FAIRY TAIL 妖精の凍てつく雷神   作:タイトルホルダー

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お約束?

 

アニス「起きてトールー。朝だよー」

 

トール「ん……おぉ。おはようアニス」

 

アニス「おはよ!じゃあわたしは洗濯物を干してくるからね」

 

トール「おう。その間に朝飯作ってるから……ふあぁ…」

 

気持ちよく寝ていたトールは、アニスに体を揺さぶられながら起こされる。トールは目を覚ますがまだ完全には目覚めておらず、何度も欠伸によってもう一度寝てしまいそうになる。

 

だが、朝食を作らないといけないので、洗面台にいって顔を洗い、眠気を覚ます。

 

 

そして朝食を作る最中、先日の事件を少し思い出していた。

 

 

トール「しっかし、ジェラールの顔があんなんだったとはな……そりゃ()()()もあんな風になるわ」

 

 

思い出すのは楽園の搭の事件での首謀者、そして、自分の親友である───。

 

 

トール「ま、他にも理由はありそうだけど」

 

 

といって頭のなかをリセットし、料理に集中していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼルマ「ふあぁ……」

 

元ファントムの三人が加入して翌日、ゼルマは9時頃にギルドに来てテーブルで朝食を食べていた。

 

頼んだメニューはホットドッグと野菜スープ、飲み物として冷たい紅茶をカウンターにいたミラジェーンに注文していた。

 

ゼルマ「……うまっ」

 

野菜スープの旨さに舌鼓を打っていると、同じテーブルの向かい側に誰かが座った。

 

 

トール「どうだ?ミラの作った料理うめえだろ?」

 

 

その正体はトールで、隣に座ったアニスと一緒にチョコレートパフェを食べ始めていた。アニスも一口食べて満足そうに頬を緩ませている。

 

 

ゼルマ「……朝からんなもん食ってたら太るぞ」

 

トール「余計なお世話だ。つうか朝飯なら家で食べたし。………それに、不摂生な食事で言うならお前も変わんねえだろ」

 

 

と言ってトールはホットドッグを指差す。

 

 

 

その、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ホットドッグを。

 

 

ゼルマ「ホットドッグ食うときはいつもこんなくらいだぞ?」

 

トール「お前のほうが太るだろうが!」

 

アニス「ゼルマってケチャラーなんだね」

 

ゼルマ「心配するな。自覚はある」

 

 

その見映えが悪いホットドッグを掴んで齧り付く。その際にケチャップが零れ落ちないのは何度も食べているからこそである。

 

ゼルマ「んで、なんか話でもあんのか?」

 

トール「ああ、それなんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

    マユミとベータ、コウマと会った」

 

 

ゼルマ「!!?」

 

 

ゼルマは驚いてホットドッグを食べる手を止める。が、すぐに食べ進めていった。

 

 

トールは楽園の塔での件をゼルマに話した。ゼルマは朝食を食べながらもしっかりと聞いており、話が終わる頃には既に食べ終わっていた。

 

 

ゼルマ「……そうか。俺がここにいるのがわかんのも時間の問題だな。あいつらへの対策も少しは考えねえと……」

 

トール「そうだな………まあ、それはさておいてだな!」

 

トールは先程の空気を変えるように明るく話を切り替える。

 

トール「お前も昨日わかったと思うが、このギルドはファントムと似たり寄ったりで騒がしいからな。退屈はしねえぜ?」

 

ゼルマ「……まあ、確かに。雰囲気は大分違うが」

 

トールは隣にいるアニスを自分の膝に乗せて頭を撫でる。

 

トール「そのうち腕試しという名のケンカ吹っ掛けられるかもな。俺もケンカ売られたし」

 

アニス「ナツやグレイなんか要注意だよ~」

 

ゼルマ「……それは腕試しとかじゃなくて〝見せしめ〟だろ。『新参者は調子乗んなよ』ていうよ」

 

 

