ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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72話 真の名は

[美羽 side]

 

 

「天地創造にも等しいこの力。受けてみるが良い」

 

 

それはボク達に振り下ろされた絶望だった。

空一面に広がる灼熱の炎。

端が見えないほどに巨大なそれは、天そのものが燃えているようにも見えた。

空に浮かぶ炎の海、灼熱の空。

この光景を言い表すとすれば、そうなるだろう。

 

それが降ってくる。

ゆっくり、でも確実にこちらへと迫っていた。

 

「嘘、だろ………なんだよ、これ………?」

 

「あんなのどうすれば良いっていうんだ………」

 

周囲から聞こえてくる声はとても静かなものだった。

悲鳴をあげることすら出来なかったのだ。

ただ呆然と立ち尽くし、空を見上げるその顔にはひきつった笑みが浮かんでいる。

もう恐怖すら感じなくなるほどに感覚が狂ってしまっているのだろう。

彼らは理解したんだ―――――何をしても無駄だということを。

 

神クラスの力は凄まじいものだ。

神々が争えば世界が滅ぶのは間違いないだろう。

この戦いにおいても、神々の力を目の当たりにしてきたが、そのどれもが常軌を逸した凄まじいものばかりだった。

擬似神格とはいえ、神の力を得たボクやアリスさんの力だってそうだ。

だけど、目の前の光景はそんな神の力さえ霞んでしまう。

 

アザゼル先生が額に汗を流しながら言う。

 

「奴は自分とトライヘキサの力の全てを解放したのだろうが、ここまでとはな………! クソッ………どうすりゃ良い!? あんなものを落とされれば、この場にいる者どころか、俺達の世界にまでその影響は確実に及ぶぞ………!」

 

「どうなってしまうの?」

 

リアスさんの問いにアザゼル先生は答えた。

 

「正直、ここまでくると次元が違いすぎて、どれほどの被害が出るか分からん。だが、人間界に冥界、天界、それから各神話勢力圏。全ての世界があれに焼き尽くされるかもしれない。つまり、全ての終わりだ」

 

「………ッ!」

 

アザゼル先生の出した答えに目を見開くリアスさん。

 

ただ一人の攻撃が全てを終わらせようとしている。

ボク達が今まで守ってきたものも、何もかもが消えてなくなる。

そんなの信じたくないし、認めたくない。

ここまで共に歩んできた仲間も、家族も、あの町も、全てが失われてしまう………!

 

迫る灼熱の空に皆が力なく武器を手放してしまう、その時だった。

 

 

「皆、己を捨てるなッ!」

 

 

不意にかけられた言葉。

この場の全員が振り向けば、そこに立っていたのは―――――黄金の獅子を纏ったサイラオーグさん。

 

この戦いでボロボロになった鎧は修復されることもなく、彼の体は全身に傷を負っていた。

明らかに重症の彼は真っ直ぐこちらへ歩み寄ってきた。

 

「おまえ達、何を諦めようとしている! 本当にそれで良いのか!」

 

サイラオーグさんは拳を握り締めてボク達に、戦場の皆に問いかける。

 

「おまえ達は守るものがあるからこそ、この場に来たはずだ! 違うか! 立て! 武器を取れ! 最後の最後まで抗え! 俺達はまだ生きている! 絶望するのはまだ早いッ!」

 

そう叫んだサイラオーグさんは拳に闘気を宿らせて、アセム目掛けて放った!

放たれた拳圧が空を駆け抜け、アセムへと命中する!

 

だが、アセムは何事もなかったかのように平然としている。

ただ一人で世界を文字通り破壊できるアセムに対して、あの攻撃では通じない。

それはサイラオーグさんも分かっているだろう。

それでも、サイラオーグさんは連続で拳を放ち続けた。

生き残るため、大切なものを守るために。

 

サイラオーグさんの拳圧を受け続けるアセムの体に、今度は黒い炎が襲う。

 

「旦那の言う通りだ! まだ俺達にもやれることはかるはずだ!」

 

匙くんだ。

半壊した漆黒の鎧に黒炎をたぎらせて、ヴリトラの炎を放ったのだ。

 

「恐怖を感じたのは久方ぶりだが、このまま終わるのは面白くないな! 何より、あの場所までやらせるわけにはいかないッ!」

 

白銀と漆黒のオーラを纏うヴァーリさんが、極大のオーラをアセムにぶつける!

