FAIRY TAIL 妖精の凍てつく雷神   作:タイトルホルダー

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今回の話は書きためしておいたものから付け加えたものなんですが、気づいたら9000字を越していました。

フェアリーテイルが再びアニメするので、どんなOPとEDになるのか楽しみです


あと、前話にマユミが出てなかった件についてNEXSUさんに指摘されたんですが、文章の都合のために今回書かせてもらいました。NEXSUさんわざわざありがとうございました。


新たなギルド

 

グレイ「さて、そろそろギルドに帰るか」

 

ルーシィ「仕事して家賃稼がないとねぇ」

 

パオラ「その前にギルドを再建させないと」

 

エルザ「忘れ物はするなよお前たち」

 

ハッピー「荷物多いエルザが一番忘れ物多そうだけど……言ったら怒られるからやめておこうっと」

 

エルザ「聞こえているぞ」ギリギリ

 

ハッピー「ご、ごべんだざい」ミシミシ

 

ナツ「Zzz……」

 

 

シモンたちと別れた翌日、トールたちはギルドへ帰るための支度をしていた。といっても、ナツはまだ寝ているし、ハッピーは余計なことを言ってエルザにアイアンクローをくらわされている。

 

 

トール「………」

 

 

そんななか、トールはただ一人黙っていた。それを見てアニスは声をかける。

 

 

アニス「どうしたのトール?さっきからずっと黙って」

 

トール「んにゃ、別に……」

 

そう言うとトールは荷物を纏め終える。

 

 

グレイ「おおかたマユミのことでも考えてたんだろ?エルザみたいに8年振りの再会だったらしいしな」

 

ハッピー「どぅえきてるぅ」

 

ルーシィ「ぷっ!これはピンチなんじゃないのパオラ?」

 

パオラ「なんですって?」ギリギリ

 

「「なんでもないです……」」ミシミシ

 

 

グレイの考察を聞いてトールをおちょくるハッピーと面白がってパオラを弄るルーシィをパオラは両手のアイアンクローで黙らせる。

 

 

グレイは半ば適当言ったのだが、実際当たっていた。

 

 

正確にはシモンたちと別れた数日前。

 

 

マユミと別れた日であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

アカネリゾート入り口付近。俺はマユミから話があると言われてみんなから離れてここに来た。

 

トール「もう行っちまうのか?」

 

マユミ「う、うん。も、もう決めたことだから。ミリアーナちゃんたちともちゃんとお別れを言ったし」

 

トール「そうかい。ナツが起きるまで待ってもいいのに」

 

俺がそう言うとマユミは申し訳なさそうな顔をする。まあ、マユミ自身で決めたことだから俺が口出しするべきじゃないんだけとな。

 

 

それよりも、と俺は話を変える。

 

トール「まあそれはいいさ。それより、ベータたちのことだ」

 

 

その話になると、マユミの顔は真剣になる。

 

 

トール「今回はなんとかあいつらを退けられたが、次会うときはそうはいかねえかもしれねぇ。気をつけるんだぞ」

 

マユミ「うん。旅するときに特訓もしておくから大丈夫!」

 

トール「……普段からそうやって気をしっかりしていれば問題ないんだけどな」

 

マユミ「え、えへへ」

 

 

凛々しい姿を見せたと思ったらすぐにおどおどとした様子を見せるマユミにトールは少し呆れた顔をする。

 

 

マユミ「それじゃあもう行くから。またね!」

 

トール「ああ、元気でな」

 

 

マユミが俺に向かって笑顔で手を振ってきたので、俺も合わせて手を振った。お互いに顔が見えなくなるまで。

 

 

トール「さて、アニスたちのところへ戻るか。あんまり腹へってねえけど」

 

 

そうして俺は泊まっているホテルへと戻ろうとする。

 

 

 

だが、ベータとコウマのことは頭から離れずにいた。

 

 

 

トール「時の番人(クロノナンバーズ)か。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなものはもう存在しねえのにな」

 

 

 

 

 

 

 

 

コウマ「あーあ、トールはおろかマユミすらも連れて来れず。結局俺達何しに楽園の塔へ行ったんだか」

 

その頃、とある場所でコウマは自身が作り出した鉄のナイフを器用に回しながら不満を漏らしていた。

 

 

