「あ゛ー、終わった……」
「お疲れ様なのです」
「いやー、急に仕事入るとか聞いてなかったんだけど」
「仕方がないのですよ。それより書類を提出してきますか?」
「……いや、明日でいいよ。今日はもう休んでいいよ」
「そうですか?じゃあ電はお風呂に行ってくるのです」
「え?お風呂!?げへへ、電ちゃん。僕と一緒に入らな……いや、ごめん嘘だから嘘嘘。行ってらっしゃいな」
流石に電ちゃんが満面の笑みで腰に下げている錨を持つと冗談は言えなくなる。
「まったく、それじゃあ今日はお疲れ様なのです。お休みなさい」
「うんお疲れ様〜。明日もよろしくね」
「よろしくされたいならサボらずお仕事してほしいのですよ……」
げんなりしながら退出していくのを見送りながら電ちゃんには錨をもう1本持たせてスーパーパイロットにさせようか、などと考えているとスマホに連絡が入る。
「おや?こんな時間に誰かなっと、もしもし?」
「あ、もしもし提督?私」
「その声……鈴谷ちゃんかな?熊野ちゃんかな?」
「夕張よ!!」
「あ、なーんだ声が同……似ているから間違えちゃったよ」
「……そうね似ているわよね。声が似ているといえば初風もそうじゃない?」
「ヤメロォ!うちの鎮守府にいない子の話はやめてよ!!」
「そ、そう、ごめんね提督」
どうして来ないのぉぉ……。
「あ、んで用事って?」
「立ち直り早いわね……。えっとね、提督が頼んでたモノできたって報告ね」
「お、マジで?今から行くから待ってて」
素早くコートを羽織り夕張ちゃんのいる工廠へと向かった。
〜〜〜〜
ガラガラガラっとシャッターを開けると夕張ちゃんが作業着姿で待っていた。
「お待たせ〜って夕張ちゃん、その格好なんかやってる途中だった?」
「格好?あぁ、昼の開発作業終わってから着替えてなかったのよ」
「え?まさか昼からずっとやってたの?」
「まあね。最近は開発に少ししか資材回さないから暇だし」
「そっか……うーん、そろそろ開発に大量に資材回そうか?」
「どのくらい?5kとか?」
「んや、20」
「多いわよ!どんだけ回す気よ!!」
あ、これ多いのか。
開発とかも電ちゃんとかその日の秘書官に任せてるから分かんないや。
「まぁその話は明日にでも伝えとくよ。ところで例のアレは?」
「ん、こっちよ着いてきて」
もうこんな時間だからか工廠の明かりは殆ど付いてないみたいで少し暗い。
「あー、いつも悪いね。僕ってあの作業何回やっても出来なくてさ」
「まー慣れですよ慣れ。それよりも着きましたよ」
目的の部屋に着いたらしく夕張ちゃんが扉を開ける。
ムワッっと鼻につく異臭が広がる。
「ううっキツイなこの臭い。換気しないの?」
「換気したらパーツが飛んでいきそうで怖いのよ。ほら、プラモ狂四郎でも言ってたじゃない」
「これが本当のプラモスピリットだ!!」
「さあ、これよ」
「あれ?スルー?っておお!!これは……」
そこにあったのは見事に塗装された僕のプラモデルだった。
「う、うおおお!?カッケェー!!」
「はぁ、苦労したわよ。色の注文が雑でよく分からないし、そもそも私だって塗装苦手なのに……って聞いてる?」
「この色よく出せたね!僕の思ってた通りだよ!」
「……聞いてないね」
「いや、聞いてるよ!ありがとうね夕張ちゃん!!」
「ま、いいか。提督、これから遊ばない?」
「お、いいね明日もちょうど休みだし。マリカーしよマリカー。今起きてる子達も呼んでトーナメントやろうよ」
その後、日を跨いで遊びまくった僕らは電ちゃんに説教されたって話は、また今度。