トライヘキサの分裂体と戦い、かなりの消耗をしているはずなのに、彼は魔王化を発動し、ありったけの力を放っていた!

 

「ふん………ここまで来て、あの時のようなみっともない姿は見せられんな! 俺の炎が通じるかは分からんが、やるだけやってみようか!」

 

ライザーさんまでもが、炎の翼を広げて、フェニックスの業火を放っている!

 

「ここで死んでしまっては彼へのリベンジが出来ないのでね………異世界の神よ、貫かせてもらう!」

 

曹操も聖槍の切っ先を広げて、濃密な聖なる波動をアセムへと解き放った!

 

………彼らの言う通りだ。

まだ諦めるには早すぎる。

ここまで来て、ただただ滅びを受け入れる、そんなことは無理だ。

ボク達は何がなんでも生きて必ず、約束を果たす。

あの家で、あの町でボク達は―――――。

 

「ハァァァァァァァァァァァッ!」

 

ボクは神姫化して、魔力を解き放つ!

手を空に翳して、夜の力を、神の力を集めていく!

そして、今のボクが持つありったけの力を放った!

全身全霊をかけて、あれは必ず防ぎきる!

絶対に落とさせない!

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』

 

大音量の雄叫びが戦場を揺らす。

先程まで武器を落としていた人達も、再び武器を取り、自分に出来る攻撃を放ち始めていた。

あらゆる種族、あらゆる神話の戦士達が一斉にアセム目掛けて攻撃を仕掛けていき、空中で様々な色の爆煙があがっていく。

アセムの姿は煙に包まれ、見えなくなるほどだ。

だが――――――。

 

ドンッと強い振動がボク達を襲う。

上から降ってきた重圧が体に重くのし掛かり、強制的に地に膝を着かせようとしてきた。

 

空には未だ現在のアセムの姿。

当然、空に浮かぶ灼熱の海は消えていない。

それどころか、明らかに先程よりも近づいてきていた。

熱で地面が赤くなり、あちこちから炎が立ち上り始める。

戦士達が握る剣や鎧が溶け始めており、彼らは慌ててそれらを捨て去り、自身を覆う耐熱の魔法をかけていた。

ボクも同じく、耐熱の魔法をかけているが………それを通り越して、熱が伝わり、肌を焼いてくる………!

 

「あ………」

 

声が出なかった。

どれだけ魔法を放っても、どれだけ力を合わせても乗り越えられない。

こんな………こんなことって………。

圧倒的な力がボク達を押し潰そうとした―――――その時。

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!』

 

天地を揺らす叫びと共に強い光がボク達の頭上で輝きを放った。

見上げれば、灼熱の海を迎え撃つ形で虹色の粒子が一面に広がり、ボク達を守ろうとしていた。

その輝きの中心にいるのは――――――。

 

「お兄ちゃん!?」

 

お兄ちゃんが全身から虹のオーラを放出しながら、両手を前に突き出す。

降ってきた灼熱の海と虹色の輝きが衝突する―――――。

 

『ぐぐぐぐぐ………ぐぉぉぉぉぉぉッ!』

 

苦しそうな声を漏らすお兄ちゃん。

受け止めた強大過ぎるな力のせいで、辛うじて残っていた鎧も弾け飛び、アセムの炎がお兄ちゃんの両手を焦がし始める!

お兄ちゃんは口から血を吐き出しながらも、目をしっかり開いて叫ぶ。

 

『落とさせねぇ………! こいつは落とさせるわけにはいかねぇ………!』

 

虹の輝きが灼熱の海に押され、お兄ちゃんの体を更に焦がしていく。

 

『もう誰も傷ついてほしくないし、おまえにももう誰も傷付けてほしくない! おまえ自身もだ、アセム! 聞こえるんだよ、おまえの嘆きがさっきよりも強く! おまえが誓ったように、俺にもあるんだよ、果たすべき約束が!』

 

叫ぶお兄ちゃんの体から発せられる光が強くなる。

その瞬間、ボクの胸が強く締め付けられた。

これって、まさか………!

