ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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この章は結構長くなりそうです


10話 原点

『うぅ・・・・・・ぐすっ・・・・・』

 

 

ドライグ・・・・・泣き止んでくれよ。

俺だって泣きたいんだ。

 

流石にこれは・・・・・・

 

 

「でさ、こいつさ――――」

 

「おいおい、そりゃあ―――」

 

 

俺の目の前でおっさん二人が俺とドライグをネタに盛り上がってる。

なんで、こんな状況に・・・・・・

 

普通ここはさ、二年ぶりの再会に感動するシーンじゃないかな?

 

なんで、再会早々にネタにされてるんだ・・・・・・

ひどい、ひどすぎる・・・・・・

 

 

部長達も苦笑して、どうすればいいか分からないと言った表情だし!

 

 

「そういえばよ、こいつは女の胸をつついて禁手(バランス・ブレイカー)に至ったんだろ? その時の話を聞かせてくれよ」

 

 

っ!?

ちょ、先生!?

 

ここでその話も持ち出しますか!?

 

「バランス・ブレイカー・・・・? ああ、あの赤い鎧のことか。あの時は酷かったな。戦場で危機的状況になった時があったんだ。そしたら、こいつ、一国の王女であるアリスに対して『胸をつつかせてくれ』って真顔で頼んだんだぜ? あれには俺もどう反応していいか分からなかった」

 

おっさんも答えんでいいから!

 

見てくれよ、皆の視線が俺に集まっているから!

 

「ねぇ、イッセー。その時のこと。後で聞かせてもらえるかしら?」

 

部長ぉぉぉぉおおおお!?

 

笑ってるけど目が笑ってないです!

 

「お兄ちゃん、ボクも聞かせてほしいな」

 

美羽まで!

 

マジで勘弁してください・・・・・・

 

あの時は俺も必死だったんだ!

禁手に至らないといけない状況だったんだよ!

 

「ま、それに応じたアリスもアリスだがな。戦場のど真ん中で乳房を晒してこいつを受け入れた。一瞬、戦場の時が止まったのをよーく覚えてるよ」

 

それ以上言うのは止めてぇぇぇえええええ!

 

後ろからワルキュリアが冷たい視線を送ってきてるから!

汚物を見るような目だよ!

 

 

「イリナ、もしやと思うがそのアリスという人も・・・・・」

 

「そうね、ゼノヴィア。ほぼ間違いないと思うわ」

 

 

なんか女性陣が戦慄してる!?

 

どうしたよ?

 

 

あれ?

 

そういえば――――

 

「アリスとリーシャは? あいつらはいないのか?」

 

「アリスは執務室で書類と向き合ってるぜ。リーシャも今では魔法学校の教官だからな。忙しいのさ。まぁ、リーシャはともかくアリスならこの城内にいる。会ってくるといい。ニーナ、案内してやってくれ」

 

「はーい。それじゃあ、お兄さん、ついて来てよ」

 

とニーナに手を引かれて俺は部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、ここにお姉ちゃんがいるよ」

 

ニーナに案内されたのは城の最上階の一室。

確かに執務室って札が貼ってある。

 

あのアリスがデスクワークねぇ・・・・・

あいつ、そういうの苦手じゃなかったか?

 

俺の考えが分かったのかニーナが笑う。

 

「お姉ちゃん、いつも書類を溜め込むんだよね。だから、ほとんど私が引き受けてるの」

 

「マジか。ニーナって今、十七歳だったよな? すげぇな」

 

「でしょ? 昔みたいに撫でてくれても良いんだよ?」

 

ニーナが頭を差し出してきたので撫でてやる。

あ、サラサラしてて気持ちいいな。

 

「うふふ。やっぱりお兄さんの手って大きいね。それじゃあ、入って入って。私はここで戻るから」

 

「えっ? ニーナは入らないのか?」

 

「うん。せっかくの二人の再会なんだから、私がいたら邪魔でしょ?」

 