ベータ「あら、そんなことはないですよぉ。ちゃんと収穫もありましたから」

 

 

不機嫌なコウマに声をかけたベータは光輝く物体を複数取り出してコウマの前に放り出す。

 

コウマ「なんじゃこりゃ?魔水晶(ラクリマ)?」

 

ベータ「ええ。しかもこれは、エーテリオンの魔力を取り込んだラクリマです」

 

コウマ「マジか!?」

 

コウマは驚いて回していたナイフを落とす。落としたナイフは地面に着くと結晶となって崩れていった。

 

ベータ「流石にこれくらいのことはしないと割りに合わないですからね」

 

コウマ「よっ、流石ベータ!」

 

ベータ「ふふ、もっと誉めてもいいんですよ?」

 

コウマに誉められてベータも満更でもなく喜ぶ。

 

コウマ「かわいいかしこいベータちゃん!」

 

ベータ「ほらほらもっともっと♪」

 

コウマ「キレたら男口調になる腹黒ベータちゃん!」

 

ベータ「誰が腹黒だコラァ!!!」

 

コウマ「そういうとこグボェ!!?」

 

調子に乗りすぎてラクリマを投げつけられるコウマ。

 

 

 

 

……この二人が再びトールのもとへ現れるのも、そう遠くない未来である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽園の塔の一件が解決し、アカネリゾートから帰ってきたトールたちは、自分たちのギルドを見て驚いていた。

 

 

グレイ「こ、これは……!!」

 

ルーシィ「うわぁ!!」

 

パオラ「へぇ」

 

ナツ「おおっ」

 

エルザ「驚いたな……」

 

トール「マジか!」

 

ハッピー「すげー!!!」

 

アニス「完成してたんだー!」

 

 

驚愕を露にするトールたちの目の前には、昔のような古ぼけた様子はなく、大きくて豪華な新しい妖精の尻尾(フェアリーテイル)が佇んでいた。

 

 

 

 

 

トール「オープンカフェもあんのか」

 

アニス「入口にはグッズショップまであるよトール!」

 

グッズショップの方を見ると、そこにはギルドメンバーの一人、砂を操る魔導士 マックス・アローゼが立っていた。

 

マックス「いらっしゃい!!つーかオマエらか、おかえりー」

 

アニス「あー!マックスが売り子やってるーー!」

 

 

マックスが商品を丁寧に説明していく。Tシャツやリストバンド、マグカップ、タオル、オリジナル魔水晶(ラクリマ)といったものがおいてある。

 

 

アニス「わー!トールのぬいぐるみがあるー!かわいい~!わたしこれ買いたい!」

 

アニスは自分自身より少し小さめの大きさのぬいぐるみの中からトールに似たぬいぐるみを取り出し、抱きしめる。

 

トール「お前いつの間にこんなにそろえてんだよ……」

 

マックス「あはは……いやつい創作心に火がついちまって……」

 

トールの指摘に後頭部を掻きながら苦笑いするマックス。

 

アニス「あ、でもアカネリゾートでお金たくさん使ったから今財布の中空だったんだ……トールぅ…」

 

トール「うっ…わかったわかった。俺が買ってやるから………自分で自分のぬいぐるみを買うってなんか複雑だな」

 

アニス「ありがとー!」

 

グレイ「お前ら相変わらず仲良いな」

 

泣きそうな目でトールを見て、財布を取り出しながら呟くトールに感謝するアニス。

 

そんな中、ハッピーがある商品を手に取り、それをルーシィに向ける。

 

ハッピー「見て見てー!ルーシィのフィギュアがあるよー!!」

 

ルーシィ「えーーっ!!?」

 

それを見たルーシィが自分のフィギュアを手に取り、まじまじと見つめ、少し肩を落とす。

 

ルーシィ「勝手にこーゆーの作らないでよォ……恥ずかしい」

 

ハッピー「オイラはよく出来てると思うけど」

 

マックス「そうだろうそうだろう。そしてもちろんキャストオフも可能!」

 

すると突然、フィギュアの来ていた服が弾け飛んだ。

 

 

ルーシィ「イヤーーー!!」

 

 

自分のフィギュアの服が弾け飛ぶのを見たルーシィが顔を紅潮させ悲鳴を上げる。

 

グレイ「つーか俺のは何で最初から裸なんだ」

 