 

それを理解したボクはお兄ちゃんに向けて叫んだ。

 

「ダメだよ! それは使っちゃダメ! お兄ちゃん!」

 

「イッセー、あんた………! そんなの嫌よ! お願いだから、やめて! イッセー!」

 

ボクの隣ではアリスさんが目に涙を浮かべて叫んでいた。

アリスさんも感じたのだろう、お兄ちゃんが何をしようとしているのか。

 

そんなボク達にアザゼル先生が訊いてくる。

 

「おい! イッセーは何をしようってんだ!」

 

「お兄ちゃんは………自分の命を消費して、あれからボク達を守るつもりなんだよ。ボクとアリスさんの魂はお兄ちゃんと繋がっているから分かるんだ。お兄ちゃんの命がどんどん削られていくのが………!」

 

「あの馬鹿野郎………!」

 

疑似神格を受け取る時に、ボク達三人は深い次元で繋がりを持つことが出来た。

だから、何となくでもお互いのことが分かってしまうんだ。

でも、今回はハッキリと理解した。

お兄ちゃんの命が減っていくこの感覚を………!

 

リアスさんが目を見開いて言う。

 

「そんなこと………! イッセー!」

 

リアスさん以外のメンバーもお兄ちゃんの名前を叫ぶ。

でも、お兄ちゃんは命を使うことを止めない。

 

お兄ちゃんから発せられる光は一層強くなる。

しかし、アセムの放った最後の攻撃はそんなお兄ちゃんでさえ、受け止めきれないもので………。

 

『クソッ………! これでも足りないって言うのかよ、アセム………ッ!』

 

アセムはお兄ちゃんへと手を翳し、静かに告げた。

まるで、最後の別れをするように。

 

「どうやら、僕の勝ちらしい。君達は乗り越えることが出来なかった。………残念だ」

 

灼熱の炎がついに虹の光をかき消した。

お兄ちゃんは真正面から炎を受けて、呑み込まれていく―――――。

 

 

「お兄ちゃん………イッセェェェェェェェェェッ!!!!!」

 

 

[美羽 side out]

 

 

 

 

暗い、真っ黒な世界がただ広がっている。

この感覚には覚えがあるな。

ロスウォードに胸を貫かれて死んだ、あの時の感覚にそっくりだ。

深い海の底に落ちていくような感覚。

手足が冷たく、何も感じない。

だけど、そんな感覚はすぐに消えてなくなった。

 

冷たい世界を通り抜けた先に俺を待っていたのは温かさだった。

冷たくなった体を包み、熱を与えてくれる。

そう、これは―――――。

 

『この世界に来るのは二度目ね』

 

不意に声をかけられた。

 

体を起こし、辺りを見渡すと、広がっていたのは星の輝き達。

無数に点在する星々は様々な色の光を放ち、また、幾つもの流星が光の軌跡を描きながら遥か頭上を通りすぎていく。

そんな世界には虹色に輝く粒子が広がっていて、そこに一人の女性が佇んでいた。

虹色に輝く髪を持つ美しい女性。

とても神秘的な雰囲気を纏う彼女は温かく優しい笑顔を浮かべて、俺を迎えてくれた。

 

俺は彼女と向き合うと口を開いた。

 

「前に来たのは疑似神格を分けた時だったな………イグニス」

 

そう、この女性こそがイグニスの真の姿であり、この世界こそが彼女の本当の世界。

俺はイグニスに問うた。

 

「ここに来たってことは………また死んで、魂が肉体から離れたか?」

 

前に死んだ時はその衝撃でイグニスとの対話に成功したんだった。

………まぁ、あの時はシリウスもいて、色々と焦ることになったけど。

うん、今思い出してもあれは辛かった。

だって、美羽とのイチャイチャを見られてるんだもの!

