ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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遅くなりました!

先日、R18でリアス回を投稿したので良かったらこちらも読んでみてください~(^-^)/

今回で最終章もとうとう50話か………!


50話 絶望蝶

「反撃タイム………か。フフフ、そう上手くいくかな?」

 

アセムは口元を拭いながら不敵に笑みを浮かべる。

瞬間移動を攻略されたというのに、まだまだ余裕を感じさせるのは、更なる手があると言うこと。

 

まぁ、向こうはあの黒い籠手も出してないしな。

俺は奴をそこまで追い込まないといけないわけだが………どうしたものかね?

 

俺は拳を握りしめて言う。

 

「上手くいくかは分からん。だが、俺もやられっぱなしじゃないってことさ。俺を見てきたのなら分かるだろう?」

 

「まぁね。じゃあ、攻略してみなよ。僕を倒さない限り、この戦いは終わらないのだから」

 

「言われなくてもだ。端から倒すつもりできているんでなッ!」

 

ゴウッと虹のオーラが膨れ上がり―――――俺は無音でその場から飛び出した。

アセムは体勢を整えると、オーラで形成された鎌を構えてこちらを迎え撃つ。

 

腰を沈めたアセムは横凪ぎに鎌を振るうと、鎌の切っ先からオーラの斬撃が飛んでくる。

鎌の斬撃が直撃する一歩手前で、俺は屈み、スライディングの要領で回避、アセムとの距離を詰める。

 

「その避け方は隙が大きいかな!」

 

鎌を振り上げたアセムがここぞとばかりに振り下ろす。

狙いは俺の首。

このままいけば斬り落とされる………が、そう簡単にやられたりはしない。

 

俺は手を突き出すと、手刀を繰り出すような構えを取った。

手にオーラを集中させて――――

 

「俺にもこれくらいは出来るんだぜ?」

 

アセムがオーラで鎌を作ったように、俺もオーラで剣を作り出した。

虹色に輝く剣は禍々しい色の鎌を見事に受けきっていた。

 

オーラの剣を作り出して、不敵に笑う俺に対し、アセムは特に驚いた様子もなく、

 

「まぁ、それくらいは出来ると思っていたよ」

 

そう言うと、アセムは掌をこちらに向けて、エネルギー弾を放ってきた。

俺は地面を蹴って飛び上がると、空中で体を回転させながら、大きく後ろに後退する。

 

地面に足が着いた時、特大のエネルギー弾が目の前に迫っていて、

 

「このやろッ!」

 

オーラの剣を振るって、真っ二つに叩き斬った。

二つに割れた力の塊は俺の遥か後方に着弾して―――――空間を揺らす大爆発を起こした!

ただの一撃にとんでもねぇ力が籠められてやがる!

 

改めて体勢を整えようとする中、アセムは今の俺でも速いと思えるスピードで迫ってくる。

こちらに接近しながら、突き出した手から次々にエネルギー弾を撃ち込んできた!

 

ヤバいと感じた俺は横へと避ける。

奴の放ったエネルギー弾は地面に触れ、その場所を瞬く間に消し去った。

まるで空間ごとごっそり持っていかれたように。

 

こいつ、ただのエネルギー弾の中に破滅の力を混ぜてやがる………!

ただのエネルギー弾なら弾き飛ばすことも出来るが、奴が言う破滅の力とやらはそいつが出来ない。

アセムの力を超えているのなら、可能なのだろうが、今は拮抗が良いところだ。

 

俺とアセムは剣を交えながら、格闘戦、砲撃戦を繰り返し行っていく。

だが、このまま戦い続けても埒があかないだろう。

仮にこのまま拮抗状態が続き、援軍が到着したとしても、アセムを倒せるかと問われると難しいところだ。

奴はあの手この手で戦況を覆してくるだろうしな。

実際、それを可能にする力と技術は持っているわけだし。

まぁ、全盛期のオーフィスかグレートレッドが駆けつけてくれるのなら話は変わってくるけど………。

 

無いものを考えても仕方がない。

俺は俺の出来ることをするまでだ。

これまでもそうだったし、これからもそうだ。

 

―――――ここいらで仕掛けるか。

 

「フッ!」

 

気合いと共に一閃。

アセムの鎌が作り出した衝撃波が俺を襲う!