パオラ「すぐに脱いじゃうんだからいらないでしょあんたは」

 

エルザ「私のも出来が良いとはいえんな。甲冑に本物の鎧を使うべきだ。そもそも私の肌はこんなに硬くないぞ」

 

マックス「いやだってフィギュアだし……」

 

トール「エルザ。それ以上は止めてあげて」

 

アニス「あ、これ」

 

アニスはたまたま目に入ったものを手に取る。

 

アニス「トールのフィギュアもあるよ!しかもこのポーズって週ソラに載ったときのやつじゃない?」

 

アニスが手に取ったトールのフィギュアは、髪の毛が揺らぎ、右手に溶断ブレードを出しながらポーズをとっていた。

 

グレイ「へぇ~ブレードまで作ったのか。感触は柔らかいけど」

 

パオラ「見た目は結構凝ってんじゃない」

 

マックス「はは。せっかくだからと思ってよ」

 

 

ちなみにパオラが帰宅前にトールに関する全種類の商品を買ったのをトールは知らない。

 

 

ルーシィ「ん?週ソラに載ったときのやつって?」

 

アニス「これだよ!」

 

ここでルーシィは気になった言葉を思いだし、アニスに問いかける。アニスはどこから取り出したのか、両手で週ソラの雑誌を広げてルーシィに見せる。

 

ルーシィ「へぇ~すごいわね」

 

パオラ「それ去年トールが取材を引き受けたのよ。S級魔道士になったから」

 

アニス「因みに、これは十冊しかない初回限定版なんだよ!」

 

トール「も、もういいだろ!てゆうかアニス!どこに隠し持ってたんだよその週ソラ!!」

 

アニス「むふふー内緒ー!」

 

ルーシィ「(何を限定させたのかしら……)」

 

やはり恥ずかしいのか、トールが顔を赤くしながらアニスに問い詰める。ルーシィは限定版と聞いて、限定品でもあるのかと思った。

 

カナ「あんたら帰ってきたのかい?」

 

後ろからカナがやってきて、トールに声をかけた。

 

トール「お、おぉカナ。ただいま」

 

カナ「早く中に入んなよ、中は特別広く作ってるんだ」

 

 

カナに案内され、ギルドの中に入る。そして中の風景に全員が驚いた。

 

 

グレイ「おおっ!!!」

 

パオラ「綺麗ねぇ」

 

エルザ「うん……素晴らしいじゃないか」

 

ギルド内を見て、再び感嘆の声を上げるルーシィたち。

 

アニスはもう気に入ったのか、ギルド内を飛び回っている。

 

グレイ「どーしたよナツ」

 

ナツ「前と違う」

 

ただ、ナツだけは気に入らないのか一人ムスッとしていて、口元をマフラーで隠したままだった。

 

 

また、可愛らしいウェイトレス服を着た女性がトールたちを笑顔で出迎える。

 

 

グレイ「ウェイトレスの服が変わってる」

 

エルザ「可愛くていいじゃないか」

 

ルーシィ「マスターの趣味かしら……ていうか、ミラさんも着るのかな」

 

ナツ「違ってる」

 

カナ「新しいギルドはそれだけじゃないよ、なんと酒場の奥にはプールが!!!」

 

カナの目線の先には大きくて広いプールがあった。

 

レビィ「ルーちゃん、おかえりー!」

 

ルーシィ「あ、レビィちゃん!」

 

水着姿でビーチボールを抱えるレビィが言った。

 

他にもアルザックやビスカたちもいる。

 

 

カナ「地下には遊技場もあるのさ!!」

 

ルーシィ「至れり尽くせり……」

 

トール「リーダスがビリヤードやってる……てかあの腹は邪魔なんじゃね」

 

ナツ「違ってる」

 

ビリヤードに真剣な眼差しで挑むリーダスを見たトールが不思議そうに呟く。

 

リーダスのほかにもマカオやラキたちもいて、ワカバはその奥のダーツで遊んでいる。

 

カナ「そして一番変わったのは2階!!誰でも2階へ上がっていい事になったのよ。もちろんS級クエストに行くにはS級魔導士の同行が条件だけどね」

 

ルーシィ「2階に行ってもいいのー!?」

 

パオラ「もうなんでもありね」

 

