ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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ついに真打ち!
イッセーVSアセム!


48話 超激戦! イッセーVSアセム!

俺とアセムが戦闘を開始して少し時間が経過した。

前回、冥府で戦った時はアザゼル先生お手製の乳力(にゅー・パワー)安定補助装置『オッパイザー』とドッキングすることで、不安定なEXAの力を完全に引き出した。

奥の手の発動も可能になったことで、アセムに食い下がることが出来たが………今のアセムはあの時よりもずっと強くなっているように感じる。

パワー、スピード、テクニック、あらゆる面で前回よりも上。

EXA形態ではとてもじゃないが、今のアセムには届かないだろう。

 

「はっ!」

 

放った右のストレート。

アセムは俺の拳を紙一重で避けると、お返しとばかりに同じく右のストレートで反撃してくる。

俺は左手で奴の拳を反らし、受け流す。

空を切った互いの拳だが、その拳圧は石造りの床をことごく破壊している。

もう何度も俺達の攻防の余波を受けたせいで、元の荘厳だった場所はただの瓦礫の山と化していた。

 

アセムはこちらの攻撃を流しながら言う。

 

「せっかく時間かけて作ったのに、もう見る影もないじゃないか。あとで修繕費を要求していいかな?」

 

「世界中を瓦礫の山にしてくれた奴の言うことか!」

 

「いやいや、あれやったのアポプス君とアジ・ダハーカ君だから。僕は関与してないよ?」

 

「じゃあ、各勢力にドデカい砲撃ぶちこんだのはどこの誰なんだよ?」

 

「あ、僕でした。アハハ♪ まぁ、演出だから許してちょーだいな」

 

相変わらずふざけた野郎だ。

リゼヴィムとは違った意味で腹立つ。

 

だが、軽口と反してこいつの目はこれまでにないくらいマジだ。

拳や蹴りが重く、殺意の籠った一撃になっている。

時折見せる鋭い眼光は見る者を全てに畏怖を与えるだろう。

それが例え神だとしても。

 

激しい格闘戦を繰り広げていると、アセムが訊いてきた。

 

「さてさて、勇者君はいつになったら出してくれるのかな?」

 

「なにをだ?」

 

「決まってるじゃないか―――――本気だよ」

 

俺達は合わせたかのように腕をぶつけると、空中で回転しながら後ろに下がった。

数メートル程、距離を置いたところで俺達は視線を交える。

 

俺は何度か手を握ったり、開いたりして感触を確かめると口を開いた。

 

「本気、か………。そういうおまえもまだ様子見ってところなんだろ? 俺に本気を出さたいのなら、おまえも本気で来いよ。今のが底ってわけでもないんだろう?」

 

「アハハ♪ さぁてね。君が全力を出さないのなら、僕も本気でやるわけにはいかないね。君はいわばチャレンジャーなんだからさ」

 

チャレンジャー………ね。

確かにこの状況はこれまでの経緯も含めると俺がアセムに挑みに来たという形に見えなくはない。

 

俺もアセムもお互いが本気じゃないのはこの攻防戦で分かってる。

俺達は見たいんだ、相手の底を。

それを受け止めた上で、相手を降す。

そうでなくては、この戦いはただの茶番で終わってしまう。

 

―――――よし。

 

「………フルパワーでくるか」

 

顔の前で腕をクロスさせた俺を見てアセムがそう漏らした。

 

構えた状態で全身に力を入れると、体から虹色の輝きが溢れ出す。

溢れ出た輝きは燃え盛る炎のように揺らめき、周囲を照らしていく。

虹色の炎の周りにはスパークが無数に飛び交い、オーラの強さを表している。

 

気合いを発すると同時に空間全体が激しく揺れ始める。

転がっている瓦礫が浮かび上がり、踏み締めた場所は俺の力に押されて徐々に沈み始めていた。

錬環勁気功で全身の気をコントロールしてパワーを一段、二段と高めていくにつれて、二時の炎も、飛び交うスパークも激しさを増していく。

 

クロスした腕が下がり、アセムと視線が合った。

アセムは俺のパワーの膨れ上がりにただただ笑みを浮かべている。

 

………もう神クラス、超越者クラスすらとっくに超えているんだけどな。

普通なら顔を青ざめたり、冷や汗をかいたりすると思うんだが………あいつも俺と同じか、それ以上の力を持っているということだろうか。

 

まぁ、良いさ。

どっちにしろ、やることは変わらない。

今の俺が、変革者として覚醒した俺が持てる全てを―――――。

 

「でぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!」

 

拳を天に向けて咆哮を上げる!