そんなことはないんだけど・・・・・。

 

うーん、まぁ、ニーナがそう言うのなら・・・・・。

 

 

俺はニーナに促され、扉を開けて中に入る。

 

すると、そこでは―――――

 

 

 

 

「えっ・・・・・・・?」

 

 

 

 

突然の来客に呆然とした表情でこちらを見てくる金髪の女性。

 

スレンダーな体つきで、かなりの美人だ。

ニーナと同じ綺麗な長い金髪。

窓から入る陽の光に照らされ、どこか神々しく感じる。

 

ただ、その女性は白い下着姿でその手には服を掴んでいる。

 

どうやら、着替え中だったらしい・・・・・・。

 

 

俺も流石にこの事態は想定外だったので、女性と目があった瞬間に固まってしまう。

 

重たい空気が室内に漂う。

 

この空気に耐えられなかった俺はこの状況を打破するべく、話しかける。

 

「あ・・・・・・・・え~と、久しぶり・・・・・アリス・・・・・・」

 

「イ、イッセー・・・・・・なの? どうして、ここに・・・・・あっ」

 

そこまで言って、女性―――アリスは改めて自分の状況を確認する。

 

もう一度言うが、今の彼女は下着だけの姿だ。

 

アリスの顔が真っ赤になり、涙目で俺を睨んでくる。

 

「あ・・・あああああ・・・・・・! イ、イッセー、あんたねぇ・・・・・!」

 

ワナワナと体を震えさせるアリス!

しかも、手にはどこからか出した槍を持ってる!

 

こ、これはヤバい!

 

とりあえず、ここは――――

 

「素晴らしいお体! ありがとうございます!」

 

俺は合掌してお礼を言った!

おそらく遺言になるだろう!

 

 

 

そして――――

 

 

 

「バカァァァァァァアアアアアアアア!!!!」

 

「ギャアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 

 

 

 

 

「イタタタタ・・・・・おまえ、もう少し手加減してくれよ・・・・・・」

 

「何言ってんのよ。私の下着姿を見ておいて、この程度で済んだんだから感謝しなさいよ」

 

 

制裁を受けた俺はアリスから治療を受けながらぼやいていた。

 

こいつに手当されるのもいつ以来か・・・・・

 

「大体ねぇ、ノックくらいしなさいよ。ここ、王女の執務室よ、一応」

 

「それは悪かったけど・・・・・なんで、ここで着替えてるんだよ? 執務室なんだろ?」

 

うん、俺の言ってることは間違ってない。

そもそも執務室で着替える方がおかしいと思うんだ。

 

「だって、こんなに書類が溜まってるのよ? 自室に態々、着替えに行くなんて時間の無駄じゃない」

 

とアリスの指差す方には山積みにされた資料の束。

おいおい・・・・・どうすればこんなに溜まるんだよ?

 

そんなに忙しいのか?

 

いや、つーかさ・・・・・

 

「おまえの部屋、この隣なんだろ? さっきニーナにそう聞いたけど?」

 

「そうよ。それが?」

 

「いや、いい・・・・・」

 

俺はアリスの返しについため息を吐いてしまう。

 

こいつ、こんな性格だったっけ?

もっとしっかりした性格だったはずなんだけど・・・・・

 

二年の歳月は人の性格まで変えてしまうのかね?

 

 

「それで、あんたは何でここにいるのよ?」

 

「えっ? モーリスのおっさんから聞いてないのかよ?」

 

「? 何を?」

 

頭に疑問符を浮かべて何のことか分からないと言った表情のアリス。

これは本当に俺がこの世界に戻ってきたことを知らなかったようだ。

 

原因は・・・・・・絶対におっさんだな。

どうせ、アリスには黙っておくよう城の皆に言ってたんだろうな。

 

クソッ・・・・嵌められた。

あのおっさん、こうなることを分かってたな!

