ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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今回はヴァーリ視点!


27話 白龍皇 ヴァーリ・ルシファー

[ヴァーリ side]

 

トライヘキサが復活を遂げる二週間ほど前。

 

俺は一人、欧州のある国に赴いていた。

都市部から離れた山間にある静かな田舎町。

 

俺は町から離れた山の中腹から望遠鏡を使って、ある場所を覗いていた。

望遠鏡のレンズが写したのはどこにでもある一軒家の中庭。

庭には四十代くらいの黒髪の女性が作業をしていた。

 

「母さん………」

 

俺は無意識にそう呟いていた。

 

アザゼルに引き取られ、力を付けた後に俺は二人の人物を探していた。

一人はリゼヴィム、もう一人がレンズに写っている女性。

 

今まで全く情報が無かったが、つい先日、グリゴリから北欧勢力を通して連絡があった。

情報をくれたのが、主神オーディン本人だったことには少し驚いたが………。

恐らく、アザゼルが頼んだのだろうな。

 

あの女性は俺がグリゴリに身を寄せてすぐに記憶を消され、あの男………系譜的には俺の父親にあたる男に捨てられたそうだ。

今は人間界のあの町で普通の人間の日常を送っている。

 

………昔を思い返せば、ろくな思い出が出てこない。

 

幼い俺に暴力を振るってくるあの男と、俺を庇う母。

俺を庇ったことで、今度は母が暴力を受けていた。

母の泣き顔ばかりが頭にこびりついている。

 

しかし、悪い記憶ばかりでもない。

母は確かに優しかった。

母との記憶は少ないが、それだけは確かだ。

 

母の行方を探して、見つけたらどうするつもりだったのか。

また共に暮らしたいとでも言うつもりなのか?

 

別にそういうことを言いたい訳じゃない。

ただ、自分が今もこうして生きているということを伝えたい。

あの時、あなたが守ってくれた子供は生きている。

胸を張れるような生き方が出来ているとは思っていないが、それでもこうして生きている、と。

 

ふとレンズが映し出す光景に動きがあった。

 

―――――幼い子供が二人、男の子と女の子が女性のもとに駆け寄ってきた。

 

その瞬間に俺は理解した。

 

「そうか………あなたは家庭を持ったんだな」

 

二人の子供と共に女性は笑っていた。

朗らかに、嬉しそうに、幸せそうに笑っていた。

 

―――――ごめんね、こんなものしかなくて。

 

記憶に蘇る彼女の声は悲しげなものばかりだ。

彼女が用意してくれたパスタを頬張る俺を悲しそうな表情で見ていた。

 

でも、今は違う。

あの時のような表情はどこにもない。

 

………もし、俺が普通の家庭に生まれていたら、どうだったのだろう。

あの男の子のように笑っていたのだろうか。

母と笑いながら暮らせたのだろうか。

 

俺は望遠鏡を静かに下ろし、踵を返した。

 

俺は彼女に、彼女達には会えない。

会えるはずがない。

俺がいる場所は彼女達がいるあの場所とは違うのだから。

 

俺は白龍皇ヴァーリ・ルシファー。

誰よりも強くなり、『真なる白龍神皇』になることが目標だ。

それは今でも変わらない。

 

だが、ここに来てもう一つだけ増えた。

 

「あなた達の平穏だけは必ず守ってみせよう。白龍皇………いや、俺の名にかけて、必ず」

 

 

 

 

北欧の世界に開かれた巨大な穴―――――『門』を潜り抜けた俺は疑似異世界とやらに足を踏み入れていた。

 

『D×D』からは俺のチームと刃狗チームが参戦、魔法使いの協会からも多くの術者がその力を振るっている。

あれほど互いを嫌っていたツェペシュ、カーミラの吸血鬼の両陣営も多くが参加している。

教会本部ヴァチカンからも名うての戦士が駆けつけており、転生天使も出陣している。

また、北欧世界の神々――――雷神トールを始めとした強大な力を持った神も多くが手勢を連れて出陣、『門』を潜って、攻勢に出ていた。

 

