アカギ、傀、竜が清澄高校麻雀部に入部したそうです   作:叶芽

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大会規定が原作と若干違い、特殊な規定や原作で明らかになっていない規定を設けています。
・男女混合制。
・ノーテンリーチは流局時罰符
・小牌はアガリ放棄
などです。
基本は、ダブル役満なし(重複もなし)、赤アリ、大明槓の責任払い、暗槓の牌が国士のあたり牌だったらあがれる等、原作の規定でいきます。

※表記について
竜の加槓はマナーが悪く、ポンした牌の横に牌を晒すので、他の者の加槓と表記が違います。

例・対面ポン→加槓の場合

基本

{3横33}


{3横3(横3)3}




{3横33}


{33横33}





【第一部】 地区大会編
#1 地区大会


 

 

 東西戦で東側で活躍したアカギ

 

 裏レートの怪物、傀

 

 やくざ抗争の中心に居た竜

 

 彼らはなぜ清澄高校麻雀部に入部したのか。

 その生活環境を変えてまで、何が彼らをそうさせたのか。

  

   

 学生生活の一つでしかない部活動。

 金のやり取りなどない。命を懸けることなどない。

 彼らが潜り抜けてきた世界、所謂、本当の勝負の世界などではない。

  

 

 それでも今、確かに彼らはそこに居る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第一部】 地区大会編 

 

 

 

 

―県予選 初日 会場内廊下―

 

 

 

 前年度県予選優勝校、龍門渕高校、彼女たちが『それ』とすれ違った時に感じた感覚は『寒気』…少し遅れて『吐き気』だった。振り返り『それ』をもう一度見た。死体だった。死体にしか見えなかった。死体が歩いていた。

 

「あの白髪…」

 

 凍りついた空気をどうにかしようとしたのは井上純だった。だが口にできたのは『それ』の外見だけで、次の言葉が出なかった。

 

「何…あれ……」

 

 次に口を開けたのは国広一。しかし彼女はそれ以上何も言えなかった。彼女達は『天江衣』を知っている。しかし先ほどの『それ』は彼女を遥かに凌駕する何かを…持っているとしか思えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アカギ君遅ーい。どこ行ってたのよ」

 

 部長は、ポケットからメモを取り出し、今大会のオーダーを今にも発表する構えだった。

 ここまで引っ張った、ってことは結構悩んだのだろうか。

 

「すみません。道に迷って」

 嘘丸出しのアカギの言い訳。どうせヤンキーにでも絡まれたんだろうな。

「とか言って…どっかでケンカとかしてないよね?大会前に問題とかやめてよね」

 

 発表されたオーダーは、先鋒・傀、次鋒・染谷まこ、中堅・竹井久、副将・竜、大将・アカギ。

 覚悟はしていたけど、俺は呼ばれなかった。今はまだ、あいつらには勝てない。

 悔しいが、だが来年こそはって思ってる。今年は、応援もだが、この大会であいつらの麻雀をとことん吸収してやる。そういう風に俺の脳は動いていた。

 大将が遅刻してきたアカギなのは、そっくりそのまま…『そういう理由』と部長は話した。さすがに「単純すぎないか」と訊いてみたが、部長は「いいのよこれで」とだけ返した。

 しかし実際は、大将がアカギなのには別の理由があるんだろうな。

 傀にしても竜にしても、そしてアカギにしても、色々と事情がある人間ってのは知っている。

 

「一回戦の相手は清澄・東福寺・千曲東だって」

「らくしょーじゃん。特に清澄なんて廃部寸前だったんだって」

「アハハ。何それだっさー」

 

 俺達から少し離れた位置での他校の会話。その声は部長の耳に入るのに十分すぎる大きさだった。

 俺が「あいつら」と言おうとする前に、部長は傀の名を呼んだ。

 その時の部長の顔は印象的で、今まで見たことが無かった。

 氷だった。

 その冷たさは、次の言葉にも現れた。

 

 

 

―――次鋒にまわさなくていいから……

 

 

 怖かった。

 ただただ怖かった。

 この人を怒らせてはいけない。

 そう思った。

 

 この人もきっと、かつてはアカギ達がいたような世界にいたのかもしれない。

 そういう空気を、その時纏っていた。

 

 

 

 

 

 

「『御無礼』ツモりました。6000オールの13本場です。今宮、千曲東、東福寺のトビで終了ですね」

 

 三校をまとめて飛ばす、というケースはこれまで無かったわけではない。去年の龍門渕高校の天江衣は、全国大会の一回戦では二校、二回戦では三校飛ばす、という記録を残している。しかし、その『人鬼』はそれを10万点スタートの先鋒の前半戦でやってのけた。会場の殆どの者は、そんな光景など、これまで見たことも無かった。『わけのわからないなにか』がそこにあった。

