ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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11話 ぶちのめします!!

「うぐっ、うぅぅぅぅ・・・・・」

 

顔を押さえながら後ずさりするディオドラ。

何とも情けない声を出すものだな。

 

俺が殴る直前まではあんなに意気がってたのにな。

 

こいつなんぞ、ドライグの力を借りるまでもない。

素手で十分だ

 

俺はゆっくり歩を進めてディオドラに近づく。

俺が一歩進むとディオドラは二歩くらい下がっていく。

 

「おいおい、何逃げてんだ? さっき、一瞬がどうとか言ってなかったか?」

 

「赤、龍帝・・・・・・ッ!」

 

俺の言葉に激昂したディオドラは手に魔力を溜めて魔力弾を一発撃ってくる。

大きさはそこそこってところか。

 

俺はそれを片手で受け止め―――握りつぶした。

 

「っ!?」

 

驚くディオドラ。

 

俺はそれを無視して歩みを進める。

そして、ディオドラを挑発するように言った。

 

「こいよ。その程度か?」

 

「だ、黙れぇぇぇぇぇ!!!!」

 

ディオドラは俺へと向かい乱雑に魔力弾を放つ。

俺は全ての魔力弾を気を纏った拳で相殺し、その時に生じた煙を振り払い、ディオドラの目の前まで移動する。

そして、そのままディオドラを殴り付ける!

 

再び地面に叩きつけられ、バウンドしながら転がっていくディオドラ。

 

よろよろと体を震えさせながらディオドラは立ち上がる。

 

「ぐっ・・・・・ふざけるな・・・・! 僕は上級悪魔だ! 現魔王ベルゼブブの血筋なんだぞ!」

 

はぁ・・・・

 

俺はこいつの言葉を聞いて盛大にため息をついた。

こいつ、本気で言ってんのか?

 

「上級悪魔? 現魔王の血筋? はっ! おまえがそれを語るなんて片腹痛いぜ。おまえには部長や会長、サイラオーグさんと同じ上級悪魔を名乗る資格はない! おまえがアガレスに勝てたのだって、他人の力を借りたからだろ?」

 

俺の周りの上級悪魔の人達は全員が誇り高く、自分を高めようと日々努力を重ねている。

誇り高く生きようとしている。

そんな誇り高い上級悪魔と目の前のクズが同じ?

そんなものは認めない。

 

あのライザーだって他人の力を借りるなんてマネはしなかった。

そういう点では、ライザーの方が上級悪魔らしいぜ。

 

ったく、なんでアジュカさんの親戚にあいつみたいなやつがいるんだよ? 

あいつはアジュカさんにとって汚点にしかならない。

こんなやつのせいでアジュカさんの足が引っ張られるのは許せない。

 

「っ!!」

 

ディオドラのやつが手元に魔力を溜めて、無数に放ってきた。

 

馬鹿の一つ覚えかよ。

それは俺には効かないってのは分かってないのか?

 

マシンガンのような魔力弾が俺を捉えたかのように見えたのだろう。

ディオドラは大声で笑い出す。

 

「アハハハハハ! 散々僕をバカにしてその程度か、赤龍帝! そうだろうね! 高々、転生悪魔が上級悪魔の僕に敵うはずがないんだよ!」

 

そう言いながら魔力弾を放ち続けるディオドラ。

 

 

だが―――

 

 

「どこ見て撃ってんだ?」

 

「!?」

 

あまりの衝撃にディオドラの攻撃が止まる。

 

ディオドラが後ろを振り返った。

 

「な、なんで僕の後ろに・・・・・!? じゃあ、僕の攻撃が当たったのは何だったんだ!?」

 

「おまえが無駄に攻撃してたのは俺の―――残像だ」

 

回し蹴りがディオドラの腕に命中し、そのまま骨を砕いた。

骨が砕ける感触が蹴りを通して俺に伝わる。

 

こいつが調子に乗って攻撃し続けたのは俺が錬環勁気功で作り出した気による残像。

俺はディオドラの魔力弾が当たる寸前に避けて、背後に回ったんだ。

ディオドラは俺が声をかけるまで、それに気付かずに魔力の無駄撃ちをしてたけどな。

 

「ぐああああああっ!?」

 

あまりの痛みに絶叫をあげるディオドラ。

だが、俺は容赦なくやつに言った。

 

「痛いか? 苦しいかよ? まぁ、そりゃあそうだろうな。だがな、アーシアはもっと苦しかったんだ!」

 

そう言って、俺はボディーブローをやつにくらわし、神殿の端まで吹き飛ばす!