これを言ってしまえば、アザゼル達が呆れ顔を浮かべるだろうが、世界中の強者が出てくるこの戦いに心を踊らせている。

これほどのイベントはそうあることではない。

あったら、あったで問題になるのだろうが。

 

『ついに出てきたか』

 

血のように赤く染まった空の下、邪龍を迎撃しているとアルビオンが言った。

それは長らく待ちかねたような声音だった。

 

『ヴァーリ。兵藤一誠が出てきたようだぞ』

 

ほう、ようやく目覚めたか。

待ちかねたよ、我がライバル。

 

『兵藤一誠は真っ直ぐにこの世界の中心部へと向かっている。どうやら、奴は奴で決着を着けるらしい』

 

決着か。

彼が勝つのか、それとも異世界の神が勝つのか。

 

このような広大な世界を構築してしまうほどの神だ。

並の神………いや、上位の神ですら霞んでしまうほどの実力の持ち主として見て間違いはない。

 

対して、兵藤一誠の実力も未知数。

先日のアグレアスでは、強化剤を使ったリゼヴィムを圧倒していた。

あの虹の輝きを纏った渇れの力もまた神の次元を超えているのだろう。

 

神の次元すら超えてしまった二人の激闘。

是非とも近くで見たいものだ。

 

『気持ちは分かるが、我らも決着を着けねばなるまい。奴はこちら側にいるようだからな』

 

奴――――『魔源の禁龍』アジ・ダハーカ。

 

一度手合わせをしているが、決着をつけることが出来なかった。

ダメージを与えても与えても、嬉々として立ち向かってきたあの姿は忘れられない。

あれほど、こちらの攻撃を受けて倒れずに笑って向かってきたのは奴が初めてだった。

 

決着を着けねばならない。

 

だが、トライヘキサは未だ止まる様子がなく、邪龍と兵藤一誠の複製体が空を埋め尽くしている。

 

複製体の方は流石に彼の力をコピーしているだけあって強いが………違う。

俺が求めているのは、このような偽物などではない。

本物は拳を交える度に、こちらに抑えようのない高揚感を与えてくれる。

だが、この複製体と拳を交えると酷く嫌な気分になった。

複製体を倒す度にアルビオンも機嫌が悪くなっている。

 

トライヘキサは炎を吐き出し、北欧勢力を中心とした神々が相手取っている。

均衡を保ててはいるが、どうなるかは分からないな。

相手の一撃はそれだけでこちらを確実に屠るのだから。

 

ふいに俺に話しかけるものがいた。

 

「ヴァーリ、行くと良い。決着をつけたい相手がいるのだろう?」

 

「鳶雄か………」

 

見ると、グレンデルタイプの邪龍を複数体、地面から無数に生える刃で切り刻んだ後だった。

 

鳶雄と彼が連れている狗『刃』がアジ・ダハーカの気配を察知しているのか、その方向に視線を向けていた。

 

鳶雄が言ってくる。

 

「ここは俺達に任せておけば良い。トライヘキサもそうだが、アジ・ダハーカも倒さなければ、いずれはここを越えて、再び各地で暴れまわる。そうなれば、いずれ、のどかな田舎町にまで被害は及ぶ」

 

そうか、どうやらこちらの事情は知っているようだ。

 

この『門』を潜り抜け、奴らの力があの田舎町に及ぶまでにそう時間はかからないだろう。

自分でも柄ではないと感じている。

だが、トライヘキサが各地を蹂躙し、あの異世界の神が宣戦布告をした時から、ずっと俺の頭の中にはあの家族の姿があった。

 

以前の決着をつけたい気持ちもある。

だが、それ以上に俺は――――――。

 

「そうなのです。ここは私やトビー、ヴァーくんのお友達に任せるのです」

 

そう言いながら、空中を飛んでいた邪龍達を一瞬で凍りつかせたラヴィニア。

 

彼女の傍らには全長三メートルほどの氷でできた人型の異形が付き添っている。

ドレスを着たような姿で、細い腕が四本生えている。

顔には口と鼻がなく、左半分は目が六つ並び、右半分には茨に似たようなものが生えている。

 