くだらない、と吐き捨てる。なかなか冷たい態度をとるゼルマだが、それは過去の経験からなっている。

 

 

ゼルマが幽鬼の支配者(ファントムロード)に入った際、年齢が低かったにも関わらずケンカを売られた。その理由は、新しく入ったやつに自分達が舐められないためである。

 

もっとも、ゼルマは挑んできた魔導士全員を叩き伏せてしまったため、周りの者たちの目論見は失敗してしまったのである。

 

 

 

ナツ「おい、ゼルマ!」

 

 

少し過去を思い出していたゼルマに、ナツから声がかかる。その後ろにはハッピーやルーシィ、グレイもエルザもいる。トールは早速来たな、と思ってナツの第一声を期待している。

 

そしてナツが発する一言、

 

 

 

 

ナツ「お前も俺と同じ炎の魔導士なんだろ?勝負しようぜ!」

 

「「ぷっ!」」

 

ゼルマ「……ハァ」

 

 

この一言にゼルマは小さく溜め息をし、トールとアニスは我慢できずに吹き出してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイ「だははは!!!そりゃおもしれぇな!!!」

 

ルーシィ「一応止めといたらって言ったんだけどね」

 

トールはナツたちに先程話していたことを話すと、グレイは大爆笑し、ルーシィは苦笑いをした。

 

エルザ「まあ、ナツとグレイも喧嘩早いからな。仕方ないだろう」

 

ナツ「あぁ!?こんなカチコチ野郎と一緒にすんじゃねえよ!」

 

グレイ「そりゃこっちの台詞だこの猪突猛進野郎!」

 

このギルドでは、こうした些細なことでよく喧嘩がおこる。そしてもちろん近くには、

 

エルザ「ケンカは……」

 

「「よくないですよねハイ!!!」」

 

 

鬼神サマ(エルザ)がいるのですぐに終わる。

 

そこで、逸れていった話をトールが戻す。

 

トール「で?どうすんだよゼルマ、ケンカすんの?」

 

ゼルマ「そうだなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パオラ「……で、結局するのね。アイツもうちの連中と変わんないじゃない」

 

 

ギルドの裏にある海岸にて、家の掃除や洗濯などをして遅れてきたパオラにトールは先程の出来事を話す。そして、それを聞いてパオラは呆れた表情を浮かべた。

 

 

しかし、ここでパオラは疑問に思った。

 

 

パオラ「でも、それだったらなんでゼルマの前にいるのがナツじゃなくて………

 

 

 

 

     エルザなのよ」

 

 

パオラの目には準備体操をしているエルザが映っている。これではゼルマvsナツでなく、ゼルマvsエルザになる。

 

 

トール「いや実は話はまだ続きがあってな……」

 

 

そして時は少し前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナツ「なぁ、炎の滅悪魔法ってどんな味なんだ?」

 

ナツたちがトールたちのテーブルに座ると、ナツは自分のなかで気になったことを言う。こんなこと言うのはスレイヤー系の魔導士くらいであり、他の魔導士から見れば意味不明な質問である。

 

 

ゼルマ「どんな味って言われても自分の炎は食えねえしなぁ。じゃあ試しに食ってみるか?」

 

そう言うとゼルマは右手に滅悪の魔力が込められた炎を出して、隣にいるナツに渡す。

 

 

ナツ「おぉ!いただきまーす」

 

 

ゼルマの炎を両手で受け取ったナツは一口で食べきった。

 

 

トール「どうだナツ。感想は?」

 

 

ここにいる者達の視線がナツに集まる。

 

その評価は

 

 

ナツ「うんめえ!めちゃくちゃうまかったぞゼルマ!」

 

 

大好評だった。

 

 

ナツ「前に食べたトールの炎とは違った旨さだったぞ」

 

ルーシィ「炎に旨さってあるのね……」

 

トール「炎だけじゃねえぞ?氷も雷も、同じ属性でも人によって全然違うものだからな」

 

 

ちなみにナツ曰く、トールの炎はお菓子のようで、ゼルマの炎はジュースのような旨さらしい。

 

