FAIRY TAIL 妖精の凍てつく雷神 作:タイトルホルダー
なぜかと言うと、なんかそこの部分が書きたくなったからです。
ナツ「んごぉおおお…ぐがぁぁあ…がるるる…」
楽園の塔が崩壊してから3日後。アカネビーチのホテルの一室では、ナツがベッドの上でいびきを上げながら寝ていた。
グレイ「大丈夫かこいつ?」
ルーシィ「さすがに3日間も眠りっぱなしってのはねぇ……」
ハッピー「ナツー。ルーシィがメイドのコスプレで歌って踊ってみんなひいてるよ!」
アニス「それで反応したらすごいね」
そう言うとナツは反応したのか、小さく笑った。
ルーシィ「寝ながら笑うな!」
トール「まあまあ。俺のブレスも一緒に取り込んだとは言え、ナツにとって〝毒〟に等しいものを食べたんだ。もうちょい休ましてやれよ」
グレイ「あー、エーテリオンを食ったんだっけか?お前らだんだん化け物になってきたな」
トール「なんて失敬な」
グレイの軽口にトールは軽く怒る。そんななか、エルザはトールたちに向けて申し訳なさそうな顔をする。
エルザ「今回の件では皆にも迷惑をかけたな……本当に、何と言えばいいのか……」
ルーシィ「もう……そのセリフ何回言ってるのよ」
パオラ「そこは〝助けてくれてありがとう〟で良いのよ」
エルザ「そうだな……助けてくれて感謝する」
トール「そこはまんま言わねえのかよ」
トールがそう言うと周りも笑みがこぼれた。ふと、エルザは辺りを見渡すと違和感を感じた。
エルザ「そう言えば、あのエレメント4の娘は?」
そう、楽園の塔で共に戦ったジュビアの姿がなかったのだ。
グレイ「ああ……ジュビアか。もう帰っちまったよ。妖精の尻尾に一刻も早く入りてぇから、マスターに頼みに行くんだって」
エルザ「そうか…聞けば世話になったようだし、私からマスターに稟請してもよかったのだがな」
パオラ「ホントジュビアってば行動力あるわね」
ルーシィ「まったくね……ってハッピー!アンタ何してんの!?」
ハッピー「あい!魚食べれば元気になると思って」
そんな会話をしている間に、ハッピーはナツの口に生魚を突っ込んでいた。
パオラ「それよりトール、寝てなくて大丈夫なの?」
トール「んあ?あぁ、大丈夫だろ。エーテリオンを取り込みすぎてお腹壊したけど、もう治ったし。むしろお腹一杯で食欲が全くないってところだな」
アニス「もう!こうやって無事に帰ってこれたから良かったけど、本当に心配したんだからね!」
能天気な事を言うトールにアニスが怒りつける。
トール「悪かったって。機嫌直せよ」
そういってトールはポンっとアニスの頭に手を置き、優しく撫でる。するとアニスは「うみゅ…」気持ち良さそうな声をだしてトールに寄りかかった。
グレイ「なにはともあれ、さすがはトールだな。同じことしてくたばってるマヌケとはエライ違いだ」
ナツ「今なんつったグレーーイ!!!」
ハッピー「起きたー!」
グレイがナツを見ながら皮肉そうに言うと、ピクッと反応して怒号を上げながらナツは目を覚ました。しかしグレイは構わず、皮肉を言い続ける。
グレイ「素敵な食生活デスネって言ったんだよバーカ。てかお前フクロウのエサになってなかったか? 食う方か? 食われる方か? どっちだよ食物連鎖野郎」
ナツ「ぐぬぬぬぬ……!」
グレイの皮肉の連続にナツは悔しそうに唸るが、
ナツ「くかー」
ハッピー「寝たーー!!!」
グレイ「絡む気がねえなら起きんじゃねえ!!!」
再びベッドの上で寝息を立て始めた。
エルザ「ハァ…まったく……」
ルーシィ「あはははっ!」
その様子を見てエルザたちは闘いが終わったことを改めて実感した。
ミリアーナ「ごめんなさい、エルちゃん」
ウォーリー「あ、あのよ……すまなかったゼエルザ」
エルザ「私の方こそ8年も何もできなかった………本当にすまない」