 

 

アリスも何かを察したのか、迫力のある笑みを浮かべた。

 

「なるほど・・・・・モーリスね・・・・・・。イッセー、分かってるわね?」

 

「おう。後で殴りに行くぞ」

 

おっさんのくだらねぇイタズラのせいで、ボコボコにされたんだ!

 

この恨み、絶対に晴らしてやるぜ!

 

 

「それはそうと本当に久し振りね。イッセー、元気そうで何よりだわ」

 

「アリスこそ。すごくキレイになったな。いや、前から美人だったけど、なんかこう、より一層美人になった」

 

本当にそう思う。

ここまで来れば神々しさも感じるしな。

女神と言われても信じるぞ。

 

「なっ!? もう! 誉めても何も出ないわよ?」

 

どうしたどうした?

顔がゆでダコみたいになってるぞ。

 

「でも、あんたは相変わらず胸が好きなんでしょ? 私は、その、そんなに大きくないし・・・・・・。ニーナの方があんた好みなんじゃないの?」

 

ま、まぁ、確かにアリスよりもニーナの方が胸は大きい。

 

アリスの胸はだいたいアーシアと同じくらいか。

 

いや、でも!

 

「そんなことねぇよ! 俺は女性のおっぱいは大きいのも小さいのも大好きだ!」

 

「そんなこと大声で言わないでよ!」

 

 

バキッ

 

 

アリスの鋭いグーパンチが俺の顔面にクリーンヒット!

痛い!

けど、懐かしい感触だ!

 

アリスは腕を組んで顔を赤くしながら言う。

 

「ったく、スケベなところも相変わらずね」

 

「あははは・・・・・。ワルキュリアにも言われたよ・・・・・」

 

あの人のはアリスの比じゃなかったけどね。

ワルキュリアのは言葉だけじゃなくて、その視線とかも駆使して心を抉ってくるから。

 

 

おっと、そう言えばこいつに言わなきゃいけないことがあったな。

 

「アリス。魔族との和平、おめでとう」

 

俺が祝福の言葉を送るとアリスは微笑む。

 

「ありがとう。色々あったけど、なんとかここまで来ることが出来たわ」

 

「夢だったもんな。人間と魔族が手を取り合える世界を作る。旅の時もいつも言ってたもんな」

 

「ええ。でも、私の力だけじゃ無理だった。ニーナやモーリス、リーシャ、ワルキュリア、そしてイッセー。皆の力があったからこそよ」

 

アリスの言葉に苦笑する。

 

「俺は何もしてないよ。シリウスを倒した後、直ぐに元の世界に帰ったしな」

 

「でも、あんたが戦争を終わらせた。イッセーがいなかったら、この和平は成り立たなかったわ。イッセーの力があってこそよ」

 

真っ直ぐな目で俺を見てくるアリス。

そう言われると照れるね。

 

アリスは立ち上がり、背を伸ばした。

 

「さて、と。・・・・とりあえず、モーリスのところに行きましょうか。あのおっさんは一度殴っておかないと気がすまないわ。ふふふふふ!」

 

おおっ、目がマジだ。

燃えてるよ!

 

「そうだな。あ、俺の仲間も連れて来てるんだ。紹介するぜ」

 

「そうなの? それは楽しみね」

 

 

そんな会話をしながら俺達は部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

[木場 side]

 

 

 

イッセー君がニーナさんと部屋を出ていき、五分ほどが経った頃だった。

 

先程まで愉快に話をしていた先生とモーリスさんが真剣な表情となった。

 

モーリスさんが口を開く。

 

「それで? 何から聞きたい? おまえら、イッセーのことで知りたいことがあるんじゃねぇのか?」

 

 

「「「っ!」」」

 

 

僕達の考えを見透かしたように言ってきたその言葉に僕達は驚愕し、目を見開いた。

平然としてるのは先生と部屋の隅で控えているワルキュリアさんぐらいだ。

 

この人は僕達の疑問を見抜いていたと言うのか。

それも僅かな時間で、ろくに言葉も交わしていないと言うのに・・・・・。

 