ルーシィたちにはよくわからない理論だった。

 

 

ゼルマ「じゃあナツ、お前の炎はどんな味がするんだ?俺にも食わせろよ」

 

ナツ「おう!いいぜ!」

 

 

そう言うとナツは左手に滅竜の魔力が込められた炎を出してゼルマに渡した。

 

それをゼルマは味を噛みしめるように食べていった。

 

 

ゼルマ「荒々しいな」

 

食い終わりの最初の一言はそれだった。

 

ゼルマ「荒々しいが、そのなかに芯の強さを感じる。俺もこんな旨い炎は久々に食った。旨い肉を食ったような感覚だった」

 

そういったゼルマの顔からは笑顔がでていた。

 

 

ゼルマ「魔法の味なんかはその人の気持ちや心を表していたりする。つまりお前は荒ぶる感情を持ちながらも、その心のなかには何かを大切に思う強さがあるんだろうな。そんなものはファントムの奴等には無かったものだ」

 

ナツ「へへっ、ありがとよ!」

 

ゼルマ「(その強さを知ることができれば…俺はもっと強くなるんだろうか……)これから仲良くしようぜ、ナツ。このギルドにいれば、俺はもっといろんな意味で強くなれそうだ」

 

ナツ「あぁ!よろしくな、ゼルマ!」

 

 

二人はがっちりと握手を交わし、お互いの仲を深め合った。

 

 

ゼルマ「しかしあれだな。俺もナツも炎のスレイヤー系魔導士。お互い炎が効かないんじゃ闘ってもただの作業になりそうだ」

 

ルーシィ「確かにそうよねぇ……」

 

ナツ「でも俺はトントン丸とか言うやつには勝ったぞ?」

 

ハッピー「ナツ……兎兎丸だよ……」

 

ナツの物忘れに呆れるハッピー。

 

ゼルマ「あいつは他人のも含めた炎を操ることができるだけで、炎への耐性は強いがあいつ自信に炎は効くんだよ。それはスレイヤー系魔道士(俺たち)も同じで、全く効かないわけじゃない」

 

グレイ「つうか別にお前は倒してねえだろ。俺があいつを凍らせてエルフマンが遠くへ飛ばしたんだからよ」

 

ナツ「あー、そうだっけ?」

 

ルーシィ「記憶力無さすぎ……」

 

今度はルーシィがナツに呆れていた。

 

エルザ「まったくお前は……そうだ、せっかくだから私と手合わせしてもらえるか、ゼルマ?私もお前の実力は気になるからな」

 

ゼルマ「……へぇ?」

 

エルザの言葉に対して意外そうな顔をするゼルマ。

 

そして、意外だと思ったのはトールやグレイも同じだった。

 

グレイ「(珍しいな……エルザからそんな風に言うことって今までにあったか?)」

 

トール「(いや、俺のときも似たような感じだったような……まあ、今も昔もエルザはアマゾネスだったし」

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

グレイとトールはヒソヒソと話していたが、トールの声が途中からエルザに丸聞こえだったので、拳骨という名のエルザの制裁がトールの頭に落ち、テーブルに突っ伏した。

 

グレイ「(今のは擁護できない)」

 

ついさっきまでトールと話していたグレイは心のなかでトールに合掌した。

 

 

一方で、ゼルマはエルザの誘いには興味津々だった。

 

ゼルマ「いいぜ。トールと同じS級魔導士のお前の実力は俺も気になってたんだ。その誘い、ありがたく乗らせてもらうわ。妖精女王(ティターニア)のエルザ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

周りの者たちは早速二人の勝敗を賭けたりして盛り上がっている。

 

 

パオラ「トールはどっちが勝つと思うのよ」

 

トール「さあな。ファントム戦で闘ったとはいえ、あいつの実力を全部見た訳じゃねえからな」

 

アニス「じゃあ、どっちが有利だと思うの?」

 

トール「そりゃおそらく………ゼルマだろ」

 

