ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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7話 グレモリー眷属、再集結です!!

本邸に戻り、小猫ちゃんと話をしてから時間は流れ、冥界での修行も本日が最後となった。

 

 

「うおおおおおおっ!!」

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 

一瞬の倍加で俺の力が一気に上昇する!

 

そう、俺は禁手の状態で修行に臨んでいた。

 

今回の修行の総仕上げだ。

 

 

「タンニーン! 今のイッセーを甘く見るなよ!」

 

「分かっている!」

 

 

ドンッ! ドンッ! ドゴォオオオオォォォォォン!!

 

 

タンニーンのおっさんと俺の拳が上空で激しく衝突する。

 

互いに本気。

 

体から発せられるオーラもぶつかり合い、激しく火花を散らす。

 

「私を忘れてもらっては困るな!」

 

横合いから元の姿となったティアの拳が飛んでくる。

 

俺はそれを真っ正面から受け止める!

 

「今のを受け止めるか! 流石だな!」

 

「いや、まだまだ! 俺の実力はこんなもんじゃねぇぞ!」

 

 

ドライグ、全力でいくぞ!

 

『承知!』

 

纏うオーラが膨れ上がり、周囲にスパークを生み出す!

 

禁手(バランス・ブレイカー・)第二階層(ツヴァイセ・ファーゼ)――――『天武(ゼノン)』ッ!!」

 

 

鎧が通常のものから進化し、腕や肩、脚にブースターが増設される。

 

俺の最強形態!

 

だけど、今回は更に上に行かせてもらう!

 

「プロモーション『戦車』!!」

 

俺の中の駒が変化し、攻守が上昇する!

 

 

「それがおまえの全力か! 大盤振る舞いだな、兵藤一誠!」

 

「どうせ、今日で最後なんだ! 思いっきり行かせてもらうぜ、おっさん!」

 

「面白い! ならば、俺も全力で相手になろうか!」

 

 

おお!

 

おっさんとティアが纏うオーラが一段上に上がった!

 

流石は龍王ってところか!

 

 

俺も負けねぇぞ!

 

『Accel Booster!!』

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!』

 

 

全身のブースターからオーラを噴射して、おっさんに突っ込む。

 

迎え撃つおっさんの拳を避けて、拳を放つ!

 

「ぐあっ!」

 

天武の状態に戦車による力の上乗せ。

 

流石のおっさんでもかなりのダメージを与えたはずだ!

 

 

更に追撃を仕掛けようとする。

 

しかし、それはティアの魔法砲撃によって防がれた。

 

俺は一旦下がり、距離を取る。

 

「甘く見るなと言ったはずだぞ、タンニーン」

 

ティアがおっさんの横に並びながら言う。

 

おっさんは頭をポリポリかきながら苦笑いしている。

 

「いや・・・・甘く見ていたつもりはないのだが・・・・」

 

「はぁ・・・・今のイッセーは魔王クラス。おまけにあの形態での瞬間的な力は我々をも超える。あの一撃を受ければおまえとて、ダメージは免れん」

 

「ああ。全く、今代の赤は規格外だな・・・・。では、これならばどうだ!」

 

おっさんは口を大きく開き、巨大な炎を吐き出した!

 

ヤバい!

 

おっさんの本気のブレスとか、まともに受けたらシャレにならねぇ!

 

 

つーか、ティアも魔法陣を幾重にも展開してる!?

 

「追加だぞ、イッセー!」

 

おいおい!

 

ティアもかよ!

 

 

龍王二人の合わせ技とか、俺を殺す気か!?

 

しかも、規模がデカすぎて避けることも出来ねぇじゃねぇか!

 

 

ちくしょう!

 

やってやるよ!

 

 

俺は右手に気を溜めて、それを突き出す!

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!』

 

 

「うおおおおお! ヤケクソじゃああああ! くらいやがれぇぇ!! アグニッ!!!」

 

 

俺から放たれた気の奔流、おっさんのブレス、ティアの魔法砲撃が衝突し――――

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオン!!!!

 

 

グレモリー領上空で大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

二十分後・・・・

 

 

「あー、死ぬかと思った・・・・・」

 

俺、おっさん、ティアの三人は息を切らしながら草原の上で大の字になっていた。

 

「ま、まさか俺達の攻撃を押し返すとは・・・・・。恐ろしいものだ・・・・」

 

「・・・ああ、私もあそこまでやるとは思わなかったぞ・・・・」

 

あんた達が無茶苦茶な攻撃するからだろ・・・・

 

見てみろ、さっきので地形が変わったじゃねぇか。

 

近くに人が住んでなくて良かったよ・・・・・。

 

 

もし、グレモリーの人に怒られたら連帯責任だからな。

 

 

あー、腕やら脚やらあちこちが痛い・・・・

 

「ったく、二人とももう少し手加減してくれよ・・・・修行最終日にして、死にかけたじゃねぇか」

 

それにおっさんが反論する。

 