その瞬間、莫大な力が解き放たれ、爆発した!

虹の炎がこの石造りの空間を埋め尽くしていき―――――。

 

「―――――こいつが今の俺だ」

 

俺を包み込む煌々と輝く虹の炎。

自分でも綺麗だと感じてしまう程に神々しく、静かに燃えている。

これが今の俺、兵藤一誠の力だ。

 

纏う俺を見て、アセムが感嘆の声を漏らした。

 

「フフフ………これは面白くなりそうだ」

 

そう言うとアセムは両の拳を握る。

アセムは息を深く吸うと、カッと目を見開いた。

 

「ハァァァァァァァァァァッ!!」

 

アセムが雄叫びを上げる!

何度も戦ってきたけど、アセムが叫ぶところを見るのは初めてだ。

 

ありとあらゆる色を混ぜた暗く、禍々しいオーラがアセムの体から滲み出る。

アセムが立っている場所………オーラが触れた場所は砂のようになっていき、瞬く間に崩れ去っていく。

 

俺の時のようにアセムから放出される力が膨らむに連れて、空間が激しく揺れる!

奴の背後の空間に亀裂が入り、砕けて、次元の狭間の景色が見えてきた。

あいつは力を高めただけで、空間に作用できるということか………。

 

高められた力は一定のところまで高められると、そこで安定する。

ゆらゆらと揺れる禍々しく、暗いオーラ。

アセムの覇気に当てられたのか、空間がドゥンドゥンと鳴動している。

 

これがアセムの真の力………!

強化剤を使ったリゼヴィムなんぞ足元にも及ばねぇ!

下手な神クラスなら、指の一本………いや、オーラをぶつけるだけで制することが出来るだろう。

 

俺は舌打ちしながら言った。

 

「この野郎、とんでもねぇ力を隠してやがった」

 

「フフフ、君がそんな力を見せてくれるんだもの。僕だって見せたくなるさ」

 

俺達は互いに全開の状態で歩み始め、手を伸ばせば届く距離で止まった。

この戦いを始めたときと同じ状況。

ただし、今度は互いにフルパワー。

どうなるかは俺にも分からない。

 

アセムは不敵な笑みを浮かべて言う。

 

「来なよ」

 

「ああ」

 

即答した瞬間、俺はアセムの腹めがけてアッパーを放った。

もろに受けたアセムの体がくの字に曲がり、アセムの顔が下に向いたところを狙って、奴の顔を蹴り上げた。

 

床を蹴って、空中に放り出されたような形になるアセムの先へと回り込むと、肘打ちをアセムの腹に打ち込み、床に叩きつける!

叩き付けた衝撃で、床全体が陥没した!

 

追撃しようと、土煙が舞う中を突っ切っていると、土煙の向こうから禍々しいオーラの塊が飛んできた。

俺は横凪ぎに弾き飛ばして、直前を避けるが………、

 

「ハッ!」

 

いきなり目の前に現れたアセムの回し蹴りが俺の側頭部に命中する!

防ぎきれなかった俺は成す術なく、石造りの壁にめり込んでしまう!

 

あの野郎、ほんの一瞬、俺の意識がオーラの塊に向けられたところを狙ってきたな………。

 

そう考察していると、アセムは右の拳を引いて――――目にも止まらぬスピードで拳を放った。

距離があるから、とてもじゃないが拳が当たる距離じゃない。

それなのにアセムは拳を放った。

ということは―――――

 

「………ッ! 遠当てかよ………!」

 

凄まじい拳圧が俺を襲い、壁に張り付けにする!

連続で飛んでくる遠当ての拳圧が俺に脱出の機会を与えようとはしない!

 

「調子に乗るんじゃねぇよ!」

 

ならばと、俺は全方位にオーラを噴出する。

虹のオーラが俺を中心に球状に広がり、触れるものを全て呑み込んでいった。

 

脱出の経路を作った後、アセムの拳圧の間を掻い潜り、奴との距離を詰める。

アセムも俺に対応して、すぐに接近戦の体勢に入った。

 

オーラの籠められた拳と拳、蹴りと蹴りが超至近距離で衝突する純粋な肉弾戦。

 

「アハハハ! やっぱり、これぐらいじゃないと戦いは楽しくないね!」

 