回避が間に合わなかった俺は前方に分厚くオーラを広げて直撃は避けるが………。

 

「そうなると後ががら空きなんだよね!」

 

背後に姿を見せるアセム。

俺は振り返ると、右手を突き出してアセムの鎌を防ごうとする。

しかし、鎌の刃はオーラごと俺の腕を斬り落として―――――

 

 

次の瞬間、俺の体は虹色の粒子と化してその場から消えた。

 

 

これにはアセムも目を見開き、

 

「量子化!? このタイミングで!?」

 

粒子を集めて肉体を再構成した俺が現れたのはアセムの懐。

 

アセムも量子化のことは知っているだろうし、俺が使ってくることも考えていただろう。

それなのになぜ、奴は驚いたのか。

 

それは俺が奴の攻撃を受けた後に量子化を発動したからだ。

量子化は相手の攻撃を受ける前に使用する緊急回避技だ。

受けた後での発動なんて遅すぎる。

アセムもそれを分かっていた。

 

―――――だからこそ、俺はこのタイミングで使った。

 

量子化は一時的に肉体を気に昇華し、再構築する。

そして、再構築された肉体の傷は綺麗さっぱり治っている。

体力と精神力をごっそり持っていかれる代わりに肉体の治癒も行えるんだ。

それを利用して、俺はアセムにわざと腕を斬らせて、斬られた腕と肉体を気に昇華させ、奴の懐に潜り込んだというわけだ。

 

正直に言うと斬られた腕の修復なんて、今までの俺なら出来なかっただろうが、この領域に足を踏み入れたことで可能になった。

おかげで、完全にアセムの虚を突くことが出来た!

 

アセムは瞬間移動で回避しようとするが―――――

 

「逃がすかよッ!」

 

アセムが瞬間移動をするよりも早く、鋭いアッパーが奴の鳩尾にめり込んだ!

 

「ゴブッ………!?」

 

アセムの体がくの字に曲がり、口から血を吐き出した!

ようやく、ダメージといえるダメージを与えることが出来た!

そして、ここが畳み込める最大のチャンス!

 

俺は量子化によって修復した右腕に虹色のオーラを纏って、追撃のストレートを撃ち込む!

そこから拳と蹴りの連撃!

全身の気の流れを操り、最速で最大の威力を持った攻撃がアセムの肉体を抉る!

 

「くぅッ!」

 

それでも反撃してくるアセム。

深いダメージを受けながらも拳を返してくる!

 

「だが、遅い!」

 

奴の拳を受け止めると、そのままこちらへと引く。

それに釣られて奴の体もグンッと引かれて―――――そこへ、肘撃ち。

的確なタイミングで撃ち込まれた肘撃ちがアセムの顎を捉え、一瞬ではあるが、奴の意識を刈り取った!

 

上段への蹴りがアセムの顎を蹴り上げ、奴の体を宙に浮かせると、俺はアセムの顔面を掴んで、そのまま地面に叩きつけた。

その衝撃で土砂が舞い、轟音が響き渡る。

 

「こいつをくらわせてやる!」

 

両腕を大きく広げると、左右の掌に力を集中させていく。

両手に巨大なオーラの塊を二つ作り出した俺は、それらを自身の正面で無理矢理合成させた。

すると、巨大だった力が変質して、更に巨大さを増し―――――、

 

「スーパーアグニだぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

かつてない輝きを持った光の奔流がアセムを呑み込んでいった。

 

 

 

 

ゴゴゴゴ………と、揺れ続けるこの一帯。

炸裂した虹の輝きは大元だった光の奔流が消えても残り続け、未だに宙を漂っている。

 

スーパーアグニ。

アグニの進化発展型。

威力は比べ物にならないが………ちょっと名前がストレート過ぎたかな?

 

無茶なタイミングでの量子化に続き、この超大技だ。

流石に消耗は大きいが、それだけの成果は挙げることが出来たはずだ。

 

光が薄らぎ、視界が戻ってくる。

見えてくるのは端が見えないくらい巨大なクレーター。

下手すりゃ、山がいくつも入るんじゃないだろうか。

そんな大きすぎる窪みの中央にアセムはいた。

 

全身から血を流した姿で。

 

「フフフ………まさか、こんなにもあっさりとしてやられるとはね………。一瞬の隙が命取りになる………分かってはいたんだけど、ここまでとは………」

 

特徴的な白い髪は赤く染まり、魔王の戦闘服もボロボロ。

先程のコンボはアセムに相当な深手を追わせたようだ。

 

肉を斬らせて骨を断つ、そんなところだ。

………まぁ、実際は俺も骨ごと斬られたんだけど、修復出来たので良しとしよう。

 

アセムはダメージに震える体で立ち上がる。

 

「………流石だよ。こんな深手を負わされたのは久し振りだ」

 

「そうか。………終わりにするぞ、アセム。消耗はしたが、戦えない程じゃない。それだけ傷を負ったおまえなら倒せるだけの力は残ってる。だけど、その前に聞かせろ」

 

こいつを倒さないとこの戦いは終わらない。

ここで倒さなければ、こいつはまた立ち上がってくる。

 

だけど、その前にするべきことがある。

 

「戦う前に聞いたな。俺達がいる世界とも、アスト・アーデとも違う異世界のヤバそうな連中が攻めてくることも分かった。それまでに時間が無いことも分かった。だけど、なんでだ? 何がおまえを動かした?」

 

この戦いがいずれ来る戦いのための予行演習と言うのなら、なんでこいつがそれをする必要があったんだ?

