ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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今回はシリアス? 
それとも、シリアル?


25話 久し振りにドッキングです!

アポプスを曹操達、英雄派のチームに任せた俺は血のように赤い空を更に突き進んで行く。

邪龍や俺の複製体が行く手を阻んでくるが、それは真正面から叩き潰していった。

 

全力で飛ぶこと暫く。

目の前に巨大な、超高層ビルのような建物が現れる。

黒く禍々しい雰囲気を醸し出すそれはこの世界の中心。

アセムが待つ場所だ。

 

ここに来る前にティアから聞いた情報だと、アセムは分裂したトライヘキサの一体を動力にして、邪龍を生産しているらしいが………。

 

辺りに目をやると、ちょうど、建物の前に巨大な怪物がいて――――――。

 

『ゴァァァァァァァァァァッ!!』

 

とてつもない咆哮と共に、極大の火炎を吐き出してきた!

野郎、いきなりかよ!?

 

ドライグが言ってくる。

 

『気を付けろ。奴の火炎は神クラスですら、一撃のもとに屠ってしまう。いくら相棒とて受ければ………いや、掠っただけでも炭と化すぞ』

 

神クラスですら、まともに太刀打ちできない怪物。

聞けば、アザゼル先生には何か策があるらしいけど、どうするつもりなんだろうな?

 

トライヘキサの肉体に目を凝らしてみると、何かの術式が全身に刻まれていた。

刻まれた術式が紫色に輝くと、奴の足元に巨大な魔法陣が展開される。

魔法陣の輝きが強くなり、そこから量産型邪龍が一斉に飛び出してくる。

 

なるほど、こうやって邪龍を生産しているわけか。

数は…………うん、数えるのはやめておこう。

今のだけで、この空と大地を埋め尽くす数を作りやがったからな。

 

流石にグレートレッドと同格の力を持つとされる化け物だ。

アポプスが聖杯を使って生産するのとは桁が違う。

ここが奴らの最大の生産拠点と考えると、こいつを封じるだけでも全体的にかなり、楽になるはずなんだがな………。

 

何とかして、目の前の怪物を止める方法を考える俺だが、トライヘキサが生み出した邪龍が群れを成して一斉に襲いかかってくる。

一体一体は大したことないが、これだけの物量で来られると面倒きわまりない。

更にはトライヘキサが火炎を吐いてくるので、その度に肝が冷える。

 

一撃がここまで恐ろしいとはな………!

 

俺はドラゴンの翼を広げて、空を駆け巡る。

ここでまともにやり合ってたんじゃ、時間がいくらあっても足りない。

どこかに迂回路は………?

 

「ちぃ………! こいつら、どこまでも追ってきやがる!」

 

この一帯に漂う邪龍や複製体の全てが俺を追ってきやがる!

どれだけスピードを上げても、向こうは先回りまでして、俺の行く手を阻んでくる!

 

『どうやら、ここに配されている邪龍共はあの塔の番人的な役割らしいな。あそこへ近づく者を排除しにかかっている。トライヘキサも含めてな』

 

そりゃ、最強の番人ですこと!

 

俺は飛びながらも背中のキャノン砲を展開して、二方向への砲撃をぶっ放つ!

EXAの砲撃を受けた敵は跡形もなく塵と化していった!

 

今のでかなりの数を消せたはずだが、敵もそう甘くはないようで…………。

トライヘキサが咆哮をあげると、再びあの術式が発動。

無数の邪龍が勢いよく飛び出してくる!

 

その光景に俺はつい舌打ちしてしまう。

 

「くそったれが………! 減らせば、減らした分だけ………いや、それ以上の数を増やしやがる………!」

 

そう、トライヘキサが新たに生み出したことで、俺が消し飛ばした以上に敵の数は増えていた。

 

これにはドライグもうんざりした様子で、

 

『雑魚をいくら倒そうとも無駄か………。やはり、ここを突破するには生み出している奴を止める他あるまい』

 

生み出している奴を止めるって………トライヘキサを止めろってか。

簡単に言ってくれるぜ。

世界中の神仏が、常軌を逸した猛者が集中砲火してもビクともしなかったんだぞ。

 

となると………。

 

「ドライグ、すまん。―――――ドッキングする!」

 

『えっ!?』

 

俺は専用の召喚魔法陣を展開。

魔法陣が赤い輝きを放つと―――――赤い戦闘機が現れる!

