か今かと待ち望んでいるのさ。そして、こいつらは理解している。―――――もう少しだってな」

 

「もう少し………?」

 

怪訝な表情で聞き返すゼノヴィア。

 

その問いにモーリスさんは笑みを浮かべながら頷いた。

 

「おまえは感覚で戦っているくせに、鈍いから気づけていないだけさ。俺もデュランダルもエクスカリバーも分かっている。おまえは確実に前に進んでいる。今、おまえが苦しんでいるのは、殻を破る直前でちょいとばかし引っ掛かっているからだ。―――――もう少し、あと一歩だ」

 

モーリスさんはゼノヴィアを目を見据えて告げた。

 

「頑張れ、ゼノヴィア。おまえの悩みは俺も通った道だ。おまえだって乗りきれる。ここを超えた時、おまえは―――――」

 

 

 

 

蒼い炎のようなオーラが戦場を照らしている。

輝きの中心にいるのは腰の辺りまで髪が伸びたゼノヴィア。

両手に握るのは彼女の剣気で黒く染まったデュランダルとエクスカリバー。

 

リアス前部長が目を見開く。

 

「あれが本当にゼノヴィアなの………?」

 

その確認に僕は頷いた。

 

「そうです。ゼノヴィアは超えました。限界の壁を。苦しみ、悩み、もがいた先に得た力があれです」

 

僕はゼノヴィアに視線を戻した。

 

蒼炎を纏うゼノヴィアは辺りを飛び交う邪龍に目を向ける。

邪龍の中には量産型グレンデルや量産型ラードゥン、更には教会の戦士と一戦交えた際にヴァルブルガが連れてきた新型の巨大邪龍と、強力な邪龍が多数見られた。

 

無数の殺気がゼノヴィアに向けられているのを感じる。どうやら、この付近にいる邪龍は狙いを彼女に定めたようだ。

 

『ガァァァァァァァァァァッッッッ!!』

 

数えきれない邪龍達の咆哮が周囲に響き渡る!

それを合図に黒一色の群れがゼノヴィアへと襲い掛かる!

 

「ゼノヴィア!」

 

リアス前部長が加勢に行こうとする………が、モーリスさんがそれを制した。

加勢は不要ということだ。

 

この場にいるメンバーの殆どがモーリスさんの行動に信じられないといった表情を浮かべている。

 

だけど、僕もモーリスさんの意見と同意見だったりする。

イリナも同様。

 

なぜなら―――――この程度の相手、今のゼノヴィアには造作もないからだ。

 

「ハァァァァッ!!」

 

ゼノヴィアが駆け出し、デュランダルを振るう!

放たれるのは黄金に黒が入り交じった斬戟!

聖なる波動と剣気が融合した攻撃は一振りで何百という邪龍を消し去っていく!

 

一つ、二つ、三つと彼女が剣を振るう度に空に浮かぶ邪龍はごっそり消えていく。

 

鱗が異常に硬い量産型グレンデル、高い防御力を誇る結界を持つ量産型ラードゥン。

防御力の高いタイプでさえ、彼女が振るう剣戟になす術がない。

 

攻撃力だけなら、イッセー君が抜けている穴を埋められる。

そう思えるほど、馬鹿げた破壊を見せつけてくれている。

 

体捌きでも彼女の進歩が見える。

型のない自由奔放な動きは邪龍達の動きを紙一重でかわし、強烈な一撃を叩き込んでいた。

 

邪龍が吐く炎も、振り下ろされる豪腕も当たらない。

当たる気配がない。

四方を囲まれ、一斉攻撃を受けているのにゼノヴィアは全てを避けきって見せた。

彼女はスピードで避けているというわけではない。

ただ、感覚だけで全てを避けているんだ。

 

剣で、肌で戦場を理解する。

彼女はその領域に足を踏み入れたんだ。

この時こそ、ゼノヴィアは真の意味でデュランダルとエクスカリバー、二振りの相棒と一体になったと言える。

 

以前のような荒々しいだけの戦いじゃなく、どこか華麗さも兼ね備えたゼノヴィアの戦い振りは美しささえ感じることが出来た。

 

ゼノヴィアが二つの聖剣を頭上で交差する。

刀身には莫大な、静かに燃える蒼のオーラ。

 

ゼノヴィアは瞳を蒼く輝かせて、

 

「―――――クロス・クライシス」

 

信じられないくらいに高められたオーラを纏う二振りの聖剣が音もなく振るわれた――――。

 

 

 

 

「凄い………今までの彼女とは桁が違いますわ」

 

そう漏らす朱乃さんの視線の先にあるのは―――――破壊された空間。

亀裂が入り、割れたガラスのように崩壊していく空間の先には次元の狭間が見える。

 