トールは少し考えて答えを出す。

 

トール「ゼルマには業火の息吹(アグニッシュワッタス)があるから炎帝の鎧くらいは軽く蹴散らせる……だがまあエルザならなんか対策たてるんじゃねえの?」

 

 

そして、当の二人は目の前の相手を探っていた。

 

エルザ「(ゼルマ・シュトル……炎系最強の魔法〝業火の息吹(アグニッシュワッタス)〟と、炎の滅悪魔法を持つファントム最強の魔導士。奴の放つ熱量に対抗するには炎帝の鎧だけでは足りないかもしれない……)」

 

エルザはまず様子を見ようと思い、炎帝の鎧を換装させ、両手で一本の剣を持つ。

 

ゼルマ「(エルザ・スカーレット……剣だけでなく鎧も換装させて闘う魔法〝騎士(ザ・ナイト)〟を駆使する女剣士。恐らく俺のことはトールから聴いているから耐熱対策はしてくるだろうな。さてどうしようか……)」

 

ゼルマも様子見をするために、滅悪魔法の蒼い炎を身に纏いながら、光を発する槍〝閃光槍〟を手にもつ。

 

ゼルマはギルド間の戦争の件には興味なかったが、妖精の尻尾の魔導士には興味があった。

 

自分の知っているトールがいるのも理由の一つだが、他にも興味深い魔導士は多くいた。

 

他のS級魔導士は勿論、炎の滅竜魔法を使うナツ、氷の造形魔法を使うグレイ、流星魔法を使うパオラなど、強そうな魔導士がちらほらいるのは噂などで聞いていた。

 

 

二人から発する空気が変わったことで、周りの者たちは静かになる。

 

そして、海岸に打ち寄せる波の音が静まると同時に、

 

 

「「っ!!!」」

 

 

ガキィィン!!!

 

 

高速で接近し、お互いの武器がぶつかりあった。

 

お互い力で己の武器を押し、鍔迫り合いを征そうとする。

 

エルザ「ハァッ!」

 

エルザはそのまま剣を左手に持ち、右手でゼルマの腹に強烈な張り手を与える。

 

だが、ゼルマは腹に当たる直前に腹に左腕でガードながら後ろへ跳び、衝撃を逃がしてダメージを無効化させる。

 

ゼルマ「螺旋焔(らせんほむら)!」

 

今度はこっちの番だと言わんばかりにゼルマが空中で蒼炎の渦をエルザに向かって放つ。

 

それに対してエルザは剣の切っ先を上に向け、大きく降り下ろして炎を一刀両断した。

切りつけられた炎は二つに別れ、エルザを挟んで横切ると爆発を起こした。

 

ゼルマは地面につくと再び高速で接近し、槍を振り下ろす。

 

それに対してエルザは少し違和感を感じたが、気にせずに剣の代わりに槍を換装させて迎え撃ち、槍と槍がぶつかった衝撃が周りに響いた。

 

 

 

ナツ「おおーすげー!」

 

パオラ「二人ともすごいわね。武器の扱いといい闘いの技術といい……」

 

グレイ「だが、ゼルマの槍の技術……あれは槍や薙刀というより……」

 

トール「ああ。あれはなんというか……()()()()()()()()()()()

 

ルーシィ「そうなの?」

 

見物組のなかでも実力の高い者たちはこのことに気づいている。

 

 

そしてもちろん、エルザも気づいている。

 

 

エルザがその事を言おうとしたが、その前にゼルマが口にした。

 

 

ゼルマ「なんか、槍持ってるのに全然槍らしく扱ってないみたいな声がちらほら聞こえるから今のうちに言っておくわ。確かに俺は槍よりも剣のほうが扱いやすい」

 

エルザ「では何故槍を持っているんだ」

 

ここにいる者たちのごもっともな意見をエルザが代弁する。

 

ゼルマ「いやホントに対したことじゃねえぞ?ただ単に仕事の依頼でこの槍を貰ったからつかっているだけだ」

 

