ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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新章開始です!


第六章 体育館裏のホーリー
1話 二学期、始まりました!!


冥界から帰ってきてから二週間が経った。

夏休みも無事に終わり、学校の方も二学期へと突入していた。

 

 

いつものように早朝の修行を終えて汗を流した俺は玄関の端に置かれたものを見てどうしたものかと考えているところだ。

 

大量に積まれた豪華な箱の数々。

 

これは全てアーシア宛に送られた物だ。

 

送り主はディオドラ・アスタロト。

若手悪魔の一人で現魔王ベルゼブブを輩出したアスタロト家の次期当主。

 

冥界での若手悪魔の会合の際、アーシアに妙な視線を送っていたやつだ。

そして、合宿から帰ってきた俺達を待ち伏せて、その場でアーシアに求婚しやがったんだ。

 

あの野郎がアーシアの手にキスをした時は思いっきり殴ってやろうかと思ったけど、そんなことをすれば、後々で面倒なことが起こるのは目に見えていたから、なんとか我慢したんだ。

 

あの時、我慢できた自分を誉めてやりたいね。

 

まぁ、部長が間に入ってくれたお陰で問題を起こすこと無く、ディオドラを追い返すことが出来たんだけど・・・・・

 

 

どうにもあいつは気にくわない。

 

いや、特に俺自身が何かをされたわけではないし、そもそも初対面だから、あいつと関わったことがない。

 

そのはずなんだけど・・・・・・俺はあいつが嫌いだ。

特にあいつの目が。

 

あいつの目は何と言うかドロドロしたものを感じる。

特にアーシアに送る視線は愛情とはかけ離れた物のように感じるんだ。

 

 

まぁ、俺が過剰に反応しているだけかもしれない。

 

今は一応の注意だけしておくか。

 

 

 

・・・・・・にしても、この大量の贈り物はどうすればいいんだよ?

 

アーシアは受けとる気は全くないし、むしろ困っている。

それなのに毎日のように送ってきやがるから、迷惑してるんだ。

 

完全にストーカーだよ。

 

 

父さんと母さんは事情を知ったとたん激怒した。

二人とも家に住む人達全員を家族同然に思ってるから、アーシアのことも実の娘のように可愛がっている。

 

娘がストーキングされてると知って、父さんなんかディオドラのところに殴り込もうとしたくらいだぜ?

 

それを止める俺の身にもなれってんだ。

 

 

 

そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。

 

「あら、イッセー。朝の修行は終わったの?」

 

現れたのはジャージ姿の部長だった。

額から汗を流して、首にはタオルをかけている。

 

「俺の方は終わりましたよ。それで、さっきシャワーを浴びてきたところなんです。部長の方は終わったんですか?」

 

「ええ。私達の方もさっき終ったわ。やっぱり皆と一緒にすると修行もはかどるわね」

 

そう言って部長は微笑む。

 

 

家に住むオカ研メンバーはランニングを俺と一緒にこなした後、一旦家に戻り、そこから各自の修行メニューをこなしている。

 

参加メンバーが多いから対戦しながらの修行も行っているそうで、中々にハードなメニューをこなしているようだ。

 

 

まぁ、それは置いといて今は目の前のプレゼントの山を何とかしたい。

 

部長も俺の気持ちが分かったようで苦笑を浮かべる。

 

「ここに置いてあるもの以外にもラブレターや映画のチケットやお食事のお誘い、商品券まであるのよ。・・・・・アーシアも困ってるみたいだから私が処分しておいたのだけど・・・・・。ディオドラは懲りずに送ってくるのよね」

 

流石の部長も困り顔だ。

まぁ、毎日ですからね。

 

「・・・・とりあえず、これも処分しましょうか?」

 

「そうね。学校から帰ったら私が処分しておくわ」

 

 

 

「「はぁ・・・・・・」」

 

 

俺達は盛大にため息をつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

二学期が始まり、駒王学園は九月のイベント、体育祭の準備へと入っていた。

 

ただ、この時期になると、非常にアタマにくる出来事もある。

 

クラスメイトにあか抜けた連中が増えるからだ。

いわゆる夏デビューというやつだ。

 