永遠の氷姫(アブソリュート・デイマイズ)』。

神滅具の一つであり、独立具現型の神器。

発動すると、所有者の傍らに氷でできた姫君が出現し、姫君は所有者の命令のもと、あらゆるものを凍りつかせる。

極めれば、小国のひとつを氷付けにできるほどのもの。

しかも、ラヴィニア自身も上位の魔法の使い手。

 

ここ一帯に漂う邪龍では相手にすらならないか。

 

鳶雄とラヴィニアに続くように美猴が笑う。

 

「カッカッカッ、そういうこった! 行ってこいよ、ヴァーリ。アジ・ダハーカのくそったれをぶっ倒してこいや!」

 

その横ではアーサーがラードゥンタイプをコールブランドで屠っていた。

 

「私達のリーダーなのです。私とコールブランドが選んだドラゴンの生き様を見せてください」

 

黒歌が幾つもの火車を操り、襲いかかる邪龍を容赦なく灰に変えていく。

 

「私、ヴァーリについてきて良かったと思ってる。妹ともう一度笑いあえたのは、赤龍帝ちんのお陰だけど、あんたのお陰でもあるもの。あんたに会ってなかったら、きっとのたれ死んでた。行ってきなさいよ、リーダー。あんたの道は私達で切り開いてあげるから」

 

兄をサポートしながら、魔法で応戦するルフェイ。

 

「はい! 私、今世の二天龍はどちらも好きですよ! カッコいいです!」

 

ルフェイを守護するようにフェンリルが、グレンデルタイプを切り裂き、ゴグマゴグが目からビームを放ち、腕をロケットのように飛ばして邪龍を殲滅していた。

 

アルビオンがどこか誇らしげに言う。

 

『ヴァーリ、これがおまえが築き上げてきたものだ』

 

ああ、そうだな。

鳶雄とラヴィニア、今のチームメンバー。

彼らの言葉がかつてない程に高ぶらせてくれる。

こんな気持ちになったのは初めてかもしれない。

 

こんな時、彼なら礼を言うのだろう。

だが、俺がそれをしてしまうと、らしくないと笑うのだろう?

 

鳶雄が昔のような優しい笑みで言った。

 

「二天龍として、ルシファーとして、その生き方を選んだおまえの、一つの答えをこの世界に見せつけてみるんだ。そういう意味ではあの異世界の神が用意したこのフィールドはこれ以上ない舞台だ」

 

鳶雄が前に出ると、刃もそれに付き従う。

その瞬間、彼を覆うオーラが変化する。

 

「俺も行こう。刃、いいな?」

 

主に問われ、一度だけ尾を振る刃。

そして―――――闇の世界が始まる。

 

鳶雄の周囲に影が、黒い霧が、暗黒が、この世のあらゆる闇が集まり、彼自身からも発生していく。

闇に覆われた彼の口から呪文が唱えられていった。

 

《―――――人と理を斬るなら幾千まで啼こう》

 

鳶雄と刃を漆黒が更に覆う。

闇は彼の回りだけに留まらず、この一帯を埋め尽くしていく。

 

《―――――化生と凶兆斬るなら幾万まで謳おう》

 

彼の四肢に暗黒のもやがかかると、その手足を異形へと作り替えていく。

 

《―――――遠き深淵に届く名は、極夜と白夜を騙る擬いの神なり》

 

刃が、足元に広がる闇の中に消えていく。

 

《―――――汝、我らが漆黒の魔刃で滅せよ》

 

鳶雄の全身はもう元の姿が見えない。

肉体に闇が張り付き、完全に同化しているからだ。

彼の顔も既に異形と化し、狗のような面貌となっている。

 

暗黒は異形と化した鳶雄の横に大きく盛り上がり、形をなしていく。

暗黒が形成したのは漆黒の毛並みを持つ狗。

それが大群で現れた。

 

《―――――儚きものなり、超常の創造主よ》

 