ゼルマは槍をくるくる回しながらお気楽に喋る。

 

ゼルマ「いや俺ってさ、業火の息吹(アグニッシュワッタス)の魔法持ってるからよぉ、持ってる武器を溶かしちまうことがよくあんだよ」

 

パオラ「なら剣を新しく買えばいいんじゃないの?」

 

ゼルマ「そうはいかねえ。俺は自分の武器には愛着を持つんでな、そう簡単に変えらんねえよ」

 

そう聞いて周りの者たちは感心する。

 

グレイ「へぇ……なぁ、その槍はどんな効果があるんだ?」

 

ルーシィ「高熱にも耐えられるとか?」

 

槍の効果についてグレイとルーシィが訪ねる。

 

ゼルマ「この槍〝閃光槍〟はな……」

 

 

ゼルマは槍の取っ手についてあるスイッチを押し、

 

 

ゼルマ「スイッチ押すと先端が光るんだよ」

 

 

『普通の槍だった……』

 

 

先端を光らせ、自慢気に話した。

 

だが、周りの反応はイマイチだった。

 

 

トール「……んじゃ、もしその槍が壊れたら俺が良い刀を紹介してやるよ」

 

ゼルマ「マジか!じゃあお願いするわ。さて、続きやろうぜエルザ。準備運動はもういいだろ」

 

エルザ「ああ。そうだな」

 

そう言うとエルザは槍をしまい、別の剣をだす。

 

ルーシィ「あれって……」

 

ハッピー「海王の剣だよ」

 

アニス「炎帝の鎧で炎のダメージを軽減させて、海王の剣で炎を退けつつ攻撃するってことだね」

 

 

エルザの変化に対し、ゼルマは槍に蒼い炎を纏わせる。

 

ゼルマ「行くぞ…!」

 

エルザ「来い!」

 

今度は先にゼルマが動いた。

 

ゼルマは槍の先端から炎を放出する。エルザは海王の剣で炎を打ち消し、剣に水を纏ってゼルマに斬りかかる。

 

対してゼルマは炎を纏った槍を水平に持ち、体を半身にして集中する。

 

 

エルザ「海王・大海の剣(アクアスライサー)!!!」

 

ゼルマ「炎貫突(えんかんとつ)!!!」

 

エルザの水の斬撃とゼルマの炎の突きが激しくぶつかる。

 

 

水と炎の衝撃により、水蒸気爆発が起こった。

 

 

 

トール「おーおーハデにやってるねぇ二人して熱くなって」

 

ルーシィ「いやこれやりすぎでしょ!?」

 

パオラ「でもさ、エルザの顔つき……何だか楽しそうよね」

 

観戦側のトールたちは二人の勝負を見ながらその状況をコメントする。そんななか、パオラはエルザに着目していた。

 

ハッピー「あい!いきいきしてるよね!」

 

グレイ「そりゃああれだろ。楽園の搭の件が終わって、エルザの肩の力が抜かれたからじゃねえか?」

 

グレイの言葉を聞いてみんなが納得する。爆発の煙が晴れ、先程と同じ場所にエルザはいた。確かによく見てみると、エルザはまるで悪いものが体から取れたかのように笑っていた。

 

ルーシィ「(よかったね、エルザ……)」

 

ルーシィは嬉しそうにエルザを見ていた。

 

 

だが、そこにゼルマがいないことにアニスが気づいた。

 

アニス「あれ?ゼルマは?」

 

トール「上だ」

 

アニスがゼルマを探していると、トールがゼルマの方向に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

ゼルマ「流石だな。やっぱ闘いは力が拮抗しているほど面白いもんだ」

 

ゼルマは両足の裏に炎のブースターを点火させることで宙に浮きながらエルザの実力を評価していた。

 

 

ゼルマ「だが、勝負ってのは……勝たなきゃ面白くないんでな」

 

 

ゼルマは槍の先端部に魔力を集中させる。するとそこに炎の塊があらわれ、

 