「なるほど。それであの娘も行かせたわけか・・・・・。流石、と言うべきか?」

 

「これまで、あんたと話していて向こうでのあいつのことは何となく分かったからな。自分のことをある程度は話したみたいだが・・・・・」

 

「まぁな。だが、俺達はあいつ以外の視点からの話を聞きたいのさ。俺達が聞いたのはあくまでイッセー視点の話。だから、あんたの視点での話を聞きたい」

 

イッセー君の過去。

確かに彼は僕達に全てを話してくれたのだろう。

 

彼は隠し事をするのは好きではないみたいだったからね。

 

だけど、先生の言う通り、それはあくまでイッセー君の言葉。

周囲から見たイッセー君はどうだったのか。

そこが知りたい。

 

まぁ、自分自身への評価と他人からの評価が違ってくるのと同じだね。

 

 

僕達の視線がモーリスさんに集まる。

 

「ま、そう言うことなら別に話しても良いだろう。イッセーもおまえさん達のことは信頼してるみたいだしな。だが・・・・・・魔族の姫君。あんたには少々辛い話になるかも知れないぜ?」

 

モーリスさんが美羽さんに問いかける。

 

美羽さんはモーリスさんの目をしっかり見て答えた。

 

「お願いします。ボクもイッセーのことを知りたいんです」

 

強い目だ。

 

おそらくモーリスさんがこれから話そうとすることはこちらの世界で争いが続いていた頃の話だ。

その頃のイッセー君は人間側で美羽さんは魔族側。

互いに敵同士。

 

当然、聞きたくない話の一つや二つはあるだろう。

 

それを理解した上で聞こうと言うのだ。

並みの覚悟じゃない。

 

「・・・・・分かった。それじゃあ、先ずはイッセーがこの世界に飛ばされた時の話をしようか。まぁ、飛ばされ時の話と言っても最初の頃は至って普通だ。アリスが風呂入ってたらそこに全裸のイッセーが飛んできて、そのまま二人揃って気絶したくらいだったからな」

 

いや、その時点で普通じゃないです。

既におかしいところがいくつかあるんですが・・・・・・

 

そのアリスという女性は目覚めた時はすごく混乱しただろうね。

見ず知らずの男性が全裸で現れたのだから。

 

どう見ても変質者だよ。

 

「そんでもって、気絶したイッセーを俺達で介抱して事情を聞いたのさ。あいつも突然のことにかなり混乱していたが、とりあえずは元の世界に帰るまでここに住むことになったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

当時のイッセー君はごく普通の中学三年生。

神器に目覚めているわけでも無ければ、異能の存在すら知らない。

 

そんな彼が突然、異世界に飛ばされたんだ。

その時の彼の様子は容易に想像できる。

 

 

この世界で生きていくことになった彼はモーリスさん達にサポートされつつも日々を送っていたそうだ。

 

当時、勇者と呼ばれていたライト・オーヴィル。

 

彼とイッセー君は親友と言って良いくらいに仲が良く、スケベなところ以外は似ていて、真っ直ぐで熱血な性格だった。

 

二人は町で買い食いすることもあれば、共にモーリスさんから剣の稽古を受けていたりもしていたという。

 

イッセー君も色々不安はあったみたいだけど、幸せな日々を送っていたそうだ。

 

 

だけど、イッセー君がこちらで生活を始めてから一年が経った頃。

この国に異変が起きる。

 

魔族がこのオーディリアに侵攻を始めた。

 

当時、そんなことは珍しいことではなかった。

先代の国王、つまり、アリスさんとニーナさんの父親が生きていた時、オーディリアもゲイルペインに攻め込んだ時もあり、他の国でもゲイルペインの侵攻を受けたことはあったそうだ。

 

その時の魔族軍の勢いは凄まじく、瞬く間に首都セントラルに到達したという。

 

 

