ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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13話 俺、暴れます!!

[アザゼル side]

 

 

『禍の団』旧魔王派の討伐が始まってから結構な時間が経った。

 

俺の持ち場にも最初はかなりの数の悪魔がいたが、それももうすぐ片付けられるところまできている。

 

「こちらアザゼル。イリナ、レイナーレ、そっちの状況は?」

 

俺は他の場所でまだ戦闘を続けていると思われる二人に通信を入れる。

 

『こちらイリナです。私の方はほとんど討伐できました。今は他の御使い(ブレイブ・セイント)の人達と残党との戦闘を行ってます』

 

『こっちも似たような感じです。シェムハザ様と行動を共にしていますが、もうすぐ終わりそうな感じです。総督の方はどんな状況ですか?』

 

「俺のところもほぼほぼ終わりって感じだな。俺はこのまま作戦を続ける。二人とも掃討を続けてくれ。だが、くれぐれも気を抜くなよ? 向こうは俺達を滅ぼすつもりで来てるんだからな。最後にどんなことを仕掛けてくるか分からない。いいな?」

 

『『了解!』』

 

俺はそこで通信を切った。

 

ミカエル達からも似たような報告を受けている。

 

このままいけば、旧魔王派の悪魔共はだいたい片がつくな。

 

 

・・・・・だが、妙だな。

一向に敵の首謀者が姿を現す気配がない。

 

今回の首謀者、旧ベルゼブブと旧アスモデウスの末裔。

シャルバ・ベルゼブブとクルゼレイ・アスモデウス。

 

奴等のことだから、てっきり現魔王かミカエル、もしくは俺のところにでも姿を現すと思ったんだがな・・・・・。

部下からもそれらしい姿を見たという報告は一切ない。

 

考えられるとすれば・・・・・・・リアスのところ、か。

 

これまで旧魔王派の連中は現魔王本人ではなく、その関係者を狙うという行動を取っている。

それを考えるとリアス達のところに姿を現していてもおかしくはない。

 

だが、これだけ大掛かりな侵攻をしておいて、狙いがリアスってのは解せないな。

何か作戦があるのか、それともその作戦が失敗したのか。

 

もし本当にリアス達のところにいるなら、それはマズいな。

あちらにはイッセーだけじゃなく、オーディンのジジイもいる。

大丈夫だとは思いたいが・・・・・・。

 

どちらにしろ、早くここを片付けて、援軍に行ってやる方が良さそうだ。

 

 

その時、ファーブニルを宿した宝玉が何かに反応したように淡く輝いた。

それと同時にフィールドの一番隅っこに人影を一つ確認する。

 

俺は宙を飛んでそこへ向い、その人影の前に降り立つ。

 

腰まである黒髪の小柄な少女。

黒いワンピースを身に付け、細い四肢を覗かせている。

 

少女は端正な顔つきだが、視線をフィールド中央に並ぶいくつもの神殿の方へと向けていた。

 

「まさか、おまえ自身が出張ってくるとはな」

 

少女はこちらに顔を向けると薄く笑う。

 

「アザゼル。久しい」

 

「以前は老人の姿だったか? 今度は美少女さまの姿とは恐れ入る。何を考えている――――オーフィス」

 

そう、こいつは『禍の団』のトップ、『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス。

 

姿こそ違うが、こいつから漂う不気味で言い様のないオーラはオーフィスのものだ。

 

以前はジジイの姿だったが、今回は黒髪少女かよ。

まぁ、こいつにとって姿なんてのは飾りみたいなもんだけどな。

いくらでも変えることができる。

 

問題なのはそこじゃない。

こいつ自身がこうして出張ってきていることだ。

それほど重要な作戦なのか?