よく見ると二階からエルフマンがこちらと目が合い、手を振ってきた。今まで二階はS級魔道士しか行けなかったためか、他にも二階にいる者は大勢いる。

 

ギルド再築による変化に盛り上がる帰還組の元に、マカロフがやってきた。

 

 

マカロフ「帰ってきたかバカタレども」

 

エルザ「マスター!」

 

グレイ「お!」

 

グレイはマカロフの方に視線を向け、驚きの声を上げる。

 

いや、正確にはマカロフの隣にいる、見覚えのある女性にだ。

 

 

 

マカロフ「新メンバーのジュビアじゃ、かわえーじゃろォ」

 

ジュビア「よろしくお願いします!」

 

 

髪を切って服を新調し、どこか暗いイメージがあったが、気持ちを新たにした様子のジュビアは明るさが見えている。

 

グレイ「ははっ、ほんとに入っちまうとはな」

 

エルザ「ジュビア……アカネでは世話になったな」

 

ジュビア「みなさんのおかげです!!ジュビアは頑張ります!!!」

 

 

ジュビアは満面の笑みで返した。

 

一同はジュビアを快く仲間に迎え入れたようだ。

 

 

ルーシィ「よろしくね!」

 

ジュビア「恋敵…」

 

ルーシィ「違うけど…」

 

ただし、ジュビアはルーシィに対してだけは敵意を向けていた。ルーシィはジュビアから発せられる怨念の目(笑)と禍々しい圧力を浴びながら、〝恋のライバル〟ということを否定した。

 

 

マカロフ「知り合いじゃったか。ならば知ってると思うが、こやつは元々ファントムの……」

 

パオラ「大丈夫よマスター。もう今は仲間なんだから。ね、ジュビア?」

 

ジュビア「はい!これからもよろしくお願いします!」

 

マカロフ「ほーかほーか。ま、仲良く頼むわい」

 

 

特にパオラと仲良くなっているジュビア。パオラの言葉を聞いて、事情を知っているのがわかってマカロフは一先ず安心した。

 

 

 

マカロフ「それならあと二人の新メンバーも紹介しとこうかの。ホレ、挨拶せんか」

 

アニス「二人?」

 

トール「ん?……ておいおいマジかよ」

 

 

 

 

「よお、久しぶりだなトール」

 

 

その男は炎髪灼眼の短髪で、かつてファントム戦でトールと戦った魔道士

 

 

 

トール「ゼルマ!?」

 

エルザ「あいつか……」

 

ファントム最強の魔道士〝炎帝〟こと、ゼルマ・シュトルであった。

 

グレイ「あぁ、そういやあん時の…」

 

ゼルマ「そうそう。トールと戦っていた途中にジョゼにトール諸共攻撃をくらわされた哀れな男ゼルマだよ」

 

グレイ「落ち着けそこまで言ってねえ。ていうか、だからあの時倒れてたのか」

 

ゼルマの言葉に突っ込みつつ、あの時の状況を理解したグレイ。

 

トール「つーかお前どうやってここに入ったんだよ」

 

パオラ「エミリアはどうしたの?」

 

ゼルマ「いやそれがさ……俺らあのあと解散になって、フリーの魔道士としてちょっと仕事しながらのんびりしてたんだけどよ──」

 

 

 

 

 

ゼルマside

 

 

ゼルマ「もう行くのか?」

 

エミリア「うん。これ以上ゼルマに迷惑はかけたくないし」

 

ギルド解散からしばらくして、俺はファントムのときに一緒にいた少女、エミリアと話していた。

 

元々エミリアは捨て子で、俺が会ったときは親に捨てられたショックで何をするにもやる気が起きず、何の気力もなく、ただぼうっとしているだけだった。

 

俺は何故か見てられなかった。だから自然とエミリアに手をさしのべていた。多分、それで少しでも彼女に何かに対して目標をもってやる気になってほしかったから。

 

そのエミリアが俺に話してきた。『もっと多くの町を巡り、多くの場所を冒険してみたい。ファントムが終わり、再びやることがなくなった今だからこそ』と。

 

俺は正直意外だったが嬉しかった。初めて会ったときから少しだけでも変わってくれて。

 

ゼルマ「そうか。なら大丈夫だな」

 

エミリア「うん……ありがとねゼルマ」

 

ゼルマ「気にすんなよ。あの時お前をほっとくのが気にくわなかっただけだ」

 