 

飛ばされたディオドラは神殿の柱に衝突。

柱は衝撃で崩壊する。

 

「おまえに騙されて! アーシアは傷ついて! 泣いていたんだよ! アーシアを、俺の家族を傷つけるやつは例えどんなやつでもぶちのめす!」

 

俺から発せられる赤いオーラが神殿を大きく揺らす!

それのオーラは形をなし、俺の背後に巨大な赤い龍になる。

その赤い龍はディオドラを鋭い眼光で睨み付けた。

 

「ひっ!」

 

赤い龍に睨み付けられたことで、恐怖の声をあげるディオドラ。

そして、悪魔の翼を広げて神殿の外に逃げようとしやがった!

 

俺は地面を蹴って瞬時にあいつの先に回り込む!

 

「逃がすわけねぇだろ!!」

 

ディオドラの顔面をつかんでそのまま地面に叩きつける!

俺は着地して、ディオドラを叩きつけたところに歩み寄る。

 

「言ったはずだぜ? おまえには絶望を見せてやるってな」

 

「う、うわあぁぁぁぁぁああ!!! 来るなぁぁぁぁああ!!」

 

ディオドラは叫び、俺をこれ以上近づけまいと魔力障壁を展開する。

 

往生際が悪いやつだ。

アーシアを散々傷付けておいて、自分が殴られるのはそんなに嫌なのかよ?

 

こんなやつにアーシアが傷付けられたと思うと俺の怒りは更に増していく。

 

「こんな薄っぺらい障壁で俺を止められると思うな!」

 

拳を振りかぶり、障壁に叩きつける。

すると、ディオドラが展開した魔力障壁はガラスが割れるような音と共に呆気なく崩れ去った。

 

「な、なんで!? なんで、僕の魔力が効かない!? 僕はオーフィスの『蛇』で力を上げたというのに!」

 

喚くディオドラの襟首を掴んで、無理矢理立ち上がらせ―――拳を腹部に撃ち込む!

更に顔面にももう一撃!

 

「ぐわっ! がはっ! ・・・・・痛い。痛いよ! どうして!」

 

「どうせ、今まで痛みを感じたことがないんだろ? 痛みを知らないから平気で他人を傷つける。いい機会だ、勉強していけ。これが痛みってやつだ!」

 

気を纏った拳がディオドラの腹部を抉る!

 

内蔵が潰れたような音が聞こえた。

恐らく、骨も何本かは砕けてるな、これは。

 

まぁ、この程度で終わらせるつもりは全くない。

この程度で終わらせるはずがない。

 

ディオドラを宙に放り投げるのと同時にやつの全身に蹴りと拳を放っていく!

こいつにはサンドバックになってもらう!

 

コカビエルの時と同様、拳と蹴りによる弾幕。

こいつの意識が無くならないよう、的確に各部に攻撃をぶつけていく!

楽にはさせない。

こいつは徹底的に再起不能になるまでぶちのめす!

 

そして、数秒もしない内にディオドラはボロ雑巾のようになった。

辺りにはディオドラの血が大量に飛び散っている状態だ。

 

「・・・・・・うっ・・・・・・・あっ」

 

苦痛の声をあげるディオドラ。

 

『相棒、そろそろ終わらせたらどうだ? そいつの目はもう死んでいる』

 

「そうだな。そろそろ、終わりといくぜ」

 

息を深く吐き、錬環勁気功で身体中の気を爆発的に増大させる。

腰を落とし、拳を引いて狙いを定めた。

 

身体を回転させながら落下するディオドラの顔がこちらを向いた瞬間―――

 

「せぇーのぉ!」

 

強烈な一撃がディオドラの顔面を捉える!