 

ゼルマ「ブリリアント・デトネーション!!!」

 

無数の炎の塊を雨のように降り注いだ。

 

 

 

それを下から見ていたエルザは、天輪の鎧に換装し、こちらも無数の剣を出現させる。

 

 

エルザ「天輪・繚乱の剣(ブルーメンブラット)!!!」

 

 

無数の剣と無数の炎。

 

一つ一つがぶつかり合い、連鎖爆発を引き起こした。

 

 

すると、その爆煙の中からゼルマが猛スピードで急降下してきた。

 

ゼルマ「おらぁっ!!!」

 

ゼルマは持っていた槍に再び炎を纏わせ、エルザに向かって勢いよく放り投げた。

 

 

エルザ「はぁっ!!!」

 

 

エルザは向かってくる槍に物怖じせず、剣を振り上げて槍の軌道を反らした。反らされた槍は砂浜にザクッと突き刺さる。

 

 

だがそれはゼルマには想定内の行動であり、右手には蒼い炎でなく、ナツと同じような赤い炎がエルザの目に映り、魔力の質が変わったのを感じた。

 

 

そして、エルザのなかに緊張感が鋭く走り、

 

 

エルザ「(あれが炎系最強の魔法───)」

 

 

ゼルマ「業火の息吹(アグニッシュワッタス)!!!」

 

 

ゼルマの必殺の一撃が放たれた。

 

 

エルザ「くっ!」

 

 

エルザはゼルマの攻撃を左に緊急回避しながら剣でガードし、

 

 

 

大爆発が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼルマ「参ったな……あれを避けちまうか」

 

 

煙が晴れると、地面に右手をつけていたゼルマは右にいる、先ほどの攻撃を避けたエルザを見た。

 

 

ゼルマ「滅悪魔法で攻めつつ、ここぞと言うときに規模を抑えた業火の息吹(アグニッシュワッタス)で決めようと思ったんだが……」

 

エルザ「規模を抑えた、だと?」

 

一方でエルザの持っていた剣は根本付近まで溶け、エルザは背中に冷たい汗が流れるのを感じていた。

 

ゼルマ「本気でやりすぎたらお前の体まで溶かしてしまうからな。一緒のギルドにいるんだからその辺ちゃんと考えなきゃダメだろ」

 

 

そう言ってゼルマは槍を手に取る。

 

 

 

 

ジュゥゥゥゥゥ

 

 

 

 

ゼルマ「あ」

 

 

 

その()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

『あ……』

 

 

周りの者たちはゼルマの槍が溶けていくのを見ながらそう呟き、槍は五秒も経たずに溶けきってしまった。

 

 

ゼルマ「しまった……またやっちまった」

 

トール「闘いの途中で言ってたことがホントに起きちまったな」

 

エルザ「どうするゼルマ。続けるか?」

 

エルザは手で顔を隠して目を瞑っているゼルマに声をかけるが、

 

 

ゼルマ「あー……なんか冷めちまったし……この辺で止めようぜ」

 

 

ゼルマはケンカの中止をエルザに提案した。それを聞くとエルザは炎帝の鎧と剣をしまい、普段の鎧の姿へと換装する。

 

エルザ「うむ、わかった。また機会があれば手合わせしてくれるか?」

 

ゼルマ「あぁ、もちろん」

 

二人は手合わせの約束をし、ガッチリと握手を交わしたのだった。

 

 




螺旋焔(らせんほむら):螺旋状に回転させた炎を撃つ。

大海の剣(アクアスライサー):水を纏った斬撃を相手に放つ。

炎貫突(えんかんとつ):炎を纏った刺突。

ブリリアント・デトネーション:無数の炎の塊を雨のように降らせる。


ちなみに、エルザが使った海王の剣は、海王の鎧とセットの剣でなく、アルバレス編のアジィール戦で使ったやつです。

マヨラーは良く聞くのに、ケチャラーは全然聞かないんだよなぁ……。
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