最後の一節が詠まれると、暗黒から生まれた狗の群れは赤い空を瞳に捉え、遠吠えをしていく。

狗の声は透き通っていて、どこまでも届いていった。

 

闇の衣を纏った人型の獣、その周囲に群れをなすのは暗黒を吐く大型の狗たち。

 

鳶雄は足元から長く鋭い刃を持つ大型の鎌を出現させる。

鎌を回し、赤い双眸で敵を捉える姿は死神のようだ。

 

いや………死神どころではないな。

 

闇のフィールドと化した一帯に生える巨大で歪な刃は全て、神すら斬り付せる魔の刃。

魔の刃は邪龍を、複数体を両断し、確実に屠る。

 

音もなく戦場を駆け回る鳶雄。

縦横無尽に鎌を振るい、目の前に立つ全ての敵を斬り伏せていく。

 

彼に付き従う狗たちも、大地に生えた魔刃を噛んで抜いていき、そのまま横向きで構えて駆けていった。

刃を口に構えた狗の集団が、高速で邪龍を斬り刻んでいく。

 

容赦なく命を刈り取る闇の一行。

神すら斬り付せる彼らに斬れないものはない。

 

これが幾瀬鳶雄。

生まれた時から既に禁手を発現させていたイレギュラー過ぎる存在の力。

 

禁手『深淵なりし(ベルフェクトゥス)冥漠の獣魔(テネブラエ・リュカオン)英傑であれ常夜刃(エト・フォルティス・デンス)の狗神(・ライラプス)

 

本来の禁手である『夜天光の(ナイト・セレスティアル)乱刃狗神(・スラッシュ・ドッグズ)』を研磨した先に辿り着いた姿―――――禁手の深淵面(アビス・サイド)

 

以前、アザゼルから聞いたことがある。

神滅具とは拡張性の高い神器である、と。

 

禁手に至った場合の能力増大、能力増加が他の神器と比べて格の違いが出るのが神滅具。

所有者の才能、創造力の全てを汲み取り、実現できるだけの受け皿、実現性が神滅具にはあると語っていた。

 

アザゼルが言うには禁手の可能性には大きく分けて三種あるらしい。

亜種も含め、強化、進化させた昇華面(クレスト・サイド)

自己の神器の有り様を狂気の領域まで追求して、自ら神器と交ざり合うことで体現させた深淵面(アビス・サイド)

そして、これらに分類できない突然変異を起こす慮外面(イクス・サイド)

 

兵藤一誠と木場祐斗は禁手そのものを進化させ、第二、第三の階層へと至らせているが、これらも大きく分けてしまえば深淵面になるのではないか、アザゼルはそう考えていた。

 

ふと脳内に再生されるのはアザゼルの声だ。

 

『今世は過去に例を見ない神器の革新が起きている。ハハッ、訳が分からねぇことばかりだが、実に面白い。なぁ、ヴァーリ。おまえもそう思わないか?』

 

ああ、俺もそう思うよ、アザゼル。

 

予想も出来ない進化をするライバルがいる。

だから俺も更に高みを目指せるのさ。

 

俺は必ずあの時の続きを………いや、あの時よりも更に激しく、もっと楽しい戦いをする。

兵藤一誠、俺は君とまた戦いたい。

 

だからこそ―――――。

 

ラヴィニアが言ってくる。

 

「さぁ、行くのです。ヴァーくん。ここはもうすぐ氷と刃の世界になってしまうのです」

 

俺はそれを聞いて、この場を離れるように飛び出した。

 

それからすぐのことだ。

この一帯が凍りつき、至るところが刃が生えたのは。

 

俺は彼女達に後押しされる形で、アジ・ダハーカのもとへと翼を広げた。

 

 

 

 

僅かに飛んだ先に奴はいた。

腕を組み、こちらが来るのを待っていたかのように構えていた。

 

俺が奴の近くに降り立つと、三つ首の邪龍アジ・ダハーカは歓迎するように言った。

 

『よー、来たか、白いの』

 

『やっほー☆』

 

『遅かったじゃないの!』

 