拳が命中したディオドラは幾つもの柱を崩壊させていき、遂には神殿の奥にある壁に埋没した。

 

声も上げずに崩れ落ちるディオドラ。

やつの目は完全に光を失っていた。

 

 

「死んだのか?」

 

ゼノヴィアが俺に近づきながら尋ねてきた。

 

「いや、殺しちゃいないさ。というより殺さない。死はあいつにはぬるすぎる。あいつにはこれからも生きて、とことんまで絶望してもらう。・・・・それにあんなやつでも肩書きは上級悪魔で一応はアジュカさん、現魔王の血筋だ。殺したらサーゼクスさん達に迷惑をかけるかもしれない。最終的な判断はサーゼクスさん達に任せるさ」

 

「そうか・・・・」

 

「大丈夫だ。サーゼクスさん達は優しいけど、厳しい人だ。相応の裁きはしてくれるさ」

 

「・・・・うん。イッセーがそう言うのならそうなのだろう。私はイッセーの判断を信じるよ。・・・・・だが、もし再びアーシアに近づくようだったら―――」

 

「あぁ、その時は―――」

 

俺とゼノヴィアは視線を気絶しているディオドラに向ける。

 

「「跡形もなく消し飛ばす」」

 

俺達はそれだけ言うと、アーシアの方へと駆け寄った。

 

「アーシア!」

 

装置のあるところへ皆が集合していった。

 

「イッセーさん! 皆さん!」

 

俺はアーシアの頭を優しくなでてやる。

 

「ゴメンな、遅くなって。辛いこと聞かされたんだろう?」

 

俺が尋ねるとアーシアは首を横に振った。

 

「私は大丈夫です。イッセーさんが来てくれると信じてましたから」

 

「そっか」

 

安堵したのか、アーシアは嬉し泣きをしていた。

よし、アーシアを救出したらアザゼル先生が言っていた地下シェルターに部長達を連れていって、俺も先生達のところに加勢しよう。

天界や堕天使の戦士としてイリナやレイナも戦っているわけだし。

 

アーシアを装置から外そうと木場達が手探りに作業をし始めていた。

 

―――だが、少しして木場の顔色が変わる。

 

「・・・・手足の枷が外れない」

 

何!?

 

俺もアーシアと装置を繋ぐ枷を取ろうとするが、外れない。

 

禁手となって鎧を着込んだ状態で枷を外そうと試みるが―――

 

「クソッ! 外れねぇ!」

 

嘘だろ!?

赤龍帝のパワーでも外れないのか!

 

天武(ゼノン)』を使うか?

いや、あまり無茶をするとアーシアにまで影響を与えてしまう可能性がある。

それはマズい。

 

アーシアの四肢についている枷を外そうとこの場にいる全員で取り払おうとするが、聖魔剣、聖剣で切ろうとしても、魔力をぶつけてもビクともしない!

 

なんだ、この枷!?

特別製なのか!?

 

俺は気絶しているディオドラに近づき、往復ビンタをくらわせて無理矢理、目を覚まさせる。

 

「・・・・・うっ。ひっ! せ、赤龍帝!?」

 

「うるせぇ! 喚くな! 俺の質問に答えろ。あの枷はなんだ? どうやったら外れる?」

 

俺が尋ねるとディオドラは言葉少なく呟いた。

 

「・・・・・あの装置は機能上、一度しか使えない。が、逆に一度使わないと停止できないようになっているんだ。―――あれはアーシアの能力が発動しない限り停止しない」

 

「続きを言え」

 

俺ががそう言うと苦しそうにしながらもディオドラは答える。

 