夏を境に非常にチャラくなるやつらが出てくる。

男子なら髪を染めたり、女子なら今時のギャル風スタイルになったりする。

 

それくらいなら俺も腹を立てることはない。

 

俺がアタマにきているのは別のところにある。

 

 

「夏に彼女をゲットして童貞を卒業・・・・・。中々うまくいかんものだな・・・・・・」

 

と、元浜がしみじみと呟いた。

 

「・・・・・で? 例の情報は得たのか?」

 

俺の問いに元浜は頷く。

 

「ああ。今、松田が最終確認をしに出かけているのだがーーー」

 

「おおおーい! イッセー! 元浜! 情報を得てきたぞ!」

 

教室の扉を勢いよく開けて、駆け込んできたのは松田だ。

 

どうやら情報を得てきたらしい。

 

「やっぱり、吉田のやつ夏に決めやがった! しかもお相手は三年のお姉様らしいぜ!」

 

「「くそったれ!」」

 

俺と元浜はその場で吐き捨てるように毒を吐いた!

 

やはりか!

あの野郎、二学期に入ってから随分と態度がデカくなったと思ったらそういうことか!

 

「あと、大場も一年生の子がお相手だったそうだ!」

 

「なにぃ!? 大場が!?」

 

後ろを振り向くと大場が爽やかな笑顔で手を振ってきた!

 

ちくしょおおおおおお!!

非童貞めぇぇぇえ!!

 

てめぇら、男の貞操をそんなに軽く捨てていいと思ってんのか!

 

俺も捨ててぇぇぇぇ!!!

 

 

そう俺がキレているのは夏に済ませたやつがいるからだ。

そいつら、非童貞共が俺達に向ける蔑んだ目が無性にムカつく!!

 

 

 

こんなはずじゃなかった!

 

俺だって、夏に童貞を捨てたかった!

 

だけど、結局は会合だの修行だのでそんな機会は全くなかった!

 

くそったれぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!

 

 

俺が心の中で絶叫していると、近づいてくる気配がひとつ。

 

「童貞臭いわねぇー」

 

くくくと俺達を嘲笑いながら登場したのは桐生だった。

 

口元をにやけさせて、鼻をつまんでいた。

 

「桐生! 俺達を笑いにきたのか?」

 

元浜の問いに桐生は頷く。

 

「どうせ、あんた達のことだから、意味のない夏を過ごしたんじゃないの?」

 

「うっせー!!」

 

「ところで兵藤。最近、アーシアがたまに遠い目になるんだけど、何か理由知ってる?」

 

と、桐生が尋ねてきた。

 

まぁ、理由は間違いなくディオドラのやつだな。

 

最近のアーシアはボーッとしていることが多い。

授業でさされたアーシアが珍しく慌てていて、教科書を逆さまにしていたこともあった。

 

 

とうのアーシアはクラスの女子と談笑をしているが・・・・

 

なんとかしてやりたいよな。

 

「まぁ、私も出来る範囲でアーシアを助けてあげるから、あんたもしっかり支えてやりなさいよ」

 

「そうだな。サンキュー、桐生」

 

こいつも結構良いやつなんだよなぁ。

 

 

「お、おい! 大変だ!」

 

突然、クラス男子の一人が急いで教室に駆け込んでくる。

 

なんだなんだ?

 

そいつは呼吸を整えて、気持ちを落ち着かせると、クラス全員に聞こえるように告げる。

 

「このクラスに転校生が来る! 女子だ!」

 

一拍あけて―――。

 

『ええええええええええええええええええええっ!!!』

 

クラス全員が驚きの声をあげたのだった。

 

 

 

 

 

 

ガヤガヤと賑わう教室。

 

突然もたらされた転校生の情報に皆は舞い上がっていた。

 

 

ガララッ

 

 

教室の扉が開かれる。

 

現れたのは俺達の担任、坂田先生だ。

 

「朝からうるせーぞ。高校生ですか、コノヤロー」

 

「いや、そのまんまでしょーが!」

 

坂田先生がボケて志村君がツッコム。

もうお馴染みの光景だ。

 

「ほら、テメーら席つけ。元浜はそのエロ本をしまえー」

 

「はーい」

 

先生はそう言うとクラス全員の出席をとっていく。

 

そして、クラスメイト全員の名前を呼び終えたところで桐生が手を挙げた。

 

「先生。今日、うちのクラスに転校生が来るって本当ですか?」

 

「おっ、情報がはえーじゃねぇの。まぁ、この時期には珍しいとは思うが、このクラスの生徒が一人、増えることになった」

 

『おおっ!』

 

先生の言葉に男子生徒のテンションがおかしなくらい高まってる!