攻撃を繰り出しながら、アセムは楽しそうに笑っていた。

なんと言うか………やっぱ、ラズル達の生みの親って感じだ。

自身と拮抗、または追い詰めてくれる強者との戦いを何よりも楽しむバトルマニア。

そんな雰囲気が今のアセムからは感じ取れる。

 

………というか、ここまでの力を出さないと心の底から楽しめないとか、レベル高すぎだろ、このバトルマニアは。

 

アセムの放ってきたストレートを俺が受け止め、俺が放ったアッパーを奴が受け止める。

互いの腕が使えない状態になると、次に始まるのは蹴りの応酬だ。

僅にでも手の力を緩めると、勢いが相手に乗る。

それを理解している俺達は蹴りを出している間も手を緩めることが出来ないでいた。

 

蹴りだけの戦いが続いていると、アセムはふと何かを考えたようで、

 

「やっぱり、今の君と僕の戦いで屋内は狭すぎる。―――――場所を変えようか」

 

刹那、俺の体がグンッと何かに押される。

まるで磁石が反発するような、目に見えない力に俺は吹き飛ばされた。

吹き飛ばされた俺は石造りの壁にぶつかり、そのまま、外に飛び抜けてしまう。

 

今のはアセムの覇気によるものか………?

モーリスのおっさんが使う剣気の圧力に似ていたけど………。

 

そんなことを考えながら、俺は空中で体を捻って着地する

足元は一面砂漠で、砂以外は何もない。

………この場所、改めて見ると冥府を思い出すな。

死の世界って感じがするし。

 

「冥府みたいって思ったでしょ?」

 

俺の思考を読んだのか、アセムがそう訊いてきた。

 

「まぁ、それも当然だろうね。この世界は冥府を少し参考にして作ったし。あと、天界も少し参考にしたかな~。他にも参考にした場合はあるけど」

 

「冥府と天界を参考に………? なんで、そんなことを?」

 

俺の問いにアセムは意味深な笑みを浮かべて、

 

「いずれ分かるさ。君達が生き残ることが出来たらね」

 

それだけ答えてアセムは構えを取った。

 

「そうかよ。なら、生き残らせてもらうぜ」

 

俺も腰を沈めて、構えを取る。

 

勇者時代の服を纏う俺と、アスト・アーデ歴代魔王が身に着けてきた戦闘服を纏うアセム。

構えを取ったままピクリとも動かない俺達。

視線を合わせ、相手の呼吸を読み、僅かな気の動きにさえ注意を払う。

 

アセムの気………危険な波動を放っているくせに静かな気をしているな。

一斉の乱れがない。

どんな強者でも、意識の揺れや無意識下で気の流れが動く時がある。

それが無いのは修行の果てに、自らを苛め抜き、己の全てを理解した者ぐらいだ。

そして、それを実現できているのは俺が知る限りでは、俺の師匠――――拳神グランセイズ、剣聖モーリス・ノアぐらいだろう。

 

「おまえのその力、最初から持っていたものじゃないな?」

 

俺の問いにアセムはニッと笑んで、

 

「まぁね。自分を自分で殺しかけ、それを何度も繰り返したさ。いやぁ、あの頃の自分が懐かしい限りだ」

 

なるほど、こいつも修行の果てに今の力を得たってことか。

アセムの言葉を聞いて、ドライグが言ってくる。

 

『危険な奴だとは前々から思っていたが、今ので危険度が倍増したな。自らを鍛えぬいて力を得た者は過信をしない。隙を伺うという考えは通用しないぞ』

 

だろうな。

弱点もないに等しく、過信もない。

策に策を重ねた上で、絶対的なパワーで押し通す。

それくらいやらないと厳しいか?

 

アセムが訊いてくる。

 

「考えは纏まったかな?」

 

「ああ。―――――真正面から全力で殴り飛ばす!」

 

「いいね! 僕もそれでいこう!」

 

地面を蹴って飛び出す俺達。

俺が手を伸ばすと、アセムも手を伸ばしてきて、俺達は取っ組み合う形になった。

 

「ぬぅぅぅぅぅぅ!」

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ!」

 

俺のオーラとアセムのオーラが激しく衝突して、稲妻が走る。

俺達を中心に広がる力の奔流は一帯を呑み込み、足元に巨大なクレーターを作り始めた。

 

パワーは互角!

ならば、ここからは技で勝負だ!

 

フルパワーから一転、俺は力を抜いて後ろに倒れる。

力を入れっぱなしだったアセムは前屈みに体制を崩し―――――そこを狙って鋭い蹴りを入れる!