これが俺の切り札の一つ、オッパイザー!

これとドッキングするとドライグが泣いてしまうが、仕方がない!

 

俺とオッパイザー空高く飛び上がり、ぐんぐん高度を上げて行く。

オッパイザーが俺の背後に位置した時、俺は叫んだ!

 

「―――――ドッキングする!」

 

『Docking Sensor!』

 

『Oppaiser Docking Mode! Oppaiser Docking Mode!』

 

鎧と機体に埋め込まれた宝玉から音声が鳴り響くと、機体が変形し、接続部のようなものが現れる。

変形したことで新たに露出した宝玉と、背中の宝玉と光線のようなもので結ばれ―――――不安定なEXAを完全なものとする!

 

久し振りだが、これが―――――。

 

「ダブルオーッパイザー! ここに見参!」

 

『うぉぉぉぉぉん! うわぁぁぁぁん!』

 

「泣くな、ドライグ! 俺も泣きたいんだから!」

 

というか、一番辛いのはアリスとリアスのはずだ!

だって、これを使うと―――――。

 

 

~その頃のダブルスイッチ姫~

 

「「なっ!? 私の乳首が光ってる!? またなの!? やっぱりドッキングしたの!?」」

 

アリスとリアス。

二人のスイッチ姫の乳首から放たれる光が戦場を神々しく照らしていた。

 

~その頃のダブルスイッチ姫、終~

 

 

うん、後で謝ろう。

必殺のムーンサルトジャンピング土下座で、俺の全身全霊で謝ろう。

 

というか、オッパイザーの補給してくれたんだなアリスとリアスは。

お二人のおっぱいを搾ったのは、何となく誰かは分かる。

 

とにかく、ダブルオーッパイザーの力なら!

 

ドライグ、トランザムで一掃するぞ!

 

『馬鹿な! トランザムはこちらの切り札! こんなところで使うわけには!』

 

分かってる! 

だけど、ここを突破できなければ同じだ! 

 

それに、敵は待ってくれない!

もうトライヘキサがこっちに向けて火炎を吐き出す準備をしているからな!

 

俺はイグニスを召喚すると、フェザービットを射出。

フェザービットは変形し、イグニスと合体した。

巨大な剣となったイグニスの切っ先をトライヘキサへと向ける。

 

そして、俺は鎧の各所に埋め込まれてある宝玉に溜められた力を一気に解放する!

 

「―――――トランザムッ!!」

 

『相棒!?』

 

ドライグの注意を無視した俺はトランザムを発動。

全身が紅蓮の輝きを放ち始める!

凶悪な程の力がイグニスの刀身に集中し―――――特大のロンギヌス・ライザーを繰り出した!

 

俺がロンギヌス・ライザーを放つのと、トライヘキサが火炎を吐き出すのはほぼ同じで、空中で激しくぶつかり合う。

次元を破壊するほどの力と力の衝突はその余波だけで、周囲にいる邪龍と複製体を灰にしてしまう。

 

二つの砲撃は拮抗しているが、少しするとその拮抗が崩れ始めた。

ロンギヌス・ライザーが徐々に押し始めている!

 

「ここでおまえに構ってる暇はないんでな! そこを退きやがれぇぇぇぇぇぇっ!」

 

俺の想いに答えるようにロンギヌス・ライザーの威力が上がる!