「その装置は神器所有者が作り出した固有結界のひとつ。このフィールドを強固に包む結界もその者が作り出しているんだ。『絶霧(ディメンション・ロスト)』結界系神器の最強。所有者を中心に無限に展開する霧。そのなかに入ったすべての物体を封じることも、異次元に送ることすらできる。それが禁手に至ったとき、所有者のすきな結界装置を霧から創りだせる能力に変化した。―――『霧の中の理想郷(ディメンション・クリエイト)』、創りだした結界は一度正式に発動しないと止めることはできない」

 

木場がディオドラに問いただす。

 

「発動条件と、この結界の能力は?」

 

「・・・・・発動の条件は僕か、他の関係者の起動合図、もしくは僕が倒されたら。結界の能力は―――枷に繋いだ者、つまりはアーシアの神器能力を増幅させて反転させること」

 

―――っ!

 

つまり回復の能力を反転させる。

 

それはつまり―――。

 

木場はさらに問いだす。

 

「効果範囲は?」

 

「・・・・・このフィールドと、観戦室にいる者たちだよ」

 

その答えに全員が驚愕した。

アーシアの回復の効力は凄まじい。

それが増幅されて反転させられたら・・・・・っ!

 

「・・・・・各勢力のトップ陣がすべて根こそぎやられるかもしれない・・・・・ッ!」

 

マズいな・・・・・。

そんなことになれば、人間界も天界も冥界にも、世界中に影響が出る。

 

「ねぇ、これって外側からは外れないんだよね?」

 

美羽がディオドラに問いかける。

 

「・・・・・そうだよ」

 

美羽はその答えを聞くと今度は俺の方に視線を移す。

 

「お兄ちゃん、ボクに赤龍帝の力を譲渡してくれないかな?」

 

「? 何をするつもりだ?」

 

「この結界が外からの力で壊せないなら、内側から解除すればいいんじゃない?」

 

「・・・・・なるほど。でも、オーディンの爺さんでも解除できない結界を張ることが出来るやつが作った結界だ。そう簡単にいくか?」

 

そう、このフィールドに展開されている結界とアーシアを繋いでいる枷は同じ神滅具の所有者から作られている。

 

スケベジジイとはいえ、術に秀でている北欧の主神が解除出来ないほどの代物を作る所有者の実力は凄まじいと言える。

 

 

すると、美羽は俺に近づいてきて、俺にしか聞こえない声で言った。

 

「大丈夫。お父さんから教わっているとっておきの魔法があるから」

 

「―――!」

 

シリウスから教わったとっておき、か。

 

そんなものがあったなんてな。

 

「それってかなり強力なやつなんじゃないのか? いけるのか?」

 

俺が尋ねると美羽は頷いた。

 

「今のボクの力じゃ、まだ完璧じゃない。でもボク達(・・・)の力を合わせれば―――」

 

強い瞳で言う美羽。

 

そうだよな、美羽だってアーシアを助けたいんだ。

その気持ちは同じなんだ。

 

試してみる価値はある。

 

妹を信じるのも兄貴の役目だよな!

 

「よし! じゃあ、やってみるか!」

 

「うん!」

 

「ドライグ、おまえも力を貸してくれ!」

 

『無論だ』

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

禁手の状態で一気に倍増の力を溜めていく!

 

美羽がアーシアを縛る結界を囲む大きな魔法陣を展開する。

 

その美羽に対して俺は溜めた力を譲渡!

 

『Transfer!!』

 

美羽の力が一気にはね上がり、その体から絶大なオーラを発している!

美羽は目を閉じ、何やら呪文らしきものを呟いている。

 

他の皆も俺と同様、見守るように美羽を見つめている。

 

そして、美羽は目を開く。

 

「アーシアさん、絶対に助けて見せるからね」

 

美羽はアーシアにそう言うと、その魔法の名を口にする。

 

 

「『我、神をも見透かす者なり(ドゥルヒ・ゼーエン)』」

 

 

魔法陣が青白く輝いた。

 

 

その瞬間――――

 

 

バキンッ

 

 

枷にヒビが入ったと思うと、結界はあっという間に崩れ去り、アーシアは解放された。

 