アスト・アーデの神であるアセムが、態々、演技までしてこっちの敵意を煽ってまで。

 

俺の問いかけにアセムはフッと笑むと、口を開いた。

 

「言ったはずだよ、勇者君。その答えを知りたいのなら、拳で聞けってね」

 

そう言うとアセムは左手を横へと突き出し―――――例の黒い籠手を出現させた。

 

「これまでの戦いでよーく分かった。君の力は今の(・・)僕よりも上だ。君はどう感じていたかは知らないけど、さっきの量子化がなくても、徐々に僕が推されていただろうね。だからさ―――――」

 

そこまで言ったとき、奴からとんでもないプレッシャーが発せられる!

 

なんだ、この身の毛のよだつ力の波動は………!?

これまでのアセムとはまた別物、目の前に立っている者が別人であるかのような感覚に陥ってしまう………!

 

「君も気になっていただろう? 僕がなぜ、この籠手を使わなかったのか。これまでの戦いは様子見だったのさ。まぁ、フルパワーでやる様子見ってものおかしな感じだけどね。君が今の(・・)僕にどれだけ食らいつけるのか見たかった。そして、君はとうとう僕を超えた。フフフ、期待して作っていた甲斐があったよ。今の君なら新たな僕を見せられる」

 

一瞬、俺はアセムの言っていることが理解できなかった。

いや、理解はしていた。

ただ信じることが出来なかったんだ。

 

様子見だと………?

今の戦いが全部………?

嘘だろ………そんなことが―――――。

 

『何をしている、相棒! 奴が何かをする前に止めろ!』

 

「ッ!」

 

ドライグの声を聞いて、ハッとなった俺はすぐに砲撃の構えを取った。

必殺じゃなくてもいい。

今は奴を止めるだけの力を………!

 

しかし―――――。

 

 

「―――――舞え、絶望蝶」

 

 

アセムがそう呟いた瞬間、奴を中心に莫大な力が解き放たれた!

漆黒の力が渦となって、竜巻みたいになっている!

黒い竜巻が遥か上空まで伸びて、横へと膨張し始める!

 

しっかり踏ん張っていないと呑み込まれそうだ………!

 

空を見上げると黒い竜巻のせいか、暗雲が立ち込み、辺りに幾つもの雷を落としていた。

その一つが俺目掛けて降ってきたので、後ろに飛んで避けるが………。

 

「おいおい………」

 

落ちた雷の衝撃で俺が立っていた場所が弾け飛んでいた。

力を解放した余波だけでここまで………!

 

止む気配のない黒い嵐、その中心が赤く輝いた。

すると、そこから何かが飛び出してきた。

それは禍々しい色の蝶の羽。

アセムが背中から生やしていたあれだ。

ただ、今回はサイズが違いすぎる。

一体何メートルあるのか、その大きさに、その迫力に圧倒される。

 

途端、嵐が止んだ。

あれほど荒れ狂っていた力の渦が、最初から無かったかのように一瞬で消え去った。

流れる静寂の時。

この時間が逆に恐ろしく感じてしまう。

 

「待たせたね」

 

上からの声に反応して、空を見上げる。

 

所々に青い装飾の入った漆黒の全身鎧。

形状は赤龍帝の鎧や白龍皇の鎧に似ているだろうか。

禍々しかった蝶の羽根も透き通った青へと変わり、美しささえ感じる。

だが、そんな美しさに反して、言い知れぬ波動を放っていた。

まるで、全ての災厄を詰め込んだような―――――。

 

鎧を纏ったアセムが言う。

 

「―――――『終焉を呼ぶ絶望蝶(カラミティ・レーゲン・オルタ)』。君達で言うところの禁手だ。フフフ………君なら分かるかな? この力を認識できているかな?」

 

認識できているか、だと?

 

ああ、認識できているよ………!

だからこそ、おまえとの差を理解してしまった………!

頭上に大海が広がっている、そんな感覚さえ持てる程に今の奴の力は大きい………大きすぎる!

上下の感覚が狂ってしまいそうだ………!

 

アセムが手元にオーラを集中させて、新たに鎌を作り出した。

俺は咄嗟に構えを取るが………。

 

アセムが静かな口調で言う。

 

「目を反らさないことだ。瞬きさえ隙となる。気を緩めないことだ。一瞬でも緩めば致命傷だ」

 

アセムが蝶の羽を緩やかに広げ―――――。

 

「野郎………ッ!」

 

「焦るなんてもってのほかだ。だから―――――」

 

その続きは俺の後ろから聞こえてきて、

 

 

 

 

 

 

「もう斬ってしまったよ」

 

 

 

 

 

 

 

鮮血が宙を舞った――――――。

 

 

 




~あとがきミニストーリー~

イッセー「こいつが………シスコンを超えたシスコンを更に超えた………ッ!」

アセム「………ッ! なんというパワーだ! 世界中のシスコンが共鳴している………! いったいどんなシスコンになるというんだ!」

ドライグ『………知らね』

イグニス「あら、ツッコミ放棄」


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