 

 

「しかし…まさか傀の奴がこんなとこに来るとはな……」

 午前の部が終了し、解説に呼ばれた安永萬と藤田靖子は喫茶店で食事をとっていた。

「ですね…」

 二人は裏にも精通していることから、傀のことは当然知っている。

 しかし二人は、彼が出場している以上に、彼の『打ち回し』に疑問を感じていた。

 

「奴の打ち方が引っかかる…。あんな開幕から爆発するケースは珍しい」

「彼なら『やりかねない』とも思いますが、確かに引っかかりますね」

「状況によって打ち方を変化させる奴に『打ち方』なんてもんはあって無いようなもんだが…序盤は見にまわることが多い。そして流れや相手の心理を支配して…後半は『御無礼』の嵐。これが基本のはずだ」

「『御無礼』…。彼が『仕上がった時』に出る言葉ですね。それが出たら止めることは至難…というかまともにぶつかれないですね」

「まさか、お前傀と打ったことはあったのか?あれほどやめとけ、って言っておいただろ」

「若い人間にその言葉は逆ですよ。それに、『ターゲット』にはされませんでしたし、安永プロのように打ったら、二着で美味しい思いは出来ました」

「『ように』…って」

「『まくり』に行きたい気持ちを殺すのは大変でしたよ」

「まったく……」

「しかし清澄のラインナップはすごいですね。副将に『竜』…大将に東西戦で活躍した『赤木しげる』もいます」

「あー……あいつらもか…こりゃ対戦相手が可哀そうだな……」

「県で対抗できるのは、龍門渕の天江衣くらいですか」

「天江衣……確か『鷲巣巌』の孫娘か……。決勝戦は満月…だが去年のままじゃ勝てんな……」

「ええ。しかし……可能性はあります」

「若し頃の『鷲巣巌』……その再来か……とんでもねぇ大会だな今年は」

「まだ地区大会ですよね」

「今年も臨海か白糸台で安定だと思っていたんだがなぁ…」

「臨海もきっと、同じく先鋒だけで地区大会を抜けているでしょうね」

「だろうな…。正直今年の臨海は関わりたくないほど、強大過ぎる…」

「監督が監督ですからね」

 

 

 

 

 

 

「ツモ、タンヤオ、トイトイ、三暗刻、三カン子、嶺上開花…24000の責任払いです」

 

 二回戦、風越高校は副将戦で寿台高校を飛ばし決勝へ進出した。副将、宮永咲の闘牌も常識外のものであったが、会場の者達は感覚が麻痺していたのか、驚きを表した者は僅かであった。

 龍門渕も同じく副将戦で篠ノ井西を飛ばして駒を進めたが、注目の的にはならず、龍門渕透華は控室にて不満をあらわにした。

 

「何なんですのこの状況!私があんなにも華麗に決めたというのに……原村和がいる風越でもなく……なんであんな無名校にスポットが当たらないといけないのですの?」

 龍門渕副将、龍門渕透華の甲高い声が控室に響く。

「しょーがないよ…とーか。あれをみせられちゃ…」

 はじめは清澄のことを言った。

「はじめ!……」

「あの先鋒は二回戦でもまた三校まとめて飛ばしたみたいだしな」

 純が言った。彼女は先鋒であり、傀とあたることになる。

「でも…まだあの『白い髪の男子』は出てきていない……やりたくない」

「ともきーまで!」

「ボクもあれとはやりたくないなぁ」

「大将なら衣が何とかしてくれる……かなぁ」

「みなさん!弱気になり過ぎですわ!それに貴女!先鋒で飛んだら承知しませんわよ!」

「オレだけに言われてもなぁ……。だけどアイツの麻雀、なんとなく俺の麻雀に似てる気がするんだよな」

「流れ…とかいうやつですの?」

「ああ…。それなら自信はある。流れの取り合い勝負なら…オレが勝つ」

 

 

 

 

 

 白糸台なら、先鋒は宮永さんだし、たぶん大将まで回ってくることも無いだろうし、こっちに来た。もし回ってきたら、和ちゃんに頼むことになるけど。

 あの人の麻雀は、直接『眼』で見たい。鷲巣巌のお孫さんの成長も気になるし。

 ここで勝ったチームの大将が…『オーバーワールド』に来る。

 赤木しげるも、天江衣も、鷲巣巌と関わりがあるのも、あの舞台の因果故、なのかも。

 色々と楽しみ。 

 

 

 

 

 

 

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