あまりにも呆気なく結界が崩れ去ったので、皆は間の抜けた表情となっている。

 

 

「ふにゃあ・・・・・」

 

「おっと」

 

魔法を使って消耗したせいか、美羽が倒れそうになるのを俺は受け止める。

 

今の魔法の名前を聞いたことがある。

 

さっき美羽が使ったのは俺が行った異世界で最高峰の魔法の一つ。

全ての物質、能力の構造・性質を解析し、内側から崩す魔法。

恐ろしいのはその対象範囲。

一般的なものから、神が作るものさえ解析し、崩壊させると聞いている。

ただし、消耗が大きくここぞという時にしか使えないのが欠点であり、他にも色々と制約があるらしいが・・・・・。

 

シリウスのやつこんな魔法を使えていたのか。

もし、シリウスが俺との戦いで使っていたら負けてたかもな。

あの時、なんで使ってこなかった・・・・・?

 

まぁ、考えるのは今度でいいか。

 

「よくやった美羽。お疲れさま。つーか、あんな魔法覚えてたのかよ。初めて見たぞ」

 

「あははは、まぁね・・・・。ボクは大丈夫だから、アーシアさんの所に行ってあげて」

 

「そうだな・・・・・。小猫ちゃん、美羽のこと任せていいか?」

 

「・・・・はい。美羽先輩、大丈夫ですか? 仙術で楽にするのでそのままでいてください」

 

「ありがと~」

 

俺は近くにいた小猫ちゃんに美羽を任せてアーシアの元に行った。

 

「イッセーさん!」

 

「アーシア!」

 

枷から解放されたアーシアが俺に抱きついてくる!

 

うんうん、アーシアが戻ってきてくれて良かったよ!

 

「信じてました、イッセーさんが助けに来てくれるって信じてました」

 

ゼノヴィアが目元を潤ませていた。

 

「アーシア! 良かった! 私はおまえがいなくなってしまったら・・・・・」

 

アーシアはゼノヴィアの涙を拭いながら微笑む。

 

「どこにも行きません。私とゼノヴィアさんはいつも一緒です」

 

「うん! そうだな! 私達はずっと一緒だ!」

 

抱き合う親友同士。

アーシアとゼノヴィアの友情は美しいなぁ。

 

俺は木場と―――――絶対に! 断固として断る!

 

「美羽さん、皆さん、ありがとうございました。私のためにこんな・・・・」

 

「気にしないでよ。ボク達とアーシアさんは家族なんだから」 

 

アーシアが一礼すると美羽や皆も笑顔でそれに応える。

 

すると、部長がアーシアを抱きしめる。

 

「部長さん?」

 

「アーシア。そろそろ私のことを部長と呼ぶのは止めてもいいのよ? 私はあなたを妹のように思っているのだから」

 

「―――っ。はい! リアスお姉さま!」

 

部長とアーシアが抱き合っている。

感動のシーンだな!

 

「よかったですぅぅぅぅっ! アーシア先輩が帰ってきてくれて嬉しいよぉぉぉぉ!」

 

「ギャー君、よしよし」

 

ギャスパーもわんわん泣いてやがる。

つーか、小猫ちゃんに頭撫でられてるし。

 

あー、とりあえずは一段落か。

 

「さて、アーシア。行こうか」

 

「はい! と、その前にお祈りを」

 

アーシアは天になにかを祈っている様子だった。

 

「何を祈ったんだ?」

 

尋ねるとアーシアは恥ずかしそうに言った。

 

「内緒です」

 

笑顔で俺のもとへ走り寄るアーシア。

 

 

 

――――っ!!!

 

 

 

突然現れる無数の気配!

 

上を見上げると、一人の男が掌をアーシアに向けていた!

 

 

ちっ! このタイミングで新手かよ!

 

 

「アーシア!」

 

「キャッ」

 

俺は咄嗟にアーシアを庇うように抱きつく。

 

 

「美羽! 皆を頼む!」

 

 

それだけ言い残すと、俺達は光に包まれた。

 

 

 


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