 

神殿の方に視線を向けているということは、そっちに作戦の中心があるのかもしれない。

そうなると、あいつらが危険だ。

 

「見学。ただ、それだけ」

 

「高みの見物のつもりか? ・・・・・ここでおまえを倒せば世界は平和になる、か?」

 

俺は苦笑しながら光の槍の矛先を突きつけるが、奴はただ笑みを浮かべるだけ。

 

「無理。アザゼルでは我は倒せない」

 

だろうな。

俺だけじゃおまえを倒すことは不可能だ。

いや、今回の作戦に参加した各勢力の幹部クラスが集まっても倒すことは出来ないだろうさ。

こいつはそれだけの存在なんだ。

だが、ここでこいつを倒せば、『禍の団』に深刻な大打撃を与えるのは確実なんだよな。

 

そんなことを考えていると、俺の隣に転移用魔法陣が展開された。

現れたのは紅髪の魔王サーゼクス。

 

「サーゼクス、どうして出てきた?」

 

俺が尋ねるとサーゼクスはオーフィスの方に視線を向けたまま言う。

 

「ここに彼・・・・・いや、今は彼女か。オーフィスの気配を感じた。一度、彼女とは話がしたいと思っていた。あれほど、世界に興味を示さなかったあなたがなぜ今頃テロリストの親玉などをすることにしたのだ?」

 

「暇潰し、なんて冗談は止めてくれよ? おまえの行為はすでに世界各地で被害を出しているんだからな」

 

俺もサーゼクスに続き、オーフィスに問う。

 

こいつがトップに立ち、その力を様々な危険分子に貸し与えた結果、各勢力に被害をもたらしている。

死傷者も日に日に増えており、俺の部下も何人か死んでいる。

もう無視できないレベルだ。

 

何がこいつをそうさせたのか、俺には分からなかった。

いままで、世界の動きを静観していた最強の存在が何故今になって動き出したのか。

 

返ってきた答えは予想外のものだった。

 

「―――静寂な世界」

 

・・・・・・・

 

「は?」

 

一瞬、何を言ったのか分からず、聞き返してしまう。

 

すると、オーフィスは紫色の空を見上げながら言った。

 

「故郷である次元の狭間に帰り、静寂を得たい。ただそれだけ」

 

――――――!

 

おいおい、マジかよ。

 

普通ならホームシックかよと笑ってやるところだが、次元の狭間ときたか。

 

あそこには確か――――――

 

「我はグレートレッドを倒し、次元の狭間に戻りたい」

 

確かに今、次元の狭間を支配しているのは奴だ。

まさか、それを条件に旧魔王派共や他の勢力の異端児に懐柔されたのか?

 

なるほど。

ヴァーリ、おまえの目的が分かったぜ。

おまえは―――

 

 

俺の思考がそこに至った時、とある変化に気付く。

 

 

・・・・暑い。

 

あまりの暑さに汗が噴き出してやがる。

見れば、隣にいるサーゼクスも同様だった。

 

近くで戦闘を行っている部下たちや旧魔王派の連中も変化に気付いたのか、戸惑っている様子だった。

 

このフィールド全体の気温が上がっているのか・・・・?

 

一体何が起こっている?

 

 

[アザゼル side out]

 

 

 

 

 

 

 

パリィィィィィン

 

紫色の空にガラスが割れるような音が響く。

空には大きな裂け目ができていて、そこからは次元の狭間の万華鏡を覗いたような光景が見えた。

 

「部長、皆、遅くなってゴメン。無事か?」

 

突然の俺の登場にこの場にいる全員が驚き、動きを止めて俺の方に視線を送っていた。

 

「イッセー・・・なの?」

 

部長が戸惑いが混じった声で尋ねてきた。

 

「ええ、そうですよ。部長、ケガはありませんか?」

 

俺がそう答えると部長はどこか安堵したかのような表情になり、その場にペタンと尻餅をついた。

 

「本当にイッセーなのね? よかった・・・・。本当によかった・・・・。アーシアも無事なのね?」

 

「はい。気絶してますがケガ一つしてませんよ。・・・・・部長、アーシアを頼みます」

 

左手で抱えていたアーシアをそっと部長の前に寝かせる。

そして、俺達を取り囲んでいる旧魔王派の悪魔に向かって全力の殺気を放った。

 

それに呼応するかのように大気が揺れ、地面に地割れが生じる。

 

「てめぇら、よくもやってくれたな・・・・・」

 

その言葉に反応したのは俺がさっき腕を斬り落とした男。

出血する腕を抑えながら声を荒げる。

 

「なぜだ!? なぜ貴様がここにいる!? きさまはシャルバが次元の狭間に送ったはずだ! どうやって出てきたというのだ!?」

 

俺とアーシアをあそこに送った奴はシャルバっていうのか。

後ろでこっちを見ているあいつだな・・・・。

 

あの時、俺が一瞬でも遅ければアーシアはあいつに・・・・

 

俺は目の前の男を睨みつけながらその質問に答える。

 

「別に・・・。ただ、空間を無理やり斬り裂いて出てきただけだ。それ以外は何にもしちゃいないさ」

 

「なっ!?」

 

驚愕の声をあげる男。

 

そんなに驚くことかよ?