「ここで俺を待っていたのか?」

 

そう問うと奴は頷いた。

 

『ここで決着を着けなければ、嘘だろ。まぁ、おまえが来るのがもう少し遅かったら、こっちから挑みに行くつもりだったけどな』

 

『うんうん』

 

『待ってばかりはつまらないもんね!』

 

なるほど、決着をつけたいという気持ちは互いに同じだったと言うわけか。

 

アジ・ダハーカの視線は俺から周囲へ、各地で激闘を繰り広げている『D×D』メンバーと連合軍、神仏に向けられる。

 

アジ・ダハーカの周囲には魔法で映し出された映像があり、他の場所でも行われているトライヘキサ、邪龍軍団対各勢力の戦いを見ていた。

その中には赤い羽織を着た兵藤一誠と異世界の魔王の衣装とされるものを纏ったアセムとの死闘も映し出されている。

一進一退、一瞬の判断ミスが生死を分ける、そのような戦いだ。

 

『なぁ、ヴァーリ・ルシファー。おまえはこの戦いに心踊らせているか? あのとんでもねぇ異世界の神が作り出したこの状況を見てどう思う?』

 

『どう思う?』

 

『ぶっちゃけ、どうよ?』

 

真ん中の首に続き、両脇の首も訊いてくる。

 

どう思うか………世界中の神仏、強者の全てが出てくるこの戦いに心を踊らせていないと言えば嘘になる。

俺は何よりも戦いが好きだ。

それが想像を絶する強者ならなおのことな。

 

アジ・ダハーカは語り出した。

 

『俺は楽しい。あの神が作り出したこの全面対決という構図は俺達が望むものだった。互いに万全、持てる全てをかけて燃え尽きるまで戦う。今もおまえと向かい合っていて高ぶっている。だが………』

 

アジ・ダハーカは空を遠く見つめていた。

血のように赤い空の更に向こう、まるで、ここではないどこかに想いを馳せるように。

 

『もっと上があるはずだ。異世界、俺が知らない未知の存在、俺の想像を遥かに越えてくるものがそこにあるんじゃないかってな』

 

アジ・ダハーカはこちらに首を向けて言う。

 

『あの神から聞いた話なんだがよ、俺達がいる世界を含めて、異なる世界は五つあるんだってよ。一つは赤龍帝が勇者してた世界だが、その他に三つも未知の世界があるんだ。どうだ? 想像しただけで楽しくなってこないか?』

 

子供のように笑う伝説の邪龍の姿に俺は笑った。

 

「ふっ、意外とメルヘンチックだな。伝説の邪龍が、そのように未知の世界を語るとは」

 

『どいつもこいつも着飾り過ぎているだけだ。俺は至ってシンプル。俺は強ぇ奴とケンカが出来て、珍しいもんが見られればそれでいい。それを邪悪というのなら、俺は邪悪でいい。邪龍で十分だ』

 

不思議な気分だ。

今まで出会ってきた『悪』よりも魅力的に感じてしまう。

 

旧魔王派の連中も、兵藤一誠に倒される前の曹操も、リゼヴィムも、信念、野望を語ってはいたが、どうにも身の丈を考えない行動をしているように見えていた。

 

しかし、目の前の邪龍は自身をよく理解した上で破壊を追求している。

 

『へ、俺もガキっぽいってか。いいぜ、よく言われる』

 

「いや、あまりにシンプル過ぎるのでな。逆に好意すら抱けるよ」

 

『グッグッグッ、ヴァーリ・ルシファー。もう一度やろうぜ? 血だらけのガチンコ勝負をよ』

 

「良いだろう。俺もそのためにここに来た」

 

その会話の後、俺達は互いに無言になる。

アジ・ダハーカは魔法で映し出していた映像を消して、戦いのオーラを全身から滲ませた。

 

数秒後―――――俺達はその場から姿を消し、ぶつかり合った。

決着をつけるために。

 

 

[ヴァーリ side out]

 




というわけで、今回は原作通りの展開でした。
次回は曹操視点にしようかな~(変更するかもしれませんが)

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