シリウスも何とも言えない表情だったし、かなり気まずかったわ!

 

で、そんなことは置いておいてだ。

俺の問いかけにイグニスが答える。

 

『いいえ、今回はあの時とは違うわ。時が満ちた、と言った方が正しいでしょうね』

 

「時が満ちた? それって………」

 

イグニスは首を縦に振った。

 

『あなたに―――――私の本当の名前を伝える時が来たのよ』

 

『イグニス』というのは彼女の本当の名前ではない。

彼女は自身の力を抑えるために本当の名前を封じている。

もし、彼女が本来の力のまま顕現すれば、その影響は世界中に及ぶからだ。

『イグニス』としての力だけでも神を容易に滅ぼすだけの力を持っているんだ。

本来の力がどれほどのものなのか、想像もできない。

 

俺は静かな口調で訊ねた。

 

「なんで、このタイミングなんだ? もっと早ければ色々と助かったんだけど?」

 

『それはあなたの力が不足していたからよ。でも、変革者としての力に目覚め、アセム君との戦いを経て、その力はずっと高まった。今では封印を解いた私の力を暴発させず、ギリギリ抑え込めるところまで来たわ』

 

「あれだけ無茶苦茶なパワーアップしたのにギリギリなのかよ………」

 

『それは言ってもしょうがないでしょう? それから理由は他にもあるの』

 

「それは?」

 

俺が問うとイグニスは途端に目元を伏せ、悲しげな表情となる。

 

………こいつのこんな顔を見るのは初めてだ。

いつもはエロエロな思考で周囲を振り回す駄女神。

だけど、今のイグニスからはそんな雰囲気は微塵も感じられない。

でも、だからこそ、それで何となく察することが出来た。

 

「その力を使ったら死ぬ、ってことか?」

 

十分にあり得る話だろう。

『イグニス』としての力ですらほんの一部なんだ。

その本来の力をなんの代償無しに使えるわけがない。

 

しかし、俺の出した答えは半分正解で半分間違いだった。

 

『そうね、命を失うこともあるでしょう。でもね、それだけではないの。この力を使えばあなたは………あなたでいられなくなる』

 

「俺が………俺でいられなくなる?」

 

イグニスの言葉を復唱するように俺は聞き返す。

イグニスが言う。

 

『この力を使った時、あなたは変革者としての力を限界を超えて使うことになる。そして、あなたは器として目覚めるでしょう』

 

「器………?」

 

再度、聞き返す俺。

器に目覚める?

どういうことだ?

というか、器ってなんなんだ?

 

『人の、世界の総意を受け止める器。人々の願いを受け止め、体現する力の塊。あなたの中には多くの人の願いや想いが流れ込んでくることになる。そして、彼らの想いを力に変えることができる。それこそ、世界そのものを変えることだって出来るわ』

 

「変革者の力のスケールアップバージョンみたいな感じか」

 

『簡単に言えばね。でも、そこが問題なのよ。あなたに流れ込んでくるのは、世界中の人々の意思。それは「兵藤一誠」という存在を呑み込んでしまう。例えるなら、大海に一滴の水滴を足らすと同じ。あなたという存在は世界の意思という大海の中に溶けて失われてしまうことになる。この力を使った時―――――兵藤一誠の魂と意思は完全に消えてしまうのよ』

 

俺の魂と意思が消えてしまう。

つまり、それは仮に聖杯の力を用いたとしても復活できないということだ。

もし、俺が何らかの形で復活できたとしても、そこに『兵藤一誠』はいない。

空っぽの存在がただいるだけ。

 

イグニスは酷く辛そうな表情を浮かべていた。

 

『この力をいずれあなたは欲する。大切な人を守るために。そう考えたから、私はあなたに力を授けた。進化するための鍵をあなたに与えた。だけど………本当は使ってほしくなかった』

 

イグニスの頬に一筋の涙が伝っていく―――――。

 

『私はあなたに消えてほしくない。これからも側であなたを見ていたい。………それでも、あなたは行ってしまうのでしょう?』

 