ゼノヴィアが放った一撃は―――――パワーアップしたクロス・クライシスは何千、何万もの邪龍を葬り去るだけでなく、空に巨大な穴を開けてしまった。

 

威力はもう以前とは別物。

一騎当千の破壊力だ。

 

イリナが胸を張りながら言う。

 

「これがゼノヴィアの新しい力。脳筋を更に高めたゼノヴィアだけの力よ!」

 

すると、ずっと向こうにいるはずのゼノヴィアから言葉が返ってきた。

 

「聞こえてるぞ、イリナ! もっと他に言うべきことがあるだろう!? それよりも見たか、私のパワーを! 私とデュランダルとエクスカリバーは更なる高みに登り詰めたぞ!」

 

デュランダルを天に掲げて高らかに笑うゼノヴィア。

 

うーん………脳筋という点に関してはイリナに同意しようかな。

確かにパワーは凄いし、身のこなしも以前とは見違える程だけど…………。

根本はゼノヴィアなんだよね、やっぱり。

 

モーリスさんが邪龍を殲滅しながら笑う。

 

「まぁ、いいんじゃね? 脳筋も突き詰めれば、あそこまでいけるんだ」

 

「え、ええ………そ、そうね。私もゼノヴィアが強くなってくれたのは嬉しいわ。ただ………パワー思考が酷くなったような気がするのは気のせいかしら?」

 

「リアスさん。ゼノヴィアがこれから、色々としでかすと思うけど許してあげてね? 悪気があってやってるわけじゃないから」

 

リアス前部長にゴメンのポーズで謝るイリナ。

ここにいるメンバーはゼノヴィアの大きな進歩を喜ぶと同時に複雑な心境のようで…………。

 

「泣くぞ!? 私はそろそろ泣くぞ!? もう少し別の評価があっても良いと思うのだが!?」

 

 

 

 

新たな領域に至ったゼノヴィアにより、万を越える邪龍が消された。

これで『門』への道が開けた、そう思ったのだが………。

 

「やはり、敵もそう容易くは通してくれないわね」

 

リアス前部長が厳しい表情で『門』のある方向に目をやった。

 

確かにパワーアップしたクロス・クライシスは道を開けた。

しかし、それを無かったことにするかのように『門』の向こうからは無数の邪龍軍団がこちら側へと雪崩れ込んでくる。

 

今のゼノヴィアなら、あの数を相手取ることも可能だろう。

だけど、それでは後がもたない。

 

すると―――――。

 

「ふふふ、これは私も修行の成果を見せないといけないわね! ゼノヴィアばかりに活躍はさせないわ!」

 

イリナが僕達の元から飛び出し、前方に立つゼノヴィアの側に寄った。

 

ゼノヴィアが問う。

 

「やるのかい?」

 

「もちろん。私だって、ダーリンの分まで張り切っちゃうんだから!」

 

イリナが天を仰ぎ、手を組んだ。

目を閉じ、力強く何かを祈り始める。

 

次の瞬間―――――彼女の体を目映い光が覆った。

天使の証である純白の翼が、頭に浮かぶ輪が黄金色の輝きを見せる。

黄金の光は時が経つにつれて強さを増していき、やがて彼女の体に変化が起こり始めた。

 

黄金色の輝きが背に集まり――――翼を形成した。

四対八枚にまで増え、黄金に煌めく翼がイリナの背に広がっていく。

 

光が止むと、イリナはくるりとその場で一回転した。

 

「これが私の修行の成果よ! 私達の大切な場所を壊そうとするなんて許さないんだから! アーメンよ!」

 

イリナはオートクレールの切っ先を天に向ける。

 

刹那――――先程のゼノヴィアに引けを取らないレベルで、聖なるオーラが解き放たれた!

離れているというのに、これほどの力!

並の悪魔なら、この光を浴びるだけで消滅しそうだ!

たとえ上級悪魔であっても近寄ることは敵わないかもしれない!

 

イリナは黄金に輝く八枚の翼を羽ばたかせ、ゼノヴィアのごとく突貫する。

この時、オートクレールが放つオーラに変化があった。

聖なるオーラがうねり、まるで鞭のように形を変えていったんだ。

 

イリナが横一線に振るうと、鞭のようにしなった聖なるオーラが邪龍を真っ二つに両断した。

聖なるオーラの変化はこれだけではない。

イリナが突きの要領で剣を振るうと、聖なるオーラは槍のように彼方まで伸び、複数の邪龍を串刺しにした。

 

変幻自在に形を変える聖なる力。

ここまで自在に操れるのはイリナが持つ高いイメージ力が成せる技だ。

 

元々、イリナは『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』の所有者だった。

彼女は状況に応じて、聖剣の形を変え、任務をこなしてきた。

 

その力が修行によって大きく伸ばされた結果、今のようにオートクレールから放たれる聖なる力の形を変化させることが出来るようになった。

 