だって女子だもん!

そりゃ、テンション上がりますよ!

 

女子も男子の反応に呆れつつも興味津々なようだ。

 

「それじゃ、入ってくれ」

 

先生がそう言ったところで俺は気づいた。

 

あれ?

 

この気ってもしかして――――

 

 

先生の声に促されて入室してきた。

 

『おおおおおおおおおおおっ!』

 

歓喜の声が男子から沸き上がる。

 

登場したのが栗毛ツインテールの相当な美少女だったからだ。

 

しかし、俺は喜びよりも驚きの方が大きかった。

 

見れば、美羽やアーシアも同様でゼノヴィアに至っては目を丸くしてポカンとなるほどだった。

 

レイナはなんのことかよく分からないという表情だ。

まぁ、レイナは彼女のことを知らないから当然か。

 

だって彼女は―――

 

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

 

そう、夏前にゼノヴィアと共にエクスカリバー強奪事件で来日した紫藤イリナその人なのだから!

 

 

 

 

 

 

「紫藤イリナさん、あなたの来校を歓迎するわ」

 

放課後の部室。

 

オカ研メンバー全員、アザゼル先生、ソーナ会長が集まり、イリナを迎え入れていた。

 

ちなみに俺の膝の上には小猫ちゃん。

ここが小猫ちゃんの定位置になりつつある。

 

うーん、お尻の感触がたまらんね!

 

「はい!皆さん!初めまして――の方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します!教会――いえ、天使さまの使者として駒王学園にはせ参じました!」

 

パチパチパチ

 

その言葉を聞いて部員の皆が拍手をする。

 

イリナは天界側の支援メンバーとして派遣されたらしい。

 

 

イリナが「主への感謝~」とか「ミカエルさまは偉大で~」とか始めだした。

 

皆は苦笑しながらも聞いていた。

 

相変わらず、信仰心が強い娘だなぁ・・・・・。

 

それから少ししてアザゼル先生が口を開く。

 

「おまえさん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろう?」

 

まぁ、ここに派遣されるってことはそうなんだろうな。

 

この駒王町は三大勢力の協力圏内の中でも最大級に重要視されている場所の一つらしい。

ここに関係者が来るってことは、ある程度の知識を持っていることになる。

 

当然、『聖書の神』の死についても。

 

「もちろんです、堕天使の総督さま。私は主の消滅をすでに認識しています」

 

そんなイリナを見て意外そうな表情をするゼノヴィア。

 

「意外にタフだね。信仰心の厚いイリナが何のショックも受けずにここへ来ているとは」

 

そんなゼノヴィアの言葉のあと、一泊開けて、イリナの両目から大量の涙が流れ出る!

 

「ショックに決まっているじゃなぁぁぁぁい!

心の支え! 世界の中心! あらゆるものの父が死んでいたのよぉぉぉぉっ!? 全てを信じて今まで歩いてきた私なものだから、それはそれは大ショックでミカエル様から真実を知らされた時あまりの衝撃で七日七晩寝込んでしまったわぁぁぁっ! ああああああ、主よ!」

 

イリナはテーブルに突っ伏しながら大号泣してしまった。

ま、まぁ、今までの心の支えが無くなったのだからしかたがない・・・・・・かな?