アカネビーチの海岸にて、エルザはかつての仲間たちであるシモンたちとお互いに謝罪していた。ウォーリーやミリアーナは自分達が誤解していたことを、エルザは自分の無力さを。
ショウ「姉さんはジェラールに脅されてたんだ。オレたちを守る為に近づけなかったんじゃないか」
エルザ「今となってはそんな言い訳も虚しいな……」
そう言ったエルザの顔は晴れないままだ。エルザにとって、ジェラールを救えなかったことはとても大きい心の傷となってしまった。
その事に勘づいているシモンは思ったことを口に出す。
シモン「過去ばかり見ていては未来へは行けない。楽園の塔が亡くなって、俺たちは本当の自由を手に入れることができたんだからな。俺たちの未来はまだまだこれからなんだ」
ショウ「自由か……」
ミリアーナ「みゃあ……突然すぎて考えられないよ……」
シモンの言葉にショウたちはどうすればいいかわからないみたいだ。
するとエルザから驚きの提案が出た。
エルザ「行く宛がないなら妖精の尻尾に来ればいい。お前たちなら大歓迎だ」
ショウ「え!?」
ウォーリー「妖精の尻尾に!?」
ミリアーナ「みゃあ!?私たちが!!?」
シモン「い、いいのか?」
その言葉にシモンたちは驚く。
エルザ「お前たちの求めていた自由とは違うかもしれんが十分に自由なギルドだ。きっと楽しいぞ」
ウォーリー「そういや
ミリアーナ「元気最強のギルドだぁー!」
ショウ「また…一緒にいられるんだ……!」
エルザ「それにお前たちとも、ずっと一緒にいたいしな」
シモン「……………」
エルザが微笑みながらそう言うと、シモンは一人…考え込むように顔を俯かせた。
エルザ「さあ戻ろう。ナツたちにもお前たちをキチンと紹介せねばな」
ウォーリー「オレの事は世界一ダンディな男と言ってくれヨ」
ミリアーナ「私はハッピーちゃんやアニスちゃんとお友達になるー!」
そんな会話をしながらホテルへと歩き出す一同。だがその時、
『強くなったな、エルザ』
エルザ「(ジェラール!!?)」
エルザの耳に、ジェラールの声が聞こえ、慌てて振り返るが、そこには広大な海が広がり、さざ波が風で強く聞こえるだけであった。
エルザ「(……そんな訳、ないか……)」
そしてエルザは、自分にそう言い聞かせると、再びホテルに向かって歩き始めたのだった。
ここだけの話だが、ナツが寝ている間にトールはエルザにあることを話していた。
それは、楽園の塔崩壊のときの出来事だった。
27億イデアもの魔力を空へと逃がすことができたのは、実はジェラールの協力があってこそだったのではないかということを。
その話を聞いたエルザは少しでもジェラールを救えたのかと思い、顔にこそ出さなかったが心が晴れたような気がした。
みんなで夕食を食べて大いに楽しんだその夜、アカネビーチの夜の海岸ではショウたち四人が小舟を用意していた
ウォーリー「本当にオレたちやっていけるのかナ、外の世界でヨ」
ミリアーナ「みゃあ」
ショウ「やっていけるかどうかじゃないよ!やっていかなきゃダメなんだ」
シモン「あぁ。これ以上エルザに迷惑をかけられない」
海岸と小舟を繋いでいた縄をほどく。
実は、エルザに黙って旅立とうと提案したのはシモンだった。シモンからすれば他の三人から反論がくるかと思いきや、ショウがシモンの考えに同意し、続いてウォーリーとミリアーナも賛成した。
ショウ「行こう!姉さんたちがオレたちに気づく前に出発するんだ!」
ウォーリー「だな!何とかなるゼ!!」
ミリアーナ「元気最強ー!!!」
小舟を海へと押し出し、出港しようとしたその時、
エルザ「おまえたち!!!」
エルザの大声が、四人の足を止める
ショウ「姉さん!!」
ミリアーナ「エルちゃん……」
ウォーリー「くうぅ…噂をすれば何とか……だゼ」