モーリスさんやライトは魔族の侵攻を食い止めつつ町の人間を避難させていたそうだけど、人手が足りなかった。

 

すると、イッセーが言った。

 

 

自分も手伝う、と。

 

 

モーリスさん達は止めたそうだが、それでもイッセー君は町の人達を助けるために町へ降りていった。

 

町におりたイッセー君は偶々逃げ遅れた子供を見つける。

その子供は親とはぐれて一人で泣いていたそうだ。

イッセー君はその子供を連れて逃げようとしたが、そこに魔族の兵士が現れた。

 

その兵士は剣を向け、斬りかかる。

イッセー君は咄嗟にその子供を庇ったそうだ。

 

 

しかし―――

 

 

斬られたのはイッセー君ではなく、その間に立ったライトだった。

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、運が悪かったって言うしかねぇんだろうな。なんせ戦時中だ。人が死ぬ方が当たり前の時代だ」

 

「だが、そのころのイッセーは・・・・」

 

「ああ、何も知らない平和なところで育ったただのガキだ。受け入れろっていう方が無理がある」

 

モーリスさんは悲しげな目で息を吐く。

 

「俺が駆けつけた時にいたのは倒れて動かなくなっていたライトと気絶した子供。そして――――ライトの剣を握り、魔族の兵士を斬り伏せていた血塗れのイッセーだったよ。あの時の光景は目に焼き付いている」

 

それからのイッセー君は見ていられなかったと言う。

 

自分のせいで親友が死んだ。

イッセー君はずっと自分を責めていたそうだ。

 

「だからこそアリスは元の世界に帰るように言ったのさ。もちろん、この世界が危険だったこともあるが、あいつがこれ以上自分を責めないようにってのもあったんだろうな」

 

「なるほどな・・・・・。あいつが戦争を嫌う理由はそう言うことだったのか・・・・・」

 

先生の言葉にハッとなる。

 

コカビエルの時、イッセー君は戦争と言う言葉に凄く反応していた。

あの時はただ仲間を傷つけられることに怒っているものと思っていたけど、それだけじゃなかったんだ。

 

「・・・・・全ては俺が悪いのさ。あの時、イッセーを無理矢理にでも止めていればこうはならなかった」

 

「だが、イッセーが行かなければその子供は死んでいたかもしれない、だろ?」

 

「まぁな」

 

 

その後の話は僕達がイッセー君から聞かされた通りだった。

 

神が住まう神層階で修行を終えたイッセー君が再びモーリスさん達の前に現れ、魔族から国を奪還。

 

それから、イッセー君とモーリスさんを含めた四人で旅を始め、各地を回る。

 

最終的にはイッセー君が美羽さんの実の父親である魔王シリウスと一騎討ちに勝利し、長い戦争を終わらせた。

 

 

「俺が知ってるのはこれで全部だ。神層階でのことは俺も知らん。行ったこともないしな。・・・・ただ、あいつはもう何も失わないために戦う。守るためなら無茶をやらかすこともあるだろう。その時はあいつを助けてやってほしい」

 

モーリスさんはそれだけ言うと茶を啜った。

 

 

 

[木場 side out]

 

 

 

 

 

 

 

俺はアリスと共に先ほどの部屋の前に戻ってきた。

 

「さぁ、行きましょうか」

 

 

バンッ!

 

 

アリスはドアを勢いよく開くとその体から激しいオーラを発した!

 

「モーリス、よくも図ってくれたわね~。覚悟は出来てるかしら・・・・?」

 

 

バチッバチチッ

 

と、体にスパークを纏い始める!

それと同時にアリスの体が白く光り輝き始める!

髪の色も金髪から曇りのない純白に変わる!

 

「ま、待て! お、落ち着け、アリス! ほ、ほら、サプライズだって!」

 

「そのサプライズのせいで私は着替えてるところ覗かれたのよ!」

 

「おまえ、また執務室で着替えてたのかよ!? それは俺のせいじゃねぇだろ!」

 

「うるさーーーーい!! 問答無用!」

 

体に白い雷を纏ったアリスはそのままおっさんに殴り掛かった!