 

俺の家は基本的に無宗教だし、そういうのは分からない。

 

ただ、アーシアとゼノヴィアがその事実を知ったときはかなりヤバかったから、そうなのだろう。

 

「わかります」

 

「わかるよ」

 

アーシアとゼノヴィアがうんうんとうなずきながらイリナに話しかける。

 

そして、三人はガシッと抱き合う。

 

 

「アーシアさん! この間は魔女だなんて言ってゴメンなさい! ゼノヴィア! 前に別れ際に酷いこと言ったわ! ゴメンなさい!」

 

イリナの謝罪に二人とも微笑んでいた。

 

「気にしてません。これからは同じ主を敬愛する同志、仲良くしていきたいです」

 

「私もだ。あれは破れかぶれだった私が悪かった。いきなり、悪魔に転生だものな。でも、こうして再会できてうれしいよ」

 

「ありがとう! アーシアさん! ゼノヴィア! これからよろしくね!」

 

『ああ、主よ!』

 

三人でお祈りしだしたよ・・・・・・。

 

とりあえず、仲直り出来たってことで良いのかな?

 

それなら俺も嬉しい。

 

皆で笑顔が一番だからな。

 

 

「ミカエルの使いってことでいいんだな?」

 

アザゼル先生の確認にイリナも頷く。

 

「はい、アザゼルさま。ミカエルさまはここに天使側の使いが一人もいないことに悩んでおられました。現地にスタッフがいないのは問題だ、と」

 

「ああ、そんなことをミカエルが言っていたな。ここは天界、冥界の力が働いているわけだが、実際の現地で動いているのはリアスとソーナ・シトリーの眷属と、俺とレイナーレを含めた少数の人員だ。まあ、それだけでも十分機能しているんだが、ミカエルの野郎、律義なことに天界側からも現地で働くスタッフがいたほうがいいってんでわざわざ送ってくると言ってきてたのさ。ただでさえ、天界はお人好しを超えたレベルのバックアップ体制だっつーのに。俺はいらないと言ったんだが、それではダメだと強引に送ってきたのがこいつなんだろう」

 

アザゼル先生はため息を吐きながらそう言った。

 

なるほど。

 

イリナが派遣されたのにはそういう背景があったのか。

 

最初は悪魔が数名だった部長の根城も随分と大所帯になったものだ。

 

これも和平のおかげだな。

 

 

さてさて、ある程度の話が分かったところで俺はイリナに質問することにした。

 

これはイリナと再会してからずっと気になっていたことだ。

 

「なぁ、イリナ。もしかして、人間じゃなくなった?」

 

「あれ? 分かるの、イッセー君?」

 

「まぁな。イリナの気の流れが以前とは微妙に変わっていたからな」

 

「へー、そんなことで分かっちゃうんだ。ふふ、じゃあ、早速お見せしましょう!」

 

イリナは立ち上がると、祈りのポーズをとる。

 

すると、彼女の体が輝き、背中からバッと白い翼が生えた!?

 

おおおお!?

 

て、天使なのか!?

 

これには俺を含めた全員が驚きだ!

 

いや、アザゼル先生だけが顎に手をやりながら、感心するように見ていた。

 

「―――紫藤イリナといったか。おまえ、天使化したのか?」

 

「天使化? そのような現象があるのですか?」

 

木場が先生に訊くと、先生は肩をすくめた。

 

「いや、実際にはいままでなかった。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われてはいたが……」

 

考え込むように目を細める先生にイリナが頷く。

 

「はい。ミカエルさまの祝福を受けて、私は転生天使となりました。なんでもセラフの方々が悪魔や堕天使の用いていた技術を転用してそれを可能にしたと聞きました」

 

マジか。

 

ということはこの学園に悪魔、堕天使、天使の三種族が勢揃いすることになるのか。

 

さらにイリナは話を続ける。

 

「四大セラフ、他のセラフメンバーを合わせた十名の方々は、それぞれ、Aからクイーン、トランプに倣った配置で『御使い(ブレイブ・セイント)』と称した配下を十二名作ることにしたのです。カードでいうキングの役目に主となる天使さまとなります」

 

先生がイリナの話に興味を示していた。

 

この人は技術とか、その手の話が大好きだからな。

 

 

「なるほど『悪魔の駒』の技術化。あれと堕天使の人工神器の技術を応用しやがったんだな。ったく、伝えた直後に面白いもん開発するじゃねぇか、天界も。悪魔がチェスなら、天使はトランプとはな。まあ、もともとトランプは『切り札』という意味も含んでいる。神が死んだあと、純粋な天使は二度と増えることができなくなったからな。そうやって、転生天使を増やすのは自軍の強化に繋がるか」

 