 

『それは仕方があるまい。空間を斬り裂くなんてことは特殊な能力でもなければ普通は出来ない。その剣の力は俺から見ても異常だ』

 

ドライグにそう言われ、俺は右手に握る剣に視線を移す。

 

ゼノヴィアが今手にしているデュランダルやアスカロンのような装飾はないが、鍔が白毛で覆われているのと、巨大な片刃の刀身が特徴的だ。

 

 

――――――『真焱の大剣』イグニス

 

 

俺がいた異世界において、神をも殺すと言われる炎を司る剣。

そして、美羽を託された時にシリウスから譲り受けたものでもある。

 

その力の強大さにシリウスですら使いこなせなかった代物だ。

もちろん、俺も。

 

力の制御が出来ないため、周囲にまで影響を与えてしまう。

現にイグニスを出していることで、フィールドの気温がどんどん上昇している。

下手をすると味方まで傷つけてしまう可能性がある非常に危険なものだ。

そして、こいつは自分が認めた者以外の言うことはあまり聞いてくれないらしい。

赤龍帝の鎧を纏っていても右手が焼けそうなくらいに熱い。

 

これはさっさと終わらせないと本当に右腕がイカレてしまうかもな・・・・

デュランダルもゼノヴィアの言うことを聞かない暴君だと聞いていたけど、こいつの方がタチが悪いぜ。

 

「美羽。疲れているところ悪いけど、皆を一か所に集めて空間遮断型の結界を張ってくれ。ここから先は俺も力の加減ができない」

 

俺がそう頼むと美羽は静かに頷く。

 

しかし、今の言葉に他の木場が反対する。

 

「いくらなんでも無茶だ、イッセー君! これだけの数を一人で相手にするつもりなのかい!?」

 

「そうですわ! あなただけにそんなことをさせるわけにはいかないわ! 私達も戦います」

 

朱乃さんまでもが声を荒げて反対してくる。

 

まぁ、確かに今からしようとしていることは無茶だ。

この場を切り抜けても、その後でなんらかの後遺症が俺を襲うことだってありうる。

 

だけど――――

 

俺が二人にそれを伝えようとするまえに美羽が二人を止める。

 

「・・・・皆、お兄ちゃんの言葉に従って。ここから先はボク達は足手まといにしかならない。・・・・だから、お願い」

 

「「・・・・・っ!」」

 

美羽の懇願に二人は戸惑う。

 

そう、皆には悪いけど実際には美羽の言う通りだ。

皆が万全の状態ならともかく、今はかなり消耗しているし、傷を負っているメンバーもいる。

しかも、今は気絶したアーシアを守りながら戦わなければならない状況。

そんな状態では目の前の百を越える相手に生き残ることはとてもじゃないが無理だ。

 

更に言うならば、イグニスによる影響が皆に及ぶことを恐れての判断だ。

 

美羽も本当は反対なんだろうけど、それを理解してか苦渋の決断といった表情をしている。

 

「・・・・分かったわ。イッセーの言う通りにしましょう・・・・」

 

部長は頷くが、美羽同様の表情だ。

自分も戦えないことが悔しいんだろうな・・・・。

 

でも、ここは堪えてください、部長。

 

美羽が皆を囲むくらいの魔法陣を展開してドーム状の結界を展開する。

 

空間遮断型の結界だから、イグニスによる被害を受けることは避けられるはず。

 

「美羽、もう少しだけ皆を頼むな」

 

「・・・・うん。だから・・・・絶対に生きて帰ってきて」

 

「分かってるさ」

 

一言だけ返し、周囲を見渡す。

 

それにしても、なんつー数を集めてきやがったんだよ。

部長を狙うにしてもこんなに数を連れてくる必要あったのか?