そして―――――紅蓮の刃がトライヘキサを完全に捉えた。

 

 

 

 

「はっ、はっ、はっ…………ふぅ」

 

攻撃を終えて、力を解除する俺。

今ので力を使いきったオッパイザーは魔法陣の輝きに包まれていき、戻っていった。

 

ドライグが呆れたように言う。

 

「無茶な真似を………。これからが本番なのだぞ? ここで全体力を使いきるつもりか?」

 

ゴメンゴメン。

だけど、思っていたより消耗は少ないぜ?

今だってEXAを保てているからな。

 

『なに? 確かに予想よりも遥かに消耗が少ないな………どういうことだ? あれはイグニスの力をフルで使う分、尋常ではない力を使うはずだが………』

 

疑問を口にするドライグ。

すると、イグニスがその疑問に答えた。

 

『それはオッパイザーのエネルギーが肩代わりしてくれたからよ。今回、イッセーは万全の状態でドッキングしたでしょう? だから、ロンギヌス・ライザーを撃っても少ない消耗で済んだ。つまり―――――おっぱいの力は最強と言うことよ』

 

「『…………』」

 

絶句する俺とドライグ。

きっと、ドライグは理解に苦しんでいるはずだ。

だけど、俺はイグニスの言葉を理解した。

理解してしまった。

 

アリス、リアス…………ありがとう。

おっぱいをありがとう。

おっぱいをいっぱいありがとう。

二人のおっぱい…………最高デスッ!

 

おっぱいの力を改めて実感したところで、俺はロンギヌス・ライザーをまともに食らったトライヘキサの方に視線を移す。

 

そこには―――――肉体の三分の一くらいを失った怪物の姿。

流石のトライヘキサもイグニスのフルパワーには相当なダメージを負ったようだ。

しかも、トライヘキサに刻まれていた術式は完全に消滅している。

つまり、もうこれ以上、あのトライヘキサが量産型邪龍や複製体を生産することは出来ないってことだ。

 

しかし………。

 

「な、にっ………!?」

 

俺は驚愕の声を漏らした。

なぜなら、トライヘキサが再生を始めたからだ。

削り取られた肉体の断面から触手のようなものが生えて、肉体を再構築していく!

数秒足らずで刻まれていた術式も含め、元の姿に戻ってしまった!

 

イグニスが厳しい声音で言う。

 

『なるほどね………。予想だけど、トライヘキサにはどこかに核となる部位があって、それを破壊しない限りは永遠に再生を繰り返すんだわ。次にロンギヌス・ライザーを放ったとしても、向こうも対処を変えてくるでしょう。まぁ、今の状態のイッセーに連発は出来ないのだけど』

 

「…………っ!」

 

嫌な情報だぜ………!

つまり、仮にもう一度撃てたとしても倒せる確率はかなり下がるってことか………!

 

トライヘキサの双眸が再び俺を捉えて、怪しく輝く。

俺のことを自身を脅かす敵と判断したのか、奴から放たれる邪悪なオーラが一気に膨れ上がる!

 

こいつはマズいな………ロンギヌス・ライザーで怒ったのかな?

何にしても状況は最悪だ………!

 

トライヘキサが口を大きく開けて、口内に尋常じゃないレベルの力を集めていく!

あんなの撃たれたら、ひとたまりもないぞ!?

 

「ここは私達に任せたまえ、イッセー君」

 

どこから聞こえてきた第三者の声!

それと同時に上空からとんでもない密度の攻撃がトライヘキサ目掛けて降り注いだ!

 

このオーラは―――――。

 

「遅れてすまない。ここからは私も戦おう」

 

「やっほー、イッセーくん♪ マジカル☆レヴィアタンの参戦なのよ!」

 

サーゼクスさんとセラフォルーさん率いるルシファー眷属とレヴィアタン眷属!

冥界を支える四大魔王の内、二人がこの場に集結していた!

 

ティア情報だと、魔王は冥界側の防衛と撃退に当たっていることになっているんだけど、なんで中核の二人がここに!?