鳩尾に入った蹴りはアセムを空高く吹き飛ばす!

 

間髪いれず追いかける俺。

すると、アセムは体を大の字に広げて空中でブレーキをかけた。

アセムは迫る俺を迎え撃ち、殴り合いが再開される!

 

元々、こいつの動きは洗練されていたが、こいつの強さの秘密を知ってからはより洗練されて見える。

流れるような動きでこちらの拳打を流し、力の流れを利用したカウンターに近い攻撃を返してくる。

俺が蹴りを出せば、俺の足に自分の足を絡めて、反対の足で蹴り返してきた。

天界で戦った時、アセムは俺の動きを真似てきたが、それだけの鍛練を積んでいたからこそなのだろう。

 

だが、それは俺も同じだ。

 

「ふっ!」

 

拳を放つ………と見せかけて、俺は途中で動きを変化させる。

アセムの顔面目掛けて真っ直ぐに突っ込んでいた俺の拳は直前、アセムがこちらの攻撃を防ごうとしたところでピタリと止まった。

それを見計らい、錬環勁気功を発動。

気を有した残像を作り出す。

 

強者は目に映るものだけでなく、それ以外の要素―――――気の流れや相手の意識を意識して戦いに臨む。

故にこの気を有した残像は強者であればあるほど、注意を持っていかれてしまう。

加えて、変革者となり、虹のオーラを纏う俺が生み出す気の残像は俺の意識、つまり、闘志や殺気すらも有する。

 

「これは………!」

 

アセムは俺の残像に引っ掛かり、見事に空振ってしまう。

おかげで大きく体勢を崩すことができた!

 

「おまえでもほんの僅かに意識が俺本体から外れる! そこが大きな隙になる!」

 

後ろに回り込んだ俺は背後から蹴りを放った。

僅かなに生じた時間を利用して、腰の捻りとオーラを乗せた一撃必殺にも成りうる一撃!

例え倒せなくても、大ダメージを与えることは確実だ!

 

蹴りがアセムの肉体を打ち抜く―――――その時。

アセムがニヤリと怪しく笑みを浮かべるのが見えた。

 

その瞬間―――――アセムの姿が消えてしまった!

 

「なんだと………っ!?」

 

俺は驚愕し、目を見開いた。

今のは完全に虚を突いたはずだった。

しかし、アセムは今の俺ですら見失う速度でその場から消えた。

 

「――――残念だったね」

 

背後から聞こえる声。

振り向けば、既にアセムが掌にオーラを集中させていて―――――。

 

俺は避けることも、防御することも間に合わず、エネルギー弾を受けてしまった!

まともに受けた俺は姿勢の制御が出来ずに、そのまま地面に激突。

砂漠のど真ん中に埋もれてしまった。

 

「ゲホッゲホッ! 痛っ………! なんだ、今のは………?」

 

咳き込む俺を見下ろすアセムはいつもの笑みを浮かべて言う。

 

「この世界を創ったのは僕だ。世界を構築するなら、空間や次元の構造を理解する必要があってね。今のは世界構築を行う上で、出来た副産物的なもの。―――――空間の構造を利用した瞬間移動。座標が分かっているなら何処へだって行ける便利な技さ」

 

 




~あとがきミニストーリー~


イグニス「またまた新技を考えたわ」

イッセー「どーせ、また(にゅー)キャノンとかだろ? もういいよ、その手の技はもう十分だろ」

イグニス「チッチッチッ、甘いわね、イッセー。私がそんな進歩のない女神に見える? これはねアリスちゃんとリアスちゃん専用の技よ」

リアス「私達専用………? 不安しかないのだけど、どういうのかしら?」

アリス「イグニスさん、ふざけてるように見えて、結果だけは残してるから………一応、聞いてみましょうか?」

イグニス「そうこなくっちゃ♪ 二人専用の技、その名も(にゅー)ジョン! 二人の乳力(にゅー・パワー)を同じレベルまで高めた状態で、二人のおっぱいをくっつけるの! そうすれば、最強のスイッチ姫が誕生するわ!」

イッセー「合体するの!? スイッチ姫、ついに合体するの!? 一体どうなるんだよ!?」

イグニス「大きさ、張り、美しさ、感度、そして揉み心地。全てにおいて最高のおっぱいを持つスイッチ姫が爆誕するの!」

イッセー「なにそれ、超見たい! 是非お願いし」

アリス「却下!」

イッセー「ぶべらっ!」

リアス「やっぱり、そういう感じなのね………」





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