いつもの冗談っぼさは無かった。

いつもの明るい女神じゃなかった。

 

いや………もしかしたら、これまでの日々も、どこかで悩んでいたのかもしれない。

顔や仕草には出さず、心の底ではずっと、この日が来ないことを願っていたんだと思う。

 

俺は小さく息を吐いた。

 

「なるほどな。あいつが、ライトが言っていたのはこういうことか」

 

『なぜ、そこで彼の名前が出てくるの?』

 

「あいつに言われたんだよ」

 

 

―――――おまえは変わる。だけど、本質はバカでスケベで真っ直ぐな『兵藤一誠』のままでいてほしいってこと。俺の親友で、皆の勇者。な、イッセー。

 

 

あいつがこの展開を予想していたとは考えにくいが、どこか分かっていたのかもしれない。

俺が俺でなくなる、その時が来てしまうことを。

 

俺はフッと小さく笑んだ。

 

「なぁ、イグニス。俺は死ぬ気もなければ、変わる気もないよ。必ず帰るって約束したしな。そこに俺がいなかったら約束を破ることになっちまう。………ここまで生きてきて、俺は一つ答えが出せたんだ」

 

『答え?』

 

イグニスが聞き返してくると、俺は強く頷いた。

 

「自分の愛する者が自分のせいで死んでいく、そんな自己犠牲………そいつは間違いだ。残された方は悲しみを背負って生きていかなきゃならない。俺は美羽や皆、それからイグニス。おまえにも背負わせたくない。だからさ―――――」

 

俺は両手を広げて空を見上げる。

そして、高らかに叫んだ。

 

「俺は愛する者のために何がなんでも生き延びる! そして、何がなんでも守り抜いてやる! 生きて、絶対に幸せにしてやる! ま、さっきまで命を削って力に変えてた俺が言っても説得力ないだろうけどさ」

 

苦笑する俺。

正直、いけると思ったんだよ。

悪魔の寿命って永久にも等しいって言われてるし、今の俺の力は龍神クラスに達していたし。

ま、まぁ、俺の見通しが甘かったことは認めざるを得ないんだけど。

というか、アセムのあの技がえげつなさ過ぎるんだよ!

 

俺はそれから、と付け加えていく。

 

「俺が俺でいなくなる、か。そうなったとしても、あいつらがそれを許すと思うか? もし、俺が世界の意思とやらに流され、消されてしまいそうになったとしても、あいつらは必ず俺をそこから引っ張り出してくれる。俺の命が尽きそうになったとしても、あいつらが絶対に消させやしない。俺はそう信じてる」

 

俺はイグニスの目を見つめて、真っ直ぐにそう告げた。

 

もし、俺の命が尽き、俺が俺でなくなろうとしても、あいつらが俺を救ってくれる。

最後は誰かに頼るのかと笑ってくれても構わない。

でも、これだけは言っておきたい。

 

「こいつは自己犠牲じゃないぞ? 俺は仲間と家族を信じてる。だからこそ、その力を使わせてもらう。皆を守るためにな」

 

イグニスは一度、瞑目すると小さく笑みを浮かべた。

 

『そうね。あなたなら、そう答えるのでしょうね。分かったわ。ならば、私もあなたと彼女達を信じましょう』

 

イグニスはこちらに歩み寄ってくると、彼女の体から温かい光が広がり始めた。

イグニスから湧き出た虹のオーラがこの星々の世界を巡っていく―――――。

 

『赤龍帝、赤き勇者、繋ぐ者。兵藤一誠、あなたに無二の力を与えましょう』

 

虹のオーラが俺と彼女を囲み、渦巻いていく。

 

『あなたに私の本当の名前を。封じた私の真の名前を授けましょう。私は《世界》にして《宇宙》、全ての始まりたる《創星》の神。我が神名は―――――』

 

彼女は俺の頬に触れ、その名を、真の名を告げた。

 

『―――――エクセリア』

 

彼女の唇が俺の唇に重ねられた。

 

 

 

 

―――――約束よ、イッセー。必ず帰ってきて………。

 

 

 

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