 

サーゼクスさんが俺の疑問が分かっていたかのように答える。

 

「心配はいらないよ。冥界側には分裂したトライヘキサの一体と相手が作り出している手駒しかいなかったのでね。こちらにはサイラオーグやタンニーン続き、クロウ・クルワッハが加勢してくれている。加えて、アジュカが考案した術式で、あの『門』に特殊なバリケードを張った。これにより、こちらの陣営はこの世界に手勢を送り込むことが出来るが、対して、相手側が冥界に足を踏み入れることはない。一時的なものではあるがね」

 

クロウ・クルワッハが加勢してくれているのか。

そういや、あいつはタンニーンのおっさんのところで食客になってたな。

その恩を返すために力を貸してくれていたりして。

 

アジュカさんは流石というべきか、そんな術式を考案していたのな。

自分達の領地に侵入できないとなれば、一気に攻勢に出ることも出来る。

 

ただ、一時的って言うのは、トライヘキサが『門』を潜り抜けようとした場合は防ぎきれないというのと、この世界の主であるアセムが何かしらの術式でバリケードを壊しにかかった時のことなんだろうな。

 

サーゼクスさんに続き、セラフォルーさんがピースしながら、嬉しそうに言った。

 

「それにね、冥界市民の間で、義勇軍なんてものが組織されてね。正規軍の後方支援を手伝ってくれているの! 私、感動して大泣きしたのよ!」

 

マジでか!

そんなことになってたの!?

 

確かに後方支援が増えれば、その分だけ兵の間で余裕が出来る。

なるほど、冥界側の戦況が安定している理由の一つがそれか。

 

何となく納得していると、サーゼクスさんが前に出る。

 

「アザゼルから聞いている。この先にいる神は君を待っていると。君もまた、彼との決着をつけようとしていると。ならば、ここは私達に任せて行きたまえ」

 

「そうそう。私もサーゼクスちゃんも魔王なんだし、頑張らなきゃってね!」

 

優しい表情のサーゼクスさんも、いつものようにハイテンションなセラフォルーさんも強く覚悟を決めた瞳をしていた。

恐らく、ここで俺が何を言ったところで、その覚悟は揺らぎはしないのだろう。

 

だったら、俺が出来ることはただ一つ。

 

「サーゼクスさん、セラフォルーさん。俺、行ってきます。だけど、その前に二人に言いたいことがあるんです」

 

「「?」」

 

疑問符を浮かべる二人。

そんな二人に俺は―――――。

 

「妹談義。まだまだやり足りないんで、後で絶対にやります。約束ですよ?」

 

俺の言葉に二人はニッコリと微笑んで、

 

「フフフ、またリーアたんについて語ってあげようじゃないか!」

 

「私だって、ソーたんのお宝秘蔵アルバム公開しちゃうんだから! だから、イッセーくんも必ず戻ってくること! これは魔王としての命令なんだから☆」

 

「はい!」

 

 

 

 

トライヘキサを抜けて、俺はようやく辿り着いた。

この世界の中心部である漆黒の塔に。

 

俺が接近すると塔に設けられた巨大な扉が轟音を立てながら開いていく。

俺を受け入れるってか………。

 

中に入ると、外観以上にシンプルな造りで、石造りの壁と床、柱という構成だった。

ところどころに魔術的刻印が施されている以外は飾り気のない場所だ。

 

ただ、かなり広大で、本当に建物の中にいるのか自分でも分からなくなるくらいに広い。

 

「懐かしい感覚だな………」

 

内部を飛行しながら、無意識にそう呟いていた。

なぜ懐かしいと感じてしまったのか。

その理由はもう分かっている。

 

暫く進むと、奥に祭壇が見えた。

祭壇の中央には椅子があり、そこに一つの影がある。

 

俺は祭壇の前に着地すると、そいつを見上げて言った。

 

「待たせたか?」

 

「いや、そろそろ来る頃だと思っていたよ、勇者くん」

 

闇色の服を纏う青年―――――魔王と化したアセムは薄く笑みを浮かべて、俺を迎え入れた。

 

 


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