 

『いや、おそらくは相棒を警戒してのことだろう。まぁ、数に頼らなければ何もできない情けない奴らということには変わりがないがな』

 

その意見には同意するぜ、ドライグ。

 

 

「貴様一人で我らを相手にするというのか? ずいぶん舐められたものだ」

 

シャルバが俺に言ってくる。

それに合わせて、旧魔王派の悪魔から放たれる俺への殺気が強くなった。

 

「ああ。おまえらごときなら俺だけで十分だってことさ! いくぜ、ドライグ!」

 

『応!』

 

鎧から莫大なオーラが発せられる!

 

そして、翼に格納されているキャノン砲が二門、腰に折りたたまれているキャノン砲が二門、籠手の外側に折りたたまれていた砲門が二門。

合計六門もの砲門が一斉展開される!

 

これが俺の新しい力。

 

禁手(バランス・ブレイカー)第二階層(ツヴァイセ・ファーゼ)・砲撃特化―――――『天撃(エクリプス)

 

天武(ゼノン)の格闘の力を砲撃の力に振った殲滅戦用の形態だ!

 

『Accel Booster!!』

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!』

 

 

ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

 

 

倍増によって瞬間的に高められた俺の気と魔力が混ざり合い、鳴動する!

 

それぞれの砲門の照準を定め、一斉斉射する!!!

 

「消し飛べぇぇぇぇぇ!! ドラゴン・フルブラスタァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

『Highmat FuLL Blast!!!!』

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドオォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!

 

 

六つの砲門から放たれたれる砲撃!

連続して放たれるそれは次々と目の前の敵を捉えていく!

今ので半分以上の敵が消し飛んだ!

 

今の攻撃に驚愕の表情を浮かべる旧魔王派の悪魔達。

 

だが、まだだぜ。

こんなもんじゃ終わらねぇ!!

 

俺はドラゴンの翼を広げて敵に突っ込んでいく。

 

『この形態での戦闘は初めてだ。細かい制御は俺が担当する。相棒は存分に暴れろ!』

 

サンキュー、ドライグ!!

 

俺は狙いを定めて次々と砲撃を放っていく!

それによってあっという間に消し飛んでいく敵!

一撃を放つたびに巻き起こる破壊の嵐!

 

「なっ! これは!?」

 

驚愕の声をあげるシャルバ。

 

そりゃ、驚くだろうな。

なにせ、既に連れてきた悪魔のほとんどがいなくなったんだからな!

 

「くっ! この汚れたドラゴンめがぁぁぁ!」

 

さっき俺が腕を斬り落とした男が叫びながら俺に巨大な魔力の塊を放ってくる。

まともに受けたらダメージは免れない。

 

だけど、それがどうした。

 

「そんなもんで俺が止まるかよ!」

 

真正面から迎え撃つ!!

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!』

 

『Transfer!!』

 

倍増した力をイグニスに譲渡!

イグニスの刀身が元の鋼色から紅く変色し灼熱化する!

俺はイグニスの刀身にオーラを集めて、それを豪快に振るった!

 

放たれた灼熱の斬撃が男の魔力とが空中で衝突する。

 

衝突によって激しい光が生じた。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!! 消え去れ、赤龍帝!!!」

 

男から放たれる魔力が増大する。

 

流石に魔王クラスの攻撃は簡単に押し返せないか!

 

「やられてたまるかよ! 俺は生きて! 皆を守り抜く! おまえらなんかにやられるわけにはいかねぇんだよ!」

 

 

ドクンッ

 

 

突然イグニスが脈打った。

一瞬、何が起こったのか分からなかったけど、次の瞬間、俺が放った斬撃の力が急激に増した。

 

力を貸してくれるのか・・・?

 

よく分からないけど、とりあえず礼を言うぜイグニス!

もう少しだけ俺に付き合ってくれ!

 

急激に力を増大させた斬撃はあっという間に男の魔力を呑み込んだ。

そして、その斬撃はそのまま男へと迫る。

男は咄嗟に魔力障壁を展開して、防ごうとするが―――――

 

「こんな・・・! こんな力が・・・・! 私は真の魔王アスモデウスの後継者なのだぞ! その私がこんなところで・・・・! クソッ! クソォォォォォォォォォォォ!!!!!」

 

男の魔力障壁は灼熱の斬撃によって燃やし尽くされ、崩れ去った。

 

辺り一面に炎が広がり、周囲を赤く照らす。

今の一撃をまともに受けた男は炭となり、生じた爆風によって塵と化した。

 