「何を言う。あの状態のおまえに手加減なんぞすれば、こちらがやられるに決まっているだろう。本気でも勝てるかは分からんというのに」

 

「全くだ」

 

あ、ティアまでそんなことを言いやがる。

 

はぁ、もう疲れたし、これ以上言うのはやめよう・・・・。

 

 

「さて、そろそろ戻るとするか・・・・・イタタタ・・・・」

 

あー、修行で天武の使用時間も延びたけど、使った後は全身がダルいな・・・・。

 

前回よりもマシだけどさ。

 

 

「無理をするな、イッセー。本邸までは私が連れていってやるから」

 

そう言ってくれるティア。

 

いやー、助かるね。

 

流石はティアだ。

 

気が利いてるよ。

 

 

俺がティアの優しさに感動していると、ティアはこちらに背を向けしゃがんだ。

 

え?

 

なに?

 

「ほら、早くしろ。おぶっていってやる」

 

は、はあああああ!?

 

「いやいやいや、ちょっと待て! それは・・・・」

 

俺が焦るのを見てティアは意地悪そうな笑みを浮かべる。

 

「なんだ、恥ずかしいのか?」

 

「そりゃあ、まぁ・・・・・」

 

「ハハハハ! 歴代最強の赤龍帝もおんぶは嫌か!」

 

なんで爆笑してんだよ・・・・

 

赤龍帝とかそんなの関係なしに、俺の歳を考えろ。

 

高校生にもなってお姉さんにおんぶされるとか恥ずかし過ぎるだろ・・・・

 

「いやー、イッセーも可愛いところあるじゃないか! さぁ、私の背に乗れ」

 

「いや、断りましたけど!?」

 

「早くしないとここに置いていくぞ? それでも良いのか?」

 

う・・・・

 

一瞬、歩いて帰ることも考えたが、ここからグレモリー本邸までは二十㎞以上は離れている。

 

今の状態でその距離は辛い・・・・

 

 

 

いや、待て。

 

それならタンニーンのおっさんがいるじゃないか。

 

「お、おっさん・・・・助けて・・・・」

 

「すまんな。ティアマットの機嫌を損ねると後が面倒なんだ。ティアマットの背に乗っていけ」

 

おっさん!?

 

くそぅ、タンニーンのおっさんに見捨てられた・・・・

 

 

 

結局、俺はティアにおんぶされた状態で帰ることになった。

 

 

・・・・・途中、ティアの背中で眠ってしまったことは誰にも言わないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

グレモリー本邸前。

 

「では、俺はこれで帰る。魔王主催のパーティーには俺も参加する予定だ。また会おう、兵藤一誠。それとドライグ」

 

ティアに背負われて帰ってきた俺はタンニーンのおっさんと別れることになった。

 

おっさんは自分の領地に帰るらしい。

 

「色々ありがとう、おっさん」

 

『すまんな、タンニーン。また会おう』

 

「ああ、俺も楽しかったぞ。まさか、ティアマットと共にドライグの宿主の修行に付き合うことになるとは思わなかったぞ。長生きはするものだ。そうだ、パーティー入りの時は俺の背に乗るか?」

 

「いいの?」

 

「ああ、問題ない。俺の眷属を連れて、当日にここへ来よう。ティアマットも一緒に来るか?」

 

「いや、私は予定があるのでな。遠慮しておこう」

 

「そうか。それは残念だ。では、兵藤一誠。さらばだ!」

 

そう言うとおっさんは羽ばたいて空へ消えていく。

 

俺は手を振って見送った。

 

 

 

・・・・ティアの背中の上から。

 

そろそろ下ろしてくれよ。

 

今のティアは人の姿をしてるから、どう見てもお姉さんにおんぶされてる男子高校生にしか見えないんだよ。

 

「さて、私もそろそろ行く。アジュカに呼ばれてるからな」

 

「アジュカさんに? どんな用があるんだよ?」

 

「私とあいつは古い付き合いでな。それで色々とあいつの仕事を手伝ってやってるのさ」

 

へぇ、そうだったんだ。

 

俺はティアの背中からおりる。

 

 

「色々とありがとな。アジュカさんによろしく言っておいてくれ」

 

「ああ。それではな」

 

ティアはそう言うと魔法陣を展開して転移していった。

 

 

さてと・・・

 

「木場、今見たことは黙ってろよ」

 

振り返らずにそう言うと、後ろで驚くような声が聞こえた。

 

「・・・気配は消していたはずなんだけどね」

 

苦笑いしながら建物の陰から出てくる木場。

 

「俺に気付かれないようにするんだったら、気を完全に消さないと無理だぞ。・・・・それにしても、相当腕を上げたみたいだな」

 

木場から感じ取れるオーラの質が修行前よりもずいぶん上がっていた。

 

濃密で静かなオーラだ。

 

流石は木場だ。

 

「イッセー君はずいぶん疲弊してるみたいだけど、どうしたんだい?」

 