エミリア「お?今のはデレかな?」

 

ゼルマ「うっせ、はよ行け!」

 

エミリア「ふふっ……じゃあね!たまには連絡してよね!」

 

 

こうしてエミリアと別れた。まあ心配かと言われれば心配だが、俺がいたところで邪魔になるだろう。

 

俺は俺で新しい道を進むだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

 

ゼルマ「──というわけさ」

 

「「へえ~」」

 

 

ゼルマの話を聞いて納得するトールとパオラ。

 

ゼルマ「そっからマカロフ(マスター)とたまたま会って、このギルドに誘ってもらったっていうわけさ」

 

グレイ「そこの話は簡単なんだな」

 

ゼルマ「まあそんなわけで、お手柔らかによろしく頼むぜ?」

 

ゼルマがトールに右手を差し出すと、それに呼応し、右手をだす。

 

トール「まあいろいろ思うところもあるけど、改めてよろしくなゼルマ」

 

そして二人は笑顔で握手する

 

トール「………」ニコニコ

 

ゼルマ「………」ニマニマ

 

 

…が、二人とも手を離さない。

 

ゼルマ「……これからたっぷり決着つけることができるぜ」

 

トール「!……あぁ。今からうずうずしちまうぜ」

 

「「フフフフフフ………」」

 

そのまま二人は力をいれながら不敵に笑いだした。

 

パオラ「はいはい止めなさいふたりとも」

 

ゼルマ「わかってるよ」

 

トール「ちぇーっ」

 

パオラがすぐ二人を止めると、今度はエルザがゼルマに近づく。

 

エルザ「まあ、今日からは仲間なんだ。よろしく頼むぞゼルマ」

 

ゼルマ「おうよ。それなりに頑張るわ」

 

ルーシィ「それなりにって……」

 

グレイ「ははっ。また面白そうなやつがはいってきたな」

 

ゼルマ「チミの格好もなかなか面白いと思うぞ半裸職人。しかも下半身が裸て」

 

グレイ「ありゃいつの間に!?」

 

ゼルマの指摘によりグレイはズボンをはき直し、周りの者は笑いだす。

 

ハッピー「マスター。あと一人は?」

 

マカロフ「あと一人はあやつじゃ。ほれ、お主も来んか」

 

ハッピーの疑問にマカロフはテーブル席に座っている男に声をかける。

 

その男は何やら硬い物を食べた後、ゆっくりと振り返る。

 

 

ルーシィ「え!!?」

 

グレイ「オ、オイ嘘だろ!!?」

 

パオラ「どういうことよ…!」

 

ルーシィたちがその男を見て驚く。

 

何せその男はフェアリーテイルに壊滅的な被害を与えた張本人であったからだ。

 

ガジル「あ゙ん?」

 

ナツ「ガジル!!?」

 

グレイ「何でコイツが!!!」

 

ルーシィ「きゃあぁああ!!!」

 

 

鉄の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)の〝黒鉄のガジル〟こと、ガジルを見て騒ぎ立てるルーシィたち。ルーシィに至っては痛めつけられもしたので当然とも言える。

 

グレイ「マスター!こりゃ一体どういう事だよ!!!」

 

ジュビア「待って!ジュビアが紹介したんです」

 

エルザ「ジュビアやゼルマはともかく、コイツはギルドを破壊した張本人だ」

 

ガジル「フン」

 

グレイとエルザはガジルに対し、敵意ある視線を向ける。当のガジルはそっぽを向いている。

 

トール「おいマスター。何のつもりだよ」

 

マカロフ「まぁまぁ、あん時はジョゼの命令で仕方なくやった事じゃ、昨日の敵は今日の友ってゆーじゃろうが」

 

流石にトールも黙ってはおれずマカロフに聞くが、宥められる。

 

ゼルマ「まあそれを言うならおれは戦争とかどうでもよかったんだけどな」

 

レビィ「うん……私もぜんぜん気にしてないよ……」

 

ルーシィ「レビィちゃん」

 

影から顔を覗かせるレビィはおどおどしていて、全然気にしていないようには見えず、身体は恐怖で震えていた。そばにいるジェットとドロイはガジルを睨んでいる。

 

 

 

ナツ「冗談じゃねえ!!こんな奴と仕事できるかぁ!!!」

 