 

「ちょ、おま、その状態で俺に近づくなよ! まっ、ギャアアアアアアア!!!!!」

 

アリスの白い雷に触れたおっさんは感電し、一瞬で黒焦げになった・・・・。

 

相変わらず、恐ろしい・・・・。

 

すると、木場が席を立ち歩み寄ってきた。

 

「イッセー君・・・・」

 

「ん? どうした、木場? ・・・・なんで目、潤ませてんだよ・・・・?」

 

「イッセー君。僕は強くなる。君に肩を並べるくらいに強くなるよ!」

 

「お、おう・・・。が、頑張れ?」

 

なんだ、どうした?

 

すると今度は部長達が近づいてきた。

 

「イッセー・・・・私も主としてあなたを守れるくらい強くなって見せる。だから、無茶はしないで・・・・」

 

「は、はぁ・・・・」

 

なんで皆、涙目なの!?

俺、何かしましたか!?

 

ん?

美羽の表情が少し暗いような・・・・・

 

黒こげになったおっさんがボロボロの状態で言う。

 

「す、すまんが、おまえとライトのこと、話したぞ・・・・ガクッ」

 

っ!

 

マジか・・・・

以前、皆に話したときはとにかく美羽のことを理解してもらおうと、そのあたりは詳しく話してなかった。

それに美羽にはあまり聞かせたくなかったしな。

 

なるほど・・・それなら美羽の表情が暗いのも納得できる。

 

まぁ、おっさんのことだから、予め美羽に確認をとったと思うけど・・・・・

 

俺が美羽の前に立つと、美羽は申し訳なさそうな顔をする。

 

「ご、ごめんね・・・・ボク、お兄ちゃんのこと何も知らなかったみたい・・・・」

 

俯き、そう謝ってくる。

 

はぁ・・・・

こいつは何でもかんでも気にするな・・・・

 

優しい性格だからかもしれないけど。

 

「なんで美羽が謝るんだよ? おまえは何も悪くないだろ」

 

「で、でも・・・」

 

「確かに、俺は辛い思いもした。でもな、今ではそれが無かったらおまえとこうすることも無かったと思う。もちろんライトが死んだことは悲しい。だけどな、おまえと出会えて俺は嬉しいんだ。だからさ、そんな顔しないでくれよ」

 

俺はそう言って美羽の頭を撫でる。

 

今の俺があるのはあの経験があったからこそだと思ってる。

あの経験がなければ、俺は今の力を得ることも無かっただろうし、そうなれば皆を守ることもできなかったかもしれない。

 

「う、うん・・・・」

 

「ほーら、まだ顔が暗いぞ?」

 

 

むにぃ

 

 

まだ表情が暗いので美羽の両ほっぺを軽く引っ張る。

 

ひょ、おひぃいひゃん(ちょ、お兄ちゃん)? ふぁにしてふの(何してるの)?」

 

「ははっ、何言ってるか分からねぇよ」

 

うーむ、それにしてもモチモチでスベスベしてるな。

とんでもない肌だ。

触ってる俺の方が気持ちよくなってきた。

 

あ、やべ・・・止まらなくなってきた・・・

 

恥ずかしがってる美羽の顔・・・・・・超可愛い!

 

 

すると、服の袖をくいっと引っ張られた。

 

見ると小猫ちゃんが俺の袖を掴んでいた。

 

「・・・・・イッセー先輩、そろそろ止めた方が良いです。鼻血出てますよ」

 

「えっ?」

 

うわっ、ほんとだ・・・・

いかんいかん、あまりにも美羽が可愛いので、つい・・・・

自重しなければ・・・・

 

「ねぇ、イッセー。そろそろ紹介してもらえる? 私、ずっと待ってるんだけど」

 

その声に振り返ると、アリスがスッキリした顔で微笑んでいた・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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