「クルゼレイがやられただと!? バカな! 奴も私のようにオーフィスの『蛇』によって前魔王クラスにまで力が引き上げられているのだぞ!」

 

シャルバの発言を聞いて、俺は無性に怒りが込み上げてきた。

 

「やっぱりそうかよ。おまえら旧魔王派のやつらはどいつもこいつも他人の力に頼ってるだけじゃねぇか。あげくの果てには正面から決闘を挑むこともしない。汚い手を使って弱い者から手にかけていく。・・・ふざけんじゃねぇ! そんなやつが魔王を名乗るんじゃねぇよ!!!」

 

シリウス、サーゼクスさん、アジュカさん、セラフォルーさん、俺が出会ってきた魔王はそんな卑怯なことは絶対にしない!

 

こいつみたいなやつが魔王を名乗ることは俺が許さない!

 

「黙れ、赤龍帝!!!」

 

激昂したシャルバが次々に魔力を放ってくる。

それに続いて、生き残っている部下も俺に突っ込んできやがった。

 

遠くから魔力を放ってくるやつには砲撃を、接近してきて槍や剣を振るってくるやつにはイグニスによる斬撃で凪ぎ払う。

 

 

「ぐあああああああ!!!」

 

「お、おのれええええええ!!!」

 

 

俺の攻撃を受けた奴らは絶叫を挙げながら、その一撃で沈んでいく。

 

そして、ついに残るのはシャルバただ一人だけとなった。

 

「これで終わりだ。まだ続けるかよ?」

 

「ふざけるな! 私は真の魔王ベルゼブブの後継者だぞ! 貴様などに敗れる私ではない!」

 

無駄にプライドだけは高い奴だな。

 

右腕から焼けるような音が聞こえてきた。

激痛が俺を襲う。

 

『急がなければ、もうすぐこの形態が解けるぞ。いや、通常の禁手さえ保てなくなる。その剣の同時使用によってかなりの消耗をしてしまったからな』

 

そうか・・・・。

流石にそれはヤバいな・・・・。

右腕も本格的に危なくなってきたしな。

 

シャルバが俺の異変に気付いたのか、嫌な笑みを浮かべる。

 

「ふはははは! どうやら限界が近いらしいな! あれほどの力を使ったのだ、そうなるのは当然だ! ここが貴様の墓場となる! くたばれ、赤龍帝!」

 

シャルバから絶大な魔力の波動が放たれる。

さっきの男が放った奴よりもかなりデカい!

 

イグニスで防ごうにも右腕が悲鳴をあげる。

 

クソッたれ!

こうなったら俺の残ってる力の全てをぶつけてやるよ!

ドライグ、こいつで決めるぞ!

 

『承知した!』

 

六つの砲門を全て展開して一点に狙いを定める。

この一撃に全てをつぎ込む!

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!』

 

全ての砲門にオーラが蓄積されていく。

 

「こいつで最後だ! ドラゴン・フルブラスタァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

『Highmat FuLL Blast!!!!』

 

六つの砲門から放たれた莫大なオーラは混ざり合い、一つとなる!

 

そして、それは迫りくる魔力の波動を一瞬で消し去り、一直線にシャルバのもとへと突き進む!

 

「何ッ!?」

 

驚愕の声とともに焦りの表情となるシャルバ。

逃げようにも、砲撃がデカすぎて避けることもできない!

転移するにしても、もう遅い!

このまま消し飛びやがれ!

 

「バ、バカな・・・・! 真の魔王であるこの私が! ヴァーリに一泡も吹かせていないのだぞ!? おのれ! 赤い龍め! 白い龍めぇぇぇぇぇ!!!!」

 

極大の赤い閃光にシャルバは包まれ、その先にあった神殿とともに光の中へ消えていった――――――――

 

 




イッセーの新形態、天撃(エクリプス)について解説を。

鎧の形状としてはエクストリームガンダ
ムというより、フリーダムガンダムに近いです。

一対一の格闘戦に特化した天武に対し、多対一で砲撃戦に特化した殲滅用の形態です。(砲撃特化と言っても格闘戦もある程度はこなせます)

広範囲への攻撃を苦手としているイッセーの弱点を克服した形態となります。

当然、魔力と気の消耗が激しいのがこの形態の弱点ですね。



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