ガジル「安心しろ、慣れ合うつもりはねえ」

 

ガジルはナツの方を見てガンを飛ばしながら言い、ナツもカチンときていた。

 

どうやら同じ滅竜魔道士であり、ファントム戦で戦ったので敵意識が強く残っているようだ。

 

ガジル「オレは仕事がほしいだけだ。別にどのギルドでもよかったしな。まさか一番ムカツクギルドで働くことになるとはうんざりだぜ」

 

ナツ「んだとォ!!?」

 

ジュビア「ガジルくんっていつも孤独でジュビアは放っておけなくて……あの、好きとかそーゆーんじゃないんです!!」

 

ガジルは余計なことを口にしてナツを怒らせる。ジュビアは慌てながら説明しようとするが、グレイはガジルから目を離さず、ジュビアの話も聞いていない。

 

 

マカロフ「道を間違えた若者を正しき道に導くのもまた老兵の役目。彼も根はいい奴なんじゃよ………と信じたい」

 

マカロフは周りに説得しようとするが、最後の言葉は少し小さかった。

 

エルザ「それがマスターの判断なら従いますが、しばらくは奴を監視してた方がいいと思いますよ」

 

マカロフ「はい」

 

エルザの発言にマカロフの声は少し萎縮していた。

 

「「ガルルルル……!!!」」

 

マカオ「あれは竜って言うより犬だな犬」

 

ハッピー「あい!猫より程度が低いよね」

 

ナツとガジルのにらみ合いを見てマカオとハッピーは早速二人を馬鹿にしていた。

 

 

しばらくすると部屋一体の明かりが消え、暗闇に包まれた。

 

そして前方にある大きなステージにスポットライトが当てられる。

 

ステージ幕が開けられると、そこにはギターを構え、座っていたミラの姿があった。

 

周りのギルドメンバーたちからの歓声が部屋一帯に響き渡る。

 

 

「待ってたぞー!ミラー!!」

 

「ミラちゃーん!!!」

 

「ミラジェーン!!!」

 

 

ミラ『あなたのいない机をなでて───

 

影をおとす今日も一人──♪』

 

 

綺麗な音楽を奏でながら歌うミラジェーン

 

スポットライトによって美しい容姿が一層際立ち、妖艶な魅力を秘めていた。

 

ルーシィ「いい歌ー!」

 

カナ「仕事に出る魔導士への歌よ」

 

ミラが歌を歌い終えると、拍手喝采が起こった。

 

 

「ミラちゃーん!!」

 

「最高ー!!」

 

「いいぞー!!」

 

 

アニス「ミラってほんとに歌うまいよねー!」

 

トール「それな。気持ち良い声がまだ頭のなかに残って……Zzz……」

 

ゼルマ「寝んのかい」

 

 

そしてスポットライトがまた消える。次に歌う人がいるということだ。

 

マカオ「いいぞー!次は誰だー!」

 

周りはミラの歌で盛り上がっており、次を楽しみにしている。

 

 

 

だが、ここで誰も予想しないことが起こった。それは、

 

 

 

スポットライトがステージに点くと同時に見えたのは

 

 

 

 

 

 

白いスーツ姿でギターを構え、椅子に座って足を組み、準備万端のガジルがいたことだった。

 

 

『!!!???』

 

ナツ「な、なんだ!?」

 

トール「え?は!?」

 

ゼルマ「ガジル!?てかいつの間に……」

 

さっきまで近くで退屈そうに座っていたのに、と言葉を漏らすゼルマ。

 

 

 

ガジル『♪オレを雇ってくれるギルドは数少ねえ♪』

 

トール「おいあいつ何か語りだしたぞ」

 

ガジル『♪飢えた狼だって、拾われたらなつくモンだぜ♪たとえかつての敵だとしても、友と思い歌ってみせよう♪』

 

グレイ「ギターへたいけど、何気にいい事言ってるじゃねーか…」

 

ジュビア「頑張れ、ガジル君!」

 

一通り語り終えたあと、ギターを鳴らすガジル。

 

 

ガジル『俺の作った曲だ。「BEST(ベスト) FRIEND(フレンド)」聴いてくれ』

 

 

 

周りの野次が発生するがガジルは気にせずに始める。

 

 