「・・・ついさっきまで、龍王二人とガチバトルしてた・・・」

 

「・・・・お疲れさま・・・。肩、貸そうか?」

 

「・・・頼む」

 

木場に肩を貸してもらい、屋敷に入ろうとすると後ろの方から一つの気配が近づいてきた。

 

木場もそれに気付いたのか後ろを振り返る。

 

 

そこにいたのは・・・・全身に包帯を巻いたミイラだった。

 

「おー、イッセーと木場じゃないか。久しぶりだな」

 

「うん、こんなバカなことをするのはおまえくらいだよな、ゼノヴィア」

 

「何があったんだい・・・?」

 

恐る恐る、木場が尋ねる。

 

ゼノヴィアは改めて自分の格好を見て言う。

 

「修行して怪我をして包帯を巻いて、また怪我をして包帯を巻いたらこうなったんだ」

 

「ほとんどミイラ女じゃねぇか!」

 

「失敬な。永久保存されるつもりはないぞ?」

 

「そういう意味じゃねぇよ!」

 

あぁ・・・。

 

出会った時のクールなイメージはどこへやら・・・。

 

いや、修行の成果は見られるけどね。

 

大分強くなってるみたいだし。

 

 

「イッセーさん、木場さん、ゼノヴィアさん! お帰りなさい!」

 

屋敷から出てきたのはアーシアだった。

 

服は制服じゃなくてシスター服。

 

うん、やっぱりアーシアにはこの服だよな。

 

「三人ともお帰り」

 

続いて屋敷から出てきたのは美羽。

 

こっちは完全に私服だった。

 

まぁ、美羽はギャスパーのサポートだから服は適当で良いしね。

 

「おう、ただいま」

 

「あれ? 服は?」

 

「そんなものは疾うの昔に燃え尽きたさ」

 

修行開始数時間で俺の上着はほとんどが炭になったよ。

 

タンニーンのおっさんのブレスでね・・・・。

 

「何か着ないと風邪ひいちゃうよ?」

 

「そうだな。汗を流したら着替えるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

外で修行していた俺、木場、ゼノヴィアはシャワーを浴びて着替えた後、俺の部屋に全員が集まることになった。

 

なんで俺の部屋なのか疑問に思ったけど、一番集まりやすいからという理由でここになったらしい。

 

部長の部屋でいいのでは? という声もあったけど部長が「絶対にダメ!」と強く嫌がったのでナシとなった。

 

なにか見せられないものでもあるのだろうか・・・・?

 

 

まぁ、そんなわけで集まった俺たちは各自の修行を報告していた。

 

木場は師匠との修行顛末、ゼノヴィアはデュランダルをどこまで扱えるようになったかを。

 

俺も龍王二人との修行について話した。

 

皆、完全に引いていた。

 

うん、こうなることはなんとなく予想はついてたよ。

 

だって、グレモリー領の地図を結構変えちゃったもんな。

 

いくつ山が消し飛んだことか。

 

「部長、本当申し訳ないです・・・」

 

「い、いいのよ・・・あの辺りは人もいないし・・・イッセーが無事ならそれで・・・」

 

 

部長、笑顔が引きつってます!

 

そんなに引かないで!

 

俺だってもう少し穏やかにしたかった!

 

だけど、龍王二人が本気で来るんだもん!

 

俺だって本気でいかないと死んじゃうところだったんです!

 

 

・・・・・いや、本当にごめんなさい。

 

 

「それで、どこまでの成果が得られたんだ?」

 

アザゼル先生が尋ねてきた。

 

「とりあえず『昇格(プロモーション)』でどの駒が俺に適しているのかの把握、『天武(ゼノン)』の使用時間の延長はできました。使用後の筋肉痛も以前よりはマシになってます」

 

「まぁ、そんなところだろうな。大体予想通りだ。・・・・ただ、おまえの修行。あれは激しすぎだ。今朝なんて町の方まで衝突音が聞こえてたぞ」

 

マジですか・・・

 

あー、今日は『天武(ゼノン)』を使ってたからより激しくなったんだった。

 

町の皆さん、うるさくして申し訳ないです・・・

 

 

「ま、今日はこんなところだろ。これで報告会は終了だ。特にイッセーは限界が近そうだしな。寝かせてやらねぇと、倒れちまうぞ」

 

先生のおっしゃる通りです・・・

 

疲労が溜まりすぎて限界です・・・

 

眠い・・・

 

「おまえらもこの二週間に渡る集中特訓で相当疲労が溜まってるはずだ。しばらくは十分に体を休ませろ。いいな?」

 

先生の言葉に全員が頷き、そこで解散となった。

 

皆が俺の部屋を後にし、部屋には俺と美羽が残る。

 

「美羽・・・・俺、少し寝るわ・・・」

 

「うん。お休み、お兄ちゃん。修行お疲れ様」

 

 

俺はベッドにダイブして、そのまま眠りについた。

 

 

 


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