彼女の修行の成果はそれだけじゃない。

 

イリナは自身の周りに幾つもの光の槍を展開する。

一本一本が濃密な波動を放っていて、見ただけで寒気がするほどの光力が籠められているのが分かる。

 

「まとめて浄化しちゃうわ!」

 

左手を遠方にかざし、光の矢を斉射する。

高速で放たれた光の矢は、全てが邪龍の体を貫き、塵に変えていく。

 

―――――オートクレールの浄化の力。

 

モーリスさんから与えられた課題である、オートクレールが持つ浄化の力の操作。

彼女はそれを可能にした。

浄化の力を光に乗せ、後方から放つ。

 

浄化の力は邪龍や魔物を相手とするこの戦いで絶大な効果を発揮する。

イリナが会得した技がどれだけ活きることか。

 

身に纏っているあの黄金に輝くオーラも浄化の力。

つまり、触れた相手は浄化され、魔物の類いであればそれだけで塵となってしまう。

彼女が纏うオーラは浄化の鎧とも言えるだろう。

 

変幻自在の力に、前衛から後衛までこなす幅の広さ。

そして、攻防一体となった浄化の鎧。

 

誰かが言った。

 

「輝く翼にあらゆる悪を浄化する力。ゼノヴィアさんのように名付けるなら―――――『聖翼の清天使』といったところでしょうか」

 

『聖翼の清天使』………か。

確かに今のイリナを名付けるならピッタリなのかもしれない。

 

その声が聞こえたのだろう。

ゼノヴィアがぼそりと言った。

 

性欲(・・)エロ(・・)天使の間違いじゃないだろうか」

 

「どんな二つ名よ!? 私、そこまでエッチじゃないんですけど!?」

 

「いやいや、今までの自分を思い返してみるんだ、イリナ。これまで堕天しなかったことが不思議なくらいエロ思考だぞ? 過去に何度、堕天の危機があっただろうね。どう考えてもイリナは性欲のエロ天使だ」

 

「………ッッ! う、うぇぇぇぇん! ゼノヴィアがいじめるわ! 木場君、ゼノヴィアに何か言ってよ!」

 

ここで僕に振るの!?

明らかに返答に困って、助けを求めてきたよね!?

それにしてもなんで僕!?

 

う、うーん………。

ま、まぁ、過去の出来事から、よくこれまで堕天せずにこれたなとは思うけど………。

 

何と返そうか僕が頭を抱えていると、イリナはゼノヴィアの髪を見て言った。

 

「そういえば、長髪のゼノヴィアと戦うのって久し振りよね。昔、任務で相手に髪を捕まれて、それが原因で切っちゃったけど。それ以来かしら」

 

「そうだな。あれは吸血鬼を退治しに行った時だった」

 

「ええ。あの時、私はゼノヴィアに助けられてばっかりだったけど………今は違うわ。こうして、隣で戦える!」

 

「あの時は私も君に助けられたんだがな………。まぁ、いいさ。新しい私と君で皆の道を斬り開こうじゃないか!」

 

『剣聖』の修行によって、それぞれ新たな領域へと踏み込んだ元教会の戦士コンビ。

 

前衛がゼノヴィア、後衛がイリナ。

二人の息の合ったコンビネーションは凄まじく、どこまでも駆けていきそうな勢いだ。

 

すると、僕の肩に手を置かれた。

振り向けばモーリスさんが笑みを浮かべていて、

 

「おーおー、流石は長いことコンビを組んでたことはある。息ピッタリじゃねぇか。で? おまえも修行の成果を出すんだろう? ここまで来て見てるばかりってのは勿体ないと思うぜ?」

 

「ええ。流石にあの二人だけで戦況を大きく変えられるとは思っていません。僕もいかせてもらいますよ」

 

そう、確かにゼノヴィアとイリナが大暴れしてくれているおかげで敵の数は大きく減らせている。

しかし、『門』の向こうからは延々と敵が迫ってきている。

 

作戦を遂行するためには、まず、あの『門』の向こうへと進まなければ始まらないんだ。

急ぐ必要がある。

 

だからこそ、僕もこの場で使おう。

 

手に握る聖魔剣を聖剣に変え、意識を集中させた。

 

僕はもう間違えない。

もう見失ったりしない。

僕はこの剣を大切な人を守るために振るう。

だから、応えてくれ。

今がその時なんだ。

 

応えてくれ、僕の可能性よ―――――。

 

「禁手第二階層――――『紅蓮掲げし(クリムゾン・イモータル)聖極の龍騎士団(グローリィ・ドラグ・トルーパー)』」

 




まだまだ続くオカ研剣士組のパワーアップ!
次回は木場のターン!

ただ、今回でストックが無くなっちゃいました………。
次回は少し遅くなるかもです。

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