ガジル『カラフルカラフル~、シュビドゥバー!恋の旋律~鉄色メタリック~♪』

 

周りの面々はまさに体がメタリックになったかのように固まって硬直状態にヒビが入り、皆が唖然としていた。

 

レビィ「あぁ……」

 

レビィも流石の歌の下手さになにがなんだかわからないでいた。

 

 

 

だがまあ勿論例外はいるようで、

 

エルフマン「やるじゃねーか!」

 

ジュビア「がんばれガジル君!」

 

「「「良いぞー!」」」

 

一部のメンバーは好評だった。

 

 

もちろん他の観客には不評なので物を投げて大波乱になる。ガジルはそれに構わず歌い続けた。

 

ガジル『トゥットゥットゥッシャララ~、シュビドゥヴァー、シャララ~、ガジっと噛んだら甘い蜜~♪』

 

ナツ「こんなヒデー歌初めて聴いたぞ!?」

 

両耳を抑えながらナツが言ったと同時にガジルはギターを投げ付け、ナツの顔面にぶつけた。

 

ガジル『プェープェップェップェッ!』

 

ハーモニカ咥えながら文句を言うガジル。当然、何を言ったのか全くわからない。

 

ナツ「やんのかコラー!」

 

ガジル「シュビドゥバー!」

 

ナツ「何すんだテメー!」

 

ガジル「シュビドゥバーだこのヤロー!」

 

案の定、ナツとガジルは乱闘を始めた。

 

マカオ「誰かこいつらを止めろ!」

 

といっても誰も止めることなどできず、それどころか止める気すらない。

 

むしろこれを気にみんなが騒ぎだした。

 

そんななか、ナツの頭にカップが見事に命中し、ナツの怒りは更に増す。

 

ナツ「今物投げたの誰だコラァ!!」

 

その辺のテーブルをひっくり返し、ナツが叫ぶ。

 

グレイ「ナツ!!てめぇ暴れるんじゃねえ!!」

 

そう言って、突然立ちあがったグレイの肩が隣にいたエルザの肩とぶつかる。

 

その衝撃でエルザは持っていたケーキを落としてしまい、エルザの顔は蒼白となった。

 

エルザ「私の……いちごケーキ………」

 

そして落としたケーキをさらにエルフマンが踏み潰す。

 

エルフマン「てめぇら!!漢ならギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!!」

 

エルザ「やかましいっ!!!」

 

叫ぶエルフマンに怒るエルザの蹴りが炸裂し、おもいきり吹っ飛ばされる。

 

そしていつの間にかナツとガジルの喧嘩が周りに伝染していき、部屋全体を巻き込んだ大乱闘になってしまった。

 

ゼルマ「なんだこのギルド……」

 

トール「まあこれがいつもの俺らだからな」

 

ギルドの状態に呆れていたゼルマにトールが眼を瞑りながら説明する。

 

すると、ゼルマの頭に木製の皿がぶつかる。

 

トール「………どんまい」

 

ゼルマ「……オイ、騙されると思ってんのか。お前がサイコキネシスで遠隔操作してたんだろ。眼を閉じる前に一瞬眼が光ってたぞ」

 

トール「あら、バレちゃった。サイコキネシスをするときに眼が光るってよくわかったな」

 

 

そう、実はトールはサイコキネシスをする際、眼が光る。そして皿をぶつけられはしたが、ゼルマはそれを見逃さなかった。

 

 

ゼルマ「………」

 

トール「……………」

 

 

二人は数秒の時間の後、

 

 

「「おらぁっ!!!」」

 

 

周りと同様にケンカを始めた。

 

 

 

周りが騒がしくなったのを感じ、ナツは辺りを見渡す。

 

ナツ「こういうほうが妖精の尻尾(フェアリーテイル)っぽいよブホォア!!?」

 

その様子を見て前の雰囲気と同じものを感じとって笑顔になるが、ガジルの追撃がクリーンヒットし、喧嘩が再開されることになった。




※ちょっとした小ネタ

ベータ「エーテリオンを取り込んだラクリマです」

コウマ「マジか!?ちょっといただきまーす」


ガリッ


コウマ「まずっ!?がああああああああ!!!ぐえええええええええええ!!!」

ベータ「超神水飲んだ悟空ですか」



はい、というわけでゼルマさんも妖精の尻尾加入です。

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