簡単に言えば『悪魔の駒』の天使バージョンってとこか。

 

そういうことも出来るようになったんだな。

 

「そのシステムだと、裏でジョーカーなんて呼ばれる強い者もいそうだな。十二名も十二使徒に倣った形だ。まったく、楽しませてくれるぜ、天使長様もよ」

 

くくくと先生は楽しげに笑いを漏らしていた。

 

 

「それで、イリナはどの札なんだ?」

 

俺は気になったのでイリナに尋ねた。

 

すると、彼女は胸を張り、自慢げに言う。

 

「私はAよ!ふふふ、ミカエルさまのエース天使として栄光な配置をいただいたのよ!もう死んでもいい!主はいないけれど、私はミカエルさまのエースとして生きていけるだけでも十分なのよぉぉぉぉっ」

 

目を爛々と輝いているイリナ。

 

あ、左手の甲に『A』の文字が浮かび上がっる。

 

「なるほどな。イリナの新しい人生の糧はミカエルさんになったのか」

 

俺が嘆息しながら呟くと、隣でゼノヴィアも応じる。

 

「自分を見失うよりはマシさ」

 

ま、そりゃそうだ。

 

俺はゼノヴィアの意見に同意する。

 

神様の消失で自分を見失うよりは新しい主のもとで仕事に励んだ方が前に進めるってもんだ。

 

イリナは俺達に楽しげに告げる。

 

「さらにミカエルさまは悪魔のレーティングゲームに異種戦として、『悪魔の駒』と『御使い』のゲームも将来的に見据えているとおっしゃっていました!いまはまだセラフのみの力ですが、いずれはセラフ以外の上位天使さまたちにもこのシステムを与え、悪魔のレーティングゲーム同様競い合って高めていきたいとおっしゃられていましたよ!」

 

「ま、天使や悪魔のなかには上の決定に異を唱える者も少なくない。長年争い合ってきた中だ、突然手を取り合えと言えば不満も出るさ。しかし、考えたな、ミカエル。そうやって、代理戦争を用意することでお互いの鬱憤を競技として発散させる。人間界のワールドカップやオリンピックみたいなもんだ」

 

不満を持った人達のうっぷん晴らしみたいなもんかな?

 

まぁ、どちらにしても面白そうだ。

 

「先生、そのゲームが出来るようになる頃には俺も参加できますよね?」

 

「そうだな。ゲームが確立されるのは少なくとも十年はかかるだろう。そのころにはおまえ達も新人悪魔としてプロデビューしている。そうなれば今回の若手悪魔のゲームに参加できなくなったイッセーでも参加出来るさ」

 

よっしゃあ!

 

俺がその舞台で活躍すれば上級悪魔にも昇格してハーレム王になれる可能性も大きい!

 

今から腕が鳴るぜ!

 

「おいおい、気合いを入れるのは良いことだが、大分先の話だぞ? そもそもおまえが本気を出したら大抵のやつがスクラップにされる。自重しろ」

 

「人聞きが悪いことを言わないで下さいよ!」

 

なんだよ、スクラップって!

 

俺がそんな酷いことをするようなやつに見えるか!?

 

『いや、実際にコカビエルを再起不能にしたではないか。それを考えると、あながち間違いでもあるまい』

 

ドライグまでそんなこと言うのかよ!?

 

くそぅ! 拗ねるぞ!?

 

 

先生とドライグの言葉を聞いて、全員が苦笑する。

 

 

「まぁ、その辺りの話はここまでにして、今日は紫藤イリナさんの歓迎会としましょう」

 

ソーナ会長が笑顔でそう言う。

 

イリナも改めて皆を見渡して言った。

 

「悪魔の皆さん!私、いままで敵視していきましたし、滅してもきました!けれど、ミカエルさまが『これからは仲良くですよ?』とおっしゃられたので、私も皆さんと仲良くしていきたいと思います!というか、本当は個人的にも仲良くしたかったのよ!教会代表として頑張りたいです!よろしくお願いします」

 

複雑な経緯もあるけど、これでイリナも駒王学園に仲間入りってことだ。

 

その後、生徒会の仕事を終えたシトリー眷属も加わり、イリナの歓迎会がおこなわれたのだった。

 

 


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