こちらへと近づくエルザを見据える四人。
ウォーリー「と、止めるつもりなら無駄だゼ、オレたちは自分で決めたんだ……」
エルザは足を止め、静かに四人へと視線を向ける。
そんなエルザを見たショウが拳を握りしめながら言った。
ショウ「オレたちはずっと塔の中で育ってきた、これから初めて〝外〟の世界に出ようとしてる……。わからない事や不安な事が一杯だけど、自分たちの目でこの外の世界を見てみたい。
もう誰かに頼って生きていくのはイヤだし、誰からの為に生きていくのもごめんだ。
これからは自分自身の為に生きて、やりたいことは自分で見つけたい!」
そう言ったショウは真っ直ぐな瞳でエルザを見る
ショウ「それがオレたちの自由なんだ」
シモン「わかってくれ、エルザ」
決意を固めた様子のショウとシモン。
その姿を見たエルザは笑みを浮かべて言った
エルザ「その強い意志があればお前たちは何でもできる、安心したよ。
だが、フェアリーテイルを抜ける者には三つの掟を伝えねばならない。心して聞け」
するとエルザは鎧を換装する。
ウォーリー「ちょ!?抜けるって……入ってもねェのに」
シモン「エルザ……」
鎧姿に換装したエルザは、フェアリーテイルのマークが描かれている旗を持っていた。
エルザ「一つ!フェアリーテイルの不利益になる情報は生涯他言してはならない !!! 二つ!過去の依頼者に濫りに接触し、個人的な利益を生んではならない!!!」
ウォーリー「ギルドの不利益になる情報なんて持ってねえゼ」
ミリアーナ「依頼者って何?」
ショウ「姉さん……」
シモン「………」
エルザが言うギルドの掟を聞くが、四人にとってはわからない。
じわじわと目に涙が溜まっていたエルザは、最後の掟を叫ぶ。
エルザ「三つ!!!たとえ道は違えど、強く……力の限り生きなければならない!!! 決して自らの命を、小さなものとして見てはならない!!!」
堪え切れず、涙を流すエルザ。
エルザ「愛した友の事を忘れてはならない………!!!」
エルザが言い放つ言葉に、ショウたちは涙を流す。
エルザ「フェアリーテイル壮行会!!!始めェ!!!!」
『おぉ!!!』
旗を掲げたエルザが高らかに叫び、後ろにいたトールたちがそれぞれ魔法の準備をする。
一人一人が自分の魔力で空へ魔法を派手に打ち上げる。四人が空を見てみると、
そこには綺麗な花火が輝いていた。
打ち上げられた花火を、ショウたちは涙を流しながら見上げる。
エルザ「私だって本当は、お前たちとずっといたいと思っている。だが、それがお前たちの足枷になるのなら……この旅立ちを、私は祝福したい」
ミリアーナ「逆だよぉぉ、エルちゃぁん」
ウォーリー「オレたちがいたら、エルザはつらい事ばかり思い出しちまう」
ウォーリーとミリアーナは、顔をくしゃくしゃに歪ませて言った。
シモンとショウも堪えてはいるが、両目には涙が光っていた。
エルザ「どこにいようとお前たちの事を忘れはしない。つらい思い出は明日への糧となり、私たちを強くする。人間にはそうできる力がある」
フェアリーテイルの旗を空へと掲げるエルザ
その顔は、涙を流しながらも笑っていた
かつての友を笑顔で見送る為に。
エルザ「強く歩け、私も強く歩き続ける。この日を忘れなければまた会える………元気でな」
シモン「ああ……!!!また会えるさ……!!!」
ショウ「姉さんこそ……!!!」
ミリアーナ「バイバイ、エルちゃーん!!!」
ウォーリー「ゼッタイまた会おうぜ!!!約束だゼ!!!」
エルザ「約束だ」
再開を約束し、エルザたちはショウたちの出航を見送った。
友を見送ったエルザの義眼である右目には、出るはずのない涙が左目から流れる涙と一緒に
月の光で美しく輝いていた。
やっと楽園の塔編が終わった……。